- 大学(看護学部・看護学科)に併設された保健師別科
- 看護大学の3年次~4年次の選抜制(選抜された学生のみ保健師課程に進級)
- 公立や私立の保健師養成所(専修学校など)
看護師と保健師の違いってなに?保健師になるための方法や待遇の違いを解説
看護師と保健師、どちらも人々の健康を支える重要な職業ですが、その違いを正確に理解している人は意外と少ないのではないでしょうか。
『保健師に興味があるけれど、具体的に看護師とどう違うのかわからない』と、実際にどちらの道に進むべきか迷っている方も多いはずです。
この記事では、両職種の具体的な違いや資格取得方法、待遇の違いについて詳しく解説していきます。
看護師と保健師の基本的な違い

看護師とは
看護師は、病院や診療所などの医療機関で、医師の診療を補助し、患者の療養上の世話を行う医療従事者です。患者一人ひとりに対して直接的な医療ケアを提供することが主な役割となります。
保健師とは
保健師は、地域住民の健康の保持・増進を図ることを目的とした公衆衛生活動を行う専門職です。個人だけでなく、家族や地域全体の健康管理を担当し、病気の予防や健康づくりに重点を置いた活動を行います。
| 項目 | 看護師 | 保健師 |
|---|---|---|
| 主な職場 | 病院・クリニック・介護施設・訪問看護など | 市区町村・保健所・企業・学校など |
| 主な業務 | 治療・ケアの補助、患者対応、医療処置など | 予防医療・健康教育・健康相談・訪問指導など |
| 働き方 | 交代制勤務(夜勤あり)が多い | 日勤が基本、土日休みも多め |
| 対象者 | 患者・利用者 | 健康な人・地域住民・従業員・学生など |
保健師と看護師の資格において重要なポイントは、保健師になるためには必ず看護師免許が前提条件となることです。
これは保健師が看護師の上位資格として位置づけられているためで、看護師の基礎知識の上に、さらに公衆衛生や地域看護の専門知識を身につける必要があります。
両資格とも国家資格で、免許の更新は不要(終身有効)のため、一度取得すれば生涯にわたって専門職として活動することができます。
つまり、保健師は看護師資格を持った上でさらに専門性を高めた職業であり、両方の業務を行うことが可能です。
看護師と保健師の業務内容の違い
- 患者の身体的・精神的ケア
- バイタルサインの測定と記録
- 医師の診療補助
- 注射や点滴の実施
- 患者・家族への指導
- 手術の介助
- 病棟管理業務
- カルテの記録・管理
- 健康相談・健康教育
- 乳幼児健診・成人健診
- 予防接種業務
- 感染症対策・調査
- 保健指導・栄養指導
- 地域住民の健康状況の把握
- 健康づくり事業の企画・実施
- 関係機関との連携・調整
看護師は「治療の現場での専門的ケア」を、保健師は「地域全体の健康づくりとコーディネート」を担っています。
看護師が個々の患者の回復を支援する一方で、保健師は病気にならない地域づくりを推進し、結果として医療需要の軽減にも貢献しています。
看護師と保健師の働く場所の違い
構成割合:67.8%
構成割合:14.9%
構成割合:6.0%
構成割合:51.6%
構成割合:21.6%
構成割合:11.2%
参考:厚生労働省 令和4年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況
厚生労働省の資料によると、看護師の就業場所は、病院(67.8%)、診療所(14.9%)、介護老人保健施設(6.0%)となっており、約83%が医療・介護施設で勤務しています。
これは看護師が診療・治療のサポートを担う医療現場の最前線で、多く求められている職種であることを表しています。
一方で保健師の就業場所は、市区町村(51.6%)、保健所(21.6%)、病院(11.2%)となっており、約73%が行政機関で勤務しています。
つまり保健師は、医療機関よりも地域行政機関での活動が中心となっており、公衆衛生や予防医療の現場で専門性を発揮していることが読み取れます。
看護師が「個人の治療・ケア」に特化している一方で、保健師は「集団・地域の健康づくり」に重点を置いています。
看護師と保健師の給与、待遇の違い
| 職種 | 月給(推計) | 年間賞与 | 年間給与(推計) |
|---|---|---|---|
| 看護師 | 約36.4万円 | 約83.5万円 | 約519.7万円 |
| 保健師 | 約35.1万円 | 約99.9万円 | 約521.2万円 |
参考:厚生労働省「令和6年 賃金構造基本統計調査(職種別統計)」
※このデータはあくまで「所定内給与額×12ヶ月+年間賞与」での推計です(超過勤務手当などは含まれていません)。
※今回の月給・賞与・年収の推計値は、「令和6年 賃金構造基本統計調査(職種別統計)」より抽出した実務経験12~13年程度の看護師・保健師の「平均的な実態」です。
今回の給与比較データは基本給与のみを示しており、超過勤務手当(残業代)や夜勤手当は含まれていません。
看護師の多くは病院で交代制勤務を行っており、夜勤手当(1回あたり5,000~15,000円程度)や残業代が支給されるため、実際の手取り額は看護師の方が多くなる可能性が高いです。
一方、保健師は基本的に日勤のみで土日休みが多く、夜勤や長時間の残業は少ない傾向にあります。
そのため、基本給与では保健師がやや上回っていても、各種手当を含めた実際の収入では看護師の方が高くなるケースが多いと考えられます。
| 項目 | 保健師(自治体勤務の場合) | 看護師(病院勤務の場合) |
|---|---|---|
| 福利厚生 | 地方公務員制度が適用 | 病院ごとの法人制度による |
| 育休・産休・時短制度 | 法定以上に手厚い傾向(公務員準拠) | 医療法人により差が大きい |
| 退職金制度 | 公務員退職手当あり | 法人によって有無・金額が異なる |
保健師の公務員待遇は安定性が高く、福利厚生も充実しています。
看護師は勤務先により差があるため、職場選びが待遇に大きく影響します。
保健師の資格取得方法

保健師の資格を取得したい場合には4年生の大学で看護師と保健師の両方の資格を取得することが一般的ではありますが、すでに看護師の資格を取得している方でも、1年制の保健師養成課程へ編入をすることで資格取得を目指せます。
- 看護師免許を持っている人は、保健師養成所(専門学校や大学の1年課程)に進学し、必要な単位を修得することで保健師国家試験の受験資格を得られます。
- 毎年2月に実施される保健師国家試験を受験し、合格すれば保健師免許が取得できます。
保健師になるためには、大前提として看護師免許の取得が必要であり、看護師としての基礎知識と技術を身につけた上で、さらに公衆衛生や予防医学の専門教育を受ける必要があります。
特に人気の高い保健師養成所は競争倍率が5~10倍にもなる狭き門となっており、さらに保健師養成課程には通信制がないため、働きながら資格取得を目指す場合は仕事を休職するか退職する必要があります。
入学するためには看護師としての実務経験や成績、志望動機などが厳しく審査され、経済的な負担も考慮する必要があります。
以下に保健師取得までにかかる費用や所要時間目安を記載いたします。
| 費用項目 | 金額の目安 |
|---|---|
| 学費(授業料+教材費) | 約50万~100万円程度 |
| 国家試験受験料 | 5,400円 |
| その他(交通費・生活費など) | 個人差あり |
| ステップ | 期間 |
|---|---|
| 保健師養成課程 | 1年間 |
| 国家試験合格~免許申請 | 約2か月 |
養成課程に入学できれば、保健師国家試験の合格率は89~95%程度と高く、真面目に学習に取り組めば資格取得は十分可能です。
看護師と保健師どちらを選ぶべき?判断のポイント

看護師と保健師のどちらを選ぶかを決める際は、まず自分が「治療」と「予防」のどちらに興味があるかを考えてみましょう。
患者さんと直接関わり、医療現場で治療やケアに携わりたい方は看護師が、地域全体の健康づくりや病気の予防に取り組みたい方は保健師が向いています。
また、夜勤を含むシフト勤務でも医療の最前線で働きたいか、規則正しい勤務時間で長期的な健康支援に取り組みたいかという働き方の違いも重要な判断ポイントとなります。
看護師が向いている人
- 患者さんと直接関わる医療ケアに興味がある
- 急性期医療や救命救急に関心がある
- 夜勤も含めたシフト勤務に対応できる
- 専門技術を身につけたい
- 認定看護師などのキャリアを考えている
保健師が向いている人
- 予防医学や公衆衛生に興味がある
- 地域全体の健康づくりに貢献したい
- 規則正しい勤務時間を希望する
- 行政や企画業務に関心がある
自分の興味や価値観、ライフスタイルに合わせて、どちらの道を選ぶか検討してみてください。どちらを選んでも、社会に大きく貢献できるやりがいのある職業です。
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