看護師の離職率って高い?離職率が高いと思われている理由を解説
看護師はやりがいがある一方で、心も体も追い込まれてしまい、辞めたい気持ちになる人も少なくありません。
「看護師は離職率が高い」と思われがちですが、実際のところはどうなのでしょうか?
本記事では、最新のデータをもとに看護師の離職率の実態を詳しく分析し、離職率が高いと思われている理由や、辞めたいと悩んだ時の対処法まで解説していきます。
看護師の離職率の実態

日本看護協会の「2024年 病院看護実態調査」によると、看護師の離職率は以下の通りです。
看護師全般の離職率と新人看護師の離職率

2023 年度の正規雇用看護職員の離職率は 11.3%、新卒採用者の離職率 8.8%、既卒採用者の離職率(採用した年度内に離職した割合)16.1%で、2022 年度に比べて改善しています。
この数値は過去数年間ほぼ横ばいで推移しており、約10人に1人の看護師が年間で離職していることを示しています。
2021年度に大幅に離職率が上昇したのは、新型コロナウイルス感染症の影響が考えられます。
新人看護師の離職率は全体の離職率とほぼ同水準か、やや低い傾向にあります。
他の職種と比べた看護師の離職率

※「2024年病院看護実態調査」結果の正規雇用看護職員、新卒採用者、既卒採用者の平均離職率を用いて作成しています。
他の職種と比べた看護師の離職率は決して低くないことがわかります。
しかし全職種の平均離職率と比較すると、看護師の離職率11.3%は中程度の水準にありますが、製造業(8.7%)や電気・ガス業界(10.4%)などの職種と比べると高い数値となっています。
「看護師の離職率が特別に高い」とは言えませんが、働き続けるために解決すべき課題が多く存在しています。
設置主体別の看護師の離職率
| 離職率が低い職場TOP3 | 離職率 |
| 日本赤十字社 | 7.2% |
| 公立 | 8.2% |
| その他公的医療機関 | 8.3% |
| 離職率が高い職場TOP3 | 離職率 |
| 個人 | 20.0% |
| 社会福祉法人 | 15.0% |
| 医療法人 | 14.4% |
※「2024年病院看護実態調査」結果の設置団体別離職率の正規雇用看護職員、新卒採用者、既卒採用者の平均離職率を用いて作成しています。
公立・国立病院は比較的離職率が低く、私立・個人病院ほど高くなる傾向があります。
これは労働条件や待遇面の差が影響していると考えられます。
病床別の看護師の離職率
| 病院規模 | 離職率 |
| 99床以下 | 15.5% |
| 100~199床 | 14.1% |
| 200~299床 | 12.4% |
| 300~399床 | 11.6% |
| 400~499床 | 10.0% |
| 500床以上 | 10.1% |
※「2024年病院看護実態調査」結果の病床別離職率の正規雇用看護職員、新卒採用者、既卒採用者の平均離職率を用いて作成しています。
大規模病院ほど離職率が低い傾向にあります。
これは教育体制の充実、キャリアパスの明確化、待遇面の充実などが関係しています。
他にも急性期医療を担う病院ほど離職率が高く、慢性期や専門性の高い病院ほど低い傾向があります。
都道府県別の看護師の離職率
| 離職率が低い都道府県TOP3 | 離職率 |
| 秋田県 | 9.2% |
| 徳島県 | 9.3% |
| 島根県 | 9.4% |
| 離職率が高い都道府県TOP3 | 離職率 |
| 神奈川県 | 14.3% |
| 大阪府 | 14.2% |
| 東京都、兵庫県 | 13.7% |
※「2024年病院看護実態調査」結果の都道府県別離職率の正規雇用看護職員、新卒採用者、既卒採用者の平均離職率を用いて作成しています。
地方では安定志向が強く、転職機会が限られることから離職率が低い傾向です。
都市部では転職先が豊富で転職しやすい傾向にあるといえます。
転職活動するなら?
あなたは共感できる?看護師が離職する5つの理由

ここでご紹介する5つの理由は、現役看護師が現場で感じた悩みや、同僚・先輩・後輩看護師から聞いた「転職を決意した理由」をまとめたものです。
統計では見えてこない、現場で働く看護師のリアルな声を基にしています。
「もう限界かも」「自分だけがこんなに悩んでいるのかな」と不安な看護師の方や、離職対策を検討している病院の人事・運営側の方の参考になれば幸いです。
過酷な労働環境
看護師の離職理由として最も多く挙げられるのが、労働環境の厳しさです。
多くの医療機関では慢性的な人手不足により、看護師一人当たりの業務負担が過重になっています。
平均的な看護師の労働時間は週40時間を超えることが多く、特に2交代制を採用している病院では16時間という長時間の夜勤を強いられることもあります。
また、業務の間に取るべき休憩時間の確保も難しく、食事を取る時間さえままならない日も少なくありません。
さらに、業務時間内に終わらなかった看護記録や申し送り業務のために、サービス残業が常態化している職場も多く存在します。
業務の忙しさから、患者さん一人ひとりとじっくり向き合う時間が取れず、流れ作業のような看護になってしまう。
本来なら患者さんの話をしっかり聞いて、個別のニーズに応じたケアを提供したいのに、それができない現実に直面することで、看護師として『なぜこの仕事を選んだのか』という初心や、『患者さんの役に立ちたい』という気持ちが薄れてしまう。
このような気持ちで働くことがストレスになり、心身の負担が大きいことが離職理由につながる場合も多いです。
人間関係のストレス
看護師の職場は特殊な人間関係の中で成り立っており、これが離職の大きな要因となっています。
医療現場はチームワークが欠かせませんが、その一方で上下関係の厳しさや先輩看護師からの指導のプレッシャーに悩む声も多く聞かれます。
特に新人看護師にとっては、この厳しい指導環境が精神的な負担となり、早期離職の原因となることも少なくありません。
また、医師からの理不尽な要求や態度に悩まされる看護師も多く存在します。
患者や家族との関係においても、看護師は大きなストレスを抱えています。
患者やその家族からの理不尽なクレームや要求への対応は、看護師にとって大きな精神的負担となります。
常に相手の感情に配慮しながら業務を行う感情労働は、想像以上に疲労を蓄積させます。
加えて、医療事故への不安や責任の重さが、日常的に看護師にプレッシャーを与え続けています。
また、小規模な病棟やクリニックでは人間関係の影響力が大きく、合わない人がいると毎日の勤務がつらく感じられます。
「患者さんのケアは好きなのに、人間関係がつらくて辞めたい」という声は、離職理由の中でも非常に多いのです。
給与・待遇への不満
看護師は命を預かる責任ある仕事を担っていますが、その責任の重さに対して報酬が見合わないと感じている看護師も多いです。
基本給は他の専門職と比較しても決して高いとは言えず、夜勤手当を含めても満足できる収入レベルに達していないと感じる方が多く存在します。
また、経験年数を重ねても昇給幅が小さく、将来的な収入増加への見通しが立たないことも不満の要因となっています。
有給休暇の取得は建前上は可能であっても、実際には人手不足や業務の性質上、思うように休暇を取ることができない状況があることもワークライフバランスが保たれていないと感じてしまう理由になります。
「頑張っているのに報われない」という気持ちはモチベーションを下げ、転職や離職を考える大きなきっかけになります。
看護師の適正に対する不安・キャリアの停滞感
患者さんとのコミュニケーションがうまく取れない、緊急時に冷静な判断ができないなど、「自分には向いていないのではないか」と看護師としての適性への不安に悩む看護師は少なくありません。
特に新人看護師は理想と現実のギャップに直面し、適性に確信を持てずに早期離職につながるケースも多く見られます。
医療事故への恐怖心から看護師を続けることへの不安は、経験年数に関係なく多くの看護師が抱えています。
また、看護師として働き始めて数年経つと、「このままでいいのだろうか」という不安を感じやすくなります。
認定看護師や専門看護師の資格取得を目指したくても、研修や勉強のサポート体制が整っていない職場も多いのが現実です。
専門資格やスキルアップを目指したいのに環境が整っていないと、転職を考えるきっかけになります。
「成長できない」「キャリアが頭打ちになっている」と感じると、自分の将来を考えて転職を選ぶ看護師も少なくありません。
プライベートとの両立の難しさ
看護師は女性が約9割を占める職業であるため、結婚や出産といった人生の大きな節目で、働き方を見直したいと考える看護師が多く存在します。
看護師の勤務時間は不規則な場合が多く、家庭生活や子育てとの両立を難しくし、やむを得ず離職を選択するケースも。
時短勤務制度を利用したとしても、現実には職場全体が慢性的に忙しいため、定時で帰ることが難しく、結局残業をせざるを得ない状況に陥ってしまうこともあります。
また、時短勤務で働く看護師に対して「早く帰れていいね」といった周囲の視線や、「チームの負担になっているのではないか」という罪悪感を抱くケースも少なくありません。
このような状況では、制度上は時短勤務が可能であっても、実際には働きにくさを感じてしまい、より理解のある職場環境や、本当に時間通りに帰ることができる職場を求めて転職を検討する看護師が多くなっています。
今のあなたの状況は?
いまの職場を辞めるべきか悩んだ時の対処法

ステップ1:現状の客観的な分析
転職を考え始めた時、まず重要なのは感情的になりすぎず、冷静に現状を分析することです。
なぜ今の職場を辞めたいと思うのか、その理由を具体的に書き出してみましょう。
漠然とした不満ではなく、「夜勤が月に8回あって体力的につらい」「上司からの指導がきつくて精神的に参っている」など、できるだけ具体的に問題点を明確にすることが大切です。
次に、書き出した問題を「自分の努力や工夫で改善できるもの」と「職場の制度や環境を変えなければ解決困難なもの」に分類してみてください。
さらに、自分にとって最も重要な問題から優先順位をつけることで、本当に転職が必要なのか、それとも他の方法で解決できるのかが見えてきます。
同時に、自分が仕事に求める価値観を再確認することも重要です。
給与、やりがい、人間関係、働きやすさ、キャリアアップなど、何を最も重視するのかを整理し、絶対に譲れない条件と、ある程度妥協できる条件を明確に分けておきましょう。
将来どのような看護師になりたいのか、5年後、10年後のキャリアビジョンも含めて考えることで、より良い判断ができるようになります。
あわせて、仕事がつらいと感じたときの考え方や、辞める・続けるを判断する視点については、こちらの記事「仕事が嫌すぎる時の対処法と辞める判断基準」も参考になります。
📝 分析のポイント
- 離職を考える具体的な理由を書き出す
- 改善可能な問題と困難な問題を分類
- 問題の優先順位を明確化
- 仕事に求める価値観を整理
- 将来のキャリアビジョンを明確化
ステップ2:問題解決の可能性を探る
現在の職場で抱えている問題が、本当に解決不可能なのかを検討してみることも大切です。
まずは直属の上司や人事担当者に相談してみることから始めましょう。
また、同じ職場内でも部署によって働きやすさが大きく異なることがあるため、部署異動の可能性についても確認してみる価値があります。
夜勤の回数を減らしてもらう、日勤のみの勤務に変更してもらう、時短勤務を利用するなど、現在の職場でも働き方を変えることで問題が解決する可能性を探ってみましょう。
さらに、自分自身のスキルアップによって状況が改善される場合もあります。
コミュニケーション能力を向上させることで人間関係の問題が解決したり、専門知識を深めることで仕事への自信がついたり、ストレスマネジメントの技術を身につけることで精神的な負担を軽減できたりすることもあります。
📝 問題解決のポイント
- 上司や人事担当者への相談
- 部署異動を申し込んでみる
- 勤務形態変更の交渉を試みる
- 知識・技術をスキルアップするための行動
- ストレスマネジメント技術の習得
ステップ3:転職の準備と情報収集をする
現在の職場での問題解決が困難だと判断した場合は、転職活動の準備を始めましょう。
まずは転職市場の調査から始めます。自分の希望条件に合致する求人がどの程度あるのか、給与や勤務条件の相場はどうなっているのかを調べてみてください。
看護師専門の転職サイトやハローワークなどを活用して、幅広く情報を収集することが大切です。
気になる転職先候補が見つかったら、その職場の労働環境や待遇について詳しく調べましょう。
可能であれば職場見学をさせてもらったり、実際にそこで働いている看護師の話を聞いたりすることで、転職後のミスマッチを防ぐことができます。
履歴書や職務経歴書を作成し、これまでの経験やスキルを整理して、転職先でどのように貢献できるかを明確にしておきます。
面接では必ず転職理由を聞かれるため、ネガティブな理由だけでなく、「新しい環境でスキルアップしたい」「より患者さんに寄り添った看護をしたい」など、前向きな理由も含めて説明できるよう準備しておくことが大切です。
📝 転職準備のポイント
- 希望条件に合う求人情報の収集
- 転職先の労働環境や待遇の確認
- 履歴書・職務経歴書の作成
- 面接対策の実施
- 転職理由の整理と説明準備
ステップ4:決断のための判断基準を設ける
転職するかどうかの最終的な判断を行う際は、明確な基準を設けることが重要です。
ストレスによって睡眠障害やうつ症状が現れている場合は、健康を最優先に考えて早めの決断をすることが必要です。
一方で、現職に留まった方が良い場合もあります。
職場での問題改善の具体的な道筋が見えている場合や、転職によるリスク(給与の減少、人間関係の再構築、新しい業務への適応など)が現在の問題よりも大きいと判断される場合は、もう少し現職で頑張ってみる選択肢も考えられます。
この判断は非常に個人的なものであり、同じ状況でも人によって最適な選択は異なります。
身の回りの人に相談することで、自分では気づかない視点や助言を得ることができるでしょう。
ただし、最終的な決断は自分自身で行うことが大切です。
📝 判断基準のポイント
- 現在の問題が改善される見込みがあるか
- 心身の健康に深刻な影響が出ているか
- 問題改善の具体的な道筋が見えるか
- 転職によるリスクはあるか
- 現職でのキャリア形成にまだ可能性があるか
ステップ5:退職手続きや問題改善に向けた行動
転職を決断した場合は、円満な退職手続きを心がけましょう。
適切なタイミングで上司に退職の意向を伝え、業務の引き継ぎを丁寧に行うことで、これまでの職場との関係を良好に保つことができます。
現職に留まることを決めた場合は、問題改善のための具体的な行動を開始し、定期的にその効果を評価することが大切です。
3ヶ月後、6ヶ月後など、一定期間ごとに状況を見直し、改善が見られない場合は再度転職を検討するなど、軌道修正を行うことも必要です。
どちらの選択をした場合でも、自分の決断に責任を持ち、前向きに取り組むことが成功への鍵となります。
📝 進路決断後のポイント
- 適切な退職手続きの実施
- 後任への引き継ぎの徹底
- 現職に留まる場合、定期的な状況評価と軌道修正
転職手続きの詳細記事はこちら。
まとめ
看護師の離職率は、他の職種と比べて特別高いわけではないものの、医療現場の厳しさから「辞めやすい仕事」と思われがちです。
大切なのは、「辞めたい」と思ったときに感情だけで動かず、自分のキャリアやライフスタイルを見据えた上で判断すること。
「この職場で頑張るか」「転職して新しい環境を探すか」どちらを選んでも、看護師としてのキャリアは必ず活かせます。
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