機能訓練指導員の将来性は?需要を左右する制度と資格別の見通し
機能訓練指導員として働いていると、「この仕事はこの先も続けられるのだろうか」と考える場面があるのではないでしょうか?高齢者が増えるから需要も増える、という説明はよく見かけますが、それだけでは自分の職場や資格に何が起きるのかまでは見えてきません。
機能訓練指導員の需要を実際に動かしているのは、介護報酬でどの取り組みが評価されるかという制度の方向性です。そして機能訓練指導員は複数の資格から就ける職種のため、同じ職種名でも資格によって立ち位置が変わります。
この記事では、機能訓練指導員の将来性を制度・資格・職場という3つの角度から整理します。あわせて、将来性に懸念が持たれる理由や、長く働くために身につけたいこともまとめました。
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機能訓練指導員の将来性

機能訓練指導員の需要は、当面続くと考えられます。介護サービスの利用者さんが増え続けていること、機能訓練指導員の配置が複数のサービスで義務づけられていること、そして介護分野全体で人手が足りていないことが理由です。
ただし「需要がある=どの職場でも安泰」ではありません。後ほど詳しく見ていきますが、需要の中身は介護報酬の仕組みに大きく左右されます。まずは、将来性を語るうえで土台になる数字をまとめて確認しておきましょう。
需要が続くと考えられる理由
厚生労働省が第9期介護保険事業計画のサービス見込み量をもとに集計した推計では、介護職員の必要数は2022年度の約215万人から、2026年度には約240万人、2040年度には約272万人になるとされています。2022年度と比べて約57万人の増加です。
これは介護職員全体の推計であり、機能訓練指導員だけを取り出した数字ではありません。それでも、介護サービスの提供量そのものが今後も拡大していく見通しであることは読み取れます。サービスが増えれば、そこに配置される機能訓練指導員のポストも合わせて必要になります。
もう一つ押さえておきたいのが、機能訓練指導員は「あれば望ましい職種」ではなく、基準上置かなければならない職種だという点です。事業所を開くうえで欠かせない職種は、景気や採用方針の影響を受けにくい傾向があります。
配置が求められる施設の広さ
機能訓練指導員の配置が義務づけられているのは、通所介護(デイサービス)だけではありません。指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準では、通所介護のほか短期入所生活介護(ショートステイ)、特定施設入居者生活介護(介護付き有料老人ホームなど)にも機能訓練指導員を1以上置くことが定められています。特別養護老人ホームや地域密着型通所介護も、それぞれの基準で同様に配置が求められます。
配置が必要な事業所は、実数で見るとかなりの規模になります。令和6年介護サービス施設・事業所調査をもとに、サービス種別ごとの事業所数を並べたのが次の図です。なお通所介護と地域密着型通所介護は別のサービス区分で、一方がもう一方に含まれているわけではありません。
つまり機能訓練指導員は、全国7万を超える事業所・施設で必要とされる職種だといえます。勤務先を1つの業態に絞らずに探せることは、長く働くうえで大きな安心材料になります。
人手の状況
前述のとおり、2040年度に必要とされる介護職員は約272万人と推計されています。現状からの増加分を年あたりに直すと3.2万人ペースで、採用が追いつかない事業所が出てくることは想像に難くありません。
人手が不足している状況では、資格を持っている人材の採用競争が起きます。機能訓練指導員は資格がなければ就けない職種のため、有資格者であること自体が採用市場での強みになります。
一方で、人手不足は「一人で多くを担う」働き方につながりやすい面もあります。この点は将来性に懸念が持たれる理由とも重なるため、後ほど改めて扱います。
参考:厚生労働省「第9期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について」 / 厚生労働省「令和6(2024)年介護サービス施設・事業所調査の概況」 / e-Gov法令検索「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準」
需要を左右するのは介護報酬の方向性

機能訓練指導員の求人が増えるか減るかを実際に決めているのは、高齢者人口そのものよりも介護報酬の設計です。事業所が機能訓練指導員を雇うのは、配置が基準で求められているからであり、配置することで加算を算定できるからでもあります。
介護報酬は3年ごとに改定され、そのたびに加算の名称・単位数・要件が見直されます。どの取り組みに点数が付くかが変われば、事業所が機能訓練指導員に求める仕事の中身も変わります。将来を考えるなら、制度がどちらを向いているかを知っておく価値があります。
個別機能訓練加算の位置づけ
通所介護で機能訓練指導員の働きが報酬に直結するのが、個別機能訓練加算です。指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準では、個別機能訓練加算(Ⅰ)イが1日につき56単位、(Ⅰ)ロが1日につき76単位、(Ⅱ)が1月につき20単位と定められています。
(Ⅰ)イと(Ⅰ)ロの違いは、専従の機能訓練指導員をどの時間帯に配置するかという体制の差です。(Ⅱ)はデータ提出とその活用を求めるもので、(Ⅰ)に上乗せする形で算定します。
| 区分 | 単位数 | 他の区分との関係 |
|---|---|---|
| (Ⅰ)イ 日単位 |
56単位/日 | (Ⅰ)ロとは併算定不可(どちらか一方を選択) |
| (Ⅰ)ロ 日単位 |
76単位/日 | (Ⅰ)イとは併算定不可(どちらか一方を選択) |
| (Ⅱ) 月単位 |
20単位/月 | (Ⅰ)イ・ロのいずれかの算定を前提に上乗せで算定 |
加算を算定するには、単に人を置くだけでは足りません。利用者さんの居宅を訪問して生活状況を確認すること、多職種が共同で計画を作り本人・ご家族に説明して同意を得ること、おおむね3か月ごとに1回以上は進捗を確認して見直すことなどが求められます。
個別機能訓練加算で求められる主な流れ
- 専従の機能訓練指導員を配置する
- 利用者さんの居宅を訪問し、生活状況や住環境を確認する
- 多職種が共同で個別機能訓練計画を作成する
- 本人・ご家族に説明し、同意を得る
- おおむね3か月ごとに1回以上、進捗を確認して見直す
つまり機能訓練指導員の仕事は、訓練の実施そのものよりも、評価・計画・記録・見直しという一連のサイクルを回すことに重心が移ってきています。この流れは今後も続くと考えられます。
自立支援と重度化防止という方針
加算の設計は思いつきで決まるわけではなく、介護保険法の考え方に沿って組み立てられています。介護保険法では、保険給付は要介護状態等の軽減または悪化の防止に資するよう行われることとされています。自立支援・重度化防止は制度の根幹に据えられた方針であり、改定のたびに揺れ動くものではありません。
この方針を報酬の形にしたものの一つが、ADL維持等加算です。同じ算定基準では、ADL維持等加算(Ⅰ)が1月につき30単位、(Ⅱ)が1月につき60単位と定められています。利用者さんの日常生活動作が維持・改善したという結果に対して評価される仕組みです。
ADL維持等加算 単位数の比較
(Ⅱ)は(Ⅰ)の2倍の単位数で評価される
ADL維持等加算は、ADLが実際に維持・改善したという結果に対する評価にあたる
体制を整えたことへの評価に加えて、結果への評価が広がっている点は見逃せません。機能訓練指導員にとっては、「何をしたか」だけでなく「どう変わったか」を示せることが、これまで以上に問われる方向にあるといえます。
LIFEへのデータ提出の広がり
科学的介護情報システム(LIFE)は、利用者さんの状態や実施したケアの内容を登録し、フィードバックを受け取って改善につなげる仕組みです。個別機能訓練加算(Ⅱ)をはじめ、複数の加算がLIFEへのデータ提出と活用を要件に組み込んでいます。
LIFEは運用体制も動いています。厚生労働省の案内によると、令和8年5月11日から公益社団法人国民健康保険中央会が運用するLIFEとして運用が開始され、移行期間は令和8年7月31日に終了しました。8月以降の加算算定は、国保中央会が運用するLIFEでの様式に沿って行うこととされています。
LIFEへのデータ提出 移行スケジュール
こうした流れは、機能訓練指導員の業務にパソコン操作や記録の標準化が組み込まれていくことを意味します。訓練の腕だけでなく、データを扱う手際も評価される場面が増えていくと考えられます。
参考:厚生労働省「指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準」 / e-Gov法令検索「介護保険法」 / 厚生労働省「科学的介護情報システム(LIFE)について」 / 厚生労働省「令和6年度介護報酬改定について」
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【資格別】将来性の見通し

機能訓練指導員は、単一の国家資格ではありません。指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準についての通知では、機能訓練指導員になれるのは理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・看護職員・柔道整復師・あん摩マッサージ指圧師の資格を有する者とされています。はり師・きゅう師は平成30年度介護報酬改定で対象に加わりました。
複数の資格が同じポストを担えるということは、採用する側が資格を選べるということでもあります。そのため将来性の見通しは、資格ごとに少しずつ形が違います。ここでは資格別に整理します。
理学療法士・作業療法士・言語聴覚士
リハビリテーション専門職は、機能訓練指導員として最も想定されやすい資格です。介護老人保健施設のように機能訓練指導員という職種名の定めがなく、理学療法士・作業療法士または言語聴覚士を入所者100人あたり1人以上(常勤換算)置くことが求められる施設もあります。
制度上、リハビリ職でなければ埋められないポストが存在するということです。
(1マス=10人)
1人以上
一方で、後述するように有資格者は増え続けています。専門職であることが自動的に優位につながる時代ではなくなりつつあり、どの領域で強みを出すかが問われる段階に入っています。
言語聴覚士については、機能訓練指導員の求人自体が他職種より少ない傾向があります。摂食嚥下や口腔機能に関わる評価は介護現場でも重要度が増しているため、その専門性を打ち出せるかが分かれ目になりそうです。
看護師
看護職員は、機能訓練指導員の対象資格であると同時に、看護職員としての配置基準も担える点が特徴です。1人で2つの役割を兼ねられるため、小規模な事業所ほど採用したい人材といえます。
医療的な観察やバイタル管理と機能訓練を一続きで見られることは、利用者さんの重度化が進むなかで強みになります。急な体調変化に判断を下せる人材が現場にいるかどうかは、事業所にとって安心材料です。
ただし、兼務のしやすさは業務の集中にもつながります。看護業務が忙しく、機能訓練にかけられる時間が確保しにくいという声は少なくありません。求人を見る際は、機能訓練指導員としての勤務なのか、看護職員との兼務が前提なのかを確認しておくと安心です。
柔道整復師
柔道整復師は、機能訓練指導員として当初から対象になっている資格です。運動器の評価や徒手による対応を学んできた背景があり、通所介護での機能訓練とは相性がよい資格といえます。
一方で、注意しておきたい点もあります。介護老人保健施設の基準には機能訓練指導員という職種の定めがなく、理学療法士・作業療法士または言語聴覚士が置かれることになっています。柔道整復師が機能訓練指導員として配置されるのは、通所介護や特別養護老人ホームなど基準に機能訓練指導員が定められたサービスです。働ける場が広い一方で、施設種別によって前提が変わることは押さえておきましょう。
整骨院・接骨院からの転職先として介護分野を選ぶ人も増えています。医療キャリアナビ掲載求人データ(2026年時点)では、柔道整復師の求人3,737件のうちデイケア・デイサービスが759件を占めており、整・接骨院に次ぐ2番目の勤務先になっています。
あん摩マッサージ指圧師・鍼灸師
あん摩マッサージ指圧師も、柔道整復師と同じく当初からの対象資格です。実務経験の要件はなく、資格を取得すれば機能訓練指導員として働けます。
はり師・きゅう師は事情が異なります。平成30年度介護報酬改定で対象資格に加わりましたが、機能訓練指導員を配置している事業所で6か月以上の実務経験を積んでいることが条件とされています。ほかの資格と同じ土俵に立つまでに、一段階の準備が必要だということです。
施術系の資格にとって、介護分野は開業一辺倒ではないキャリアの受け皿になっています。ただし、リハビリ職と同じポストを争う場面では説明力が問われます。自分の資格で何ができるかを言葉にできるかどうかが、将来性を左右すると考えられます。
- 資格の優劣ではなく「どのサービスの基準に載っているか」で見てください
- 施設種別が変われば、求められる資格も変わります
- 兼務できる強みは、業務が集中する裏返しでもあります
参考:厚生労働省「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準について」 / 厚生労働省「平成30年度介護報酬改定について」 / e-Gov法令検索「介護老人保健施設の人員、施設及び設備並びに運営に関する基準」
リハビリ職の増加が与える影響

機能訓練指導員の将来性を考えるとき、見落とされがちなのが同じポストを担える人が増えているという事実です。採用する側の選択肢が広がれば、資格ごとの立ち位置は変わります。
ここでは理学療法士・作業療法士の増え方を数字で確認し、それが求人でどう表れているか、そして何をもって差別化するかを整理します。
有資格者数の推移
理学療法士・作業療法士の国家試験は毎年実施され、そのたびにまとまった数の有資格者が誕生します。厚生労働省の合格発表から、直近3回の合格者数を並べたのが次の図です。
理学療法士・作業療法士 国家試験合格者数の推移
つまり理学療法士と作業療法士だけで、毎年1万6千人前後が新たに資格を取得している計算になります。この規模が続けば、有資格者の総数は年々積み上がっていきます。
厚生労働省の理学療法士・作業療法士需給分科会に示された需給推計では、両資格の供給数は現時点で需要数を上回っており、2040年頃には供給数が需要数の約1.5倍になるという結果が示されました。
一定の仮定を置いた推計であり、そのまま現実になるとは限りませんが、供給が需要を上回る方向にあるという見立てが公的な場で共有されている点は重要です。
求人における位置づけの変化
有資格者が増えると、採用側は同じポストに複数の資格から候補を選べるようになります。医療キャリアナビ掲載求人データ(2026年時点)で、デイケア・デイサービスの求人件数を資格別に並べたのが次の図です。
同じ職場に対して複数の資格が並んでいるという構図が、数字にも表れています。ここで注目したいのが月給です。デイケア・デイサービスの月給中央値は正看護師270,000円、理学療法士262,750円、作業療法士260,000円、言語聴覚士254,910円、柔道整復師・鍼灸師・あん摩マッサージ指圧師がいずれも250,000円で、資格による差は最大でも2万円ほどにとどまります。
資格の違いよりも、どの職場を選ぶかのほうが待遇に効いてくるということです。将来性を資格の優劣だけで判断するのは、実態から離れた見方になりかねません。
差別化のために必要なこと
供給が増える環境で問われるのは、資格の種類ではなく「その人を採る理由」です。制度が評価している方向とかみ合う力を持っているかどうかが、判断材料になります。
- 評価・計画・記録を一続きで回せること
- LIFEなどのデータ提出と活用に対応できること
- 利用者さんの生活場面に即した目標を立てられること
- 多職種に伝わる言葉で説明できること
- 自分の資格でしか出せない視点を持っていること
いずれも、加算の要件や介護報酬の方向性と重なる内容です。制度が求めていることを先回りして身につけることが、そのまま差別化になります。
参考:厚生労働省「第61回理学療法士国家試験及び第61回作業療法士国家試験の合格発表について」 / 厚生労働省「理学療法士・作業療法士需給分科会」
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将来性に懸念を持たれる理由

ここまで需要が続く見通しを中心に見てきましたが、機能訓練指導員に不安を感じる人がいるのも事実です。しかもその不安の多くは、気持ちの問題ではなく制度の設計から生じています。
材料をそろえて判断するために、懸念されやすい3点を確認しておきましょう。
報酬改定の影響を受けやすい
機能訓練指導員の仕事は、加算の算定と結びついています。裏を返せば、加算の要件が変われば求められる仕事の中身も変わるということです。
介護報酬は3年ごとに改定されます。要件が厳しくなれば準備の負担が増え、逆に加算の組み替えがあれば、これまで力を入れてきた取り組みの位置づけが変わることもあります。
これは機能訓練指導員に限った話ではなく、介護保険サービスで働く職種に共通する性質です。ただ、加算との距離が近い職種ほど改定の影響を実感しやすいことは知っておくとよいでしょう。
介護報酬改定は3年ごと。加算の名称・単位数・要件は改定で変わります。最新の内容は厚生労働省の資料で確認するのがおすすめです。
施設によって役割の差が大きい
同じ機能訓練指導員でも、職場によって仕事の中身は大きく違います。これは基準の書き方にも理由があります。
指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準では、通所介護の機能訓練指導員は「1以上」と定められています。生活相談員や介護職員のように利用者数に応じて増やす規定がないため、規模が大きい事業所でも配置は1人で足りてしまうという構造です。
一人配置の職場では相談相手がおらず、評価の方法や計画の書き方を自分で確立していく必要があります。反対に複数配置の職場では役割分担ができ、経験を共有しながら質を高めやすくなります。将来性を職場単位で見なければならない理由がここにあります。
訓練以外の業務が多い
「機能訓練に集中できない」という声も、制度の前提と無関係ではありません。同じ基準では、機能訓練指導員は事業所の他の職務に従事することができるとされています。兼務が想定されているということです。
さらに通知では、利用者さんの日常生活やレクリエーション、行事を通じて行う機能訓練については、生活相談員または介護職員が兼務して行っても差し支えないとされています。機能訓練という言葉が指す範囲が広く、事業所ごとの解釈に幅が出やすいのです。
送迎や入浴介助、記録の入力に時間を取られ、訓練にあてられる時間が思ったほど確保できないという状況は、こうした設計から生まれます。事業所選びの段階で確認しておきたいポイントです。
参考:e-Gov法令検索「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準」 / 厚生労働省「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準について」
長く働くために身につけたいこと

制度の方向性と人材の状況を踏まえると、これから機能訓練指導員に求められるものが見えてきます。訓練の技術に加えて、制度が評価している部分に応えられる力です。
ここでは、資格を問わず取り組める3つの方向を挙げます。
計画書と評価の質を高める
個別機能訓練加算の要件は、計画と評価のサイクルを軸に組み立てられています。居宅での生活状況を確認し、多職種で計画を作り、説明して同意を得て、おおむね3か月ごとに1回以上見直すという流れです。
このサイクルを回せることは、そのまま事業所の収益に関わります。計画書を「書類」ではなく「利用者さんの生活を変えるための道具」として扱えるかどうかが、評価の分かれ目になります。
具体的には、次の3点が挙げられます。どれも特別な資格を必要としない一方で、身につけている人は多くありません。
- 目標を生活場面の言葉に落とし込む
- 評価の指標を決めて、訓練の前後を比較できるようにする
- 見直しの根拠を記録に残す
多職種と連携する力
個別機能訓練計画は、機能訓練指導員が一人で作るものではなく、多職種が共同で作成することが求められています。介護職員・生活相談員・看護職員・管理栄養士など、立場の違う人と共通の目標を持つ必要があります。
連携の質は、専門用語をどれだけ言い換えられるかで決まる場面が多くあります。関節可動域や筋力といった評価を、「トイレまで自分で歩ける」「上着に袖を通せる」といった生活の言葉に翻訳できると、現場での実行につながります。
多職種と連携する流れ
(関節可動域・筋力など)
日々の申し送りやカンファレンスで、訓練の意図を短く伝える練習を重ねることが有効です。伝わらない評価は、記録に残っても現場では動きません。
関連する資格の取得
キャリアの幅を広げる選択肢として、介護支援専門員(ケアマネジャー)があります。介護保険法施行規則では、指定された国家資格に基づく業務に通算5年以上従事した人に受験資格が認められています。理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・看護師・柔道整復師・あん摩マッサージ指圧師・はり師・きゅう師は、いずれもこの対象に含まれます。
受験資格の細かい要件や必要書類は都道府県ごとに運用が異なるため、受験を考える際は各都道府県の実施要項で確認してください。
ケアマネジャーの資格を持っていれば、機能訓練の視点をケアプラン全体に反映させる立場に回れます。現場での訓練を続けながら、制度の側から関わる道も開けるということです。
参考:厚生労働省「指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準」 / e-Gov法令検索「介護保険法施行規則」 / 厚生労働省「介護職員・介護支援専門員」
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将来性のある職場の見分け方

機能訓練指導員の将来性は、職種としての見通しと同じくらい、どの職場を選ぶかに左右されます。同じ資格でも、機能訓練にあてられる時間や求められる役割は事業所ごとに違うためです。
ここでは求人票や見学時にそのまま使える確認項目を挙げます。応募前に確認しておくと、入職後のギャップを減らせます。
算定している加算
その事業所が個別機能訓練加算を算定しているか、算定しているなら(Ⅰ)イ・(Ⅰ)ロ・(Ⅱ)のどれかを確認しましょう。加算の種類は、機能訓練指導員をどのような体制で配置しているかを映しています。
ADL維持等加算やLIFEに関連する加算を算定しているかも参考になります。データを提出して結果で評価される加算に取り組んでいる事業所は、機能訓練を経営の柱として位置づけている可能性が高いといえます。
算定している加算は、介護サービス情報公表システムで事業所ごとに調べられます。求人票に書かれていない場合でも、応募前に自分で確認できる情報です。
機能訓練にあてている時間
1日のうちどれくらいの時間を機能訓練にあてているか、送迎や入浴介助をどの程度担当するかは、ぜひ聞いておきたい項目です。前述のとおり、機能訓練指導員は他の職務との兼務が制度上認められています。
質問の仕方としては、「機能訓練指導員は送迎に入りますか」「1日の利用者さん一人あたりの個別対応時間はどれくらいですか」のように、具体的な行動で聞くほうが答えが返ってきやすくなります。
- 機能訓練指導員は何人配置されているか
- 送迎・入浴介助・記録入力はどこまで担当するか
- 1日に個別で関われる利用者さんは何人ほどか
- 計画書の作成と見直しは誰が中心に行うか
教育と評価の仕組み
一人配置の職場では、経験を積む機会を自分で作る必要があります。研修に参加できる体制があるか、外部の勉強会に出る費用や時間の支援があるかは確認しておきましょう。
評価の仕組みも同じです。機能訓練の成果をどのように振り返っているか、カンファレンスに機能訓練指導員が参加しているかを聞くと、その事業所が機能訓練をどう扱っているかが見えてきます。
見学の際は、実際に訓練が行われている時間帯を選ぶのがおすすめです。掲示されている個別機能訓練計画の様式や、訓練スペースの使われ方からも、日々の運用がうかがえます。
参考:厚生労働省「指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準」 / 厚生労働省「介護サービス情報公表システム」
まとめ
機能訓練指導員の需要は、当面続くと考えられます。介護職員の必要数は2040年度に約272万人と推計され、配置が義務づけられた事業所も全国7万を超える規模にのぼるためです。
ただし需要の中身を決めているのは、高齢化そのものよりも介護報酬の方向性です。個別機能訓練加算やADL維持等加算、LIFEへのデータ提出といった仕組みが、機能訓練指導員に求められる仕事を評価・計画・記録のサイクルへと寄せてきました。この流れは今後も続くと考えられます。
一方で、理学療法士・作業療法士だけでも毎年1万6千人前後が新たに資格を取得しており、同じポストを担える人は増えています。資格の種類による待遇差は限られている以上、制度が評価している力を身につけているかどうかが、これからの分かれ目になります。
将来性は職種だけでなく職場にも宿ります。算定している加算、機能訓練にあてている時間、教育と評価の仕組みを確認しながら、自分の資格を活かせる場所を選んでいきましょう。



