看護師が認知症ケア専門士を取得するメリット!意味ないと言われる理由や取得方法を解説

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「認知症ケア専門士の資格を取得して、認知症の方のケアに活かしたい」

「認知症ケア専門士になるにはどうすればよい?」

看護師として働く中で、認知症の患者さんへの対応に難しさを感じる場面は少なくありません。「専門的な知識を身につけたい」と考え、認知症ケア専門士の資格に興味を持つ方もいるでしょう。一方で、資格を取得しても「メリットを感じにくい」との意見も一部で見られます。

そこで本記事では以下について解説します。

  • 認知症ケア専門士の概要
  • 認知症ケア専門士が「意味ない」といわれる理由
  • 看護師が認知症ケア専門士を取得するメリット
  • 看護師が認知症ケア専門士になるステップ
  • 認知症ケア専門士の資格を活かせる職場例

診療報酬(認知症ケア加算)との関係や更新制度まで詳しく解説します。質の高い認知症ケアを実践したい、キャリアアップに活かしたい、と考えている看護師の方はぜひ参考にしてください。

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認知症ケア専門士とはどんな資格?

エプロンを付けた女性と白髪交じりの女性が座って折り紙を切っている

認知症ケア専門士とは、「一般社団法人日本認知症ケア学会」認定の民間資格です。認知症ケアに対する知識や高度の技術、倫理観を備えたプロを養成し、認知症ケア技術の向上、保健・福祉に貢献することを目的として創設されました。

日本は高齢化の進展とともに、認知症と診断される人数も増加しています。2022年の厚生労働省調査によると、65歳以上の高齢者のうち12.3%(443万人)が認知症と診断され、15.5%(559万人)が軽度認知障害(MCI)であることが報告されています。

65歳以上の高齢者の認知障害状態
認知症
軽度認知障害(MCI)
その他(該当なし)
厚生労働省 2022年調査

今後も認知症の方は増加すると予測されており、共生社会の実現を推進する中で、注目されている資格です。

参照:認知症ケア専門士認定試験.専門士制度/一般社団法人日本認知症ケア学会
参照:厚生労働省|令和7年度認知症セミナー(行政説明資料)p2~3

1.受験資格

①受験資格

認知症ケア専門士の受験資格

認知症ケアに関連する施設、団体、機関等において試験実施年の3月31日より過去10年間において3年以上の認知症ケアの実務経験(教育・研究・診療を含む)を有する者

職種や職務内容については、認知症ケアに携わっている限り制限はありません。また、介護福祉士や介護支援専門員、資格の有無にかかわらず受験が可能です。ただし、有資格者であっても「認知症ケア実務経験証明書」の提出が求められます。

②認知症ケア専門士が保有する資格

専門士が保有する資格は介護福祉士が最も多く、次いで介護支援専門員、ヘルパー、看護師の順となっています。認知症の方と日常的に接している介護、医療職が取得する傾向にあります。

③認知症ケア専門士認定の合格率

第1回試験(2005年)以降、合格率は50%前後で推移しています。割合が高いとはいえない状況ですが、適切な学習によって合格が望めるともいえるでしょう。

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資格を取得しても「意味ない」と言われる理由

白衣を着た女性がパソコンの前に座ってバンに何か書き込んでいる

①診療報酬における「認知症ケア加算」の要件を満たさないから

診療報酬上の加算を目的に取得しても「認知症ケア加算」の施設基準とは直接結びつかないため、メリットを感じにくい点が理由として挙げられます。

2016年度の診療報酬改定で新設された「認知症ケア加算」は、身体合併症のために医療施設に入院した認知症患者さんが加算の対象です。病棟における認知症対応力と、ケアの質向上を目的に、多職種チームで介入した場合に加算する、といった改定がなされました。

加算1・2の施設基準を満たすには、認知症認定看護師などの高いスキルを持つ看護師の配置が必要です。算定できる看護師の基準は以下のとおりです。

認知症ケア加算1 認知症ケア加算2 認知症ケア加算3
・専任の常勤看護師の配置
認知症患者の看護に従事した経験を5年以上有する看護師であって、認知症看護に係る適切な研修を修了した者
・チームへの従事
原則16時間以上チームの業務に従事
・適切な研修の条件
①国又は医療関係団体等が主催する研修(600時間以上、修了証交付あり)
②認知症看護に必要な専門的知識・技術を有する看護師の養成を目的とした研修
③講義・演習の内容:(イ)認知症の原因疾患・病態及び治療・ケア・予防(ロ)認知症に関わる保健医療福祉制度の変遷と概要(ハ)認知症患者に特有な倫理的課題と対応方法(ニ)認知症看護に必要なアセスメントと援助技術(ホ)コミュニケーションスキル(ヘ)認知症の特性を踏まえた生活・療養環境の調整方法、BPSD への対応(ト)ケアマネジメント(各専門職・他機関との連携、社会資源の活用方法)(チ)家族への支援・関係調整
④実習により、事例に基づくアセスメントと認知症看護関連領域に必要な看護実践を含む
・専任の常勤医師または常勤看護師の配置
認知症患者の診療に十分な経験を有する専任の常勤医師、又は認知症患者の看護に従事した経験を5年以上有する研修を修了した専任の常勤看護師
※経験や研修の要件は加算1と同様
・研修済み看護師の配置
原則として全ての病棟に、認知症患者のアセスメントや看護方法等に係る適切な研修を受けた看護師を1名以上配置
※研修の要件は加算3と同様
・実施状況の把握・助言
上記専任の医師又は看護師が、認知症ケアの実施状況を把握・助言等
・研修済み看護師の配置
認知症患者のアセスメント方法等に係る適切な研修(9時間以上)を受けた看護師を3名以上配置
※ただし、3名のうち1名は、当該研修を受けた看護師が行う院内研修の受講で差し支えない

引用:自己点検事項 認知症ケア加算1(A247)/厚生労働省中国四国厚生局
参照:令和2年度診療報酬改定の概要/厚生労働省

②5年ごとの更新が必要だから

認知症ケア専門士は、資格を取得してから5年ごとの更新が必要です。更新するには期間内に30単位以上の専門士単位を取得しなければなりません。単位を取得するためには、学会への参加や論文投稿、eラーニングの受講などがあります。

加えて、資格の取得・更新には以下の費用がかかります。

審査料:筆記試験1分野あたり3,000円(4分野12,000円)、論述試験8,000円
認定料:15,000円
更新料:10,000円(5年ごと)

学び続けるコストと資格を維持する手間が負担となり、意味がないと感じる方もいるようです。

③給料が上がるとは限らないから

資格を取得しても給料が上がるとは限りません。認定看護師や専門看護師でも資格手当がない場合もあり、民間資格である認知症ケア専門士はさらに難しいと考えられます。

また、費用と得られるメリットの感じ方には個人差があり、費用負担が大きいと感じる方もいるかもしれません。

看護師が認知症ケア専門士資格を取得するメリット

スクラブを着た女性が車いすの女性と手を握って笑顔で話している

認知症ケア専門士は、診療報酬上の加算対象ではありませんが、認知症の専門性を証明できる資格です。4つのメリットを詳しく見ていきましょう。

①根拠に根拠に基づいた質の高い認知症ケアを提供できる

資格を取得すると、科学的根拠に基づいたアプローチができるようになります。試験勉強を通じて最新の知識も身につき、質の高い認知症ケアを提供できるでしょう。

②家族の精神的サポート・相談に役立つ

患者さん本人だけでなく、家族のサポートにも役立ちます。専門的な知識に基づいた助言は、家族に安心感を与えられるでしょう。

例えば、在宅復帰を控えた家族に対し、コミュニケーションの取り方や徘徊を防ぐための環境整備、介護保険サービスの使い方などアドバイスできます。家族からの信頼度が向上し、クレーム防止やスムーズな退院調整につながります。

③専門家として信頼を得られる

病院内で認知症ケアのスペシャリストとして、信頼性を高められるでしょう。近年は急性期病院でも認知症を抱える方が増加しており、現場では常に適切な対応方法が求められています。

例えば、不穏になった患者さんの対応について、相談を受ける機会が増える可能性があります。

的確な助言を行い、病棟全体のケアの質を向上させることで、転倒事故の減少や業務の効率化に貢献できるでしょう。

④専門性を高められキャリアアップで有利に働く

認知症ケアの専門家として認められると、昇進や転職で有利に働く可能性があります。「認知症認定看護師」を目指す場合にも、前段階として知識を身につけられます。

ステップアップの基礎固めとしても、認知症ケア専門士はおすすめの資格の一つです。

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看護師が認知症ケア専門士を取得するステップ

白衣を着た女性がパソコン作業をしている

認知症ケア専門士の取得には、Web試験(1次)と論述試験(2次)の両方に合格する必要があります。看護師としての臨床経験を活かしつつ、効率的に取得するためのステップを確認していきましょう。

認知症ケア専門士資格取得までの流れ

①手引き購入・受験申請

日本認知症ケア学会の公式サイトから「受験の手引き」(第22回:1,000円)を購入し、所定の期間内に申請(2026年は3月10日〜4月10日)します。

申請には「実務経験証明書」の提出を求められます。過去10年以内に3年以上の実務経験が必要で、複数の職場での経験を合算することも可能です。

実務経験証明書の準備は、以前の職場に証明書を依頼する期間も考慮し早めに準備をはじめましょう。

②公式テキストや予想問題集で学習

公式サイトやECサイトなどで公式テキストを購入し、学習します。

1次試験用は「認知症ケアの基礎」「認知症ケアの実際I:総論」「認知症ケアの実際II:各論」「認知症ケアにおける社会資源」の4分野で、2次試験用は「事例集」となります。

予想問題集なども販売されているため、補助的に利用するのも一つの方法です。公式の受験対策講座も開催されています。

③第1次認定試験(Web試験)

1次試験はパソコンなどを使用し、インターネットで行われます。

試験分野は以下のとおりです。

  1. 認知症ケアの基礎
  2. 認知症ケアの実際Ⅰ:総論
  3. 認知症ケアの実際Ⅱ:各論
  4. 認知症ケアにおける社会資源

4つの分野で合計200問出題されます。各分野「70%以上の正答率」が第1次試験合格の基準です。各分野の合格有効期限は5年間です。

もし一次試験で一部の分野が不合格でも、合格した分野は5年間免除されます。

参照:認知症ケア専門士認定試験.試験概要:第1次試験/一般社団法人日本認知症ケア学会

④第2次認定試験(論述試験)

第1次試験に合格した方は第2次試験に進みます。論述用紙を取り寄せ、申請期間内に他の書類とともに提出します。試験内容は認知症ケアの事例(3題)に対する論述です。以下を満たせば合格となります。

  1. 適切なアセスメントの視点を有している者
  2. 認知症を理解している者
  3. 適切な介護計画を立てられる者
  4. 制度および社会資源を理解している者
  5. 認知症の人の倫理的課題を理解している者

参照:認知症ケア専門士認定試験.試験概要:第2次試験/一般社団法人日本認知症ケア学会

⑤申請登録(倫理研修)

第2次試験合格後、指定された「倫理研修」を受講し、書類を作成して提出します。最新のガイドラインに基づいた倫理観を確認し、専門士としての自覚を持つのが目的です。

⑥資格取得

全ての手続きが完了すると、正式に認知症ケア専門士として認定証が送付されます。資格取得後は、講座への参加や論文投稿などで専門士単位を取得していきます。

資格の更新は「5年以内に30単位以上の専門士単位」を取得しなければなりません。一定の条件を満たせば、「認知症ケア上級専門士」も目指せます。

看護師が認知症ケア専門士資格を活かせる職場例

車いすを押してる白衣を着た女性と後ろの方にソファーやいすに座ってる人がいる

認知症ケア専門士の知識は、医療機関だけでなく、施設や在宅など看護師が活躍するあらゆる場面で重宝されます。資格を活かせる代表的な職場を紹介します。

看護師が認知症ケア専門士資格を活かせる職場
  • 病院の一般病棟
  • 介護老人保健施設
  • 訪問看護ステーション

1.病院の一般病棟

一般病棟では入院による環境変化で、認知症の方のせん妄や不穏が起こりやすくなります。そのため、治療の妨げになるケースも少なくありません。

専門士としての知識があれば、認知症の行動・BPSDのケアなどに根拠を持って対応できます。身体拘束を最小限にするための提案も可能になるでしょう。患者さんのADL低下を防ぐためにも重要な役割を担います。

2.介護老人保健施設

介護老人保健施設は、在宅復帰を目指す施設です。リハビリ職や介護職との多職種連携が欠かせません。

専門士資格を持つ看護師がリーダーシップを発揮すれば、認知症の程度に応じたリハビリの提案や、在宅復帰を可能にするための支援が可能となります。施設全体の認知症対応力を向上させる役割も期待されます。

3.訪問看護ステーション

訪問看護は、病院とは異なり限られた人員で利用者を支える必要があります。専門士資格を持つ看護師は、家族に対して、生活環境の具体的な整え方やコミュニケーションのコツを、根拠を交えて指導できます。家族やケアマネジャーとの信頼関係にもつながるでしょう。

今のあなたの状況は?

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認知症ケア専門士に関するよくある質問(FAQ)

Q&A

受験を検討するにあたって、有効期限や類似資格との違いは気になるポイントです。取得後に後悔しないよう、よくある疑問を解消しておきましょう。

Q:資格の有効期限はありますか?

A:

認知症ケア専門士は、質の高いケアを提供するため、また自身のケアを見直す機会を持つために、最新の知識や技術を学ぶ必要があります。そのため、5年ごとの更新制となっています。 更新には、認知症ケア学会大会や教育講演への参加、論文投稿などで30単位を取得しなければなりません。更新料も必要です。

Q:認知症ケア指導管理士との違いは何ですか?

A:

主催団体、資格の有無、更新制度の有無が異なります。 認知症ケア指導管理士は、一般社団法人総合ケア推進協議会により創設された資格です。「認知症の方への適切なケア、ケアを行う方への指導・管理を行える人材の育成など、介護・医療現場で認知症ケアに携わる方の専門性向上」を目的としています。 受験は、実務経験の有無にかかわらず可能です。高校生や大学生でも受験できることが特徴です。出願はインターネットでできますが、試験自体は会場に出向いて受ける必要があります。 認知症に関する知識を身につけ、キャリアアップを目指す場合は、認知症ケア専門士が選択肢となるでしょう。

認知症ケア診断士 認知症ケア指導管理士
対象職種 医療・介護・福祉に関わる職種全般 認知症ケア診断士を取得した者
主な役割 認知症患者への適切なケアを行う 認知症ケア診断士へのリーダーシップ・指導
知識・スキルレベル 認知症の基礎知識やケア技術を持つ 高度な専門知識や指導・管理能力を持つ
資格取得条件 実務経験1年以上
※医療・介護・福祉分野での経験
認知症ケア診断士の取得済み+実務経験3年以上
※取得後の経験が必要
試験・研修 筆答試験+実務研修 筆答試験+実務研修(より難易度高)
位置づけ 現場で直接ケアに携わる者向け チームのリーダーや管理者向け

参照:認知症ケア指導管理士(初級)認定試験/一般社団法人総合ケア推進協議会

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