国家試験では「麻薬・大麻・あへん」以外の薬物を選択肢に含めるひっかけが出題されることがあります。
対象となる薬物の種類は3つだけなので、正確に覚えておきましょう。
あん摩マッサージ指圧師の欠格事由は、国家試験の「関係法規」で出題されやすい単元であり、過去に罰金歴がある方にとっては免許取得に直結する関心事でもあります。
現行のあはき法には一律に資格を拒否する絶対的事由はなく、定められているのは個別審査の対象となる「相対的事由」だけです。
本記事では、試験で狙われやすいひっかけパターンや行政処分の基準、罰金や障害が実際にどう判断されるのかを整理します。法律の仕組みを押さえておけば、国家試験対策としても申請前の確認材料としても役立つ内容になっています。
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あん摩マッサージ指圧師の免許を取得するには、国家試験に合格するだけでは不十分で、法律が定める「欠格事由」に該当しないことも条件になります。欠格事由とは、国が「この人には免許を与えるべきではない」と判断する理由のことです。
国家試験の科目「関係法規」でもたびたび出題されており、過去に罰金刑を受けた方や心身に障害のある方にとっては、申請時に確認が必要な項目でもあります。
欠格事由のルールを定めているのは、あはき法(正式名称:あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師等に関する法律)の第3条です。
条文で押さえておきたいのは、「免許を与えないことがある」という表現です。「与えない」と断定していない点がポイントで、該当したら即不合格ではなく、厚生労働大臣が一人ひとりの事情を個別に審査します。
法律用語ではこの仕組みを「相対的欠格事由」と呼びます。過去に何らかの問題があった場合でも、事情によっては免許が認められる余地が残されています。
欠格事由に当てはまっても、必ず免許がもらえないわけではなく、過去の事情や現在の状況を踏まえて個別に判断されるという仕組み
参考:厚生労働省「あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律」
あはき法第3条では4つの欠格事由が定められており、4つとも相対的欠格事由です。下記の表を参照ください。
| 号数 | 内容 | わかりやすく言うと |
|---|---|---|
| 第1号 | 心身の障害により業務を適正に行うことができない者 | 精神の機能の障害によって、患者の状態を正しく把握する力、適切な施術を選ぶ判断力、患者とやり取りするコミュニケーション力のいずれかが著しく損なわれている場合 |
| 第2号 | 麻薬、大麻又はあへんの中毒者 | 違法薬物への依存状態にあり、正常に業務を行えない場合 |
| 第3号 | 罰金以上の刑に処せられた者 | あはき法違反に限らず、どんな法律であっても罰金・禁錮・懲役といった刑罰を受けた事実がある場合 |
| 第4号 | 業務に関し犯罪又は不正の行為があった者 | 刑事罰を受けていなくても、無資格での施術や療養費の不正請求といった業務上の不正を行った場合 |

現行のあはき法には、絶対的欠格事由は一つもありません。
2001年の法改正ですべて廃止されており、国家試験で最優先で押さえておきたい知識です。
| 項目 | あはき法 | ポイント |
|---|---|---|
| 絶対的欠格事由 | なし | 2001年改正で全廃 |
| 未成年者 | 欠格事由に該当しない | 医師法とは異なる |
| 視覚障害者 | 欠格事由に該当しない | 附則第19条で職域を保護 |
| 素行が著しく不良 | 現行法には存在しない | 過去の条文のひっかけに注意 |
国家試験において「未成年者には免許を与えない」という部分は狙われやすいですが、あはき法には規定がありません。
医師法では第3条に「未成年者には免許を与えない」と明記されており、未成年であるだけで例外なく免許が拒否される絶対的欠格事由が存在します。
視覚障害があること自体は欠格事由に該当しません。それどころか、あはき法は視覚障害者の職域を積極的に保護する立場をとっています。
あはき法附則第19条では、視覚障害者以外の方を対象としたあん摩マッサージ指圧師の養成施設について、新設や定員増加を制限する規定が設けられています。
国家試験で欠格事由の正誤を見分けるコツは、条文の言い回しを正確に覚えることです。
絶対的欠格事由であれば「免許を与えない」と断定する書き方になり、相対的欠格事由であれば「免許を与えないことがある」という余地を残す書き方になります。
あはき法第3条は「免許を与えないことがある」と明記されているため、すべて相対的欠格事由に分類されます。試験で注意したいのは、過去の条文にあった「素行が著しく不良である者」という選択肢です。
過去の条文を紛れ込ませるひっかけは定番の出題パターンなので、現行法の4つの欠格事由を正確に覚えておくことが得点につながります。
国家試験の欠格事由に関する問題は、あはき法第3条の第1号と第3号を中心に出題される傾向があります。
第3号の「罰金以上の刑に処せられた者」では、対象があはき法違反に限らずすべての法律における刑事罰であるという点がよく狙われます。「あはき法に違反して罰金以上の刑」という選択肢は範囲が狭すぎるため誤りです。
第1号の「心身の障害」については、障害の有無そのものではなく業務遂行に支障があるかどうかで判断される点が問われます。
欠格事由以外では、免許に関連する手続きの期限も頻出です。「5日は免許証の回収、30日は事務手続き、10日は施術所関連」というセットで覚えると混同しにくくなります。
あん摩マッサージ指圧師の資格難易度に関しては下記の記事で詳しく紹介しています。
今のあなたの状況は?

ここでは、あはき法で定められているそれぞれの欠格事由が実務でどのような基準で判断されるのか、受験生や免許申請を控えた方が気になる部分を掘り下げていきます。
障害があるという事実だけで免許が拒否されることはありません。厚生労働省が重視するのは、障害の有無ではなく、その障害が施術業務にどの程度支障をきたすかという点です。
審査で見られるのは以下の3つの能力です。
これらが精神の機能の障害によって著しく損なわれている場合に限り、欠格事由に該当する可能性が生じます。
視覚や聴覚といった身体の障害については別の審査プロセスが用いられ、養成施設での実習を修了していることや補助機器を使って業務を遂行できる状態であれば、免許交付の根拠になります。
過去に薬物の問題があっても、現在の状態によっては免許取得の可能性があります。
あはき法第3条第2号が定める欠格事由の対象は、麻薬・大麻・あへんの「中毒状態にある者」です。薬物への依存によって自分の行動をコントロールする力が失われると、患者に安全な施術を提供することが難しくなるためです。
この規定は相対的欠格事由であるため、治療を終えて依存状態から回復していると医学的に認められれば、免許が付与される余地があります。見落とされがちなのが、アルコール中毒はこの条文の対象に含まれていないという点です。
国家試験では「麻薬・大麻・あへん」以外の薬物を選択肢に含めるひっかけが出題されることがあります。
対象となる薬物の種類は3つだけなので、正確に覚えておきましょう。
過去に罰金を払った経験があり、免許が取れるかどうか気になるという方もいるはずです。
あはき法第3条第3号「罰金以上の刑に処せられた者」はあはき法違反に限らず、すべての法律における刑事罰が対象になります。酒気帯び運転で罰金刑を受けた場合や、人身事故で略式裁判を経て罰金を支払った場合も審査の対象です。
罰金ではなく反則金を払った程度であれば欠格事由には該当しません。罰金と反則金の違いは下記の表を参考にしてください。
| 種類 | 反則金 | 罰金 |
|---|---|---|
| 性質 | 行政罰 | 刑事罰 |
| 具体例 | 軽微なスピード違反(青切符) | 酒気帯び運転・人身事故など |
| 前科 | つかない | つく |
| 欠格事由への該当 | 該当しない | 該当する(審査対象) |
過去に刑罰を受けた事実を隠して免許を申請した場合、その虚偽申告自体が「不正の行為」として免許取り消しの理由になるため、正直に申告することが前提になります。
欠格事由がいつまで影響するのかは、過去に刑罰を受けた方にとって重要なポイントです。
まず、執行猶予付きの判決を受けた場合、猶予期間中は「刑に処せられた者」に該当するため、この間は欠格事由から外れることはありません。一方で、猶予期間を問題なく満了すると、刑の言い渡しは効力を失い、その時点で欠格事由として扱われなくなります。
また、実刑や罰金刑の場合でも、刑の執行が終わった後、一定期間が経過すると、法律上は前科の効力が制限される仕組みがあります。
一般的には、罰金刑は約5年、禁錮以上の刑は約10年が一つの目安とされていますが、実際の免許の可否については、個別の事情や更生の状況なども含めて総合的に判断されることになります。

免許を取得した後であっても、欠格事由に該当する問題を起こせば行政処分の対象になります。処分には「業務停止」と「免許取り消し」の2種類があり、いずれも厚生労働大臣が判断を下します。
ここでは、どのような行為がどちらの処分につながるのか、処分を受けた後にどうなるのかを整理していきます。
業務停止は、決められた期間中すべての施術を禁じる処分です。あん摩、マッサージ、指圧、はり、きゅうのどれも行うことができなくなります。施術所の看板を出し続けることや広告を打つことも制限される場合があります。
処分の根拠になるのはあはき法第3条の4つの相対的欠格事由で、下記の2つが該当します。
処分の重さは、その行為が職業倫理にどれだけ反しているかで変わります。停止期間中に施術を続けると、30万円以下の罰金が科されるだけでなく、免許取り消しへ発展するおそれもあります。
・自分の免許を無資格者に使わせる名義貸し
・施術録の虚偽記載
・療養費の水増し請求
免許申請時に欠格事由に該当する事実を隠したり、虚偽の診断書を提出して免許を取得したりした場合、「不正の手段による免許の取得」として扱われます。
後から不正が発覚すれば免許は取り消されますし、虚偽の申告そのものがあはき法第3条第4号の「業務に関する不正の行為」にあたるため、新たな欠格事由が上乗せされる形になります。
前のセクションで解説したとおり、過去に罰金刑を受けた事実があっても、正直に申告すれば相対的欠格事由の枠組みのなかで免許が付与される余地は十分にあります。隠し通そうとするリスクと比べれば、誠実に申告するほうが自分の資格を守る手段として確実です。
免許取り消し後の流れは下記になります。
永久に復帰できないわけではなく、あはき法第9条第2項の規定により、取り消しから相当の期間が経過し、本人が真摯に更生していると認められれば、再び免許が与えられる可能性はあります。
実際には、職業倫理を著しく欠く行為があった場合、再免許が認められるまでに10年以上かかった事例も報告されています。
行政処分の内容は官報や厚生労働省のウェブサイトで公表されるため、施術所の経営や再就職に長期にわたって影響が及ぶ点も頭に入れておく必要があります。
転職活動するなら?

国家試験に合格しただけでは、まだ施術を行うことはできません。厚生労働省の名簿に登録されてはじめて、あん摩マッサージ指圧師として働ける状態になります。登録前に施術を行えば無免許として処罰の対象になるため、合格後は速やかに申請書類の準備に取りかかる必要があります。
国家試験に合格しただけでは、まだ施術を行うことはできません。厚生労働省の名簿に登録されてはじめて、あん摩マッサージ指圧師として働ける状態になります。
登録前に施術を行えば無免許として処罰の対象になるため、合格後は速やかに申請書類の準備に取りかかる必要があります。
書類はすべて有効期限や取得先が定められているため、準備のタイミングに注意が必要です。免許申請に必要な書類は以下の3つです。
免許申請の窓口は、公益財団法人東洋療法研修試験財団です。申請書は卒業校から配布されるか、財団へ郵送で請求して入手します。
申請手続きに必要なものは下記になります。
合格発表は例年3月下旬で、合格確認後から申請受付となります。書類に不備があると免許証の交付が遅れるため、提出前の確認は念入りに行いましょう。
お探しの求人は?
あん摩マッサージ指圧師の欠格事由は、あはき法第3条に定められた4つの相対的欠格事由がすべてです。現行法には絶対的欠格事由は存在せず、該当する場合でも厚生労働大臣が個別に審査して最終判断を下す仕組みになっています。
過去に罰金刑を受けた方や心身に障害のある方であっても、事情によっては免許が認められる余地があります。
重要なのは、欠格事由に該当する事実を隠して申請するのではなく、正直に申告したうえで審査を受けることです。虚偽申告は新たな欠格事由を生み、免許取り消しにつながるリスクがあります。
免許取得後も、名義貸しや療養費の不正請求といった行為は業務停止・免許取り消しの対象になります。取り消し後も更生が認められれば再免許の道は開かれていますが、長期間にわたって経歴に影響が及ぶ点は念頭に置いておきましょう。
国家試験対策としては、「免許を与えない」と「免許を与えないことがある」の1語の違い、あはき法にない規定(未成年者・素行不良)、頻出条文である第1号と第3号の判断基準を正確に押さえることが得点につながります。
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