認定言語聴覚士になるには?受講要件・取得までの流れ・領域と更新の条件
摂食嚥下や失語の臨床に慣れてきて、「専門性を形にしたい」と認定言語聴覚士を考え始めた人もいるのではないでしょうか?
認定言語聴覚士は、日本言語聴覚士協会が2008年度から運用している認定制度で、正会員として生涯学習プログラムを修了し、臨床6年目以上で講習会を受けると挑戦できます。
この記事では、認定言語聴覚士になるための受講要件と取得までの流れ、選べる領域、費用と年数の目安、更新の条件をまとめました。
お申し込みを受け付けました
以下からひな形と見本をダウンロードできます。
認定言語聴覚士になるための要件

認定言語聴覚士講習会を受けるには、日本言語聴覚士協会の正会員であること、満5年を超える臨床経験、生涯学習プログラムの専門プログラム修了がそろっている必要があります。
必要な臨床経験年数
協会の案内では、講習会の対象を「満5年を超える臨床経験があり、専門プログラムを修了した正会員」としています。
数えるのは免許を取った日ではなく、言語聴覚士として臨床に携わった期間です。 休職や非常勤の期間をどう扱うかは公開ページに書かれていないため、該当する人は申し込む年度の募集要項で確認しておきましょう。
基礎プログラムの履修
基礎プログラムは、言語聴覚士としての土台となる臨床の進め方や職業倫理を学ぶ段階で、入会後3年での修了が目安です。 従来のプログラムでは、次の3つを満たすと修了証を申請できます。
- 基礎講座(6講座・1講座60分)をすべて履修する
- 学会参加や研究発表などで4ポイント以上を取得する
- 症例検討会で症例検討・発表をする
症例検討会は、臨床6年目以上の正会員2人以上が指導者として参加し、発表者と指導者が最低3施設から集まることが条件です。
同じ職場の先輩だけでは条件を満たせないため、都道府県士会の症例検討会を早めに探しておくとスムーズです。
言語聴覚士の求人を探す専門プログラムの履修
専門プログラムは、失語・発達・発声発語・嚥下・聴覚などの専門講座を受けてポイントをためる段階で、初回は入会後5年での修了が目安です。 従来のプログラムでは、協会主催の専門講座4講座の履修と8ポイントの取得で修了になります。
2026年度からは新しい生涯学習プログラムの要件での申請受付が始まり、2027年度に完全移行します。 新プログラムではポイントが「単位」に変わり、基礎講座・専門講座は初級・中級・上級講座に再編されます。
| 段階 | 従来のプログラム | 新プログラム |
|---|---|---|
| 基礎 | 基礎講座6講座 活動4ポイント 症例検討・発表 | 初級必修講座6単位 初級選択講座2単位以上 活動単位10単位以上 症例検討・発表 |
| 専門 | 協会主催の専門講座4講座 学会・研修会8ポイント | 中級必修4単位以上 中級選択4単位以上 活動単位10単位以上 |
これまでにためたポイントや受講記録は、協会の単位移行表で新しい単位に読み替えられます。 2026年度末までは従来の要件でも申請できるため、今の記録でどちらが早く修了できるかを比べてから申請するのが無難です。
途中で制度が変わっても、今までの受講はムダにならないの?
参考:日本言語聴覚士協会「生涯学習プログラムについて」 / 日本言語聴覚士協会「生涯学習プログラム」
認定言語聴覚士講習会と試験

専門プログラムを修了して臨床6年目に入ったら、最後のステップが認定言語聴覚士講習会です。 講習会は領域ごとに開かれ、全日程を受けたうえで試験に合格すると認定されます。
講習会の日程と回数
協会の案内では、講習会は2日間×3回(全6日間)の日程で、年単位で開かれています。 申し込みは協会サイトの講座検索ページから、各講習会の詳細ページに書かれた方法で行います。
3回すべてに出席することが前提なので、勤務先にはシフトや有給休暇の調整を早めに相談しておきましょう。
30秒でかんたん登録!
無料で応募書類テンプレをプレゼント
選択できる領域
講習会の開催領域は、2026年10月時点の協会の案内で次の6つです。 2018年度ごろは5領域でしたが、現在は「吃音・小児構音障害領域」が加わっています。
開催される領域は年度によって変わるため、希望の領域がその年に開かれないこともあります。 領域は、今の担当患者さんの層と、これから深めたい分野が重なるものを選ぶと、講習会の内容を日々の臨床にすぐ生かせます。
認定は領域ごとに取る資格です。講習会も領域ごとに開かれるため、嚥下と失語の両方を担当していても、受ける領域を1つ選ぶことになります。まずは担当件数が多く、症例を説明しやすい領域から考えるのがおすすめです。
言語聴覚士の対象領域ごとの仕事内容は、以下の記事で詳しく紹介しています。
試験と認定の判定
協会の公開ページには、講習会の試験方法や合格基準、合格率は掲載されていません。 2018年度に摂食嚥下障害領域を取得した島根大学医学部附属病院の言語聴覚士の報告では、認定要件は次のとおりでした。
この報告では、満5年を超える臨床経験・専門プログラム修了に加えて、その年度の協会会費を納めていることも要件に含まれています。
試験の形式や判定方法は年度・領域で変わる可能性があるため、受講する年度の募集要項で確認しましょう。
6日間通ったあとに試験があると思うと、ちょっと緊張するよね
参考:日本言語聴覚士協会「生涯学習プログラムについて」 / 島根大学医学部「平成30年度 病院医学教育研究助成成果報告書(認定言語聴覚士の取得)」
取得にかかる費用と期間

認定言語聴覚士の取得には、基礎プログラム・専門プログラム・講習会の3段階それぞれで、時間と費用がかかります。 費用は「協会の会費」と「講座・講習会の受講料」の2本立てで考えると整理しやすくなります。
プログラムの受講費用
基礎・専門プログラムは正会員が対象なので、まず協会の入会金と年会費がかかります。
-
入会金3,000円(学生会員から正会員になる場合は免除)
-
年会費(正会員)10,000円
-
資格取得年度に入会した場合の初年度年会費5,000円
基礎講座・専門講座(新プログラムの初級・中級講座)の受講料は、都道府県士会や全国研修会など主催ごとに講座の案内で示されます。 講座ごとに金額が異なり、協会として一律の金額は公開されていないため、申し込む講座の詳細ページで確認しましょう。
講習会の受講費用
認定言語聴覚士講習会の受講料も、年度・領域ごとの講習会案内で示されます。
6日間の講習会は開催地まで通うこともあるため、受講料に加えて交通費や宿泊費も見込んでおくと計画が立てやすくなります。 研修費や出張扱いの有無は職場によって違うため、受講を決めたら上司に相談しておくと安心です。
- 受講料は講座・講習会ごとの案内で確認
- 6日間分の交通費・宿泊費も予算に入れる
- 研修費の補助や出張扱いの有無を職場に確認
免許取得から認定までにかかる年数
協会が示す目安と講習会の受講要件を積み上げると、最短で臨床6年目、新プログラムの学習モデルでは6〜7年目ごろに講習会を受ける流れです。
| 段階 | 時期の目安 | 会費 | 講座・講習会の受講料 |
|---|---|---|---|
| 基礎プログラム | 入会1〜3年目 | 28,000円入会金3,000+5,000+10,000×2 | 講座ごとに設定 |
| 専門プログラム | 入会4〜5年目 | 20,000円10,000×2 | 講座ごとに設定 |
| 講習会・試験 | 臨床6年目以降 | 10,000円10,000×1 | 年度・領域ごとに設定 |
| 合計 | 最短6年 | 58,000円 | +受講料・交通費 |
講習会は年単位の開催で、希望の領域がその年に開かれないと翌年以降に持ち越しになります。 症例検討会の日程が合わずに基礎プログラムの修了が遅れることもあるため、入会1〜2年目から講座とポイントを並行してためておくのが近道です。
会費だけでも6年で約6万円。早めに計画しておくと安心だね
参考:日本言語聴覚士協会「会員及び会費に関する規程」 / 日本言語聴覚士協会「生涯学習プログラム」
認定後の更新の条件

認定言語聴覚士は一度取れば終わりではなく、5年ごとの更新が必要です。 更新は自動ではなく、期限内に申請しないと認定は取り消されます。
更新の周期
認定期間は5年を1クールとしています。 島根大学医学部附属病院の報告では、2019年1月に取得した認定の期間が2024年3月31日までとされていて、この例では期限が年度末で区切られています。
更新申請はオンラインまたは郵送で受け付けていて、申請用紙や詳細は会員マイページに掲載されています。 5年は長いようで、学会発表の準備などには時間がかかるため、取得した年から更新の計画を立てておくと慌てずにすみます。
言語聴覚士の求人を探す更新に必要な要件
従来の更新要件は、5年の期限内に次の3つのうち2つを満たすことです。
- 日本言語聴覚学会に2回以上参加(または日本言語聴覚学会1回と関連学会1回以上)
- 全国規模の学会で認定領域に関する発表をする
- 認定領域に関する社会的貢献活動をする(研修会講師・論文査読・学会運営・患者会の運営支援など)
新しい生涯学習プログラムでは、更新要件も単位制に切り替わります。
新プログラムでは、学会参加・発表などの「3つのうち2つ」から、上級講座の受講と活動単位の積み上げに軸足が移ります。
自分の更新時期にどちらの要件が適用されるかは、会員マイページの「生涯学習プログラム2026の手引き」で確認しておきましょう。
5年かけて少しずつ単位をためれば大丈夫だよ
参考:日本言語聴覚士協会「生涯学習プログラムについて」 / 日本言語聴覚士協会「生涯学習プログラム」
認定言語聴覚士を取得するメリット

言語聴覚士は、言語聴覚士法に基づいて国家試験に合格し、厚生労働大臣の免許を受ける国家資格です。 一方、認定言語聴覚士は国家資格ではなく、日本言語聴覚士協会が独自に設けている認定資格です。
そのため、職場での扱いは施設によって差がありますが、専門性を客観的に示せる点は共通したメリットです。
専門領域での評価
協会によると、2008年度の制度開始から2025年度までに認定された言語聴覚士は全領域で1,278名です。
最も多い摂食嚥下障害領域でも563名で、成人発声発語障害や吃音・小児構音障害の領域は100名未満です。 協会サイトでは、掲載を許可した認定言語聴覚士の一覧が領域別に公開されていて、第三者が認定の事実を確認できるのも特徴です。
さらに協会は、認定取得と1回の更新(通算10年以上の実務経験)などを要件とする「専門言語聴覚士」を新設しました。 認定言語聴覚士は、その先のキャリアにつながる段階としても位置づけられています。
転職や配置での扱い
認定言語聴覚士を求人でどう評価するかは、職場によって異なります。 それでも、履歴書や面接で「どの領域で、どれだけの研修と症例を積んできたか」を説明する根拠になります。
30秒でかんたん登録!
無料で応募書類テンプレをプレゼント
院内では、嚥下チームや失語外来など、領域に合った業務の担当や院内研修の講師を任されるきっかけになることもあります。 配置の希望を伝えるときにも、認定領域を具体的な理由として示せます。
リハビリ職の転職活動の進め方は、以下の記事にまとめています。
手当や昇給への影響
認定言語聴覚士に対する資格手当や昇給の扱いは、公的な統計や基準がなく、職場ごとの規程で決まります。 手当を出す職場もあれば、評価項目の1つとして扱うだけの職場もあります。
手当がなくても、積み上げた学びは臨床でちゃんと生きるよ
手当を目的に取得を考えているなら、今の職場の規程と、転職先候補の待遇を比べてから計画すると、取得後のギャップを防げます。
参考:日本言語聴覚士協会「生涯学習部 認定言語聴覚士の一覧」 / e-Gov法令検索「言語聴覚士法」
まとめ
認定言語聴覚士になるには、協会の正会員として基礎・専門プログラムを修了し、臨床6年目以上で講習会を受けて試験に合格する必要があります。
生涯学習プログラムは2027年度に新しい単位制へ完全移行するため、今の記録をどちらの要件で申請するかも計画の一部です。
この記事のポイント
- 講習会の受講は臨床6年目以上と専門プログラム修了が条件
- 基礎→専門→講習会の3段階で、最短でも臨床6年目
- 講習会は2日間×3回で、開催領域は年度ごとに変わる
- 会費は入会金3,000円と年会費10,000円が基本
- 更新は5年ごとで、申請しないと認定は取り消し
- 手当や昇給の扱いは職場の規程しだい
まずは協会のマイページで今のポイントや受講記録を確認し、取得したい領域と講習会の時期を決めるところから始めてみましょう。 認定取得を評価してくれる職場や、研修に参加しやすい職場を探したいときは、転職エージェントに条件を伝えて求人を比べてもらう方法もあります。


