尿の色でわかること|正常色・異常の見分け方と報告の目安

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尿の色から何がわかるのか

尿の色の主体は、ヘモグロビンの代謝産物であるウロクロム(ウロビリンなどの色素)です。尿が濃縮されればこの色素の濃度が上がって色は濃くなり、水分摂取が多く希釈されれば薄くなります。

つまり尿の色は、体内の水分バランスを反映する指標です。

色の変化は「濃縮の問題」なのか「異物混入の問題」なのかを切り分けて考えると整理しやすくなります。

正常な尿の色と尿色スケール

正常な尿の色は淡黄色〜黄色(麦わら色〜琥珀色)です。

起床時の一番尿はやや濃く、水分を多く摂った後は薄くなるなど、健常者でも一日の中で変動します。

無色〜透明
淡黄色
黄色
濃黄〜橙
茶褐色
ピンク〜赤
暗赤〜茶黒
白濁
正常範囲
要観察・異常を疑う
ポイント

画面や照明の条件で見え方は変わります。実際の観察では、自然光や白色灯の下で、白い容器に採取した尿を観察すると色の判断がしやすくなります。

色別に見る状態と疑う病態

色ごとに、考えられる状態・原因と報告の目安を整理します。

色考えられる状態・原因報告の目安
無色〜透明
水分過多、尿崩症、利尿薬の使用尿量とあわせて確認
淡黄色〜黄色
正常経過観察
濃黄色〜橙
脱水、ビリルビン尿、ビタミンB2水分補給を促す/黄疸症状を確認
茶褐色
高度脱水、ビリルビン尿、ヘモグロビン尿、ミオグロビン尿医師に報告
ピンク〜赤
血尿、薬剤性、食事性医師に報告
暗赤〜茶黒
大量血尿、ヘモグロビン尿、ミオグロビン尿すぐに医師へ報告
白濁
膿尿(感染)、リン酸塩の析出、乳び尿発熱・排尿痛を確認し報告

無色〜透明

水分を多く摂った後であれば生理的な変化です。

ただし、大量の希釈尿が持続する場合は尿崩症や心因性多飲、利尿薬の影響を考えます。

尿量(多尿は3,000mL/日以上が目安)と飲水量、電解質データをあわせて確認します。

濃黄色〜橙

もっとも多いのは脱水による濃縮尿です。

皮膚ツルゴールの低下、口腔粘膜の乾燥、尿量減少などがあれば水分補給を促します。

一方、ビリルビン尿では尿を振ると黄色い泡が立ち、眼球結膜の黄染や皮膚黄染、灰白色便を伴うことがあります。

ビタミンB2やビタミン剤の内服でも濃黄色になります。

茶褐色

高度の脱水、ビリルビン尿(肝・胆道疾患)のほか、ヘモグロビン尿・ミオグロビン尿を疑います。

とくに横紋筋融解症では、長時間の圧迫や転倒後の長時間臥床、激しい運動、スタチンなどの薬剤歴が手がかりになります。

注意

ミオグロビン尿は急性腎障害につながるため、早期の報告が重要です。

ミオグロビン尿は急性腎障害につながるため、早期の報告が重要です。

ピンク〜赤・暗赤〜茶黒

血尿を第一に考えます。

尿路感染症、尿路結石、腫瘍、糸球体腎炎、抗凝固薬の影響、カテーテル留置に伴う出血などが原因になります。女性では月経血の混入がないかも確認します。

凝血塊があると尿道カテーテルの閉塞を起こすことがあるため、尿の流出状況もあわせて観察します。

白濁

尿が白く濁っているときは、まず尿路感染症による膿尿に注意します。発熱や排尿痛、残尿感、腰背部痛がないか確認しましょう。

一方、採尿後に時間がたってリン酸塩が析出した場合や、まれにリンパ液が混じる乳び尿でも白く濁ります。

悪臭を伴うこともありますが、においだけで感染とは判断せず、症状や尿検査の結果と合わせて評価します。

薬剤・食事による色の変化

尿の色が変化していても、病態ではなく薬剤や食事が原因のことがあります。

色の変化を見たら、まず内服薬と食事内容を確認する——これを習慣にしておくと、不要な報告や患者さんの不安を減らせます。

薬剤・食品主な用途尿の色
リファンピシン抗結核薬
赤橙色
センノシド下剤
赤褐色
ビタミンB2(リボフラビン)ビタミン剤
濃い黄色・蛍光黄
ビーツ・人参食品
赤色・橙色
注意

薬剤性の色調変化は無害であることがほとんどですが、「リファンピシン内服中だから赤くて当然」と決めつけると、実際の血尿を見逃す危険もあります。判断に迷う場合は尿定性検査(潜血反応)の結果とあわせて確認します。

血尿スケールと報告の目安

血尿は、色の濃さで段階的に評価すると、経時的な変化をチームで共有しやすくなります。

スケール色色の目安対応の目安
Iごく淡いピンク経過観察・記録
II淡いピンク経過観察・尿量確認
III明らかな赤色医師に報告
IV濃い赤色医師に報告・凝血塊を確認
V以上暗赤〜茶黒すぐに医師へ報告・閉塞やバイタルに注意
注意

一般にスケールIII以上は医師への報告が必要とされることが多く、施設独自の血尿スケール表を使用しているところもあります。段階の数や区切り方は施設によって異なるため、勤務先のスケールとプロトコルを必ず確認してください。

なお、色が薄くても顕微鏡的血尿(尿沈渣で赤血球5個/HPF以上が目安)が存在することがあります。

肉眼で赤く見えるのは、おおよそ尿1Lに血液1mL程度が混じった状態からといわれ、見た目の赤さと出血量は必ずしも一致しません。

色以外に観察したいポイント

  • 尿量:乏尿は400mL/日未満、無尿は100mL/日未満が目安。濃縮尿との組み合わせで脱水や腎機能低下を疑う
  • 混濁の有無:感染による膿尿か、リン酸塩・尿酸塩の析出かを区別する
  • 泡立ちの有無:消えにくい細かい泡が持続する場合はタンパク尿を疑う
  • 臭気:腐敗臭・アンモニア臭は感染、甘い果実のような臭いはケトン体を疑う
  • 排尿時の症状:排尿痛、残尿感、頻尿、排尿困難の有無
  • 内服薬・食事内容:色調変化を起こす薬剤・食品を服用していないか
  • 全身症状:発熱、腰背部痛、浮腫、黄疸、倦怠感の有無

異常を見つけたときの報告の流れ

  1. 色と性状を具体的に記録する(「赤い」ではなく「淡いピンク色、凝血塊なし」のように)
  2. 内服薬と食事内容を確認し、薬剤性・食事性の可能性を除外する
  3. 尿量・混濁・臭気・排尿時症状など、色以外の観察項目を確認する
  4. バイタルサイン(発熱、血圧低下、頻脈)と自覚症状を確認する
  5. いつから・どの程度変化したかという経過を整理する
  6. 医師に報告し、尿検査や血液検査の指示を確認する
注意

とくに赤色・茶黒色・白濁は、様子をみずに報告する色です。あわせて、尿がまったく出ていない(無尿)、強い腰背部痛や高熱を伴う、凝血塊でカテーテルが詰まっているといった状況は、緊急性が高いと判断します。

印刷して活用しよう

ここまでの内容を1枚にまとめた尿色スケール資料を用意しました。尿色スケール・色別の病態一覧・血尿スケール・観察ポイントが1枚に収まっているので、ナースステーションや汚物室に掲示したり、印刷して手帳に挟んでおくとすぐに確認できます。

下のフォームからPDF版をダウンロードいただけます。

尿の色のスケール

尿の色のスケール

尿色スケール、色別の状態と疑う病態、血尿スケール、観察ポイントを1枚にまとめた早見表です。ベッドサイドでの観察と報告の判断にご活用ください。

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