インピンジメント症候群|ニアーテスト・ホーキンステストのやり方
インピンジメント(impingement)は「衝突」「挟み込み」を意味します。
肩峰下インピンジメント症候群は、上腕骨の大結節と烏口肩峰アーチ(肩峰・烏口肩峰靱帯・烏口突起)との間で、棘上筋腱や肩峰下滑液包が繰り返し挟み込まれ、炎症と疼痛をきたす病態です。
肩関節の挙上時痛を訴える患者に高頻度でみられます。
背景には、オーバーヘッド動作の反復、腱板(特に棘上筋)の筋力低下による骨頭の上方偏位、肩甲骨の運動異常(スキャプラディスキネジア)、円背や肩甲骨前傾などの不良姿勢といった要因があります。
単一の原因というより、これらが重なって肩峰下スペースが相対的に狭くなることで生じると考えられています。
代表的な症状は次のとおりです。
- 肩を60〜120°挙げたときに痛む(ペインフルアークサイン)
- 腕を上げ下げする途中で引っかかる、ひっかかり感がある
- 夜間痛があり、患側を下にして眠れない
- 洗髪や高い棚の物を取るなど、頭上動作がつらい
- 長期化すると腱板の変性・断裂に進行することがある
インピンジメントの原因を探るために、整形外科的テストであるニアーテスト、ホーキンステストが用いられます。
ニアーテスト(Neer test)
ニアーテストは、上腕を内旋位に保ったまま他動的に挙上し、大結節を烏口肩峰アーチの下に通過させることで疼痛を誘発するテストです。棘上筋腱と肩峰下滑液包の挟み込みをみます。
- 患者を座位または立位にし、検者は患側の側後方に立つ
- 一方の手で肩甲骨を上から押さえ、代償的な挙上・回旋を抑える
- もう一方の手で前腕を把持し、上腕を内旋位にする
- 内旋位を保ったまま、肩甲骨面〜前方へ他動的に最大まで挙上させる
- 挙上およそ90〜140°で肩前外側部に疼痛が誘発されれば陽性と判断する

なお、肩峰下滑液包に局所麻酔薬を注射したうえで同じ操作を行い、疼痛が消失するかどうかを確認する方法は「ニアーインピンジメントテスト」と呼ばれ、徒手テスト単独より診断の確実性が高まります。
ホーキンステスト(Hawkins-Kennedy test)
ホーキンステストは、肩関節を屈曲90°に保った状態から他動的に内旋を加え、棘上筋腱を烏口肩峰靱帯や烏口突起の外側に押し付けて疼痛を誘発するテストです。
- 患者を座位または立位にし、検者は患者の前方または側方に立つ
- 肩関節を屈曲90°、肘関節を屈曲90°の肢位に保持する
- 検者は一方の手で肘を支え、もう一方の手で前腕を把持する
- 前腕を下方へ倒すように、肩を他動的に内旋させる
- 内旋に伴って肩前方〜外側部に疼痛が誘発されれば陽性と判断する

ニアーテストが最大挙上を必要とするのに対し、ホーキンステストは屈曲90°という狭い可動域の範囲で実施できます。そのため挙上制限や疼痛が強く、最大挙上が難しい症例でも行いやすいという利点があります。
両者は挟み込みが起こる部位が異なるため、通常は組み合わせて評価します。
テスト実施時の注意点と結果の解釈
- 必ず健側から実施し、左右差を比較する
- 肩甲骨の代償運動(挙上・後傾)が出ると偽陰性になりやすいため、肩甲骨はしっかり固定する
- 速く大きく動かさない。疼痛が出た時点で操作を中止する
- 骨折・脱臼の既往や急性外傷が疑われる場合は実施しない
- テストの前後で安静時痛・夜間痛・可動域・腱板筋力の評価も併せて行う
結果の解釈にも注意が必要です。両テストとも感度は比較的高い(およそ70〜80%)一方で、特異度は低め(およそ50〜60%)と報告されています。
腱板断裂、上腕二頭筋長頭腱炎、肩峰下滑液包炎、石灰沈着性腱炎などは、これらのテストだけでは鑑別できません。
ペインフルアークサインや腱板の筋力テスト(エンプティカンテスト等)を組み合わせ、病歴・単純X線・超音波・MRIなどの画像所見と統合して判断する必要があります。
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インピンジメント症候群の整形外科的テスト
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