薬剤師は転職サイトを使わないで転職できる?利用の判断基準と自分で進める方法
「担当者からの電話が多くて疲れた」「自分のペースで職場を選びたい」と感じて、転職サイトを使わない方法を探している薬剤師もいるはずです。
薬剤師は転職サイトを使わなくても転職できます。採用ページからの直接応募やハローワーク、薬剤師会の就職支援サイトなど、自分で求人を探せる経路は複数あります。
この記事では、転職サイトを使わないメリット・デメリットと、使う・使わないの判断基準、使わずに転職を成功させる具体的な方法を紹介します。
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薬剤師が転職サイトを使わない理由

薬剤師向けの転職サイトには、大きく分けて「求人を自分で検索して応募する求人検索型」と「担当者が求人紹介や日程調整をするエージェント型」があります。
エージェント型は職業安定法上の「有料職業紹介事業」にあたり、厚生労働大臣の許可を受けて運営されています。
法律で求職者から手数料を取ることは原則禁止されており、主に求人側が支払う紹介手数料で運営されているため、求職者は無料で利用できます。
担当者からの連絡が多いと感じるため
エージェント型に登録すると、希望条件のヒアリングや求人の紹介、面接日程の調整などで担当者から電話やメールが届きます。
連絡手段や時間帯は、登録時に「メール中心で」「平日の夜だけ」などと伝えると調整してもらえるケースも多いです。 それでも「人とやり取りしながら進めること自体が合わない」と感じる場合は、使わない選択肢を考えるきっかけになります。
希望条件と合わない求人を紹介されるため
「土日休み希望と伝えたのにシフト制の薬局を紹介された」など、希望とずれた求人を案内されて戸惑う人もいます。 担当者は条件に近い求人を幅広く提案することがあり、条件の優先順位が伝わっていないと、ずれた求人が届きやすくなります。
自分で求人を探せば、条件に合わない求人を最初から外せます。 提案の幅を広げてほしい人にはエージェント型が合い、自分で絞り込みたい人には使わない方法が合うといえます。
担当者が薬剤師の職域に詳しくない場合があるため
薬剤師の職場は、調剤薬局・病院・ドラッグストア・企業などで仕事内容が大きく異なります。 同じ調剤薬局でも、門前の診療科や在宅対応の有無で働き方は変わります。
担当者の経験や得意分野によっては、こうした違いを踏まえた提案にならないこともあります。 業界の事情に自分のほうが詳しいと感じる薬剤師ほど、自分で情報を集めたほうが早いと考えやすい傾向があります。
自分のペースで転職活動を進めたいため
「良い求人があれば動きたい」「1年以内に転職できればいい」という人にとって、応募や面接を急ぐ流れは負担になります。 転職時期や応募数を自分で決めたい人は、転職サイトを使わない方法と相性がよいです。
自分のペースで考えたい時期ってあるよね
参考:e-Gov法令検索「職業安定法」 / 厚生労働省「令和4年職業安定法の改正について」
転職サイトを使わないメリット

転職サイトを使わない最大のメリットは、転職活動の主導権をすべて自分で持てることです。
自分のペースで活動を進められる
応募の時期や数、面接日程をすべて自分で決められます。 「繁忙期が終わってから応募する」「気になる職場が1つ見つかったら動く」など、仕事や家庭の都合に合わせて進めやすいです。
薬剤師の求人を探す第三者の意見に判断が左右されない
担当者から「今決めないと埋まってしまう」と言われて、迷いながら決めてしまうケースもあります。 自分で進めれば、求人を比べる基準も、応募するかどうかの判断もすべて自分のものになります。
一方で、一人で決めることに不安がある場合は、家族や職場の先輩など、利害関係のない相手に相談するのも一つの方法です。
面談や連絡のやり取りが発生しない
登録後の面談や、求人紹介の電話・メールに対応する必要がありません。 やり取りの相手は応募先だけになるため、在職中でも連絡の管理がシンプルです。
連絡が応募先だけなら気持ちもラクだね
転職サイトを使わないデメリット

自分で進める分、転職サイトが代わりに担っていた部分はすべて自分でカバーする必要があります。 ただし、どのデメリットも方法を知っていれば自力で補えます。
非公開求人を確認できない
エージェント型の転職サイトには、一般には公開せず登録者だけに紹介する「非公開求人」があります。 管理薬剤師や病院の欠員補充など、急ぎの求人や応募が集中しやすい求人が非公開になることがあります。
使わない場合はこうした求人に出会えないため、求人の母数が少なくなることは理解しておきましょう。 母数を補うには、直接応募だけでなく、ハローワークや薬剤師会のサイトなど複数の経路を組み合わせるのが有効です。
求人探しと情報収集に時間がかかる
希望に合う求人を探し、職場の情報を調べ、応募書類を整える作業をすべて自分でこなします。 在職中に進める場合は、仕事終わりや休日の時間を使うことになります。
職場の内部事情を把握できない
求人票には、人間関係や実際の残業時間、薬剤師の入れ替わりの多さまでは書かれていません。 転職サイトの担当者は過去の紹介実績から内部事情を把握していることがありますが、自分で進める場合は職場見学や面接での質問で確かめる必要があります。
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条件交渉を自分で行う必要がある
給与や勤務日数、入職日の調整は、応募先と直接話し合います。 条件を言い出しにくく、提示された条件をそのまま受け入れてしまう人も少なくありません。
| デメリット | 補う方法 |
|---|---|
| 非公開求人を確認できない | 直接応募・ハローワーク・薬剤師会など複数の経路を組み合わせる |
| 求人探しに時間がかかる | 譲れない条件を絞り、検索条件を保存して新着だけ確認する |
| 内部事情を把握できない | 職場見学と面接での質問で確かめる |
| 条件交渉を自分で行う | 給与明細・経験・資格などの材料を先にそろえる |
補う方法がわかっていれば怖くないよ
転職サイトを使わなくてもよい薬剤師の特徴

次のような状況なら、転職サイトを使わなくても十分に転職活動を進められます。
応募先が決まっている
「この病院で働きたい」「前から気になっていた薬局がある」など、応募先が決まっているなら、採用ページから直接応募すれば足ります。 求人が出ていなくても、問い合わせると採用予定を教えてもらえることがあります。
公務員・薬系技官を目指している
公務員薬剤師は、採用試験を経て採用されるのが基本で、転職サイトを通さずに応募します。
| 区分 | 主な職場 | 採用の流れ |
|---|---|---|
| 国家公務員(薬系技官) | 厚生労働省など | 総合職試験(化学・生物・薬学)の合格後、官庁訪問 |
| 地方公務員 | 都道府県・市の保健所、薬務担当部署など | 各自治体の薬剤師職の採用試験 |
| 公立病院 | 都道府県立・市立病院など | 自治体や病院が実施する採用試験 |
厚生労働省の薬系技官は、国家公務員総合職試験(化学・生物・薬学)に合格したうえで、官庁訪問を経て採用される流れです。 試験日程や説明会の情報は、人事院や各省庁・自治体の採用ページで確認します。
転職時期を急いでいない
半年〜1年ほど時間をかけられるなら、気になる職場の採用ページやハローワークの新着求人を定期的に確認しながら、条件に合う求人が出るのを待てます。 求人が増える時期を知っておくと、待つ期間の見通しも立てやすくなります。
行きたい場所が決まっているなら直接がいちばん早いね
転職サイトを使ったほうがよい薬剤師の特徴
反対に、次のような状況では転職サイトを使ったほうが負担を減らせることがあります。 使うかどうかは、自分の状況に合わせて選んで問題ありません。
初めて転職する
初めての転職では、求人票の見方や応募書類の書き方、面接の受け答えなど、分からないことが多くあります。 担当者に流れを確認しながら進めると、手順で迷う時間を減らせます。
在職中に転職活動をする
仕事をしながら転職活動をすると、求人探しや面接の日程調整に使える時間が限られます。 日程調整や条件の確認を任せられる点は、エージェント型ならではの利点です。
薬剤師の求人を探す希望条件が固まっていない
「今の職場は合わないが、次に何を優先すべきか分からない」という段階では、求人を見ても比べる基準が定まりません。 第三者と話しながら条件を整理すると、自分が何を重視しているかに気づきやすくなります。
転職サイトを使う場合は、事業者が法律のルールを守っているかを確認しておくと安心です。
転職サイトを選ぶときの確認ポイント
- 厚生労働省「人材サービス総合サイト」に許可事業者として載っているか
- 就職者数や6か月以内の離職者数、手数料の情報を公開しているか
- 医療・介護・保育分野の「適正な有料職業紹介事業者」の認定を受けているか
職業紹介事業者には、自社の紹介で就職した人(無期雇用)に就職から2年間は転職を勧めてはいけないことや、「お祝い金」などの名目で金銭を提供して登録を勧めてはいけないことが定められています。
また、医療・介護・保育分野には、厚生労働省の委託事業として、法令の遵守や職種別の手数料の公表などの基準を満たした事業者を認定する制度があり、認定事業者は専用サイトで薬剤師などの職種別に検索できます。
転職サイトの選び方は、以下の記事で詳しく紹介しています。
参考:鹿児島労働局「民間人材サービスの利用にあたって」 / 医療・介護・保育分野における適正な有料職業紹介事業者の認定制度「制度概要」
転職サイトを使わずに転職する方法

転職サイトを使わない場合の求人の入手経路は、主に5つあります。 1つの経路だけでは求人の数が限られるため、2〜3つの経路を組み合わせると選択肢を確保しやすくなります。
| 経路 | 見つけやすい求人 | 合いやすい人 |
|---|---|---|
| 1直接応募 | 応募先が決まっている職場・自社採用ページを持つ会社 | 行きたい職場がある人 |
| 2ハローワーク | 地域の薬局・病院・介護施設など | 地元で探したい人 |
| 3知人紹介 | 知人が働いている職場 | 職場の雰囲気を重視する人 |
| 4薬剤師会 | 病院・診療所 | 病院で働きたい人 |
| 5アルムナイ | 以前働いていた職場 | 元の職場に戻りたい人 |
採用ページからの直接応募
病院や調剤薬局、ドラッグストアの多くは、自社のWebサイトに採用ページを設けています。 中途採用の募集要項を掲載している会社も多く、応募フォームから直接エントリーできます。
小規模な薬局やクリニックは採用ページがないこともあるため、電話やメールで採用予定を問い合わせる方法もあります。 直接応募は応募先と最初からやり取りできる分、志望理由を具体的に伝えやすいのも利点です。
ハローワークの利用
ハローワーク(公共職業安定所)は国が運営する無料の職業紹介機関で、地域の薬局や病院、介護施設などの求人を扱っています。 「ハローワークインターネットサービス」では、全国のハローワークで受け付けた求人を検索できます。
窓口では、職員に求人の詳細を確認してもらいながら応募を進められます。
知人紹介・リファラル採用
以前の同僚や大学の同期、勉強会で知り合った薬剤師から職場を紹介してもらう方法です。 社員の紹介で採用する「リファラル採用」の制度を設けている会社もあります。
紹介者から実際の働き方や人間関係を聞けるため、入職後のギャップを小さくしやすいのが大きな利点です。 一方で、条件が合わなかったときに断りにくいことがあるため、最初に「条件を確認してから決めたい」と伝えておくと気持ちよく進められます。
薬剤師会の就職支援サイト
日本病院薬剤師会の「就職ポータルサイト」では、全国の病院・診療所の求人を検索できる求人・求職システムや、都道府県病院薬剤師会の就職情報ページへのリンクがまとめられています。
鳥取県薬剤師会のように、薬剤師会が無料職業紹介所を開設している地域もあります。 職業安定法では、国や自治体、学校などを除き、無料の職業紹介でも厚生労働大臣の許可が必要です。
地元の薬剤師会のサイトで就職支援の窓口があるかを確認してみましょう。
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アルムナイ採用への応募
アルムナイ採用は、一度退職した元社員を再び採用する仕組みです。 以前働いていた薬局チェーンや病院に戻る形で、仕事の流れや職場の雰囲気を知っている分、即戦力として受け入れてもらいやすい特徴があります。
退職後も元の上司や同僚と連絡を取っている場合は、復職の可能性を直接聞いてみる方法もあります。 アルムナイ向けの登録窓口を設けている会社もあるため、元の勤務先の採用ページを確認してみましょう。
経路を組み合わせれば、求人の数も確保できるよ
参考:日本病院薬剤師会「就職ポータルサイト」 / 鳥取県「薬剤師に関する各種案内(就職・試験)」
転職サイトを使わずに転職を成功させるポイント

前述のデメリットのうち、内部事情の把握と条件交渉は、準備しだいで自力でも十分に補えます。
譲れない条件に優先順位をつける
自分で求人を探すときは、比べる基準がはっきりしているほど判断が早くなります。 給与・休日・通勤時間・業務内容など、希望条件を「譲れない」「できれば」「妥協できる」の3段階に分けておきましょう。
「譲れない」条件は2〜3個までに絞ると、応募できる求人が極端に少なくなるのを防げます。
職場見学で内部情報を補う
求人票だけでは分からない内部事情は、職場見学で確かめるのがいちばん確実です。 応募前や面接の前後に「見学させていただけますか」と頼むと、受け入れてくれる職場も多いです。
見学のときは、薬剤師同士の会話の様子や、忙しい時間帯の動き方にも目を向けてみましょう。 質問しにくい内容は、面接の終盤に「入職前に確認しておきたいのですが」と前置きすると聞きやすくなります。
見学で見るべきところが分かれば安心だね
給与交渉の材料を事前にそろえる
給与交渉は、根拠となる材料があるかどうかで結果が変わります。 次のような材料を事前に整理しておくと、希望額を伝えやすくなります。
-
現在の給与明細・源泉徴収票月給の内訳(基本給・手当)と年収を正確に伝えられる
-
担当してきた業務在宅対応・管理薬剤師経験・かかりつけ薬剤師など
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保有資格認定薬剤師・専門薬剤師などの資格
-
同じ地域・業態の求人の給与幅希望額が相場から外れていないかの目安になる
- 薬剤師の正社員求人は月給中央値35万円(932件)
- 調剤薬局は36.5万円、病院は30.05万円が中央値
- 同じ業態・地域の求人と比べて希望額を決める
交渉は内定前の面接の終盤か、内定後の条件確認の場で切り出すのが一般的です。 「現在の年収は〇〇万円で、在宅業務の経験を活かせるなら〇〇万円を希望します」のように、数字と根拠をセットで伝えると話が進みやすくなります。
まとめ
薬剤師は、転職サイトを使わなくても転職できます。 使うかどうかは、応募先が決まっているか、転職を急いでいるか、希望条件が固まっているかで判断しましょう。
この記事のポイント
- 応募先が決まっているなら直接応募で十分
- 初めての転職や在職中の活動ならサイトの活用も選択肢
- 使わない場合は直接応募・ハローワーク・薬剤師会など複数の経路を組み合わせる
- 内部事情は職場見学、条件交渉は事前の材料準備で補う
まずは希望条件に優先順位をつけ、気になる職場の採用ページや薬剤師会のサイトから求人を探してみましょう。 自分で進めるなかで手が回らなくなったときは、転職サイトを部分的に使うという方法もあります。


