訪問マッサージは儲からない?収益が伸びにくい理由とあん摩マッサージ指圧師が稼ぐポイント

訪問マッサージは儲からない?収益が伸びにくい理由とあん摩マッサージ指圧師が稼ぐポイント イメージ
  • X
  • Facebook
  • LINE

「訪問マッサージは儲からない」という声を耳にして、開業や転職に踏み出せずにいる方は少なくありません。確かに、療養費の単価や1日に回れる件数には制度上の上限があり、何も考えずに始めると収益が伸び悩むのは事実です。

一方で、同じ訪問マッサージでも安定して稼いでいる施術者や事業所もあります。違いを生むのは、施術の腕だけでなく集患・単価設計・移動効率といった「事業としての設計」です。

この記事では、あん摩マッサージ指圧師が訪問マッサージで儲からないと言われる理由を整理したうえで、収入の実態と収益を伸ばすためのポイントを、公的データと最新の求人データをもとに具体的に解説します。

1 2 3
希望の雇用形態必須

プライバシーポリシーに同意して

お申し込みを受け付けました

以下からひな形と見本をダウンロードできます。

    訪問マッサージが儲からないと言われる理由

    頭を抱えて悩むあん摩マッサージ指圧師の男性施術者

    訪問マッサージが「儲からない」と言われる背景には、施術者個人の努力では変えにくい制度上の制約があります。健康保険の療養費を使う訪問マッサージは、単価も1日の施術件数も一定の枠の中で動くため、売上の上限が見えやすいのです。

    まずは、なぜ収益が伸びにくいと言われるのか、その理由を5つに分けて確認していきましょう。原因を正しく理解しておくと、後半で紹介する「稼ぐためのポイント」が腑に落ちやすくなります。

    1日に施術できる件数に限界がある

    訪問マッサージは、利用者さんのご自宅や施設を1軒ずつ訪ねて施術します。1回の施術時間に加えて移動の時間がかかるため、1人の施術者が1日に回れる件数は6〜7件程度が現実的な上限とされます。

    店舗型の治療院のように、空いた時間に次の予約を詰め込むということができません。施術件数がそのまま売上に直結する仕事である以上、1日の件数に上限があることは、収入の天井にそのままつながります。

    施術者が1人だけの事業形態では、この件数の壁が収益の限界を決めてしまいます。そのため「頑張っても売上が頭打ちになる」と感じやすいのです。

    訪問マッサージ|施術者1人の1日(イメージ)
    施術(45分)
    移動(20分)
    昼休憩
    1
    移動
    2
    移動
    3
    移動
    昼
    4
    移動
    5
    移動
    6
    移動
    7
    9:00 11:00 13:00 15:00 17:00

    療養費制度で単価が決まっている

    健康保険を使った訪問マッサージの料金は、施術者が自由に決められるわけではありません。厚生労働省が定める療養費の算定基準に沿って、施術した部位(局所)の数に応じて、定められた料金を積み上げて計算します。

    マッサージは、頭から胴体・両上肢・両下肢といった最大5つの局所単位で算定し、局所数が増えるごとに単価が加算される仕組みです。自由に高い料金を設定できる自費施術とは違い、保険の枠内では1回あたりの単価が固定されています。

    この単価の上限があるため、件数を増やさない限り売上は伸びにくく、「単価が低くて儲からない」と言われる一因になっています。

    算定基準
    訪問マッサージの療養費・単価構造(令和6年10月改定)
    訪問施術料(1人施術・1回あたり)― 2局所目以降は1局所ごとに450円加算
    1局所 2,750円
    2局所 3,200円
    3局所 3,650円
    4局所 4,100円
    5局所(上限) 4,550円
    局所の単位:躯幹・右上肢・左上肢・右下肢・左下肢(最大5部位)
    温罨法加算 180円 併施1回あたり
    変形徒手矯正術 470円 1肢1回あたり(加算)
    往療料(参考) 2,300円 訪問施術料に該当しない往療(距離加算は廃止)
    単価の上限 訪問施術料の上限は5局所で4,550円。どれだけ時間をかけても、告示で定められた単価以上を保険請求することはできない。

    移動時間が売上にならない

    訪問マッサージで見落とされがちなのが、移動時間のコストです。利用者さん宅の間を移動している時間は、施術をしていない以上、原則として売上を生みません。

    移動距離に応じて往療料が加算される仕組みはありますが、令和6年の改定で長距離の加算が見直されるなど、距離を稼げば稼ぐほど得をするという構造ではなくなっています。担当エリアが広く点在していると、1日の大半を移動に費やし、肝心の施術件数が伸びないことも起こります。

    売上を生まない移動時間をいかに減らすかは、訪問マッサージの収益を左右する重要なポイントです。

    開業初期は集患が難しい

    訪問マッサージは、開業してすぐに利用者さんが集まる仕事ではありません。利用者さんの多くは高齢者や障害のある方で、ケアマネジャーや医療機関からの紹介をきっかけに利用が始まるケースが中心です。

    開業したばかりの事業所は、この紹介ルートをまだ持っていません。地域での認知も信頼も積み上がっていないため、最初の利用者さんを獲得するまでに時間がかかります。

    施術の腕に自信があっても、知ってもらえなければ依頼は来ません。集患の仕組みが整うまでの数か月〜1年ほどは売上が安定しにくいことが、開業初期に「儲からない」と感じる大きな理由です。

    時期 紹介ルートの状況 月間訪問件数の目安 売上の安定度
    開業直後 〜3か月 ケアマネ・医療機関との関係なし 新規利用者はほぼゼロからのスタート 0〜10件 訪問先が安定せず稼働率が低い
    低
    固定費が先行しやすい
    定着期前半 3〜6か月 ケアマネへの挨拶回りが軌道に乗り始める 数名から紹介が入り始める段階 10〜30件 週あたりの訪問が徐々に増加
    やや低
    月によって収入の波が大きい
    定着期後半 6〜12か月 医療機関・介護施設との連携が生まれる 口コミ紹介が増え既存利用者が定着 30〜60件 週5日稼働に近づく術者が多い
    やや高
    毎月の売上が読みやすくなる
    安定期 12か月以降 複数のケアマネ・病院から継続紹介 紹介ネットワークが自走し始める 60件以上 訪問件数が収益の上限に近づく
    高
    安定収入が確保されやすい

    保険請求の事務負担が大きい

    療養費を使う訪問マッサージは、施術して終わりではありません。医師の同意書を取得し、施術録を付け、月ごとに療養費支給申請書(レセプト)を作成して保険者へ請求する、という事務作業が毎月発生します。

    書類に不備があれば支給が遅れたり、返戻(差し戻し)になったりすることもあります。施術者が1人で開業している場合、こうした事務をすべて自分でこなさなければならず、施術に充てられる時間が削られます。

    事務に時間を取られて施術件数が伸びないという形で、間接的に収益を圧迫するのが事務負担の問題です。

    参考:厚生労働省「あん摩マッサージ指圧、はり・きゅうの施術に係る療養費」 / 厚生労働省「様式一覧(はり師、きゅう師及びあん摩・マッサージ・指圧師の施術に係る療養費)」

    転職活動するなら?

    キャラクター

    訪問マッサージの収入・単価の実態

    電卓を持ち収入を確認するあん摩マッサージ指圧師

    「儲からない」という言葉だけが先行しがちですが、実際の収入はどのくらいなのでしょうか?ここでは、訪問マッサージで働く場合の単価・売上・収入の目安を、制度の仕組みと最新の求人データの両面から見ていきます。

    開業して自分で売上を作る場合と、治療院に雇われて働く場合とでは、収入の考え方が大きく変わります。それぞれの実態を押さえておくと、自分に合った働き方を選びやすくなります。

    1回あたりの施術単価

    健康保険を使う訪問マッサージの1回あたりの料金は、令和6年10月に新設された訪問施術料で計算します。施術した局所の数に応じて加算され、1回の施術料はおおむね2,750〜4,500円程度の水準になります。

    このうち、利用者さんが窓口で支払うのは1〜3割の自己負担分で、残りは保険者へ請求します。単価そのものは制度で決まっているため、保険施術だけで単価を大きく上げることはできません。

    単価を引き上げたい場合は、後述する自費施術を組み合わせる方法が現実的な選択肢になります。

    訪問マッサージ1回あたりの単価構造(令和6年10月改定)
    訪問施術料
    (1局所・1人施術)
    2,750 円〜
    1人施術の基本額
    2局所目以降は1局所ごとに加算
    +
    局所追加・加算
    (局所数・温罨法など)
    +450 円/局所
    温罨法は1回180円
    変形徒手矯正術は1肢470円
    =
    1回の施術料
    (局所数に応じる)
    2,750 〜 4,550円
    1〜5局所の総額の目安
    施術者が保険者に請求
    ×
    窓口負担
    (利用者が払う額)
    1〜3 割
    残り7〜9割は保険者
    (健保・国保等)へ請求
    ※ 令和6年10月に新設された訪問施術料(厚生労働省告示)に基づく概算。施術内容・局所数により変動する。

    開業した場合の売上の目安

    開業して施術者が1人で稼働する場合、売上は「1日の施術件数 × 単価 × 稼働日数」で決まります。仮に1日8件、1回3,000円前後、月22日稼働とすると、月の売上はおよそ50万円前後が一つの目安になります。

    ここから、車のガソリン代やレセプト関連費、広告費などの経費を差し引いた額が手元に残ります。件数を安定して埋められるかどうかで、売上は大きく変わります。

    月売上の試算(1日件数 × 単価 × 稼働22日)
    1日件数
    ↓  単価→
    2,500円 / 件 3,000円 / 件 3,500円 / 件
    6件 / 日 33万円330,000円 39.6万円396,000円 46.2万円462,000円
    8件 / 日 44万円440,000円 52.8万円528,000円本文例 61.6万円616,000円
    10件 / 日 55万円550,000円 66万円660,000円 77万円770,000円

    逆に言えば、集患が軌道に乗り、施術者を増やして件数の上限を広げられれば、売上を伸ばす余地は十分にあります。開業の費用や収益モデルの詳しい考え方は、以下の記事もあわせてご覧ください。

    雇われて働く場合の収入の目安

    開業せず、訪問マッサージを行う治療院や事業所に雇われて働く場合は、固定給や歩合給で収入を得ます。集患や事務、資金繰りのリスクを負わずに、施術に専念できるのが雇用で働くメリットです。

    医療キャリアナビ掲載求人データ(2026年時点)では、訪問マッサージの求人589件の平均月給は約28.2万円、中央値は27.5万円でした。あん摩マッサージ指圧師全体の平均とほぼ同水準で、施設形態の中でも安定した給与帯にあります。

    求人データで見る訪問マッサージの給与
    • 平均月給282,179円・中央値275,000円
    • あん摩マッサージ指圧師全体の平均282,295円とほぼ同水準
    • 給与レンジは月給16万〜60万円と幅がある
    なるほどね
    キャリアパートナー

    雇用であれば、開業初期の「売上が立たない期間」を心配する必要がありません。まずは雇われて現場経験を積み、収入の見通しを立ててから独立を考える道もあります。

    あん摩マッサージ指圧師全体の年収相場は、以下の記事で詳しく解説しています。

    参考:厚生労働省「あん摩マッサージ指圧、はり・きゅうの施術に係る療養費」

    あん摩マッサージ指圧師の求人を探す

    「儲からない」は本当?

    訪問マッサージの収益に疑問を抱くあん摩マッサージ指圧師の男女

    ここまで見てきたように、訪問マッサージには単価が固定され、件数に上限があるという制度上の天井が確かに存在します。では「訪問マッサージは儲からない」という言葉は、そのまま受け取ってよいのでしょうか。

    結論から言えば、「儲からない」のは制度のせいだけではなく、事業としての設計がうまくいっていないことに起因する面が大きいといえます。単価と件数の天井は誰にとっても同じ条件ですが、その枠の中で安定して収益を上げている事業所も数多くあります。

    差を生むのは、集患の仕組みを持っているか、移動を効率化できているか、自費施術で単価を補えているか、施術者を増やして件数の上限を広げているか、といった運営面の工夫です。逆に、これらの設計がないまま「腕さえあれば集まるだろう」と始めると、件数も単価も伸びずに「儲からない」結果になりやすいのです。

    つまり訪問マッサージは、構造を理解して設計すれば堅実に成り立つ事業だといえます。「儲からない」を制度のせいにして終わらせず、どこに収益の余地があるのかを見極めることが、稼ぐための第一歩です。

    「儲からない」を分けて考える


    • 制度上の天井(単価固定・件数上限)=誰にとっても同じ前提条件
    • 事業設計の失敗(集患なし・非効率な移動・単価設計の甘さ)=改善できる部分
    • 収益が伸びない原因の多くは後者にある

    30秒でかんたん登録!
    無料で応募書類テンプレをプレゼント

    訪問マッサージで儲からない人に共通する原因

    頭をかいて悩むあん摩マッサージ指圧師の男性施術者

    同じ制度・同じ単価のもとで働いていても、儲かる人とそうでない人がいます。儲からない状態が続く人には、いくつか共通したつまずきのパターンがあります。

    ここでは、収益が伸び悩む人に多い3つの原因を取り上げます。自分や自院に当てはまるものがないか、チェックしながら読み進めてみてください。当てはまる項目があれば、それがそのまま改善の余地です。

    集患の仕組みがない

    最も多いのが、集患を「待ち」の姿勢に頼ってしまうパターンです。チラシを配ったりホームページを作ったりしただけで、あとは紹介が来るのを待っている状態では、利用者さんは安定して増えません。

    訪問マッサージの利用は、ケアマネジャーや医療・介護機関からの紹介で始まることが多い仕事です。紹介元との関係を継続的に築く仕組みがないと、新規の依頼が途切れ、件数が安定しません。

    集患を個人の頑張りや運任せにせず、「誰から・どのように紹介を受けるか」を仕組みとして設計できているかどうかが、収益を分ける分岐点になります。

    仕組みがある場合
    ケアマネ・医療機関への
    定期訪問・情報提供
    ↓
    信頼関係の蓄積
    顔が見える関係で優先的に紹介されやすくなる
    ↓
    紹介から利用者獲得
    医療保険・介護保険の対象者が継続的に流入
    ↓
    施術件数が安定
    売上・稼働率が読めるため経営計画が立てやすい
    仕組みがない場合
    チラシ・HPの掲載のみ
    で「待ち」の姿勢
    ↓
    紹介元との関係が希薄
    ケアマネ・医師からの認知が得られない
    ↓
    依頼が散発・途切れる
    新規獲得コストが高く既存頼みになりやすい
    ↓
    件数が不安定なまま
    月収の変動が大きく収入の見通しが立ちにくい

    移動効率が悪くムダが多い

    担当する利用者さんが地理的に散らばっていると、移動に時間を取られて施術件数が伸びません。1日の労働時間のうち移動が占める割合が大きいほど、売上を生まない時間が増えてしまいます。

    たとえば、午前は北のエリア、午後は南のエリアといった非効率な回り方をしていると、それだけで1〜2件分の施術機会を失うこともあります。エリアを絞らずに依頼を受けてしまうと、移動のムダが収益を圧迫します。

    訪問の順番やエリアを計画的に組み立て、移動を最小限に抑えることが、件数を増やすうえで欠かせません。

    資金計画が甘く運転資金が不足する

    開業初期は集患に時間がかかるうえ、療養費は請求してから入金されるまでにタイムラグがあります。施術した分の入金が2か月ほど先になるため、売上が立ち始めても、しばらくは手元の資金が出ていく一方という状況が起こります。

    この入金までの期間を支える運転資金を見込まずに開業すると、利用者さんが付き始める前に資金が尽きてしまいます。車両費・広告費・レセプト関連費といった固定的な支出も毎月かかります。

    開業前に、軌道に乗るまでの数か月〜1年を耐えられる資金計画を立てておくことが、儲からない状態を避ける前提条件です。開業資金の目安や資金調達の方法は、以下の記事で詳しく解説しています。

    訪問マッサージで収益を上げるポイント

    ガッツポーズをする前向きなあん摩マッサージ指圧師の男性

    儲からない原因が分かれば、対策は見えてきます。訪問マッサージの収益は、「件数を増やす」「単価を上げる」「ムダを減らす」「上限を広げる」という4つの方向から伸ばすことができます。

    ここでは、収益を上げるための具体的なポイントを4つ紹介します。どれか一つだけでなく、組み合わせて取り組むことで効果が高まります。

    ケアマネや医療・介護機関へ営業する

    収益を安定させる最大の鍵は、紹介ルートを増やすことです。訪問マッサージの利用者さんは、ケアマネジャーや病院・クリニック、地域包括支援センターを通じて紹介されることが多いため、紹介元との関係づくりが集患の中心になります。

    具体的には、近隣の居宅介護支援事業所に施術内容や対応エリアを伝えてまわる、医師の同意書がスムーズに出るよう連携を取る、といった地道な営業が効果的です。一度信頼関係ができると、継続的に紹介が入る流れが生まれます。

    施術の質を保ちつつ、紹介元に「任せて安心」と思ってもらえる関係を築くことが、件数を安定させる近道です。

    1
    居宅介護支援事業所をリストアップ
    対応エリア内のケアマネ事務所をエリアマップや自治体の情報公表サービスで洗い出す。訪問可能な範囲を明確にしておく。
    2
    施術内容・対応エリアを資料で伝える
    訪問マッサージの保険適用条件(医師の同意書が必要)・対象疾患・訪問頻度・エリアをA4一枚にまとめ持参または郵送する。
    初回の目的は「存在を知ってもらう」のみ
    3
    同意書取得の流れをケアマネと共有
    担当医への同意書依頼・交付・施術開始までの手順を説明し、ケアマネが患者へ案内しやすい状態を作る。書類の雛形を渡すと連携がスムーズになる。
    4
    施術報告書を定期的にフィードバック
    月1回程度、利用者の状態変化や施術経過をケアマネへ文書報告する。情報共有が信頼構築の実績になり、次の紹介につながる。
    報告書は「情報共有」であり営業の継続接点
    5
    継続紹介・他機関への横展開
    信頼関係が生まれたケアマネから複数利用者を紹介してもらう。さらに病院の退院支援担当者・地域包括支援センターへ同じアプローチを広げ、紹介ルートを多角化する。

    自費施術を取り入れて単価を上げる

    保険施術は単価が固定されているため、単価を上げたい場合は自費施術を組み合わせるのが現実的です。保険の対象にならない部位やリラクゼーション目的の施術、施術時間の延長などを自費メニューとして用意します。

    自費施術は料金を自分で設定できるため、1回あたりの単価を引き上げられるのが利点です。保険施術で信頼を得た利用者さんに、自費メニューを案内する形が自然です。

    ただし、保険施術と自費施術の区分はルールを守って明確に分ける必要があります。制度を正しく理解したうえで、保険と自費をバランスよく組み合わせることが、単価アップのポイントです。

    保険施術
    自費施術
    対象部位
    対象部位
    医師同意書に記載された特定の部位のみ
    保険対象外の部位・リラクゼーション・延長など自由に設定可
    料金設定
    料金設定
    療養費の算定基準に従い固定
    (変更不可)
    施術者・院が自由に価格設定でき、単価を引き上げやすい
    算定・請求ルール
    算定・請求ルール
    厚生労働省の療養費規定に基づき健保組合へ請求。医師同意書・施術録の整備が必須
    健保請求なし。領収書・同意書不要だが、保険施術との明確な区分管理が義務
    収益への影響
    収益への影響
    患者負担は一部(1〜3割)。単価は低く抑えられる
    全額自己負担のため1回あたりの売上単価が高く、院の収益改善に直結
    主な注意点
    主な注意点
    請求漏れ・不正請求は返還請求の対象になる
    保険施術と混在させると不正請求とみなされるリスクがある。帳票・記録を分けて管理する

    訪問ルートを効率化する

    移動のムダを減らせば、その分だけ施術件数を増やせます。担当エリアをできるだけ集約し、近いエリアの利用者さんをまとめて回れるようスケジュールを組むことが基本です。

    たとえば、曜日ごとに訪問エリアを分ける、新規の依頼は既存ルートの近くを優先する、といった工夫で移動時間を圧縮できます。移動を1日1時間減らせれば、施術1〜2件分の売上を上乗せできる計算になります。

    ルート設計は、施術者を増やしたときにも効いてきます。エリアを区切って担当を割り振れば、事業所全体の移動効率を高められます。

    施術者を増やして売上の上限を広げる

    施術者が1人のままでは、1日の件数に上限がある以上、売上の天井も決まってしまいます。この天井を引き上げる方法が、施術者を雇用して稼働人数を増やすことです。

    施術者が2人になれば、単純計算で1日に回れる件数も売上の上限も2倍になります。個人の頑張りで件数を増やすより、稼働できる施術者を増やすほうが、売上の伸びしろは大きいといえます。

    もちろん、人を雇えば人件費や管理の手間も増えます。集患の仕組みが整い、安定して件数を供給できる状態になってから施術者を増やすのが、無理のない拡大の順番です。

    施術者数と月間売上上限の変化
    前提:稼働日22日・1日8件・施術単価3,000円で試算
    月間件数(上限)
    月間売上上限
    施術者1人
    月間件数
    176件
    月間売上
    約53万円
    施術者2人
    月間件数
    352件
    月間売上
    約106万円
    施術者3人
    月間件数
    528件
    月間売上
    約158万円

    参考:厚生労働省「あん摩マッサージ指圧、はり・きゅうの施術に係る療養費」

    あん摩マッサージ指圧師の求人を探す

    開業せず訪問マッサージで働く選択肢

    患者宅を訪問して挨拶するあん摩マッサージ指圧師

    ここまで開業を前提に収益の話をしてきましたが、独立だけが訪問マッサージの働き方ではありません。集患・資金・事務のリスクを負う開業に対して、治療院や事業所に雇われて訪問に入る働き方には、別のメリットがあります。

    雇用で働けば、固定給で収入が安定し、集患や保険請求の負担を負わずに施術へ専念できます。開業初期の「売上が立たない期間」を心配する必要もありません。前述の求人データのとおり、訪問マッサージの雇用求人は平均月給28万円前後と、安定した給与帯にあります。

    施設形態別・平均月給の比較
    訪問マッサージ
    28.2万円
    中央値 27.5万円

    整・接骨院
    30.1万円
    中央値 27.2万円
    デイケア・デイサービス
    25.3万円
    中央値 25.0万円
    クリニック
    25.1万円
    中央値 25.0万円
    特別養護老人ホーム
    24.5万円
    中央値 24.4万円
    出典:医療キャリアナビ掲載求人データ(2026年時点)

    特にこれから訪問マッサージに関わりたい方にとっては、まず雇用で現場の進め方やケアマネ営業の実際を学んでから独立する、という順番が現実的です。現場で集患や移動効率の感覚を身につけておけば、いざ開業したときに「儲からない」状態に陥るリスクを大きく下げられます。

    開業して自分で事業を作るか、まず雇用で経験と収入を安定させるか。どちらが自分に合うかは、資金の余裕やリスクの取り方によって変わります。求人を見比べながら、無理のないキャリアの組み立て方を考えてみてください。

    30秒でかんたん登録!
    無料で応募書類テンプレをプレゼント

    訪問マッサージの収益に関するよくある質問

    ポイントを指さして説明するあん摩マッサージ指圧師の男性施術者

    最後に、訪問マッサージの収益についてよく寄せられる質問にお答えします。開業や転職を検討するうえで気になりやすいポイントを取り上げました。

    訪問マッサージで年収1000万円は可能?

    施術者1人で稼働する限りは、年収1000万円はかなり難しいのが実情です。1日の施術件数と単価に上限があるため、1人の売上には自然と天井ができます。

    年収1000万円を目指すなら、施術者を複数雇用して事業所として規模を広げ、経営者として利益を積み上げる形が現実的なルートです。自費施術を組み合わせて単価を底上げすることも、収益を押し上げる要素になります。

    つまり「施術者として」ではなく「経営者として」の年収1000万円であれば、十分に目指せる目標だといえます。

    訪問マッサージで年収1,000万円を目指す
    雇用・経営スタイルはどちら?
    ルートA施術者1人で独立
    • 1日の施術件数は体力・移動の制約で上限あり(目安8〜10件)
    • 保険施術は1回あたり単価が固定(療養費制度)
    • 稼働日数を増やしても収益の伸びが頭打ちになる
    ルートB施術者を複数雇用して経営
    • 雇用した施術者の売上が事業収益に加算される
    • 自費施術(リラクゼーション等)を組み合わせて単価を引き上げ
    • エリア拡大・台数増で売上規模を線形に伸ばせる
    件数・単価の上限で
    年収1,000万円は困難
    経営規模の拡大で
    年収1,000万円は視野に入る
    ※療養費の単価は健康保険の給付基準に基づき施術内容で異なる。自費施術の単価・組み合わせは事業者が設定可能。

    無資格でも訪問マッサージで開業できる?

    健康保険を使ったマッサージの施術は、あん摩マッサージ指圧師の国家資格を持つ人だけが行えます。無資格の人が療養費の対象となるマッサージ施術を業として行うことはできません。

    リラクゼーションサロンなど、医業類似行為に当たらない範囲のサービスは無資格でも提供される場合がありますが、保険を使った訪問マッサージとは別物です。療養費を扱う訪問マッサージで開業するには、国家資格の取得が前提になります。

    資格取得を目指す場合は、養成校で学び国家試験に合格する必要があります。

    訪問マッサージと訪問鍼灸はどちらが儲かる?

    どちらも療養費の仕組みは似ていますが、対象となる症状や同意書の要件が異なります。訪問鍼灸は神経痛やリウマチなど特定の慢性的な痛みが対象で、マッサージは筋麻痺や関節拘縮などが対象です。

    どちらが儲かるかは単価の差よりも、地域の需要や紹介ルートをどれだけ持てるかで決まります。両方の資格を持っていれば、利用者さんの状態に応じて施術を使い分けられ、対応できる範囲が広がります。

    「どちらが儲かるか」よりも、自分が安定して集患できる分野を選ぶことが、収益を伸ばすうえでは重要です。

    比較軸 訪問マッサージ 訪問鍼灸
    根拠法令 あん摩マッサージ指圧師法
    療養費制度
    はり師・きゅう師に関する法律
    療養費制度
    主な対象症状 筋麻痺・関節拘縮など
    医療上マッサージが必要と認められる状態
    神経痛・リウマチ・頸腕症候群・
    腰痛症・五十肩など6疾患
    医師の同意書 必要
    有効期間は原則6か月(変形徒手矯正術は1か月)
    必要
    施術継続ごとに再同意が必要
    療養費の単価感 施術部位数により加算
    (1部位+変形徒手矯正術等で積み上げ可)
    術数等で算定し
    マッサージと料金体系が異なる
    地域需要の特性 在宅介護・高齢者施設との連携で
    安定した継続需要を得やすい
    慢性疾患患者の絞り込みが必要で
    新規獲得に医師連携が不可欠
    紹介ルート ケアマネジャー・訪問看護・
    地域包括支援センター
    医師・整形外科クリニック・
    かかりつけ医
    両資格保持の優位性 症状に応じた使い分けが可能 同一患者の多様なニーズに対応 紹介元への訴求力が高まる

    まとめ

    訪問マッサージが「儲からない」と言われるのは、単価が療養費制度で固定され、1日の施術件数や移動に上限があるという制度上の天井があるためです。確かにこの前提は誰にとっても同じで、何も設計しないまま始めれば収益は伸び悩みます。

    一方で、儲からない原因の多くは制度ではなく事業設計にあります。ケアマネや医療・介護機関への営業で集患を仕組み化し、自費施術で単価を補い、訪問ルートを効率化し、施術者を増やして売上の上限を広げる——この4つを組み合わせれば、収益を伸ばす余地は十分にあります。

    開業のリスクが不安なら、まずは雇用で働いて現場経験と安定収入を得てから独立する道もあります。「儲からない」を制度のせいにして終わらせず、どこに収益の余地があるかを見極めることが、訪問マッサージで稼ぐための第一歩です。まずは求人を比較し、自分に合った働き方から検討してみてはいかがでしょうか。

    キャラクター
    治療家に選ばれる
    「医療キャリアナビ」の特徴
    特徴1.
    忙しくてもLINEで好きな時間に相談可能♪
    特徴2.
    地域特化のため職場の内部情報が豊富!
    特徴3.
    面接対策や条件交渉など実践的サポートが充実!
    利用満足度

    ※調査方法:アンケート/対象者:サービス利用による内定者288名/集計期間:2025年1月1日~2025年8月31日

    医療キャリアナビに登録
    この記事を書いた人
    医療キャリアナビ編集部

    医療キャリアナビ編集部

    記事の執筆・編集は、医療業界に精通した編集スタッフが担当しています。日々の転職支援業務で得た現場のリアルな情報と、厚生労働省をはじめとする公的機関のデータに基づき、信頼性の高いコンテンツをお届けしています。

    \ シェア・拡散していただけると嬉しいです /

    New Job Postings

    新着求人

    転職をご検討中の方へ

    医療業界に詳しいキャリアパートナーが無料で転職サポートをさせていただきます!新着・非公開求人の紹介も可能です!

    \ 今より稼げる職場 💰 / 年収アップのご相談›