薬剤師の一日の流れ|調剤薬局・病院・ドラッグストア別のスケジュール
薬剤師の一日の流れは、調剤薬局・病院・ドラッグストアのどこで働くかによって大きく変わります。 同じ「調剤」でも、処方箋を受け付けて患者さんに薬を渡す薬局と、入院患者さんの薬を病棟で管理する病院とでは、忙しくなる時間帯も残業の原因も違います。
この記事では、3つの職場ごとのスケジュールの一例と、負荷が集中しやすい時間帯・業務、応募先で同じ働き方ができるかを確かめるポイントを紹介します。
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調剤薬局の薬剤師の一日

調剤薬局の一日は、近くの医療機関の診療時間に合わせて動きます。 処方箋の受付から調剤・監査・服薬指導までを繰り返し、合間に薬歴の記載や在宅訪問、発注をこなすのが基本の流れです。
上のスケジュールは、平日9時〜19時に開局する薬局の一例です。 門前の医療機関が午後休診の日や、土曜の半日開局など、開局時間は薬局ごとに異なります。
開局準備
開局前に出勤し、調剤機器の電源を入れ、前日に足りなくなった薬の補充や、冷所保管の薬の温度確認をします。 朝のうちに、卸から届いた薬の検品や、前日に預かった処方箋の薬の準備を済ませておく薬局もあります。
午前の処方箋対応
開局すると、医療機関の午前診療を終えた患者さんが処方箋を持って来局します。 処方箋の内容を確認し、調剤・監査を経て、患者さんに薬の飲み方や注意点を説明して渡すのが一連の流れです。
処方箋に疑わしい点があれば、処方した医師に問い合わせて確かめてからでないと調剤できません(疑義照会)。 処方医が診療中だと回答を待つ時間が生じるため、疑義照会が重なると待ち時間が延びやすくなります。
| 業務 | 根拠 | 決められていること |
|---|---|---|
| 疑義照会 | 第24条 | 処方箋の疑わしい点を処方医に確かめてから調剤する |
| 服薬指導 | 第25条の2 第1項 | 調剤したときに必要な情報を提供し、指導する |
| フォローアップ | 第25条の2 第2項 | 必要に応じて服薬状況を継続的に把握し、指導する |
| 調剤録 | 第28条 | 調剤したら記入し、薬局は最終記入日から3年間保存する |
昼休憩の取り方
昼休憩は、午前の処方箋が落ち着き、医療機関が昼休みに入る時間帯にとるのが一般的です。 昼に閉局しない薬局では、薬剤師が交代で休憩に入ります。 午前の患者さんが長引くと休憩の開始がずれ込み、昼食が14時近くになる日もあります。
午後の業務と在宅訪問
午後は、医療機関の午後診療が始まるまでの比較的落ち着いた時間に、薬歴の記載や発注、在宅訪問をまとめてこなします。 在宅訪問は、医師の指示にもとづいて患者さんの自宅や施設に薬を届け、飲み残しや副作用の有無を確認する業務です。
午後の診療が始まる前の時間に訪問を組むと、来局のピークと重なりにくくなります。訪問件数が多い日は、午前中に回ることもあります。
調剤後のフォローアップも午後に入れやすい業務です。 2020年9月に施行された改正により、薬剤師は調剤時に限らず、必要に応じて患者さんの服薬状況を継続的に把握し、指導することが義務になりました。
薬を渡した数日後に電話で体調や飲み忘れを確認するなど、来局時以外の対応も一日の業務に含まれます。
午後の落ち着いた時間に、たまった業務を片付けるイメージだね
閉局作業
夕方は、仕事帰りや学校帰りの患者さんが増え、閉局間際まで処方箋が続くことがあります。 閉局後は、レジ締め、その日の薬歴の記載漏れの確認、翌日分の発注、調剤台の清掃などを済ませて退勤します。
薬剤師の求人を探す参考:e-Gov法令検索「薬剤師法」 / 厚生労働省「令和元年の医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(薬機法)等の一部改正について」
病院の薬剤師の一日

外来の処方箋を院外の薬局で調剤する病院では、薬剤師は入院患者さんの薬を扱う業務が中心です。
一日の中で「調剤室での業務」と「病棟での業務」を行き来するのが、薬局との大きな違いです。
| 時刻 | 場所 | 業務 |
|---|---|---|
| 8:30 | 薬剤部 | ミーティング、夜間の引き継ぎ |
| 9:00 | 調剤室 | 入院患者さんの内服薬・注射薬の調剤 |
| 11:00 | 調剤室 | 抗がん剤などの無菌調製 |
| 12:00 | ― | 交代で昼休憩 |
| 13:00 | 病棟 | 持参薬の確認、服薬指導、副作用の確認 |
| 15:00 | 病棟 | カンファレンス、回診への同行 |
| 16:30 | 調剤室 | 翌日分の注射薬の準備、記録 |
| 17:15 | 薬剤部 | 終業。当直者がいれば引き継ぎ |
朝のミーティング
始業後は、薬剤部内のミーティングで当日の業務分担や、夜間に起きた変更点を共有します。 当直や夜勤の体制がある病院では、夜間担当の薬剤師から、緊急で出た処方や持ち越した業務の引き継ぎを受けます。
調剤室での業務
午前中は、入院患者さんの内服薬・注射薬の調剤が中心です。 注射薬は患者さんごとに1回分ずつそろえて病棟へ払い出し、抗がん剤などは安全キャビネットの中で無菌調製をします。
外来の院内処方がある病院や、医薬品情報(DI)の担当者がいる病院では、その対応も午前の業務に加わります。
病棟業務とカンファレンス
午後は担当病棟に上がり、入院患者さんのベッドサイドで薬の説明や副作用の確認をするのが一般的な流れです。 病棟では、主に次のような業務をこなします。
- 入院時に持参薬を確認し、医師に服薬計画を提案する
- 副作用や薬の血中濃度を確認し、必要に応じて処方変更を提案する
- 入院患者さんへの服薬指導と、退院時の薬の説明
- 医師や看護師からの薬に関する相談への対応
カンファレンスは、医師・看護師・管理栄養士などと患者さんの治療方針を話し合う場です。 感染対策や栄養サポートなどのチームに加わっている薬剤師は、定期的にカンファレンスや回診に参加します。
調剤室と病棟、どっちにいる時間が長いの?
調剤室と病棟の時間配分は、病院の規模や薬剤師の人数で変わります。 病棟専任の薬剤師を置く病院もあれば、調剤室の業務を終えてから病棟に上がる病院もあります。
当直と時間外の対応
24時間体制で救急患者さんを受け入れる病院では、薬剤師が当直や夜勤で夜間の調剤に対応することがあります。 一方で、夜間の薬剤師を置かず、オンコールで対応する病院や、時間外の調剤がない病院もあります。
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参考:厚生労働省「令和6(2024)年医師・歯科医師・薬剤師統計の概況」 / 厚生労働省「医療スタッフの協働・連携によるチーム医療の推進について」
ドラッグストアの薬剤師の一日

ドラッグストアの薬剤師の一日は、調剤室を併設している店舗か、市販薬(OTC医薬品)だけを扱う店舗かで大きく違います。 調剤併設型は調剤薬局の業務にOTCの接客が加わり、OTC専門型は接客と売り場づくりが中心です。
統計上、調剤室のある店舗で働く薬剤師は「薬局の従事者」に含まれます。 調剤をしない店舗(店舗販売業)で働く薬剤師は5,090人です。
開店準備
開店前は、売り場の整理、前日の売上や在庫の確認、朝礼での連絡事項の共有をします。 調剤併設型では、これに加えて調剤室の準備を済ませます。
調剤室の受付時間を店舗の営業時間より短く設定している店舗もあり、その場合は調剤室の開局に合わせて準備をします。
調剤とOTCの接客
調剤併設型では、処方箋の対応を優先しながら、手が空いた時間にOTCの相談や販売に入ります。 OTC医薬品のうち、第1類医薬品は薬剤師でなければ販売できません。
第2類・第3類医薬品は登録販売者も販売できるため、第1類の相談や、市販薬で様子を見てよいか受診をすすめるべきかの判断が、薬剤師に任される場面が多くなります。
処方箋がない時間も、売り場での相談対応があるんだね
発注と品出し
OTC専門型では、医薬品だけでなく日用品や化粧品の発注・品出し・レジも担当することがあります。 特売日やチラシの配布日は来店客が増え、品出しや売り場の入れ替えに時間をとられやすくなります。
調剤併設型の場合も、店舗の人員が少ない時間帯はレジに入ることがあります。
シフトによる勤務時間の違い
ドラッグストアは営業時間が長く、早番・遅番などのシフト制で勤務するのが一般的です。 同じ店舗でも、シフトによって担当する業務が変わります。
遅番は閉店作業まで担当するため、帰宅が夜遅くなります。 土日祝日も営業する店舗が多く、休日は平日を中心にシフトで決まります。
薬剤師の求人を探す参考:e-Gov法令検索「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」 / 厚生労働省「令和6(2024)年医師・歯科医師・薬剤師統計の概況」
忙しくなる時間帯と残業が発生しやすい業務

一日の流れの中で負荷が集中するのは、「処方箋が一度に届く時間」と「後回しにした事務作業」の2つです。 どちらも職場の体制によって差が出るため、求人を比べるときの判断材料になります。
処方箋が集中する時間帯
調剤薬局で最も忙しいのは、門前の医療機関の午前診療が終わる前後です。 医療機関が診療を終えた患者さんが一斉に来局するため、待合室が埋まり、調剤と服薬指導が途切れなく続きます。 夕方も、午後診療の終了に合わせてもう一度ピークが来ます。
複数の診療科の処方箋を受ける薬局や、総合病院の門前にある薬局では、時間帯よりも曜日や診療科ごとの外来日程で波ができます。
曜日や月による差
週の中では、休み明けの月曜日や、連休の前後に患者さんが集中しやすくなります。 休診日の前日は、長期処方の患者さんが増えて1枚あたりの調剤に時間がかかることもあります。
季節では、花粉症やインフルエンザが流行する時期に処方箋が増えます。
薬歴の記載
薬剤師が患者さんに情報提供や指導をしたときは、その内容を記録することが法律で決まっています。 ピーク中は患者さんの対応を優先するため、薬歴の記載が閉局後に持ち越されることが、残業の大きな原因になります。
処方箋の枚数に対して薬剤師が少ない職場ほど、記載が後ろにずれ込みやすくなります。
在庫管理と発注
医薬品卸の配送には締め時間があり、その日のうちに発注をまとめる必要があります。 月末や決算期の棚卸し、使用期限が近い薬の確認は、通常の業務時間内に収まらないこともあります。
病院では、新しく採用する薬の準備や、在庫の薬の切り替えが重なる時期に作業が増えます。
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レセプト業務
保険薬局は、1か月分の調剤報酬を翌月10日までに請求しなければなりません。 そのため、月初の数日は通常の調剤と並行してレセプトの点検をすることになり、事務員が少ない薬局では薬剤師の残業につながります。
審査で戻ってきたレセプト(返戻)の修正も、薬剤師が確認する業務です。
月初はいつもより帰りが遅くなりがち…って薬局、多いよね
参考:e-Gov法令検索「療養の給付及び公費負担医療に関する費用の請求に関する命令」 / e-Gov法令検索「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」
職場を選ぶときに確認したいこと

求人票や採用ページで紹介されている一日の流れが、自分の応募先でもそのまま成り立つとは限りません。 「処方箋枚数と薬剤師の人数」「休憩の取り方」「閉局後の業務量」の3つを確かめるのがおすすめです。
処方箋枚数と薬剤師の人数
薬局では、調剤に従事する薬剤師の人数を1日平均の処方箋枚数を40で割った数以上にすることが、省令で決められています。 眼科・耳鼻咽喉科・歯科の処方箋は、1枚を3分の2枚として数えます。
| 1日平均の処方箋 | 必要な薬剤師(最低) |
|---|---|
| 40枚まで | 1人 |
| 41〜80枚 | 2人 |
| 81〜120枚 | 3人 |
| 121〜160枚 | 4人 |
40枚は最低限の基準のため、基準ぎりぎりの人数で回している薬局は、ピーク時の負担が大きくなります。 一包化や粉薬の調剤が多い薬局、在宅訪問が多い薬局では、同じ枚数でも1枚あたりの手間が増えます。
面接では、1日の処方箋枚数とあわせて、薬剤師と事務員がそれぞれ何人いるかを聞いておきましょう。
休憩の取り方
労働時間が6時間を超える場合は45分以上、8時間を超える場合は1時間以上の休憩が、法律で決まっています。 ただ、昼に閉局しない薬局では、患者さんの来局状況によって休憩の開始時刻がずれることがあります。
- 昼休みに閉局する時間があるか、交代で休憩に入るか
- 休憩中に呼び出されることがあるか
- 休憩時間を確実にとれる人数の配置になっているか
休憩のとり方も、入る前に聞いておけば安心だね
閉局後の業務量
閉局時間と退勤時刻の差は、職場の忙しさを表す指標の1つです。 薬歴をその日のうちに書ききれているか、発注やレセプトを誰が担当しているかで、閉局後の業務量は変わります。
- 薬剤師の掲載求人は1,450件
- 「残業ほぼなし」の求人は9%(127件)
- 「17時退社」の求人は14%(205件)
「残業少なめ」という表記だけでは実態が分からないため、面接では具体的な時刻や担当者まで聞いておくと安心です。
参考:e-Gov法令検索「薬局並びに店舗販売業及び配置販売業の業務を行う体制を定める省令」 / e-Gov法令検索「労働基準法」
まとめ
薬剤師の一日の流れは、調剤薬局・病院・ドラッグストアで大きく違い、同じ職場の種類でも医療機関の診療時間や人員配置で変わります。
求人に載っているスケジュールは一例として読み、実際の忙しさは数字で確かめるのがおすすめです。
この記事のポイント
- 調剤薬局は門前医療機関の診療時間に合わせて動く
- 病院は調剤室と病棟を行き来し、当直の有無は施設で違う
- ドラッグストアは調剤併設型かOTC専門型かで業務が変わる
- 残業の原因は薬歴・発注・月初のレセプトに集中しやすい
- 応募前に処方箋枚数と薬剤師の人数を確認する
気になる職場が見つかったら、処方箋枚数や閉局後の業務量を面接で確認してみましょう。 自分では聞きにくい内容は、転職エージェントに確認を任せる方法もあります。


