ドラッグストアで役立つ資格は?立場別の選び方と資格を取る前に確認すること
これからドラッグストアで働きたいと考えている方や既にドラッグストアで働いている方の中には、「何か役立つ資格を取ったほうがいいのだろうか」と考える場面が出てきます。ただ、資格の一覧を眺めても、その資格を取ると自分の働き方や待遇がどう変わるのかまでは見えてきません。
ドラッグストアで役立つ資格は、大きく3つのタイプに分かれます。任される業務そのものが増える資格、店舗管理者などの要件を満たすための資格、資格手当や人事評価につながる資格です。役立ち方が違えば、取るべき資格も変わります。
この記事では、ドラッグストアで役立つ資格を「医薬品の販売」「売場づくり・接客」「健康食品・化粧品」の分野ごとに整理したうえで、無資格の販売スタッフ・登録販売者・薬剤師という立場別に、どの資格から取ればよいかを解説します。
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ドラッグストアで働くのに資格は必要か?

結論からお伝えすると、ドラッグストアで働くこと自体に資格は必要ありません。実際、多くの店舗では無資格の販売スタッフが在籍しています。
ただし、店内で扱う商品のうち医薬品については、誰が販売できるかが法律で決まっています。医薬品医療機器等法(薬機法)は、一般用医薬品を第一類・第二類・第三類の3つに区分し、それぞれ販売に従事できる人を定めています。この線引きを知っておくと、自分が任されている仕事と任されていない仕事の理由が見えてきます。
まずは「資格がなくてもできること」と「資格がないとできないこと」を分けて確認していきましょう。
資格がなくてもできる業務の範囲
食品・日用品・化粧品といった医薬品以外の商品については、販売・接客とも資格は不要です。品出しや陳列、レジ、発注、清掃、売場のPOP作成なども、資格がなくても担当できます。ドラッグストアの売上構成を考えると、この範囲だけでも店舗運営の大きな部分を占めています。
- 食品・日用品・化粧品などの販売と接客
- 品出し・陳列・在庫管理・発注
- レジ業務、売場づくり、POP作成
- 店舗の清掃、シフト管理などの店舗運営業務
見落とされがちですが、無資格で働く期間には別の意味もあります。薬局や店舗販売業で、薬剤師または登録販売者の管理・指導のもとに実務へ従事した期間は、「一般従事者としての実務従事期間」として扱われます。この期間は、あとで登録販売者が店舗管理者になる際の従事期間に算入されます。
つまり、資格を取る前に働いていた期間も無駄にはなりません。この点は、登録販売者を目指すうえで知っておくと計画が立てやすくなります。
資格がないとできない業務の範囲
一方で、医薬品の販売とそれに伴う情報提供は、薬剤師または登録販売者にしか行えません。誰が販売できるかは、医薬品の区分によって変わります。
要指導医薬品と第一類医薬品を販売できるのは薬剤師だけです。とくに第一類医薬品では、薬剤師が所定の事項を記載した書面を用いて情報を提供することが義務づけられています。第二類医薬品と第三類医薬品は、薬剤師または登録販売者が販売でき、第二類については情報提供が努力義務とされています。
なお、お客さまから相談があった場合の情報提供は、区分にかかわらずすべての一般用医薬品で義務です。区分ごとの違いを整理すると、次のようになります。
| 区分 | 販売できる人 | 販売時の情報提供義務 | 相談があった場合 |
|---|---|---|---|
| 要指導医薬品 | 薬剤師のみ | 対面等での情報提供・薬学的知見に基づく指導が義務 | 義務(薬剤師) |
| 第一類医薬品 | 薬剤師のみ | 書面を用いた情報提供が義務 | 義務(薬剤師) |
| 第二類医薬品 | 薬剤師または登録販売者 | 情報提供は努力義務 | 義務(薬剤師または登録販売者) |
| 第三類医薬品 | 薬剤師または登録販売者 | 情報提供義務の規定なし | 義務(薬剤師または登録販売者) |
さらに、2026年5月1日施行の改正により、従来「濫用等のおそれのある医薬品」とされていた成分を含む医薬品が「指定濫用防止医薬品」として位置づけられました。販売時には、薬剤師または登録販売者による書面を用いた情報提供と、他の医薬品の使用状況などの確認が義務になっています。あわせて、18歳未満の方への販売や、省令で定める数量を超える販売が原則として禁止されました。
こうした確認や声かけを担うのは、資格を持つスタッフです。医薬品を扱う業務に踏み込みたい場合は、登録販売者または薬剤師の資格が出発点になります。
参考:e-Gov法令検索「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」 / 厚生労働省「医薬品の販売制度」 / 厚生労働省「2026年5月1日施行の医薬品販売制度の改正内容をご紹介します」
ドラッグストアで「役立つ」資格の3つのタイプ

「役立つ資格」と一口にいっても、役立ち方は同じではありません。ドラッグストアの場合、大きく3つのタイプに分けて考えると、自分の目的に合う資格が選びやすくなります。
タイプが違えば、取得の難易度も、取ったあとに起きる変化も変わります。ここで全体像をつかんでおくと、このあと紹介する個別の資格が自分にとってどの位置づけになるかを判断できます。
任される業務が増える資格
1つ目は、法律上できる業務そのものが増えるタイプです。ドラッグストアではこれが登録販売者と薬剤師にあたります。
登録販売者になると、第二類医薬品と第三類医薬品の販売と情報提供を担当できます。薬剤師であれば、要指導医薬品と第一類医薬品を含むすべての一般用医薬品に加え、調剤も担当できます。
このタイプは、資格の有無で担当できる売場そのものが変わるため、店舗にとっての必要度が高いという特徴があります。シフトの組み方にも直結するため、勤務時間や働き方の選択肢が広がりやすい点も、他のタイプにはない性質です。
店舗管理者などの要件を満たす資格
2つ目は、店舗の責任者になるための要件を満たすタイプです。登録販売者の資格を取ることがゴールではなく、その先に店舗管理者という段階があります。
第二類・第三類医薬品を販売する店舗の店舗管理者になれる登録販売者の条件は、2023年(令和5年)4月1日施行の改正で3つのルートに整理されました。なかにあ「通算2年以上」とだけ書かれている記事もありますが、現在はそれだけではありません。
| 区分 | 従事期間要件 | 研修要件 | その他条件 |
|---|---|---|---|
| ルート1 | 過去5年間のうち、通算2年以上(月80時間以上従事した月を算入) | 不要 | ― |
| ルート2 | 過去5年間のうち、通算1年以上(月160時間以上従事した月を算入) | 継続的研修(年12時間以上)と追加的研修(6時間以上)を修了 | ― |
| ルート3 | 通算1年以上 | 不要 | 店舗管理者または区域管理者としての業務経験がある |
| 救済規定 | 月単位で通算1年以上または2年以上あり、かつ過去5年間の合計が1,920時間以上 | ― | 月あたりの時間数は問わない |
ここでいう「従事期間」には、一般従事者として薬剤師や登録販売者の管理・指導のもとで実務に従事した期間も含まれます。研修を組み合わせれば、通算1年以上でも店舗管理者になれる道があるという点は、キャリアの見通しを立てるうえで大きな違いになります。
これらのいずれにも該当しない登録販売者は、法令上「研修中の登録販売者」と位置づけられます。名札にその旨がわかる表記が必要になるほか、店舗管理者の代行者になることもできません。
資格手当や人事評価につながる資格
3つ目は、法律上の業務範囲は変わらないものの、社内での評価や手当につながるタイプです。販売士やサービス接遇検定、日本化粧品検定などの民間資格がこれにあたります。
このタイプは、取得しても任される業務が自動的に増えるわけではありません。売場づくりや接客の質を上げたり、特定の商品分野での提案力を示したりすることで、評価につながっていく性質のものです。
ただし、資格手当の有無や金額は勤務先ごとに大きく異なり、公的な統計は存在しません。「この資格を取れば月いくら」という一般的な相場を前提に考えるのは避けたほうがよいでしょう。取得を検討する段階で、勤務先の規程を確認することをおすすめします。
参考:厚生労働省「登録販売者制度の取扱い等について(令和5年3月31日 薬生発0331第16号)」 / 厚生労働省「登録販売者に対する研修の実施要領について(令和5年3月31日 薬生総発0331第6号)」
今のあなたの状況は?
医薬品の販売に関わる資格

ここからは分野別に具体的な資格を見ていきます。まず、ドラッグストアで最も直接的に効いてくるのが医薬品の販売に関わる資格です。
前章のタイプでいえば、登録販売者と薬剤師が「任される業務が増える資格」、漢方薬・生薬認定薬剤師が「評価や専門性につながる資格」にあたります。取得の難易度も期間も大きく異なるため、順に確認していきましょう。
登録販売者
登録販売者は、一般用医薬品のうち第二類・第三類を販売するための公的資格です。ドラッグストアで働きながら目指す人が最も多い資格といえます。
試験は都道府県知事が実施し、法令上は毎年少なくとも1回行われます。試験科目は「医薬品に共通する特性と基本的な知識」「人体の働きと医薬品」「薬事に関する法規と制度」「主な医薬品とその作用」「医薬品の適正使用と安全対策」の5科目、全120問の多肢選択式です。
受験に学歴や実務経験の要件はありません。かつては実務経験などが求められていましたが、2015年4月1日施行の改正で廃止されており、現在は誰でも受験できます。受験手数料は都道府県ごとに設定されており、13,000円台から15,000円台と幅があります。
厚生労働省が公表している令和6年度の全国の実施状況は、受験者数54,526人、合格者数25,459人、合格率46.7%でした。おおむね2人に1人が合格する水準です。近年の推移を見ると、合格率は令和5年度を底に持ち直しています。
合格したあとに必要な手続き
- 試験に合格しただけでは医薬品を販売できません
- 勤務先の店舗がある都道府県知事の「販売従事登録」を受ける必要があります
- 申請には合格を証明する書類や、使用関係を証する書類などの添付が必要です
薬剤師
薬剤師は、要指導医薬品と第一類医薬品を含むすべての一般用医薬品を販売でき、さらに調剤も担当できる国家資格です。調剤併設型のドラッグストアが増えるなかで、担える業務の幅は広がっています。
取得には6年制の薬学部を卒業したうえで国家試験に合格する必要があるため、すでに働いている販売スタッフが短期間で目指す資格ではありません。ただし、ドラッグストアでのキャリアを長期で考える場合には、選択肢として押さえておく価値があります。
厚生労働省の令和6年医師・歯科医師・薬剤師統計によると、全国の届出薬剤師数は329,045人です。勤務先の内訳を見ると、最も多いのは薬局の従事者で、全体の6割を占めています。
- 薬局 197,437人 60.0%
- 医療施設 63,290人 19.2%
- 医薬品関係企業 34,184人 10.4%
- 衛生行政機関等 6,906人 2.1%
- 大学 5,011人 1.5%
- その他 20,976人 6.4%
なお、調剤を行うドラッグストアは統計上「薬局」に分類されるため、ドラッグストア勤務の薬剤師数を直接示す公的統計は存在しません。数字を見る際は、この点に注意が必要です。
漢方薬・生薬認定薬剤師
漢方薬・生薬認定薬剤師は、漢方薬や生薬に関する専門的な知識を持つ薬剤師であることを認定する制度です。公益財団法人日本薬剤師研修センターと日本生薬学会が合同で認定しています。
ドラッグストアでは漢方薬や生薬製剤を扱う機会が多く、お客さまから体質や症状に合わせた相談を受ける場面もあります。専門的に答えられることが強みになりやすい分野です。
ただし、この資格は誰でも受けられるものではありません。認定申請ができるのは日本国の薬剤師免許を持っている方に限られます。
取得までは、「漢方薬・生薬研修会」を受講し、薬用植物園実習を修了したうえで試問に合格し、認定申請を行うという流れになります。研修会は年度ごとに実施され、受講料は座学・インターネット研修のいずれも同額です。
参考:厚生労働省「医薬品の販売制度」 / 厚生労働省「これまでの登録販売者試験実施状況等について」 / 厚生労働省「令和6(2024)年医師・歯科医師・薬剤師統計の概況」 / 公益財団法人日本薬剤師研修センター「漢方薬・生薬認定薬剤師になるには」 / 公益財団法人日本薬剤師研修センター「2026年度 漢方薬・生薬研修会」
売場づくり・接客に関わる資格

医薬品以外の分野に目を向けると、売場づくりや接客に関わる資格があります。ドラッグストアは食品や日用品の比重が大きく、医薬品の知識だけでは店舗の成果につながりにくい面があるためです。
このタイプの資格は法律上の業務範囲を広げるものではありませんが、店舗運営やチームのリーダーを目指す場合に、知識の裏づけとして使えます。いずれも下位級の合格などの前提条件がなく、働きながら取りやすい点も共通しています。
リテールマーケティング(販売士)検定
小売業の知識を体系的に学べる検定です。かつては「販売士」と呼ばれていましたが、現在の正式名称は「リテールマーケティング(販売士)検定試験」で、日本商工会議所と各地商工会議所が実施しています。
区分は1級・2級・3級の3段階です。3級は販売担当者向けで、マーケティングの基本的な考え方や流通・小売業の基礎知識を対象としています。2級は販売促進の企画や店舗管理を担うリーダー向け、1級は経営管理まで踏み込んだ内容で、マーケティング責任者やコンサルタント向けの水準とされています。
受験料は3級4,400円、2級6,600円、1級8,800円(いずれも税込)で、別途、事務手数料550円(税込)がかかります。下位級に合格していなくても、どの級からでも受験できます。2021年度からは1級から3級までネット試験方式に移行しており、会場が定める日時から選んで受験できます。
なお、この資格には5年ごとの更新制度があります。有効期限までに更新講習または日本商工会議所指定の資格更新通信教育講座を受講・修了しないと失効するため、取得後の維持も含めて考える必要があります。
サービス接遇検定
接客の考え方や対応の仕方を学べる検定で、公益財団法人実務技能検定協会が主催しています。ドラッグストアのように、体調がすぐれない状態で来店されるお客さまが多い業態では、応対の質が店舗の印象を左右します。
区分は1級・準1級・2級・3級の4段階です。受験料は3級3,800円、2級5,200円、準1級5,900円、1級7,800円(いずれも税込)となっています。受験資格に制限はなく、どなたでも受験できます。
試験形式は級によって異なります。2級・3級は選択問題(マークシート方式)と記述問題、1級は記述問題のみ、準1級は面接試験のみという構成です。2級・3級にはCBT試験があり、全国約300カ所のテストセンターで都合のよい日程を選んで受験できます。統一試験日に合わせて休みを取る必要がない点は、シフト勤務と両立しやすい要素です。
POP広告クリエイター技能審査試験
売場のPOPを作る技能を対象とした試験で、一般社団法人公開経営指導協会が実施しています。ドラッグストアでは手書きPOPが売場づくりの重要な要素になっており、日々の業務に直結しやすい資格です。
試験は年2回(8月と2月を予定)実施され、受験料は5,500円です(個人申込の場合は別途、郵送用の切手代220円がかかります)。受験条件は特になく、誰でも受験できます。
内容は学科試験と実技試験に分かれます。学科は30分・正誤式50問、実技は160分で、レタリング、装飾文字、ショーカード、プライスカード、ポスター風POPの作成などが出題されます。合格基準は学科・実技とも100点満点中60点以上です。
POP関連には、実施団体の異なる別資格が複数あります。ここで紹介しているのは公開経営指導協会の「POP広告クリエイター技能審査試験」です。申し込む前に、実施団体名まで確認しておくと間違いがありません。
3つの資格を並べると、費用や受験のしやすさの違いがはっきりします。
| 級 | 受験料(税込) | 実施方式 |
|---|---|---|
| 3級 | 4,400円 | ネット試験方式 |
| 2級 | 6,600円 | ネット試験方式 |
| 1級 | 8,800円 | ネット試験方式 |
| 級 | 受験料(税込) | 実施方式 |
|---|---|---|
| 3級 | 3,800円 | CBT・随時受験可 |
| 2級 | 5,200円 | CBT・随時受験可 |
| 準1級 | 5,900円 | 一斉試験 |
| 1級 | 7,800円 | 一斉試験 |
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 受験料(税込) | 5,500円 |
| 実施回数 | 年2回(8月・2月予定) |
| 試験内容 | 学科30分・正誤式50問/実技160分 |
| 合格基準 | 学科・実技とも100点満点中60点以上 |
参考:日本商工会議所「販売士 販売士とは | 商工会議所の検定試験」 / 日本商工会議所「2024年度からのリテールマーケティング(販売士)検定試験の受験料改定のお知らせ」 / 公益財団法人実務技能検定協会「受験要項 | サービス接遇検定 | ビジネス系検定」 / 一般社団法人公開経営指導協会「POP検定 | 公開経営指導協会」
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健康食品・化粧品の販売に関わる資格

ドラッグストアでは、サプリメントや健康食品、化粧品も主力商材です。これらの売場を任される場合、商品知識に加えて「何をどこまで説明してよいか」という表示・広告のルールも関わってきます。
この分野の資格は、受験要件や費用の構造が資格ごとにかなり違います。講座の受講が必須になっているものや、協会への入会が前提になっているものがあるため、受験料だけを見て比較すると実際の負担を見誤ります。順に確認していきましょう。
NR・サプリメントアドバイザー
一般社団法人日本臨床栄養協会が認定する資格で、健康食品やサプリメントについて助言を行うための知識を対象としています。「NR」は栄養情報担当者(Nutritional Representative)の略称です。
受験資格は、その年の4月1日時点で18歳以上であること、日本臨床栄養協会の会員であること、初回受講のNR・サプリメントアドバイザー講座(通信教育)を受講していることの3点です。管理栄養士や薬剤師などの国家資格は必要ありませんが、協会への入会と講座受講が前提になっている点で、他の検定とは性格が異なります。
費用は段階的に発生します。協会の正会員は入会金1,000円・年会費8,000円、初回受講の通信講座が51,000円、認定試験の受験料が15,300円(税込)です。試験は年1回のCBT方式で、13科目・五肢択一式90題・120分という構成になっています。
更新は5年ごとで、協会の会員であることに加え、研修単位50単位の取得が必要です。取得後も継続的な学習が求められる制度といえます。
食生活アドバイザー
一般社団法人FLAネットワーク協会が実施する検定で、食と生活に関する幅広い知識を対象としています。食品売場の比重が大きいドラッグストアでは、商品説明の土台として活かしやすい内容です。
現在は3級・2級・1級の3区分があります。3級と2級は受験資格の制限がなく、どなたでも受験できます。一方、1級の受験資格は食生活アドバイザー2級の有資格者に限られるため、いきなり1級から受けることはできません。
受験料(税込)は3級6,000円、2級8,000円、3級・2級の併願で14,000円、1級は10,000円です。試験時間はいずれも90分で、3級・2級はマークシート形式、1級はマークシート形式に記述式問題が加わります。
個人受験は6月と11月の年2回実施されます。受験機会が限られるため、申込期間を逃すと半年待つことになる点は計画に入れておきましょう。
日本化粧品検定
一般社団法人日本化粧品検定協会が実施する検定で、化粧品や美容に関する知識を対象としています。化粧品売場での接客や、カウンセリングに近い提案を担当する場合に活かしやすい資格です。
区分は3級・準2級・2級・1級に加え、上位資格として特級(コスメコンシェルジュ)があります。3級はオンラインで受験でき、受験料は無料です。準2級は4,950円でオンライン随時受験、2級は8,800円、1級は13,200円(いずれも税込)で、1級・2級はマークシート方式の会場試験として5月と11月の年2回実施されます。
準2級から1級までは受験資格の制限がなく、何級からでも受験できます。2級に合格していなくても1級を受けられるため、目的に合わせて級を選べます。
一方、特級のコスメコンシェルジュは日本化粧品検定1級の合格者だけが目指せる資格です。1級合格に加えて協会への入会、養成講座の受講と修了試験の合格が必要で、養成講座・試験費用は29,700円(税込)、協会の入会金10,000円と年会費10,000円が別途かかります。
薬機法管理者
薬機法管理者は、健康食品や化粧品などの広告表現に関わる知識を対象とした民間資格です。薬事法ドットコムが運営するe-ラーニングで提供されており、薬機法や景品表示法、機能性表示食品などを学びます。
ドラッグストアでは、POPや店内の案内文で商品の効果をどう表現するかが日常的な課題になります。表現を誤ると法令違反につながる領域であるため、売場づくりを任される立場では知識の価値が高い分野です。
取得には、認定試験受験対策講座の修了試験に合格したうえで、薬機法管理者資格認定試験に合格し、登録講習を受講する必要があります。学歴や職歴による受験要件はなく、講座を申し込めば受講・受験できます。
費用は、講座と資格試験のセットが89,800円(税込)、講座のみが59,800円、資格試験のみが30,000円です。資格の有効期間は認定日から1年間で、毎年の更新が必要になります。更新費用は1回目・2回目が各20,000円、3回目以降が10,000円です。
ここまでの4つの資格について、初回に必要な費用を積み上げて比べると、負担の差がはっきりします。
参考:一般社団法人日本臨床栄養協会「NR・サプリメントアドバイザー認定試験について」 / 一般社団法人日本臨床栄養協会「会員制度 入会案内」 / 一般社団法人FLAネットワーク協会「受験案内│食生活アドバイザー®【公式HP】」 / 一般社団法人日本化粧品検定協会「受験案内・実施要項 | 日本化粧品検定」 / 一般社団法人日本化粧品検定協会「日本化粧品検定特級 コスメコンシェルジュ」 / 薬事法ドットコム「価格表 – 【公式】薬機法管理者資格取得・コスメ薬機法管理者資格取得ならYDCのe-ラーニング」
立場別に見る資格を取る順番

ここまで分野ごとに資格を見てきましたが、実際に迷うのは「自分はどれから取ればよいか」という点です。同じドラッグストア勤務でも、無資格の販売スタッフ・登録販売者・薬剤師では、次の一手が変わります。
順番を考えるうえでの基準は2つあります。ひとつは、任される業務が増える資格を優先すること。もうひとつは、取得までに時間がかかる要件は早く走らせておくことです。従事期間のように、日々の勤務そのものが積み上がっていく要件は、意識した時点から数え始めるより早いほうが有利になります。
無資格の販売スタッフが最初に取る資格
無資格の販売スタッフであれば、最初に検討したいのは登録販売者です。理由は明確で、担当できる売場そのものが変わる唯一の現実的な選択肢だからです。
受験に学歴や実務経験は必要ないため、働きながら学習を始められます。今の勤務期間が、資格取得後の店舗管理者要件にそのまま算入される点も見逃せません。薬剤師や登録販売者の管理・指導のもとで実務に従事した期間は、一般従事者としての実務従事期間として扱われます。
登録販売者の学習と並行して余力がある場合は、リテールマーケティング(販売士)検定の3級や、サービス接遇検定の3級・2級が候補になります。いずれも受験資格がなく、費用も数千円台に収まります。
ただし、同時に複数を狙うと学習が分散します。まずは登録販売者に集中し、合格後に売場・接客系へ広げるほうが、結果的に早く形になりやすいでしょう。
登録販売者が次に取る資格
すでに登録販売者として働いている場合、次の一手は目指す方向によって分かれます。
店舗の責任者を目指すなら、優先すべきは資格ではなく研修です。前述のとおり、過去5年間のうち従事期間が通算1年以上あれば、継続的研修と追加的研修を修了することで店舗管理者になれるルートがあります。継続的研修は毎年度少なくとも12時間以上、追加的研修は計6時間以上と定められています。
店舗管理者を目指すときの確認事項
- 自分の従事期間が通算で何年何か月になるかを把握する
- 従事期間の証明は勤務先に求めることができる(虚偽の証明は禁じられています)
- 通算2年以上のルートでは追加的研修の修了は必要ありません
- 継続的研修と追加的研修は別物で、1年ルートでは両方が必要です
一方、売場づくりや店舗運営の力を伸ばしたいなら販売士検定、担当する商品分野の提案力を高めたいなら日本化粧品検定や食生活アドバイザーが候補になります。担当売場が決まっている場合は、その分野の資格を選ぶほうが日々の業務に還元されやすくなります。
薬剤師が取ると強みになる資格
薬剤師の場合、法律上の業務範囲はすでに最も広い状態です。そのため、次の資格は業務範囲ではなく専門性や店舗の体制づくりに関わるものになります。
ドラッグストアでの相談対応に直結しやすいのが、漢方薬・生薬認定薬剤師です。漢方薬や生薬製剤の相談は、市販薬の売場で受ける機会が多く、専門的に答えられることが差別化につながります。
もうひとつの方向が、健康サポート薬局に関わる研修です。健康サポート薬局の届出には、所定の研修を修了し、薬局において薬剤師として5年以上の実務経験がある薬剤師が常駐していることが必要になります。研修は技能習得型8時間と知識習得型22時間相当の合計30時間で構成され、修了証は発行から6年間有効です。
なお、健康サポート薬局の研修修了に研修認定薬剤師の資格は要件とされていません。要件は研修の修了と5年以上の実務経験の2点である点を、あわせて押さえておくとよいでしょう。
参考:厚生労働省「登録販売者制度の取扱い等について(令和5年3月31日 薬生発0331第16号)」 / 厚生労働省「登録販売者に対する研修の実施要領について(令和5年3月31日 薬生総発0331第6号)」 / 公益社団法人日本薬剤師会「日本薬剤師会・日本薬剤師研修センターが行う「健康サポート薬局研修」について」
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資格を取る前に確認しておくこと

取りたい資格が決まったら、申し込む前に確認しておきたいことが3つあります。費用の負担を軽くできる制度があるか、その資格が勤務先の評価対象になるか、そして自分の生活のなかで学習時間を確保できるかです。
とくに費用は、受験料だけを見ていると実際の負担を見誤ります。講座受講が必須の資格や、更新のたびに費用が発生する資格もあるためです。順に確認していきましょう。
勤務先に資格取得支援制度があるか確認する
多くのドラッグストアでは、資格取得を支援する制度が用意されています。受験料の補助、講座費用の負担、合格時の報奨金など、内容は企業によってさまざまです。まずは就業規則や社内規程で、対象となる資格と支援の範囲を確認してみてください。
勤務先の制度とは別に、国の制度も使える場合があります。代表的なのが厚生労働省の教育訓練給付制度です。
給付率のうち特定一般・専門実践の上乗せ分は、令和6年10月以降に開講する講座が対象です。支給要件期間(雇用保険の被保険者であった期間)は、一般・特定一般が3年以上(初めて受給する場合は1年以上)、専門実践が3年以上(初めての場合は2年以上)とされています。
一般教育訓練では、給付額が4,000円を超えない場合は支給されません。受講費用が2万円以下の講座は対象外になる計算です。登録販売者の講座は一般・特定一般・専門実践のいずれの区分にも指定されているものがあり、対象講座は厚生労働省の教育訓練講座検索システムで確認できます。
なお、企業向けには人材開発支援助成金という制度もありますが、これは事業主が申請するものです。働く側が直接申請する制度ではないため、勤務先が活用しているかどうかを確認する形になります。
資格手当の対象になる資格か確認する
資格を取る動機として資格手当を挙げる方は少なくありません。ただし前述のとおり、資格手当の金額を示した公的統計や大規模調査は存在せず、企業ごとに大きく異なります。「月◯万円もらえる」という前提で計画を立てるのは避けたほうが安全です。
確認すべきなのは金額の相場ではなく、勤務先の規程です。
- 資格手当の金額を示した公的な統計はなく、企業ごとに大きく異なります
- 調べるのは相場ではなく、勤務先の規程にある支給の有無と対象資格です
- 「その業務に実際に従事していること」が支給条件の場合もあります
- 申し込む前に確認しておくと、取得後のギャップを防げます
もうひとつ知っておきたいのが、税制上の扱いです。
給与所得者の特定支出控除では、職務に直接必要な資格を取得するための支出が「資格取得費」として特定支出に含まれます。その年の特定支出の合計額が給与所得控除額の2分の1相当額を超える場合、確定申告により超える部分を差し引くことができます。
適用には、その支出が職務の遂行に直接必要であることについて、給与の支払者またはキャリアコンサルタントによる証明が必要です。また、教育訓練給付金が支給された部分や、勤務先から補てんされ課税されていない部分は特定支出に含まれません。給付と控除の二重取りはできない仕組みになっています。
受験費用と学習にかかる期間を見積もる
最後に、費用と時間を現実的に見積もっておきましょう。ここまで紹介した資格は、受験料だけを見ると数千円のものから、講座受講が前提で10万円近くかかるものまで幅があります。
見落としやすいのが、取得後にかかり続ける費用です。更新制度がある資格では、維持のためのコストと手間が発生します。
- 更新制度の有無と、更新までの間隔
- 更新に必要な講習や単位の要件
- 協会への入会や年会費が前提になっていないか
- 受験できる時期(年2回のみ、年1回のみなど)
更新のある資格は、間隔によって負担の重さが変わります。
学習期間についても、試験の実施時期から逆算して考えるとよいでしょう。登録販売者試験は都道府県が実施するため、試験日は都道府県ごとに異なります。一方、食生活アドバイザーは年2回、NR・サプリメントアドバイザーは年1回と、受験機会が限られる資格もあります。
シフト勤務と学習を両立させるには、無理のない範囲で計画を立てることが欠かせません。まず1つ取得して業務に活かし、次を考えるという進め方のほうが、途中で止まりにくくなります。
参考:厚生労働省「教育訓練給付金」 / ハローワークインターネットサービス「教育訓練給付金」 / 厚生労働省「Q&A~一般教育訓練給付金~」 / 国税庁「No.1415 給与所得者の特定支出控除」
まとめ
ドラッグストアで役立つ資格は、役立ち方によって3つのタイプに分かれます。任される業務が増える資格(登録販売者・薬剤師)、店舗管理者などの要件を満たす資格、資格手当や人事評価につながる民間資格です。自分がどれを求めているかで、選ぶべき資格は変わります。
無資格の販売スタッフであれば、まず登録販売者を目指すのが現実的です。受験に学歴や実務経験は不要で、今働いている期間もあとの店舗管理者要件に算入されます。すでに登録販売者であれば、店舗管理者を目指すのか、売場づくりや商品分野の専門性を伸ばすのかで次の一手が変わります。薬剤師の場合は、漢方薬・生薬認定薬剤師や健康サポート薬局の研修が候補になります。
申し込む前には、勤務先の資格取得支援制度と教育訓練給付制度を確認しておきましょう。資格手当については公的な相場が存在しないため、金額を前提にせず、勤務先の規程で対象と条件を確かめることが大切です。更新費用まで含めた総額と、受験できる時期から逆算した学習期間を見積もれば、無理のない計画が立てられます。
まずは自分の立場を確認し、次に取る1つを決めるところから始めてみてください。



