あん摩マッサージ指圧師の平均年収はいくら?具体的な年収アップの方法も解説
あん摩マッサージ指圧師として働いていると、「いまの年収は相場と比べてどうなのか」「このまま続けていて、将来的にどれくらいの年収が見込めるのか」と気になる方もいらっしゃると思います。
この記事では、平均年収や年代別、施設別、はり・きゅう師とのダブルライセンス所有者の年収の違い、さらに具体的な年収アップの方法まで解説します。
あん摩マッサージ指圧師の平均年収

あん摩マッサージ指圧師の平均給与について、2つの調査データから実態を見てみましょう。
厚生労働省の「令和6年賃金構造基本統計調査」では、月額約30.4万円(年収約430万円)という数値が示されています。
ただし、注意が必要なのは、これは「その他の保健医療従事者」という分類のデータで、臨床工学技士、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師すべてを含んだ平均値だということです。
つまり、あん摩マッサージ指圧師だけの給与データではありません。
一方、東洋療法学校協会が実施した「第6回あん摩マッサージ指圧師・はり師及びきゅう師免許取得者の進路状況アンケート調査」では、より実態に近いデータが得られています。
この調査によると、月額給与は「20万円以上~25万円未満」と答えた人が26.1%で最も多いという結果でした。
この調査結果をもとに年収を計算すると、賞与を年2回(各2ヶ月分)と仮定した場合、年収は約300万円~360万円となります。
上記の表が、あん摩マッサージとして働く多くの人の給与実態と考えられます。
参考:第6回あん摩マッサージ指圧師・はり師及びきゅう師免許取得者の進路状況アンケート調査報告書(東洋療法学校協会)
あん摩マッサージ指圧師の年代別平均年収

第6回あん摩マッサージ指圧師・はり師及びきゅう師免許取得者の進路状況アンケート調査報告書(東洋療法学校協会)の結果、あん摩マッサージ指圧師全体の平均月収は19.2万円となっています。
年齢別の平均月収と、賞与を年2回(各2ヶ月分)と仮定した場合の想定年収を以下の表に記します。
| 年代 | 平均月収 | 想定年収 |
|---|---|---|
| 25〜29歳 | 22.3万円 | 約357万円/年 |
| 30〜34歳 | 21.6万円 | 約346万円/年 |
| 35〜39歳 | 21.9万円 | 約350万円/年 |
| 40歳以上 | 18.6万円 | 約298万円/年 |
| 50歳以上 | 12.0万円 | 約192万円/年 |
平均月収のデータを見ると、若手層(20代後半〜30代後半)で20万円台前半を維持し、経験を積むほど一定の収入安定が見られますが、40代以降では月収が減少傾向に転じ、50代で平均12万円まで下がる結果となっています。
あん摩マッサージ指圧師は、年齢に応じて順調に昇給していく職種ではなく、平均年収も決して高いとはいえません。
むしろ、年齢が上がるにつれて年収が下がっていくケースも少なくありません。
その理由として、いくつかのポイントが考えられます。
まず、生活費や家族を養う負担の増加があります。
年齢を重ねるにつれ結婚や子育てなどで支出が増える中で、収入アップが望みにくいと、より高収入を求めて他職種へ転職する人が一定数いると考えられます。
その結果、あん摩マッサージ指圧師としてフルタイムで働き続ける人が減り、統計上の平均年収も伸びにくくなります。
次に、身体的負担による稼働時間の減少が挙げられます。
施術は立ち仕事や中腰姿勢が多く、腕や腰への負担も大きいため、年齢とともに長時間勤務が難しくなっていきます。
そのため、若い頃のようにフルタイムで働けず、シフトを減らしたり、1日の施術人数を抑えたりすることで、結果的に収入も下がりやすくなります。
さらに、独立・開業後の経営を安定させる難しさも影響します。
技術力だけでなく、集客・リピート獲得・経費管理など、経営者としての力が求められるため、売上が安定するまでに時間がかかることも多くあります。
固定客が十分に増えないまま、収入が不安定な状態が続けば、廃業や他業種への転職を選ばざるをえない場合もあります。
一方で、資格自体は活かし続けたいという思いから、訪問マッサージや非常勤として副業的に関わる人も多く、年齢が上がるほど「フルタイム→パート・副業」のように勤務形態が柔軟化していく傾向が見られます。
こうした要因が重なり、年齢が上がるにつれて、統計上の年収が下がっていく結果につながっていると考えられます。
・あん摩マッサージ指圧師は、若い世代で比較的安定した収入が得られる。
・年齢が上がるにつれて勤務形態の変化や施術量の減少によって収入が下がる割合が多い。
参考:第6回あん摩マッサージ指圧師・はり師及びきゅう師免許取得者の進路状況アンケート調査報告書(東洋療法学校協会)
今のあなたの状況は?
あん摩マッサージ指圧師の施設別平均年収

第6回あん摩マッサージ指圧師・はり師及びきゅう師免許取得者の進路状況アンケート調査報告書(東洋療法学校協会)の結果、開業や勤務形態によっても収入差があります。
施設別の平均月収と、賞与を年2回(各2ヶ月分)と仮定した場合の想定年収を以下の表に記します。(自営は賞与を除いて記載)
| 区分 | 平均月収 | 想定年収 |
|---|---|---|
| 全体平均 | 19.2万円 | 約307万円/年 |
| 開業者(自営) | 17.9万円 | 約215万円/年 |
| 勤務者(雇用) | 19.7万円 | 約315万円/年 |
| あ・は・き柔整施術所(複合施術) | 27.6万円 | 約442万円/年 |
複数の免許(あん摩マッサージ指圧師+はり師+きゅう師+柔道整復師など)を併せ持つ施術所では、月収27万円前後と高い収入水準を示しました。
これは、施術メニューの多様化や保険適用範囲の広さによって患者数を安定的に確保しやすい点が理由とされています。
一方で、あん摩マッサージ指圧師単独での開業は平均17万円台とやや低く、店舗運営コストや集客負担の影響が大きいと考えられます。
・開業よりも「施設勤務」の方が安定的な給与を得やすい。
・「複合施術所(柔整・はり・きゅう併設)」が最も高収入。
参考:第6回あん摩マッサージ指圧師・はり師及びきゅう師免許取得者の進路状況アンケート調査報告書(東洋療法学校協会)
はり師・きゅう師とのダブルライセンス所有者の平均年収

同調査によると、取得している資格の組み合わせによって明確な収入差が見られます。
「あん摩マッサージ指圧師のみ」と、「あん摩マッサージ指圧師・はり師・きゅう師」の複合資格でも調査されており、平均推定月収と、賞与を年2回(各2ヶ月分)と仮定した場合の想定年収を以下の表に記します。
| 免許区分 | 推定平均月収 | 想定年収 |
|---|---|---|
| あん摩マッサージ指圧師のみ | 約18〜19万円 | 約290〜305万円/年 |
| あん摩マッサージ指圧師・はり師・きゅう師 | 約22〜23万円 | 約350〜370万円/年 |
あん摩マッサージ指圧師のみよりも「はり・きゅう」との複合資格を持つ施術者の方が年収が高い傾向が見られます。
これは、保険診療の適用範囲が広がることで患者数や施術単価が安定するためです。
施設別平均年収で記したように、特に「柔整」との複合施設では月収27万円を超えるケースもあり、複数資格を活かした働き方が年収アップの鍵といえます。
参考:第6回あん摩マッサージ指圧師・はり師及びきゅう師免許取得者の進路状況アンケート調査報告書(東洋療法学校協会)
転職活動するなら?
あん摩マッサージ指圧師が年収アップするためには

あん摩マッサージ指圧師が年収をアップさせるための具体的な方法を以下で紹介していきます。
1. 機能訓練指導員として介護施設で働く
あん摩マッサージ指圧師の資格があれば、介護施設で機能訓練指導員として勤務することが可能です。
機能訓練指導員の年収は400万円~500万円程度と、一般的なあん摩マッサージ指圧師よりも高い傾向にあります。
特に、デイサービスや特別養護老人ホームなどの介護施設では、高齢者の機能維持・向上のための専門職として重宝されています。
施術だけでなく、リハビリテーションプログラムの作成や実施、他職種との連携など、より幅広い業務に携わることができ、やりがいも大きい職種です。
3年以上の経験があれば、即戦力として評価されやすく、好条件での転職も可能です。
2. 技術力の向上と専門性の確立を図る
あん摩マッサージ指圧師として安定した収入と信頼を得るためには、日々の施術経験に加え、技術の向上と専門性の確立が欠かせません。
「何でもできる人」よりも「この分野ならこの人」と思われる施術者になることが、指名やリピート率の向上につながります。
肩こり、腰痛、神経痛、むくみ、産前産後ケアなど、一つの分野に焦点を当てて深く学ぶことで、専門的な知識と技術が身につきます。
特定の分野に特化することで、説明力や施術の説得力が増し、患者から「専門家」として信頼されるようになります。
特に近年は、高齢者の慢性疼痛ケアや女性の体調改善(PMS、更年期など)といったニッチな領域の需要が高まっており、専門性を磨くことがそのまま差別化ポイントになります。
施術技術や医学的知識は常に進化しています。
学会・セミナー・オンライン講習などに積極的に参加し、最新の解剖学・神経生理学の理解や、新しい手技理論を取り入れることで、一歩先を行く施術が可能になります。
特に近年注目されている手技として以下があります。
- 筋膜リリース(ファシアケア):全身の連動を整える新しいアプローチ。
- トリガーポイント療法:慢性痛や可動域制限への的確なアプローチ。
- ストレッチング・モビライゼーション技術:可動性改善とパフォーマンス向上に有効。
これらの技術を組み合わせることで、「治療目的の施術」から「再発予防・体質改善を支援する施術」へと発展し、施術単価アップにも直結します。
専門領域を明確にすると、SNSや口コミでも発信しやすくなり、「○○専門マッサージ」「○○痛改善サロン」といった形でブランディングできます。
これによりリピーターが増え、安定した予約数と継続収入を確保しやすくなります。
また、専門性が高まることで、医療機関や介護施設などとの連携依頼も増え、新しいキャリアの道も開けます。
3. 資格取得によるスキルアップを目指す
鍼灸師資格を取得してダブルライセンスを持つことで、施術の幅が大きく広がります。
ここでは、国家資格と民間資格に分けて、収入・働き方の可能性を紹介します。
4. 指名客・リピーターを獲得する
安定した収入を得るためには、新規顧客を増やすだけでなく、指名客やリピーターをどれだけ維持できるかが大きなカギになります。
初回来店時のカウンセリングは、リピート率を大きく左右します。
症状の背景や生活習慣を丁寧に聞き取り、施術の目的・改善までの流れをわかりやすく説明することで、「この人なら任せられる」という安心感につながります。
施術後にストレッチ方法や日常で気をつけるポイントを伝えると、「自分の体を本気で改善したい人」ほど高い満足度を感じ、リピートにつながりやすくなります。
また、施術後のLINEフォロー、症状に合わせた次回予約の提案なども効果的です。
SNS(Instagram、TikTok、ブログなど)で、施術のビフォーアフター、体の仕組みやセルフケア、得意な施術分野を継続して発信することで、あなたの専門性が多くの人に伝わり、新規客の獲得や既存客のファン化につながります。
5. 営業・集客スキルを向上させる
いくら技術力が高くても、「知ってもらえなければ選ばれない」のが現実です。
施術者としての価値を高めるには、営業力・集客力も欠かせません。
施術の効果が出ているからこそ、オプション(ヘッド、フットなど)、施術延長、回数券の提案がしやすくなります。
「この症状なら次はこれが効果的です」と根拠を示せば、自然な提案になります。
紹介制度を導入すると、広告費をかけずに質の高い新規顧客を獲得できます。
特に、紹介客は最初から信頼度が高く、リピーターになりやすい傾向があります。
地元での活動は、地域の信頼を獲得する強力な集客方法です。
- 地域イベントでの出張施術
- 高齢者向け健康講座の開催
- 介護施設や企業への出張指導
上記の機会があれば、積極的に参加することをおすすめいたします。
口コミが自然に広がり、継続的な集客につながります。
6. 職場環境を見直す
現在の職場で成長の限界を感じたら、より高待遇の職場への転職を検討することも選択肢の一つです。
「今の職場ではこれ以上上がらない…」 そう感じる時、職場環境の見直しは大きなチャンスになります。
あん摩マッサージ指圧師は、 介護施設の“機能訓練指導員”として働く資格があります。
この働き方では年収400〜500万円を見込めるほか、
- 土日休みの職場も多い
- 長期的に需要が高い
という特徴があり、好条件の求人が増えています。
同じ経験をもつ施術者でも、
- 高い歩合(40〜50%)
- 指名バック
- 回数券の還元
など、給与システムで大きく収入が変わります。
努力がそのまま収入に反映される職場は、特に若い施術者に向いています。
大手サロン、デイサービス、クリニック併設型施設など、今後も需要が伸びる分野を選ぶことで、長期的なキャリア形成が可能です。
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まとめ
あん摩マッサージ指圧師の平均年収は約300〜360万円で、若手ほど高く、50代以降はやや減少傾向です。
勤務先によって収入差が大きく、複合施術所では月収27万円超と高めの水準。安定収入を目指すなら、施設勤務や資格の組み合わせが有効です。
技術力や専門性を磨き、リピーターを増やすことで年収アップの可能性も十分にあります。
経験を積みながら、自分に合った働き方を見つけることが大切です。
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