モーリーテスト(Morley test)|実施手順・注意点・陽性基準
モーリーテスト(Morley test)は、鎖骨上窩にある斜角筋三角部を検者の指で圧迫し、腕神経叢の圧迫・過敏性の有無を確認する誘発テストです。
斜角筋三角部は前斜角筋・中斜角筋・第1肋骨で囲まれた狭い間隙で、腕神経叢と鎖骨下動脈が通過します。この部位で神経が圧迫されると、圧痛だけでなく上肢へ放散する症状が誘発されます。
神経性の胸郭出口症候群を疑うときのスクリーニングとして、外来やリハビリの場面で手軽に実施できるのが特徴です。
胸郭出口症候群は、頸部から上肢へ向かう腕神経叢や鎖骨下動静脈が、斜角筋間・肋鎖間隙・小胸筋下といった狭い部位で圧迫・牽引されることで、上肢のしびれ・痛み・だるさ・冷感などを生じる病態の総称です。なで肩の女性や、腕を挙上する作業・重い荷物を持つ動作の多い人に生じやすいとされます。圧迫される組織によって神経性・動脈性・静脈性に分けられます。
モーリーテストの実施手順
- 患者は座位。検者は背側または側方に立つ。
- 母指または示指で鎖骨上窩の斜角筋三角部(腕神経叢の走行部)を触知する。
- その部位を数秒間、垂直方向に圧迫する。
- 局所の圧痛と、上肢へ放散する症状の有無を確認する。

実施時の注意点
モーリーテストは簡便ですが、いくつか押さえておきたいポイントがあります。圧迫の強さや時間で反応が変わり得るため、手技を一定に保つことが大切です。
- 圧迫は過度にならないよう注意し、数秒程度にとどめる
- 必ず左右を同じ手技で比較し、左右差を評価する
- 頸椎症や絞扼性末梢神経障害など、他疾患との鑑別を意識する
- 単独では確定診断に至らないため、他の誘発テストや画像検査と併用する
陽性所見の意味と解釈
斜角筋三角部を圧迫したときに、局所の強い圧痛に加えて前腕から手指へ放散するしびれや痛みが誘発されれば陽性と判断します。放散症状は腕神経叢の下神経幹(C8・Th1領域)に沿って尺側に出やすいとされます。
ただし圧痛のみで放散痛を伴わない場合は、必ずしも神経の圧迫を意味しません。
健側と比較して症状に明らかな左右差があるかを確認することが、解釈のうえで欠かせません。
- 圧迫部に強い局所圧痛がある
- 前腕から手指へ放散するしびれ・痛みが誘発される
- 症状が健側と比べて明らかに強い(左右差がある)
他の主な誘発テストとの併用
胸郭出口症候群の評価では、圧迫される部位や肢位を変えた複数の誘発テストを組み合わせて総合的に判断します。
モーリーテストとあわせて確認しておきたい代表的なテストを整理します。
| テスト名 | 肢位・手技 | 主な評価対象 |
|---|---|---|
| モーリーテスト | 鎖骨上窩(斜角筋三角部)を圧迫 | 斜角筋部での腕神経叢の圧迫 |
| アドソンテスト | 頸部を患側へ回旋・伸展し深呼吸、橈骨動脈を触知 | 斜角筋部の血管・神経の圧迫 |
| ライトテスト | 肩を90°外転・外旋し橈骨動脈を触知 | 小胸筋下・肋鎖間での圧迫 |
| ルーステスト(EAST) | 両上肢を挙上し手指の開閉を3分間反復 | 症状の再現(神経性TOS) |
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