看護師が一人でできる仕事のタイプ・種類|職場一覧と選ぶときの確認点
「人間関係に疲れたから、一人で黙々とできる仕事がしたい」と思ったことはありませんか?
看護師が一人でできる仕事は、「看護師が一人だけ配置される職場」「一人で訪問や対応をする仕事」「人と関わる場面が少ないデスクワーク」の3タイプに分かれます。 同じ「一人」でも、人間関係の悩みが減る代わりに、健康面の判断をすべて自分で背負う職場もあります。
この記事では、タイプ別の職場一覧と一人で働く負担、入職前に確認しておきたいポイントを紹介します。
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看護師が一人だけ配置される職場

職場に看護師が自分しかいない「一人配置」のタイプです。 看護師の就業先は約8割が病院と診療所で、一人配置になりやすい企業や福祉施設で働く看護師は少数派です。
一人配置になりやすいのは、法令で看護師の配置が義務づけられていない職場か、「1人以上」とだけ決められている職場です。 看護師同士の人間関係はありませんが、利用者さんや社員の健康面の判断を一人で担うことになります。
企業の医務室・健康管理室
企業で働く看護師(産業看護師)は、健康診断の結果管理、体調不良の社員への対応、保健指導の補助、メンタルヘルス相談の窓口などを担当します。 労働安全衛生法で企業に選任が義務づけられているのは産業医で、看護師の配置義務はありません。
専属の産業医が必要なのは常時1,000人以上(一部の有害業務は500人以上)の事業場で、それより小さい事業場は嘱託の産業医でも構いません。 そのため、医師が常駐しない医務室を看護師一人で受け持つケースがあります。 厚生労働大臣が定める研修を修了すれば、看護師もストレスチェックの実施者になれます。
保育園や児童福祉施設
保育園看護師は、園児の健康観察、けがや発熱時の対応、感染症の予防、保護者への健康面の助言などを担当します。 保育所の基準で必ず置く職員は保育士・嘱託医・調理員で、看護師は必置ではありません。
一方で、看護師を保育士の数に含められる特例があるため、園によっては保育士と一緒にクラスに入り、保育も担当します。 児童福祉施設のうち、乳児が入所している児童養護施設は看護師を置かなければならない決まりです。
保育園看護師の仕事内容や給与は、以下の記事で詳しく紹介しています。
グループホームやケアハウス
グループホーム(認知症対応型共同生活介護)の人員基準に、看護師は含まれていません。 看護師を雇っているグループホームでは、入居者さんの健康管理、服薬の確認、医療機関との連絡を一人で受け持つことが多くなります。
ケアハウス(軽費老人ホーム)も、基準上は看護職員を置く決まりがありません。 ただし、介護付き(特定施設入居者生活介護の指定)のケアハウスは、利用者さん30人以下なら看護職員を常勤換算で1人以上置く必要があり、小規模な施設では看護職員が1人になることがあります。
小規模な介護施設
デイサービス(通所介護)は、サービスを提供する単位ごとに看護職員を1人以上確保する決まりです。 定員29人以下の地域密着型特別養護老人ホームも、看護職員は「1人以上(うち1人以上は常勤)」とされています。
看護師が自分だけって、気楽そうだけど不安もあるよね
基準の下限どおりの配置であれば、日中に看護師が自分一人という時間帯ができます。 介護職員とは協力し合いますが、医療的な判断の相談相手は施設の外の医師になります。
看護師の求人を探す参考:厚生労働省「令和6年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況」 / e-Gov法令検索「労働安全衛生法」
単独で訪問や対応をする仕事

職場には看護師が複数いても、現場では一人で利用者さんや受診者に向き合う「単独対応」のタイプです。 一人配置とは違い、迷ったときに同じ職場の看護師に相談できる点が大きな差です。
訪問看護
訪問看護師は、利用者さんの自宅を一人で訪問し、体調の観察、医療処置、服薬の管理、家族への助言などを担当します。 訪問中は自分で状況を判断しますが、ステーションには人員基準で一定数以上の看護職員が在籍しています。
訪問の合間や終業前には、ステーションで申し送りやカンファレンスがあります。 「一人で訪問する」仕事であって、人間関係がない仕事ではありません。 オンコール当番や訪問件数の負担もあるため、辞めたくなる理由もあらかじめ知っておくと安心です。
健診・検診センター
健診センターの看護師は、採血、血圧や身長・体重の測定、心電図検査、問診の補助などを担当します。 検査ごとに担当が分かれる流れ作業が中心で、一人の受診者さんと関わる時間は短めです。
企業や学校に出向く巡回健診では、会場を移動しながら同じ工程を繰り返します。 病気の人ではなく健康な人が対象なので、急変対応の場面は病棟より少なくなります。
ワクチン接種会場
ワクチン接種会場の看護師は、予診票の確認、接種、接種後の経過観察などを担当します。 接種してよいかどうかの判断(予診)は医師が行い、看護師は医師の指示のもとで接種します。
インフルエンザなど接種の時期に合わせた短期の仕事もあり、期間が終われば仕事もなくなります。
献血ルーム
献血ルームの看護師は、採血の針を刺す作業、献血中の体調確認、気分不良(血管迷走神経反応)が起きたときの対応などを担当します。 献血できるかどうかの問診は医師が担当するため、看護師は採血の技術と献血者さんの観察に集中できます。
イベントナース・ツアーナース
イベントナースはコンサートやスポーツ大会の救護室、ツアーナースは修学旅行や林間学校などに同行して、けが人や体調不良者に対応します。 医師がいない場所で、受診させるかどうかを一人で判断する場面が多く、このタイプの中では最も「一人」の負担が大きい仕事です。
単発や短期の仕事が中心で、毎月の収入の見通しは立てにくくなります。 本業にするなら、ほかの仕事と組み合わせて収入の土台を作っておく方が安心です。
| 仕事 | 医師がいる場所 | 一人で判断する場面 |
|---|---|---|
| 訪問看護 | 主治医は医療機関 | 多訪問中の体調変化 |
| 健診センター | 同じ施設内 | 少検査中の気分不良 |
| ワクチン接種会場 | 同じ会場内 | 少接種後の様子の変化 |
| 献血ルーム | 同じ施設内 | 少採血中の気分不良 |
| イベント・ツアー | いないことが多い | 多受診や搬送の要否 |
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参考:e-Gov法令検索「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準」
人と関わりにくいデスクワーク

電話や画面、文章を通して仕事をするタイプで、患者さんと対面する時間はほとんどありません。 その分、注射や処置などの臨床の技術を使う機会もなくなります。
医療系コールセンター
医療系コールセンターでは、健康相談ダイヤルなどで相談者さんの症状を聞き取り、受診の目安や医療機関の案内を伝えます。 看護師は診断ができないため、対応はマニュアルに沿って進め、判断に迷う内容は医師や上席に引き継ぐ仕組みが一般的です。
オペレーター同士は同じフロアで働きますが、勤務中は電話対応が中心で、同僚と話す時間は多くありません。
デスクワークでも、相手とのやりとりはちゃんとあるんだね
治験コーディネーター
治験コーディネーター(CRC)は、新薬の治験に参加する被験者さんのスケジュール管理、説明の補助、記録の作成支援、製薬会社との連絡などを担当します。 デスクワークの比重は高いものの、医師・被験者さん・製薬会社の担当者との調整が多く、人と関わる量はむしろ多い仕事です。
仕事内容や給料、なり方は、以下の記事で詳しく紹介しています。
医療系ライターや記事監修
医療系ライターは、看護の知識をもとに医療・健康分野の記事を書いたり、ほかの人が書いた記事の内容を確認(監修)したりする仕事です。 在宅で一人で進められますが、業務委託が中心で、実績がないうちは仕事の量も収入も安定しません。
看護師免許には更新制度がないため、ライターに専念していても免許は失効しません。 ただし、病院に戻るときは臨床から離れていた期間がブランクとして見られることがあります。 看護業務に就いている看護師には、2年ごとに就業地の都道府県へ届け出る義務があります。
オンラインの健康相談
オンラインの健康相談は、チャットやビデオ通話で健康の悩みや育児の相談に応じる仕事です。 自宅で働ける求人もあり、ほかの仕事と組み合わせやすい働き方です。
扱えるのは一般的な助言や受診の勧めまでで、病名を伝えるなどの診断はできません。 相談者さんの顔が見えにくい分、文章や言葉だけで状況を読み取る力が必要です。
相談の内容によっては、相談者さんの不安な気持ちを受け止める時間が長くなることもあります。
看護師の求人を探す一人で働くことの負担

一人でできる仕事は人間関係の悩みが減る一方で、病院なら周りに分散していた負担が自分一人に集まります。 とくに一人配置の職場では、次の4つの負担が出やすくなります。
| 職場 | 判断を一人で担う | 相談相手がいない | 看護以外の業務 | 臨床から離れる |
|---|---|---|---|---|
| 企業の医務室 | ● | ● | ● | ● |
| 保育園 | ● | ● | ● | ▲ |
| 小規模な介護施設 | ● | ▲ | ● | ▲ |
| 訪問看護 | ● | ▲ | ▲ | ー |
| イベント・ツアー | ● | ● | ▲ | ▲ |
| デスクワーク | ー | ▲ | ー | ● |
判断を一人で担う
一人配置の職場では、「救急車を呼ぶか」「早退させて受診を勧めるか」「様子を見るか」を自分で決めます。 看護師は、医師の指示がなければ医薬品を渡すなどの行為はできず、例外は臨時応急の手当だけです。
社員や保護者から「薬がほしい」と頼まれても、医師の指示がなければ渡せません。 こうした線引きを一人で説明し、判断した結果の責任も一人で受け止めることになります。
相談できる相手がいない
病棟なら先輩にすぐ聞けることも、一人配置の職場では聞ける相手がいません。 相談先は嘱託医や産業医になりますが、常駐していなければ連絡がつくまで時間がかかります。
「これで合ってるのかな」って一人で悩むのはつらいよね
迷いをため込まないためには、外部の研修や勉強会で、同じ立場の看護師とつながっておく方法があります。
看護以外の業務が増える
一人配置の職場では、看護師の仕事の範囲があいまいになりやすく、看護以外の業務も任されがちです。
-
企業の医務室健診データの入力、衛生委員会の資料作成などの事務
-
保育園保育士と一緒にクラスに入る保育業務
-
介護施設食事や入浴の介助など介護業務の手伝い
求人票の「看護業務」だけを見て入職すると、想像と違ったと感じる原因になります。
臨床から離れる期間ができる
企業やデスクワークでは、点滴や採血などの技術を使う機会がほとんどありません。 何年か離れたあとに病院へ戻ると、経験年数があっても臨床の技術はブランク扱いになることがあります。 将来病院に戻る可能性があるなら、健診センターや献血ルームなど技術を使い続けられる職場を選ぶのも一つの選択肢です。
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選ぶときの確認点

一人で働く職場の負担は、入職前の確認でかなり減らせます。 求人票では分からない部分が多いため、面接や見学で直接聞いておきましょう。
緊急時の連絡体制
一人配置の職場で最も大切なのは、急変やけがが起きたときに誰に連絡し、誰が最終判断をするかが決まっているかどうかです。 嘱託医や産業医への連絡方法、救急搬送の判断基準、保護者や家族への連絡の流れが決まっていれば、一人で抱え込む場面は減ります。
看護師の配置人数と交代の有無
求人が「看護師1名」なのか、複数人で交代するのかで、働き方は大きく変わります。 一人配置の場合は、休暇を取る日や体調を崩した日に代わりの人がいるかも確認しておきましょう。 代わりがいない職場では、有給休暇を取りにくくなることがあります。
研修とマニュアルの有無
前任者がすでに辞めていると、業務の引き継ぎがないまま一人で始めることになります。 入職時の研修、対応マニュアル、前任者からの引き継ぎ期間があるかを確認しておくと、最初の数か月の不安が小さくなります。
収入と雇用形態
企業や保育園は正社員の求人もありますが、イベントナースやライターのように単発・業務委託が中心の仕事は収入が月ごとに変わります。 夜勤がなくなる職場では夜勤手当がなくなるため、病院勤務のときより月収が下がることもあります。
- 正看護師求人9,633件中、正社員は6,240件
- 施設種別で最多は訪問看護(2,535件)
- 訪問看護の平均給与は月約32.2万円
求人を比べるときは、月給だけでなく雇用形態、賞与の有無、オンコール手当などの手当まで並べて見るのがおすすめです。
まとめ
看護師が一人でできる仕事は、「一人配置」「単独対応」「デスクワーク」の3タイプで、同じ「一人」でも負担の中身が違います。 人間関係を減らしたいのか、自分のペースで働きたいのかによって、合うタイプも変わります。
この記事のポイント
- 企業・保育園・小規模施設は一人配置になりやすい
- 一人配置は健康面の判断を一人で担う
- 訪問看護は一人で訪問するがチームで働く
- デスクワークは臨床から離れる期間ができる
- 入職前に緊急時の連絡体制と配置人数を確認
まずは、自分が避けたい「人との関わり」がどの部分なのかを整理してみましょう。 そのうえで、気になる職場の緊急時の体制や看護師の人数を確認すると、入職後に「こんなはずでは」と感じる可能性を減らせます。


