視覚障害のマッサージ師はなぜ多い?歴史や科学的根拠から自立の道を解説

視覚障害のマッサージ師はなぜ多い?歴史や科学的根拠から自立の道を解説 イメージ
  • X
  • Facebook
  • LINE

マッサージ店で視覚障害のある施術者が働いている光景を目にしたことはありませんか?

その背景には、江戸時代から続く職域保護の歴史や、指先の感覚に関わる脳の働きがあります。

中途失明やキャリアチェンジを考えている方にとっては、国家資格を取得するという選択肢と学費の支援制度を知ることが、具体的な進路を描くうえで大事です。

本記事では、歴史から収入の実態までを整理し、視覚障害者とマッサージ師の関係を多角的に解説します。

気になることを
キャリアパートナーに相談できます

気になる内容をお選びください(複数選択可)

目次

マッサージ師に視覚障害者が多い歴史的な理由

マッサージや鍼灸の施術者に視覚障害者が多い理由は、400年以上前の江戸時代までさかのぼります。

当時の幕府が視覚障害者に特定の職業を独占的に認める制度をつくり、それが明治・大正・昭和と形を変えながら現代の国家資格制度へと受け継がれてきました。

ここでは、その歴史的な流れを順に見ていきます。

江戸時代から視覚障害者の職業として定着していた

江戸時代、視覚障害者には幕府が公認した「当道座」という自治組織がありました。

当道座とは

江戸時代にあった目の見えない男性が所属する職業団体のことです。

この組織には最高位の「検校」から「座頭」まで73の階級があり、

所属する視覚障害者には按摩や鍼灸、音楽演奏といった職業を独占的に営む権利が認められていました。

現代のような福祉制度がなかった時代に、幕府が特定の仕事を視覚障害者に優先的に割り当てることで、生活基盤を守っていたのです。

この仕組みが、「マッサージ=視覚障害者の仕事」というイメージの起源になっています。

鍼灸あん摩が視覚障害者に選ばれてきた

按摩や鍼灸が視覚障害者の主な職業になったのは、視覚に頼らず手の感覚だけで高い技術を発揮できる仕事だったからです。

当道座ではもともと、琵琶を弾きながら「平家物語」を語る琵琶法師が中心的な存在でした。

しかし江戸時代に入ると平曲の人気が下がり、代わって鍼灸や按摩が視覚障害者の主要な生計手段として台頭します。

指先の感覚を最大限に活かせる按摩や鍼灸は、視覚障害者が経済的に自立するうえで合理的な職業でした。

杉山和一が視覚障害者の鍼灸の基盤を作った

視覚障害者と鍼灸の結びつきを決定づけた人物が、江戸時代前期の鍼灸師・杉山和一です。

杉山和一とは
盲人鍼灸の普及を大きく前進させた、江戸時代前期の鍼灸師
生年
1610年
出身
現在の三重県津市
人物像
幼少期の病で視力を失いながらも、鍼術の道を志した人物。
主な功績
管鍼法の体系化/視覚障害者のための職業教育施設の開設/全国への普及基盤づくり
1
管鍼法を体系化し、施術の精度向上に貢献

細い鍼を管に通して刺入する方法を整えたことで、痛みが少なく正確な施術が可能になり、鍼灸を学びやすい技術として広まりました。

2
視覚障害者のための教育の場を整えた

1682年には江戸に「杉山流鍼治導引稽古所」を開設し、視覚障害者が体系的に鍼灸を学べる仕組みを築きました。

3
弟子の育成を通じて、鍼灸を全国へ広げた

自らの技術を秘伝化せず門人に伝えたことで、弟子たちが各地に講堂を増設し、盲人鍼灸の広がりを後押ししました。

杉山和一が果たした役割の大きさは、技術を生み出したこと学びの場を制度として残したことの両面にあります。

この流れは後の時代にも受け継がれ、盲学校における理療教育や、あん摩・マッサージ・指圧、はり、きゅうの職業教育へとつながっていきます。

つまり杉山和一は、視覚障害者と鍼灸の結びつきを強めた人物であると同時に、その結びつきを社会の中で継続可能なものにした人物でもありました。

盲学校でのあはき教育が制度化された

明治維新によって当道座は廃止されましたが、視覚障害者への鍼灸・按摩教育の伝統は途絶えませんでした。

1878年
日本初の盲唖院が設立
京都に盲唖院が設立され、職業教育の柱として鍼灸・按摩が取り入れられました。
1947年
盲学校が義務教育制度に組み込まれる
学校教育法の制定により、盲学校が正式な教育制度の中に位置づけられました。
1948年
あはき法の施行と国家試験制度の開始
あん摩・鍼・灸の施術者に関する法律(あはき法)が施行され、国家資格としての制度が整備されました。
制度整備
盲学校に理療科が設置
高等部に理療科が設置され、解剖学や生理学などの現代医学を学びながら、3年間で国家資格取得を目指す仕組みが確立されました。

江戸時代に杉山和一が始めた教育の流れは、単なる技術の継承にとどまらず、近代教育制度、そして国家資格制度へとつながっています。


その結果、現在では専門的な知識と技術を身につけたうえで、鍼灸やあん摩マッサージ指圧の施術者として社会で活躍できる道が確立されました。

あん摩マッサージ指圧師の求人(医療キャリアナビデータ)
  • 掲載求人数:2,706件
  • 平均月給:約28.2万円(中央値:26.5万円)
  • 未経験歓迎の求人割合:79%
有効求人倍率は高めの職種だよ!
キャリアパートナー

視覚障害者は手の感覚が鋭いという説は本当か

「目が見えない人は手の感覚が鋭い」という話を聞いたことがある方は多いはずです。

これは単なる思い込みではなく、脳科学の研究によって裏付けが進んでいます。視覚を失った脳がどのように変化し、触覚を高めているのかを解説します。

視覚を失うと触覚が鋭敏になる科学的根拠がある

視覚を失った人の触覚が鋭くなるという現象は、脳科学によって裏付けられています。

視覚を失うと、脳の使い方が変わる
視覚障害のある人の触覚が鋭くなる背景には、脳が感覚の役割を柔軟に組み替える仕組みがあります。
通常の状態
視覚野は「見る情報」を処理

人間の脳には、視覚を処理する「視覚野」や、触れた感覚を処理する「体性感覚野」など、感覚ごとの担当領域があります。

視覚を失った後
使われない視覚野が再編成される

早い段階で視覚を失うと、本来は映像処理に使われるはずだった視覚野が、別の感覚情報の処理に関わるようになります。

感覚の変化
触覚や聴覚の処理を助ける

その結果、触覚や聴覚の情報処理が高まり、指先の感覚や音の捉え方がより鋭くなることがあります。

異種感覚間可塑性とは、ある感覚が失われたときに、脳の別の領域が触覚や聴覚などの処理を担うようになる現象のことです。

生まれつき目が見えない方が点字を読んでいるとき、脳の活動を画像で捉えるfMRIという装置で調べると、触覚の担当領域だけでなく視覚野までもが活性化していることが確認されています。

目が見えない方の脳は、視覚に使われなくなった広い領域を、触覚の情報処理のために再利用しているのです。

脳が環境に合わせて自らの機能を作り変える

使われなくなった視覚野が触覚の処理を担えるようになる鍵を握っているのが、脳内の免疫細胞「ミクログリア」です。

名古屋大学の和氣弘明教授らの研究グループが、そのメカニズムを明らかにしました。

ミクログリアが脳の配線変更を助ける
視覚を失ったあと、脳は空いた領域をそのままにせず、触覚の処理に使えるよう再編成していきます。その過程で重要な役割を果たすのが、脳内の免疫細胞「ミクログリア」です。
通常の脳
感覚が混ざらないようブレーキがある

通常は、視覚・触覚・聴覚など異なる感覚の情報が混ざり合わないように、脳内に制御の仕組みが働いています。

視覚を失う
視覚野が“空いた領域”になる

視覚の入力が失われると、本来は映像処理に使われるはずだった視覚野が十分に使われなくなります。

ミクログリアの働き
ブレーキを外して新しい経路を開く

ミクログリアは感覚の混線を防ぐブレーキを取り除き、神経細胞を支える足場にも変化を起こすことで、新しい情報の通り道を作ります。

脳の可塑性
触覚の情報が視覚野でも処理される

こうして触覚の情報が視覚野へ流れ込み、脳は自ら配線を組み替えながら、空いた領域を新しい感覚の処理に活用していきます。

視覚を失ったあとに触覚が活用されやすくなるのは、単に感覚に慣れるからではなく、ミクログリアの働きをきっかけ脳が環境に合わせて自らの機能を作り変える性質によるものです。

視覚障害者の施術には晴眼者と異なる強みがある

こうした脳の適応は、マッサージや鍼灸の施術において強みになります。

  • 脳領域が触覚の処理にも加わることで、指先で感じ取れる情報の精度が上がる
  • 患者の筋肉にあるわずかなコリの位置がわかる
  • 皮膚表面のかすかな温度変化を察知できる
  • 脈拍の微妙なリズムの違いがわかる

これは長年の経験で「なんとなくわかる」というレベルの話ではなく、脳の神経回路が組み替わった結果として得られる、生物学的な裏付けのある技能です。

もちろん、目が見える施術者にも優れた技術を持つ方は数多くいます。ただ、視覚障害のある施術者が持つ触覚の鋭さには、脳科学の研究に基づく明確な根拠があります。

あん摩マッサージ指圧師の転職、プロが伴走します

視覚障害マッサージ師の職域を守る法的制度

視覚障害者にマッサージ師が多い背景には、歴史や脳科学だけでなく、法律による保護があります。

あん摩・鍼・灸に関する法律には視覚障害者の仕事を守る特別な規定があり、2022年には最高裁判所がその規定を合憲と認めました。ここでは、法的な仕組みと業界が直面する課題を整理します。

あはき法は視覚障害者の生計を守るために存在する

あん摩マッサージ指圧師に関する法律、通称「あはき法」の第19条には、視覚障害を持つ施術者の生活を守るための特別な規定があります。

「あはき法」の第19条の概要

厚生労働大臣が「視覚障害者の生計維持が著しく困難になるおそれがある」と判断した場合、

目が見える方を対象とした養成施設の新設や定員増加を制限できるという内容が記されている。

視覚障害者にとって、あん摩マッサージ指圧師は数少ない経済的自立の手段です。この規定は、その仕事を法律の力で守る役割を担っています。

2022年2月7日、最高裁判所はこの第19条を「重要な公共の利益のために必要かつ合理的な措置」と認め、合憲と判断しました。

この判決により、視覚障害者の職域を優先的に守る仕組みが、当面維持されることが確定しています。

晴眼者向け養成施設の新設が制限されている仕組み

養成施設の新設が制限されている理由は、目が見える施術者の急増が視覚障害者の働く場を圧迫してきたからです。

最高裁判決では、その実態を示す複数のデータが示されました。

  • 重度の視覚障害者がハローワークで紹介される職業の約7割が、あん摩マッサージ指圧の関連に集中しており、他の職種への転換が極めて難しい
  • 視覚障害を持つ施術者の約76%が年収300万円以下にとどまっている
  • 1962年には4割程度だった目が見える施術者の割合が、2014年には約77%にまで急増し、視覚障害者の仕事が年々狭められている

こうしたデータを踏まえ、最高裁は養成施設の新設を制限する規定を「合理的な措置」と認めました。

晴眼者の参入そのものを禁止しているわけではなく、すでにある養成施設で資格を取得すること自体は可能です。

あくまで、新たな施設を増やすことに制限をかけている仕組みです。

今のあなたの状況は?

視覚障害者がマッサージ師を目指す際に使える支援制度

中途失明や視力低下をきっかけに、あん摩マッサージ指圧師を目指したいと考えたとき、最も大きな壁になるのは「学費と生活費をどうするか」という問題です。

日本には、資格取得を目指す人を経済面で支える制度が複数用意されています。ここでは、活用できる主な支援制度を整理します。

障害者向け職業訓練給付金で学費を賄える場合がある

仕事を辞めて資格取得を目指す場合、まず知っておきたいのが国の給付金制度です。

主な給付金制度の比較
制度名 支給額の目安 主な条件
専門実践教育訓練給付金 3年間で最大168万円 雇用保険の被保険者期間が一定以上あること
教育訓練支援給付金 離職前の基本手当日額の約80% 受講開始時に45歳未満であること など
職業訓練受講給付金 月10万円+通所手当 雇用保険を受給できない方で収入・資産要件を満たすこと

厚生労働省が指定する養成施設で学ぶ方を対象にした「専門実践教育訓練給付金」では、3年間の訓練期間で最大168万円が支給されます。返済は不要です。

受講開始時に45歳未満などの条件を満たせば、離職前に受け取っていた失業保険の日額相当の約80%が訓練期間中に支給される「教育訓練支援給付金」も併用できます。

雇用保険に加入していなかった方でも、収入や資産の要件を満たせば月10万円と通所手当が受け取れる「職業訓練受講給付金」という仕組みがあります。

制度ごとに条件が異なるため、どれが使えるかは最寄りのハローワークで確認するのが確実です。

盲学校・養成施設には学費免除・減額制度がある

視覚障害のある方には、全国の公立盲学校にある「理療科」で学ぶという選択肢があります。

理療科とは

あん摩・鍼・灸の国家資格取得を目指す3年間の課程のことです。

公立盲学校の理療科は入学金や授業料が原則無料で、

所得に応じて教科書代や通学費なども公的に補助される「就学奨励費」の制度が用意されています。

遠方に住んでいる方のために寄宿舎を備えている学校も多く、歩行訓練や日常生活の動作指導を受けながら学べる環境が整っています。

40代で視力を失った方や生活面の不安を抱える方にとって、学費の心配なく専門技術を身につけられる盲学校の理療科は、経済面でも生活面でも支えになる進学先です。

就労移行支援やハローワークで進路相談ができる

制度の種類が多く、どれが自分に使えるのかが判断しにくいと感じる方もいるはずです。

最初に頼りにしたいのが、最寄りのハローワークです。障害者専門の相談窓口が設けられており、盲学校の理療科の情報提供から、各種給付金の受給資格の確認まで、一か所でまとめて相談できます。

障害者総合支援法に基づく「就労移行支援」のサービスも選択肢の一つです。

就労移行支援とは

障害のある方が就職に向けた訓練や職場体験を受けられる福祉サービス

一定の条件を満たせば利用者の自己負担なしで利用できる場合があります。

一人で情報を集めようとすると範囲が広すぎて迷うことが多いため、公的な窓口を活用して状況に合った進路を確認するのが効率的です。

お探しの求人は?

視覚障害者がマッサージ師として生計を立てられるか

中途失明や視力低下を経験した方、40代からのキャリアチェンジを考えている方にとって気になるのは、「本当に食べていけるのか」という点です。

ここでは、資格取得の現実的なハードルから働き方の選択肢、生計が立たないケースの原因までを整理します。

40代・中途失明からでも資格取得は可能

40代以降や中途失明からでも、あん摩マッサージ指圧師の国家資格を取得することは可能です。

盲学校の理療科や養成施設には、社会人経験を経てから入学する方もいます。

国立障害者リハビリテーションセンターの進路ガイドでは、43歳で企業に採用された事例や、50代半ばの女性が採用された事例が紹介されています。

国家試験では、視覚障害のある受験者に対して拡大文字や点字、読み上げによる受験が認められています。

視覚の状態に応じた配慮が整備されているため、視力低下を理由に資格取得をあきらめる必要はありません。

専門学校の学費と修学年数の目安

国家資格の取得には、養成施設で3年以上学ぶことが必須です。

学費は進学先によって大きく変わります。

公立の盲学校であれば入学金・授業料は原則無料で、所得に応じた就学奨励費も利用できます。

COST

学費の目安(3年間の総額)

  • 入学金 20〜30万円
  • 授業料(年額) 100〜150万円
  • 実習費・施設費 20〜40万円
  • 教材費・用具代 10〜20万円
3年間の総額目安 400〜600万円

※ 学校の種類(専門学校・大学)や公立・私立により金額が異なります。教育訓練給付金を活用すると最大80%(上限64万円)の給付を受けられる場合があります

雇用保険に加入していなかった方でも、職業訓練受講給付金として月10万円と通所手当が支給される仕組みがあります。

学費の負担は決して軽くありませんが、公立盲学校の無償制度と各種給付金を組み合わせれば、経済的な負担をかなり抑えることができます。

使える制度は個別に条件があるため、一つずつ確認してみることをおすすめします。

開業・就職それぞれの収入と働き方の実態

資格取得後の働き方は一つではありません。

主な選択肢として、自分で治療院を開く独立開業、企業に雇用されるヘルスキーパー、高齢者の自宅や施設を訪れる訪問マッサージ、特別養護老人ホームで入所者のケアにあたる機能訓練指導員などがあります。

  • 独立開業は、産後ケアやデスクワーカー向けなど特定の分野に絞ったコンセプト設計と集客力が成否を分ける
  • ヘルスキーパーは企業内のマッサージルームで社員に施術を行う専門職で、関東甲信越地区だけでも約150社の採用実績がある
  • 訪問マッサージは高齢化社会の中で需要が伸びており、施設側が施術者を送迎するなど移動面に配慮する事業所も増えている
  • 機能訓練指導員は特別養護老人ホームでの正規雇用が多く、比較的安定した職域とされている

なかでもヘルスキーパーは、正社員や契約社員として安定した給与を得られることから、就職希望者が増えている分野です。

免許を取得しても生計が立たないケースがある理由

国家資格を取得しても、必ず安定した収入が得られるわけではありません。

生計が立てにくい背景には、以下のような複数の要因が重なっています。

  • 無資格のリラクゼーション店との価格競争に巻き込まれる
  • 病院でのマッサージ師の雇用が減少している
  • 独立開業しても集客がうまくいかない

資格を取ること自体がゴールではなく、どの働き方を選ぶか、どう集客するかまで見据えた準備が、生計を立てるうえで欠かせません。

あん摩マッサージ指圧師の求人を探す

視覚障害マッサージ師が直面している現在の課題

法律による職域保護、脳科学が裏付ける触覚の強み、学習支援制度。視覚障害を持つマッサージ師を支える仕組みは存在します。

それでもなお、現場にはいくつかの課題が残されています。ここでは、業界で何が起きているのかを整理します。

晴眼者の増加で視覚障害者の職域が狭まっている

視覚障害を持つマッサージ師にとって大きな課題は、目が見える施術者の増加による競争の激化です。

視覚に頼らない施術者を取り巻く環境の変化
1962年(約40%)
目が見える施術者の割合:40%
2014年(約77%)
目が見える施術者の割合:約77%
ポイント: 目が見える施術者の割合が大きく増加したことで、視覚障害を持つ施術者にとって競争環境は大きく変化しています。

あはき法第19条によって養成施設の新設には制限がかけられていますが、すでに存在する施設からは毎年多くの晴眼者が資格を取得し続けています。

同じ国家資格を持つ者同士の競争が激しくなった結果、特に独立開業の場面では厳しい状況が生まれています。

ウェブサイトの作成やSNSでの集客といった情報発信の面で、視覚障害のある施術者はどうしても不利になりがちです。

資格を持っているだけでは差別化が難しく、特定の症状や患者層に絞った専門性を打ち出すか、企業内のヘルスキーパーのような安定した雇用を選ぶか、戦略的な判断が求められる時代になっています。

病院・施設への就職が難しくなっている

かつて視覚障害を持つマッサージ師の主要な就職先だった病院や診療所での雇用が減少しています。

日本視覚障害者団体連合によれば、主な原因は、マッサージの保険点数が低い水準に据え置かれていることです。保険点数とは、医療機関が施術に対して国から受け取れる報酬の基準のことです。

この点数が低いままだと、病院側にとってマッサージ師を雇い続ける経済的なメリットが薄くなります。

同じリハビリ分野で働く理学療法士の数が増えたことも、病院でのマッサージ師の居場所を狭めている要因です。

こうした状況を受けて、視覚障害を持つ施術者の就職先は、企業内のヘルスキーパーや訪問マッサージ、特別養護老人ホームの機能訓練指導員といった分野へとシフトしています。

病院での就職を前提にキャリアを考えていた方にとっては、選択肢の見直しが必要な状況です。

無資格マッサージ店の増加が国家資格者を圧迫している

法律で職域が守られているとはいえ、視覚障害を持つマッサージ師の経営環境は厳しさを増しています。

その大きな要因が、街中に増え続ける無資格のリラクゼーション店の存在です。「もみほぐし」や「リラクゼーション」を看板に掲げる店の多くは国家資格を持たず、あはき法の規制対象外で営業しています。

低価格を売りに集客するため、3年以上の教育を受けて国家試験に合格した有資格者までもが価格競争に巻き込まれている状況です。

注意しておきたいのは、あはき法第19条はあくまで目が見える「有資格者」の養成施設を制限する規定だという点です。無資格の施術者を直接規制する法律ではありません。

視覚障害者の職域を守る法制度は維持されていますが、法の枠外で営業する無資格店の増加には対処しきれていないのが現状です。

転職活動するなら?

まとめ

マッサージ師に視覚障害のある方が多い背景には、江戸時代から続く職域保護の歴史と、触覚の鋭さを裏付ける脳のメカニズムがあります。

現在は法的な職域保護に加え、未経験や40代からの再出発を支える給付金制度や盲学校の理療科といった学びの場も整っています。

一方で、無資格のリラクゼーション店の増加や病院での雇用減少といった課題もあり、資格取得後の働き方は戦略的に選ぶ必要があります。

歴史的な経緯と現状の両面を理解しておくことが、進路を考えるうえでも、信頼できる施術所を選ぶうえでも役立つはずです。

キャラクター
治療家に選ばれ続ける
「医療キャリアナビ」の特徴
特徴1.
忙しくてもLINEで好きな時間に相談可能♪
特徴2.
地域特化のため職場の内部情報が豊富!
特徴3.
面接対策や条件交渉など実践的サポートが充実!
※調査方法:アンケート/対象者:サービス利用による内定者288名/集計期間:2025年1月1日~2025年8月31日
LINE logo

あん摩マッサージ指圧師の無料転職サポート

医療キャリアナビでは、LINEで無料登録ができ、LINEで求人のご紹介や転職相談が可能です!

この記事を書いた人
医療キャリアナビ編集部

医療キャリアナビ編集部

記事の執筆・編集は、医療業界に精通した編集スタッフが担当しています。日々の転職支援業務で得た現場のリアルな情報と、厚生労働省をはじめとする公的機関のデータに基づき、信頼性の高いコンテンツをお届けしています。

\ シェア・拡散していただけると嬉しいです /

転職をご検討中の方へ

医療業界に詳しいキャリアパートナーが無料で転職サポートをさせていただきます!新着・非公開求人の紹介も可能です!