北村由美
看護師・専業ライター
「看護小規模多機能が正直しんどい…」
「しんどいときの乗り越え方は?」
看護小規模多機能居宅介護事業所で働いており、このようにお悩みの看護師さんもいるかもしれません。
看護小規模多機能(通称:看多機・かんたき)は、通いや泊まりの利用者への対応に加え、訪問看護のサービスを一体的に提供するやりがいのある現場です。
その反面、業務の幅広さや人員体制、オンコール対応などにより負担が大きく「しんどい」と感じる人もいます。
この記事では以下について解説します。
記事をお読みいただくことで、しんどい原因や対策がわかります。
内容を参考にして、自分に合った働き方を検討してみてください。

看護小規模多機能型居宅介護は、「訪問看護」と「小規模多機能型居宅介護」が一体化された、地域密着型の介護保険サービスです。
医療と介護の両方を必要とする利用者に対し、24時間365日対応できる体制を整えているのが特徴です。
地域包括ケアシステムを支える重要な役割もあり、設置数も年々増加しています。特徴と創設の背景を詳しく見ていきましょう。
看護小規模多機能の大きな特徴は、医療的ケアと介護サービスを一体化して提供できる点です。
一つの事業所で「通い」「泊まり(短期宿泊)」「訪問看護」「訪問介護」の4つのサービスを組み合わせられます。
利用者のニーズに合わせ、日々柔軟に切り替えられるのがメリットです。
主に以下のニーズを持つ方が対象となります。
看護師が配置されているため、胃ろうや膀胱留置カテーテルの管理、喀痰吸引、看取りなど医療依存度の高い方の対応も可能です。
参考:1)看護小規模多機能型居宅介護(複合型サービス)について/厚生労働省
参考:2)日本看護協会YouTube「看多機ってどんなところ?」~具体的な活用例のご紹介~
超高齢社会の日本では、高齢者のひとり暮らしや老老介護が増加しています。
看護小規模多機能は、医療依存度の高い方でも、住み慣れた場所で在宅療養ができるよう、2012年に「複合型サービス」として創設されました。
2015年4月に「看護小規模多機能型居宅介護」に名称変更されています。
看護小規模多機能は、以下の理由で今後もサービスの拡大が見込まれています。

看護小規模多機能では、看護師が担う業務は幅広く、利用者に対して多角的な支援を行います。
通いや泊まりの対応はもちろん、介護職との連携など、多職種で支える在宅生活の中心的な役割も果たします。
ここでは、看護小規模多機能の主な看護業務について詳しく見ていきましょう。
看護小規模多機能における訪問看護業務は、利用者の自宅を訪問し、体調確認や医療的ケアを行うことです。
喀痰吸引や経管栄養、服薬管理など、医師の訪問看護指示書に基づいた看護を提供する必要があります。
利用者のケアだけでなく、家族への療養指導や精神的ケアも欠かせません。
訪問は基本的に1人で行うため、的確なアセスメント力や判断力が求められます。
ケアマネジャーや利用者の主治医との連携も重要です。
看護小規模多機能では、通いや泊まりのサービスがあります。
利用中の方への対応は看護師の重要な役割です。
通いは、デイサービスと同様のサービスを提供します。
バイタルチェックや創傷処置、食事や入浴のサポート、服薬管理などです。
レクリエーション活動の支援も行います。
泊まりの対応では、急変のリスクに備えた観察や、必要に応じた医師や家族への連絡なども求められます。
夜勤は介護職が行うことが多いため、介護職との連携が重要です。
看護小規模多機能の人員基準で明確に定められているのは「保健師もしくは看護師」「ケアマネジャー」の配置です。
とはいえ、4つのサービスを提供するには、介護職員やリハビリ職員も必要です。
看護師は医療の専門職の立場から、他職種と連携し、利用者のケア方針を調整する中心的な役割を担っています。
それぞれの職種の役割を尊重し、利用者にとって最適な生活ができるように支援する必要があります。
看護小規模多機能では、泊まりのサービスも提供しているため、看護師が夜勤またはオンコール対応を行います。
夜間の急変対応などを1人で行うときもあり、経験や知識、冷静な判断力が求められます。
緊張感が高くなり、プレッシャーを感じることも少なくありません。
一方で、夜勤やオンコールがあるからこそ、利用者は「何かあればすぐ看護師に対応してもらえる」といった安心感を得られます。
看護師としての責任は重いものの、利用者の在宅生活を支える上で重要であり、看護小規模多機能の強みと言えるでしょう。

看護小規模多機能は、利用者の在宅生活に深く関われるやりがいのある職場です。
しかし、「しんどい」「つらい」と感じる看護師も少なくありません。
理由は、業務範囲や人員体制、利用者の医療ニーズの高さなどがあげられます。
「しんどい」と感じる主な理由を具体的に見ていきましょう。
看護小規模多機能では「訪問看護」「訪問介護」「通い」「泊まり」の4つのサービスを提供しているため、看護師の業務が幅広くなります。
訪問看護では看護師1人での判断が求められ、通いや泊まりでは複数の利用者を同時に対応し、さらに職種間の連携や記録業務も加わります。
日によって業務量や優先度も変わるため、心身に負担がかかりやすいです。
一つの職場でさまざまな役割を求められることが、しんどさにつながる要因となります。
看護小規模多機能では、看護師の配置が最低限の事業所もあります。
そのため、看護師が少ない事業所では、看護師1人で複数の対応を求められる場合もあるのです。
急変対応や医療処置が必要な場面が重なると、プレッシャーを感じるときもあります。
また、看護師が少ない分、休日やシフト調整も難しくなり、オンコール回数が増えることも。
人手不足によって心身の疲労につながり、しんどいと感じる理由の一つになるのです。
利用者には、退院直後の方やがん末期の方など、医療依存度の高い方もいます。
医療処置を伴うため、高度な知識とスキル、判断力が不可欠です。
看護小規模多機能で行われる医療的ケアは、主に以下のとおりです。
加えて、医師が常駐しているわけではないため、看護師が現場で一時判断をする場面が多くなります。
「本当にこれでいいのか」と不安を感じるケースも少なくありません。
日常的な緊張感が「しんどい」「辞めたい」と感じる要因となります。
看護小規模多機能では、オンコールや夜勤の対応が求められます。
オンコールの場合、いつ連絡が来るかわからないため、緊張感を抱えて過ごさなければなりません。
十分な休息がとれないまま、翌日の業務に当たるケースもあります。
夜間の対応は、看護師1人で判断・対応しなければならない場面が多く、責任の重さを感じるときもあります。
こうした勤務体制が続くと、生活リズムが乱れ、心身の不調を招くリスクが高まるでしょう。
長期的に働き続けるのが難しいと感じるときもあります。

看護小規模多機能で「しんどい」と感じるときは、頑張りすぎている可能性があります。
負担を少しでも減らして働き続けるためには、業務や環境を見直し、サポートを得ることが大切です。
「しんどい」と感じたときに試してほしい対策を5つ紹介します。
最初に実践したいのは、業務内容と所要時間の可視化です。
業務内容を細かく書き出してみましょう。
必要以上に抱え込んでいる業務や、他の職種に依頼できる業務が見えてくるケースもあります。
その結果、しんどさの原因を客観的に分析できるようになり、改善の一歩になります。
必要であれば上司や管理者に共有し、業務調整を相談するのもよいでしょう。
自分の仕事を「見える化」することが、つらさを乗り越えるヒントになります。
仕事は1人で抱え込まないようにしましょう。
看護小規模多機能は、職員が少人数であるため、「自分がやらなければ」と思い込んでしまいがちです。
しかし、1人で完璧にこなそうとすると、心身に負担がかかる可能性もあります。
「他の人に協力してもらう」といった意識を持つことが大切です。
小さなことでも周囲に相談し、チームで対応できるようにすれば、業務の負担が分散され、心にも余裕が生まれます。
業務効率の向上や利用者サービスの向上につながることは、先輩や管理者に提案してみましょう。
たとえば、申し送りや記録の簡略化、シフト調整についてです。
業務マニュアルの作成や、月末・月初業務のチェックリストを作るのもよいでしょう。
小さな工夫で業務が改善される場合もあります。
ただし、批判的になりすぎないよう注意が必要です。
あくまでも、建設的に伝えるようにしましょう。
「しんどい」と感じているときこそ、休日にリフレッシュすることが大切です。
仕事から完全に離れて休息を取ることが、心身の疲労回復のポイントになります。
休日でも仕事のことが頭から離れない人もいるかもしれませんが、「自分を休ませる時間」を確保するようにしてください。
お気に入りのカフェに行く、家族との団らんを楽しむ、趣味に没頭するなど、リラックスできる時間は仕事へのエネルギーにもなります。
ストレッチや運動もおすすめです。
「今の職場が自分に合っているのかわからない」「続けるべきか迷っている」といった場合、看護師転職エージェントに相談するのも一つの方法です。
看護師転職エージェントでは、看護師の多様な働き方についての情報提供や、転職活動のサポートが受けられます。
今すぐ転職するつもりがなくても、相談が可能です。
なお医療キャリアナビでは、働きながらでも安心して転職活動を進められるよう、キャリアパートナーがサポートいたします。
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看護小規模多機能は、看護師の経験やスキルが活かせるやりがいのある職場です。
一方で、多職種連携や柔軟な対応が求められる場面もあり、「合わない」と感じる人もいます。
向いている人・向いていない人の特徴を見ていきましょう。
看護小規模多機能に向いているのは、柔軟性があり、チーム連携の大切さを意識して仕事ができる人です。
看護師は日々、訪問・通い・泊まりに対応する必要があります。
こうした働き方でも、状況に応じて判断ができる人や、物事をポジティブに捉えられる人が重宝されます。
また、利用者の生活を支えたいとの思いがあり、医療依存度の高い方とも丁寧に関わりたい人は、やりがいを感じられるでしょう。
多職種連携やご家族との関わりも欠かせないため、コミュニケーションが得意な人や協調性のある人も向いています。
・多職種連携の重要性を理解している人状況に応じて柔軟に対応できる人
・利用者の生活支援も行いたい人
・終末期ケア、在宅療養にやりがいを感じる人
・利用者と深く関わりたい人
看護小規模多機能に向いていないと考えられるのは、明確な職域分担を求める人や、突発的な対応が苦手な人です。
看護師は日によって、訪問や通いなど担当する業務が変わります。
介護のサポートをする場合もあるため、「自分の仕事ではない」と線引きする傾向にある人は、ストレスを感じやすいかもしれません。
オンコール対応や夜勤があるため、家庭の事情によっては慎重な判断が必要な人もいます。
・介護業務と看護業務を線引きしたい人
・医療処置の業務に専念したいと考えている人
・環境変化や臨機応変な対応が苦手だと感じている人
・夜勤・オンコールを避けたい人

看護小規模多機能について、よくある質問と回答をまとめました。
看護小規模多機能で働く看護師の給与は、他の介護施設系サービスと比較して、やや高めの傾向です。
厚生労働省が実施した「令和5年介護事業経営実態調査結果」によると、
令和4年度のデータでは、看護師の給与費平均は以下のとおりでした。
| サービス種別 | 常勤換算1人当たり月額 |
|---|---|
| 一般的な訪問看護事業所 | 452,951円 |
| 看護小規模多機能 | 437,003円 |
| 小規模多機能 | 394,189円 |
看護小規模多機能の看護師は、小規模多機能に比べて高い水準であり、訪問看護事業所よりはやや低い傾向がありました。
医療処置の必要な利用者への対応や、オンコール・夜勤など業務が幅広いため、それに見合った待遇が設定されていると考えられます。
ただし、実際の給与は地域や事業所の運営方針、経験年数によっても違いがあります。
求人ごとに詳細を確認することが大切です。
看護小規模多機能は、小規模多機能の大きな違いは「訪問看護」の有無です。
看護小規模多機能は看護師の配置が義務付けられ、医療ニーズの高い方へも対応します。
一方で、小規模多機能は看護師の配置義務はありません。
そのため、介護職のみで運営している事業所も多く存在します。
医療行為が必要な場合は、外部の訪問看護サービスを併用することもあります。
看護小規模多機能と小規模多機能の違い
| 看護小規模多機能(看多機) | 小規模多機能(小多機) | |
|---|---|---|
| 提供サービス | 通い・泊まり・訪問介護+ 訪問看護の4機能 | 通い・泊まり・訪問介護の3機能 (訪問看護は含まない) |
| 対象者 | 医療依存度が高い方、 退院後の療養支援が必要な方 | 比較的医療依存度の低い方、 生活支援中心の要介護者 |
| 職員の体制 | 看護師の配置が義務付けられ、 医療的ケアにも対応可能 | 看護師の配置義務はなく、 介護職中心 |
| 医療的ケアの対応 | 点滴、経管栄養、喀痰吸引、 褥瘡処置、ターミナルケアも対応可能 | 健康管理中心、 医療処置は限定的 |
| 制度上の分類 | 訪問看護+小規模多機能を融合した形の 介護保険サービス | 地域密着型サービスとして単独の 介護保険サービス |
| 看護師の役割 | 医療的判断・処置・チーム連携といった 幅広い役割が求められる | 健康チェックや簡単な処置、 介護職との連携 |
看護小規模多機能は、入所型の施設ではなく、在宅生活を支えるためのサービスです。
制度上は、泊まりの利用日数に明確な制限はありませんが、「通い」や「訪問」と組み合わせてバランスよく利用されている利用者さんがほとんどです。
参考:「退院後の円滑な介護サービス利用のための介護事業所と医療機関の連携強化事業」かんたき虎の巻/令和2年度厚生労働省老人保健健康増進等事業
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