小児プライマリケア認定看護師の役割とは?仕事内容と特定行為を解説
小児科や救急外来で働くなかで、「子どもの看護をもっと深めたい」「医療的ケアが必要な子どもと家族を支えられるようになりたい」と考える看護師は多いはずです。
小児プライマリケア認定看護師は、外来や地域で子どもの健康問題に対応し、手順書に基づく特定行為もできる認定看護師です。
この記事では、小児プライマリケア認定看護師の役割と具体的な仕事内容、実施できる特定行為の区分、資格を取るまでの流れを紹介します。
お申し込みを受け付けました
以下からひな形と見本をダウンロードできます。
小児プライマリケア認定看護師とは?

小児プライマリケア認定看護師は、日本看護協会が認定する認定看護師のうち、特定行為研修を組み込んだB課程の19分野の1つです。
対象は新生児期から小児期の子どもとその親で、救急外来を含む外来や、地域での子どもの暮らしを主な活動の場としています。
認定看護師制度における位置づけ
認定看護師制度は2019年度に改正され、特定行為研修を組み込んでいない「A課程」と、組み込んでいる「B課程」の2つの教育課程に分かれました。
小児プライマリケアはB課程の分野で、A課程の「小児救急看護」が改正にあわせて名称を変えた分野です。
| A課程 | B課程 | |
|---|---|---|
| 分野数 | 21分野 | 19分野 |
| 特定行為研修 | 教育課程に含まない | 教育課程に組み込み |
| 修了者の認定審査 | 2029年度で終了 | 2021年度から実施 |
| 小児領域の分野 | 小児救急看護・新生児集中ケア | 小児プライマリケア・新生児集中ケア |
B課程を修了して認定された看護師は「特定認定看護師」とも呼ばれます。 A課程の小児救急看護認定看護師も、特定行為研修を修了すればB課程の認定看護師に移行できます。
日本看護協会の公表データでは、2025年12月時点の小児プライマリケア認定看護師(B課程)の登録者は50人で、A課程の小児救急看護認定看護師は221人です。
小児看護専門看護師との違い
小児看護専門看護師は、日本看護協会の専門看護師制度の資格で、看護系大学院の修士課程で専門看護師教育課程を修了することが受験の条件です。 役割は「実践・相談・調整・倫理調整・教育・研究」の6つで、病棟や施設全体のケアの質を高める調整役や、倫理的な問題の解決も担います。
一方、小児プライマリケア認定看護師は大学院ではなく認定看護師教育機関で学び、外来や地域での子どもへの直接的な看護実践に強みがあります。
新生児集中ケア認定看護師との違い
新生児集中ケア認定看護師もB課程の分野で、組み込まれている特定行為区分は小児プライマリケアと同じです。
違いは対象と活動の場で、新生児集中ケアは極低出生体重児から後期早産児などのハイリスク新生児を対象に、NICUでの急性期の全身管理から退院支援までを担います。
| 小児プライマリケア認定看護師(B課程) | 小児看護専門看護師 | 新生児集中ケア認定看護師(B課程) | |
|---|---|---|---|
| 主な対象 | 新生児期〜小児期の子どもと親 | 療養生活を送る子どもと家族 | 極低出生体重児〜後期早産児などのハイリスク新生児と家族 |
| 主な活動の場 | 外来・救急外来、地域 | 病院・施設などの小児看護の場 | NICUなど新生児医療の場 |
| 強み | トリアージ、医療的ケア児のケア調整、ホームケア指導 | ケアの調整、倫理的な問題の解決、教育・研究 | 急性期の全身管理、家族形成支援、退院支援 |
| 学ぶ場 | 認定看護師教育機関 | 看護系大学院の修士課程 | 認定看護師教育機関 |
| 特定行為研修 | 2区分を組み込み | 資格要件に含まれない | 2区分を組み込み(区分は同じ) |
同じ小児領域でも、対象や働く場所がけっこう違うんだね
参考:日本看護協会「認定看護師」 / 日本看護協会「専門看護師」
小児プライマリケア認定看護師の3つの役割

認定看護師は、どの分野でも「実践」「指導」「相談」の3つの役割を担います。 小児プライマリケア分野では、この3つの役割を子どもと家族、そして子どもに関わる看護職や多職種に向けて発揮します。
子ども・家族
看護職
看護職と多職種
実践
実践は、子どもと家族に水準の高い看護を直接提供する役割です。 小児プライマリケア分野の教育基準カリキュラムでは、急性発症や重篤な状況にある子どもに対し、高い臨床推論力と病態判断力で迅速に判断し、看護ケアを提供することが期待される能力に挙げられています。
子どもは症状をうまく言葉にできず、短時間で状態が変わることもあります。 発達段階に応じたフィジカルアセスメントで重症化のサインを見逃さないことが、実践の中心です。
言葉で伝えられない子どもの変化に気づく力が大事なんだね!
指導
指導は、看護実践を通して看護職に知識や技術を伝える役割です。 小児の看護経験が少ない救急外来や混合病棟のスタッフに、トリアージの視点や医療的ケアの手技を実際の場面で示しながら伝えます。
勉強会の講師を務めたり、院内のマニュアルづくりに関わったりすることもあります。
相談
相談は、看護職などからの相談に応じ、問題解決を一緒に考えるコンサルテーションの役割です。
2019年度の制度改正で、活動の場と対象の広がりにあわせて相談の対象は「看護職等」に改められました。 子どもに関わる場は病院の外にも多いため、保育所や学校、行政など、看護職以外の職種と連携する場面も増えています。
30秒でかんたん登録!
無料で応募書類テンプレをプレゼント
参考:日本看護協会「小児プライマリケア(B課程教育機関)認定看護師教育基準カリキュラム」
小児プライマリケア認定看護師の具体的な仕事内容

小児プライマリケア認定看護師の仕事は、外来での急な体調不良への対応から、在宅で暮らす子どもの支援まで幅広くあります。 教育基準カリキュラムの「コアとなる知識・技術」をもとに、代表的な6つの仕事を紹介します。
緊急度と重症度のトリアージ
外来や救急外来では、受診した子どもの状態を見て、診察の優先順位を決めるトリアージを担います。 小児プライマリケア分野のトリアージは、緊急度と重症度だけでなく、感染管理や不適切な養育・虐待のリスクも含めた視点で判断するのが特徴です。
医療的ケア児への看護とケア調整
医療的ケア児とは、人工呼吸器や胃ろうなどを使い、たんの吸引や経管栄養などの医療的ケアが日常的に必要な子どものことです。
小児プライマリケア認定看護師は、重症化を防ぐ看護に加え、地域での生活を見据えて訪問看護や福祉サービス、保育・教育の場をつなぐケア調整を担います。
不適切な養育や虐待の予防と早期発見
子どもの成長発達や家族の状況を把握し、不適切な養育や虐待の予防、早期発見、適切な援助につなげることも役割の1つです。 看護師は児童虐待防止法で、児童虐待を発見しやすい立場にあることを自覚し、早期発見に努めるよう定められています。
虐待かどうかを看護師が1人で判断するのではなく、気になる様子を記録し、院内の虐待対応チームや児童相談所・市町村と連携して対応するのが基本です。
看護師の求人を探す家族へのホームケア指導
子どもの健康を守るうえで、家庭で世話をする親の力は欠かせません。 発熱や嘔吐、脱水のときの家庭での見守り方や、受診の目安を親に伝え、家族の家庭看護力・育児力を高めるホームケア指導をします。
医療的ケア児の家族には、吸引や経管栄養などのケアを家庭で安全に続けられるよう、手技の確認やトラブル時の対応も伝えます。
感染管理と事故防止の指導
子どもが集まる外来や保育の場では、感染症が広がりやすい環境があります。 待合での隔離の判断や、家庭・保育所での感染予防の方法を伝えるのも仕事の1つです。
誤飲や転落、やけどなど、子どもの生活の場での事故を防ぐための助言も担います。 子どもの発達段階によって起こりやすい事故は変わるため、年齢に合わせた具体的な対策を親に伝えます。
看護職へのコンサルテーション
小児科以外の部署や訪問看護ステーション、保育所などの看護職から、子どもの看護や医療的ケアについて相談を受けます。 外来で継続的な支援が必要な家族を見つけたときに、地域の保健師や訪問看護につなぐ橋渡し役になることもあります。
子どもと家族、どちらにも目を配るのは大変だけど、やりがいも大きいよね
参考:日本看護協会「小児プライマリケア(B課程教育機関)認定看護師教育基準カリキュラム」 / e-Gov法令検索「児童虐待の防止等に関する法律」
小児プライマリケア認定看護師が活躍する場

小児プライマリケア認定看護師の教育は、外来(救急外来を含む)を中心に、地域のプライマリケアの場で子どもの健康問題に対応できるよう組まれています。
実際の登録者は病院勤務が中心ですが、医療的ケア児の在宅支援などで地域へと活動の場が広がりつつあります。
病院の外にも、力を活かせる場所がたくさんあるんだね!
小児科外来と救急外来
小児科外来や救急外来は、もっとも中心となる活動の場です。 急な発熱やけいれん、外傷などで受診する子どものトリアージをし、緊急性の高い子どもを見極めます。
受診時の親の様子から育児の不安や家庭の状況に気づき、必要な支援につなげられるのも外来ならではの役割です。
小児病棟
小児病棟では、急性期の子どもの重症化予防や、医療的ケアが必要になった子どもの退院支援に関わります。 退院後に家族が自宅でケアを続けられるよう、入院中から手技の指導や地域の支援者との調整を進めます。
訪問看護ステーション
訪問看護ステーションでは、在宅で暮らす医療的ケア児と家族を直接支えます。 小児を受け入れる訪問看護ステーションでは、呼吸管理や栄養管理などの専門的な知識が求められる場面が多く、特定行為の知識・技術を活かしやすい場です。
- 正看護師の訪問看護求人は2,535件
- 児童発達支援76件・放課後等デイ49件
- 小児の受け入れ可否は求人ごとに確認
小児の受け入れ状況は事業所ごとに異なるため、求人を見るときは対象年齢や医療的ケアへの対応を確認しましょう。 小児科で働く看護師のやりがいや大変さは、以下の記事でまとめています。
保育所や学校
医療的ケア児支援法では、保育所や学校の設置者に、医療的ケア児が適切なケアを受けられるよう看護師等の配置などの措置を講じることが定められています。
保育所や学校で働く看護職からの相談に応じたり、医療的ケアの手順づくりを支援したりと、小児プライマリケア認定看護師の知識が役立つ場面は多くあります。
行政の母子保健部門
市町村の母子保健部門では、乳幼児健診や育児相談などを通じて、子どもと家族を地域で見守っています。 虐待の予防や医療的ケア児の支援は、行政の保健師と医療機関の連携が欠かせない分野です。
外来や病棟で支援が必要な家族に気づいたときは、行政の母子保健部門と情報を共有し、地域での見守りにつなげます。
30秒でかんたん登録!
無料で応募書類テンプレをプレゼント
参考:日本看護協会「認定看護師」 / e-Gov法令検索「医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律」
小児プライマリケア認定看護師が実施できる特定行為

特定行為とは、看護師が手順書により行う診療の補助のうち、高度な知識・技能や判断力が特に必要なものとして厚生労働省令で定められた行為です。
保健師助産師看護師法第37条の2で、特定行為を手順書により行う看護師は、その区分の特定行為研修を受けなければならないと定められています。
特定行為は38行為・21区分あり、小児プライマリケアの教育課程にはそのうち2区分が組み込まれています。
組み込まれている特定行為区分
小児プライマリケア分野に組み込まれているのは、「栄養及び水分管理に係る薬剤投与関連」と「呼吸器(長期呼吸療法に係るもの)関連」の2区分です。
医療的ケア児の在宅支援を見据え、子どもの水分・栄養管理と、気管カニューレを挿入している子どもの呼吸管理に活かせる区分が選ばれています。
教育課程全体は788時間(45分を1時間とするみなし時間)で、特定行為の区分別科目はそのうち33時間です。
看護師の求人を探す手順書に基づく実施の流れ
特定行為は、認定看護師であれば医師の指示なしにできるわけではありません。 医師または歯科医師が患者さんごとに手順書を作成して指示を出し、看護師はその手順書に沿って実施します。
手順書には、患者さんの病状の範囲や診療の補助の内容、確認すべき事項、医師との連絡体制、実施後の報告方法などを記載することが省令で定められています。 病状が手順書の範囲を外れている場合は、特定行為をせずに医師に連絡します。
在宅の医療的ケア児を支える場面での活用
気管カニューレを使う子どもや、点滴で水分・栄養を補う子どもの家庭では、ちょっとした体調の変化が受診や入院につながりやすくなります。
手順書があれば、医師がすぐに来られない場面でも、看護師が病状を判断して気管カニューレの交換や輸液の補正をタイミングよく実施できます。
子どもや家族にとっては、受診の負担が減り、住み慣れた家での生活を続けやすくなる点が大きなメリットです。 特定行為研修制度そのものの仕組みや38行為の一覧は、以下の記事で紹介しています。
参考:e-Gov法令検索「保健師助産師看護師法第三十七条の二第二項第一号に規定する特定行為及び同項第四号に規定する特定行為研修に関する省令」 / 日本看護協会「小児プライマリケア(B課程教育機関)認定看護師教育基準カリキュラム」
資格を取得するまでの流れ

小児プライマリケア認定看護師になるには、実務経験を積んだうえでB課程の教育機関を修了し、日本看護協会の認定審査に合格する必要があります。
実務経験の要件
受験の条件は、看護師免許を取得してから通算5年以上の実務経験があり、そのうち通算3年以上が認定看護分野での経験であることです。 小児プライマリケア分野では、教育機関に入る時点で次のような看護実績が求められます。
- 通算3年以上、小児看護分野または救急看護分野での看護実績がある
- 小児患者さん・家族の看護を5例以上担当した実績がある
- 人工呼吸器や気管カニューレを装着した小児の看護経験がある(望ましい)
- 現在、小児の看護に携わっている(望ましい)
一歩ずつ準備していけば大丈夫!まずは実務経験から積み重ねよう
教育機関と課程の時間数
教育課程は前述のとおり788時間で、集中型の課程なら約1年かけて学びます。 2026年10月時点で日本看護協会のサイトに入試情報が掲載されている小児プライマリケア分野の教育機関は、済生会横浜市東部病院の1か所(2027年4月開講・定員12人)です。
開講する教育機関が少ないため、受講を考えたら早めに募集要項を確認しましょう。
教育機関の開講状況や募集時期は年度ごとに変わります。受験を考えたら、日本看護協会の教育機関情報と各教育機関の募集要項で最新の情報を確認しましょう。
認定審査
教育機関を修了したら、日本看護協会が年1回実施する認定審査を受けます。 審査は筆記試験で、マークシート方式の四肢択一・100分です。
合格して登録手続きをすると、小児プライマリケア認定看護師として認定されます。
5年ごとの更新
認定看護師の資格の有効期間は5年で、5年ごとに更新審査を受ける必要があります。 更新審査は書類審査で、2025年度から看護実践時間(2,000時間以上)の証明が不要になりました。
2028年度の審査からは、自己研鑽の要件が「5年間で60時間の研修受講」などに変わります。 認定後も研修や学会発表などで学びを続けることが、資格を保つ条件になっています。
参考:日本看護協会「認定看護師」 / 日本看護協会「認定看護師(CN)更新審査の変更について」
まとめ
小児プライマリケア認定看護師は、外来や地域で子どもの健康問題に対応し、手順書に基づく特定行為もできるB課程の認定看護師です。 登録者はまだ少なく、医療的ケア児の在宅支援など活躍の場が広がりつつある分野です。
この記事のポイント
- 特定行為研修を組み込んだB課程19分野の1つ
- 役割は子どもと家族・看護職等への実践・指導・相談
- トリアージや医療的ケア児のケア調整、虐待の予防も担う
- 特定行為は栄養・水分管理と長期呼吸療法の2区分
- 実務5年(うち分野3年)+教育課程修了+認定審査で取得
小児領域でキャリアを深めたいと考えたら、まずは今の職場で小児看護の経験を積み、教育機関の募集情報を確認してみましょう。 小児科や訪問看護など、子どもの看護に関われる職場を探したいときは、転職エージェントに相談すると希望に合う求人を紹介してもらえます。


