退職後1~2ヶ月程度で、住所地の市区町村から納付書が送付されます。
年4回の分割払いまたは一括払いを選択できます。
「転職したら、住民税ってどうなるの?」
これまで給与から自動的に引かれていた住民税ですが、いざ退職・転職となると仕組みが変わるため、戸惑う人も多いものです。
転職に伴う住民税の扱いはややこしく見えますが、ポイントを押さえておけば問題なく手続きできます。
この記事では、転職時の住民税の支払い方法や、変更手続き、住民税のよくある疑問についてわかりやすく解説します。

住民税は、毎年1月1日時点で住民票がある自治体に対して支払う地方税です。
前年の所得に基づいて計算され、通常は6月から翌年5月までの12か月間で納付します。
住民税の納付には大きく分けて2つの方法があります。
特別徴収(給与天引き)は、会社員が一般的に適用され、会社が毎月の給与から天引きして自治体に納付します。
普通徴収は、本人が納付書を使って自分で支払う方法で、自営業者や転職時に一時的に無職の人などが対象です。

転職先や次の会社への入職時期が決まっている場合、転職に伴う住民税の手続きは、原則として前職の会社が対応します。
よって、転職者本人が何か書類を提出したり、記入したりする必要はありません。
住民税の納付方法が変更になる際に必要な「給与所得者異動届出書」は、給与を支払っていた会社(前職)が市区町村に提出する書類です。
退職日や異動理由など、給与の支払い状況に関する情報を記載するため、人事や総務担当者が事務的に処理します。
転職者本人が記入したりサインしたりする必要はありません。
もしも会社が提出を忘れていたり、処理が遅れていたりすると、住民税の通知や納付に支障が出る可能性があります。
以下のような確認をしておくと安心です。
転職先の会社で再び住民税を給与から天引き(特別徴収)してもらうには、以下のような流れがあります。
自治体へ「給与所得者異動届出書」を提出
転職後の会社へ「特別徴収依頼」を送付
自治体に手続き・同意を返送
実際に給与天引きが再開される
このやりとりには1~2か月程度の時間差が生じるため、転職後すぐは特別徴収が始まらないケースが珍しくありません。
特別徴収が再開するまでの間、納付書(普通徴収)が届く可能性があります。
届いた場合は支払いを忘れずに行いましょう。
仮に後から特別徴収に戻っても、二重で引かれた分は「過誤納」として返金されます。

転職先が決まっていない場合や、転職まで期間が空く場合は、住民税を自分で納付する必要があります。
また、転職先が決まっている場合でも、転職のタイミングによって住民税の取り扱いが変わります。
| 退職時期 | 住民税の手続きと注意点 |
|---|---|
| 1月〜5月に退職した場合 |
住民税の支払い手続きは不要 退職年度分の住民税残額が最後の給与から一括徴収されることが多いためです。
注意点:金額が大きくなる可能性があるため、事前に確認しておきましょう。
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| 6月〜12月に退職した場合 |
普通徴収(個人納付)に切り替わります 市区町村から納付書が送付されるので、指定された期日までに納付します。
住民税は前年の所得に基づいて計算されるため、退職後も支払いが続きます。転職活動中の家計管理において考慮が必要です。
|
ただし、給与額や会社の対応状況によっては一括徴収が行われず、普通徴収に移行するケースもあります。
最終給与が変動するため、不安な方は会社の対応状況を確認しておく必要があります。
退職により特別徴収ができなくなった場合、自動的に普通徴収に切り替わります。
退職後1~2ヶ月程度で、住所地の市区町村から納付書が送付されます。
年4回の分割払いまたは一括払いを選択できます。
金融機関、コンビニエンスストア、インターネットバンキング、クレジットカード(自治体により異なる)で納付可能です。
普通徴収の場合の標準的な支払いスケジュールは以下になります。
住民税の普通徴収は、通常以下のスケジュールで納付書が届きます。
ただし、自治体や、ご自身の状況によって多少の違いがあるため、納付書で確認することが重要です。
| 退職月 | 納付書が届く時期(目安) | 支払い開始時期 |
|---|---|---|
| 1月~3月 | 5月下旬~6月上旬 | 6月末までに第1期 |
| 4月~6月 | 7月~8月ごろ | 8月~10月に第2期からスタートのこともあり |
| 7月~9月 | 9月~10月ごろ | 通常10月(第3期)から請求開始の可能性あり |
| 10月~12月 | 翌年1月以降 | 翌年1月(第4期)または翌年度から課税対象 |
※納付書の発送・納付開始時期は自治体ごとに異なる場合があります。退職処理のタイミングによっても前後するため、詳細はお住まいの市区町村にご確認ください。
特に年末近くなどは、事務処理が翌年に持ち越され、結果的に翌年1月以降に納付書が届くこともあります。

A.転職の間に「2か月以上の空き」があると、住民税の支払い方法が特別徴収(給与天引き)から普通徴収(納付書による支払い)に切り替わる可能性が高いです。
住民税は、会社が給与から天引きして納める「特別徴収」が基本です。
しかし、退職によって給与が一時的に止まり、次の勤務先での支払いまでに期間が空くと、特別徴収を継続できず、納付書で自分で支払う「普通徴収」に切り替わります。
| 退職月 | 転職月 | 給与の空き期間 | 処理の傾向 |
|---|---|---|---|
| 7月 | 8月 | 空きなし | 特別徴収が継続されやすい |
| 7月 | 9月 | 1か月 | ギリギリ特別徴収継続の可能性あり |
| 7月 | 10月以降 | 2か月以上 | 普通徴収に切り替えられる可能性が高い |
※ このスケジュールは一例であり、自治体の判断や事務処理のスピードによって異なる場合があります。
A.前職を退職し、給与からの天引き(特別徴収)ができなくなったため、納付書による「普通徴収」に切り替わったからです。
これは正常な対応ですので、記載された期日までに金融機関などで納付しましょう。
他にも考えられる理由は以下の通りです。
転職や退職による特別徴収の中断
転職や退職により給与からの天引きができなくなった場合、残りの住民税について納付書が送付されます。
副業所得の申告
副業による所得を確定申告した場合、その分の住民税については普通徴収となり、納付書が送付されることがあります。
前年の無職期間
前年に無職期間があった場合、その期間の住民税は普通徴収となります。
会社の手続き遅延
新しい会社での特別徴収の手続きが遅れている場合、一時的に普通徴収となることがあります。
A.自治体から転職先への「特別徴収依頼」の通知が間に合っていない可能性があります。この場合、普通徴収の納付書が届くまでしばらく時間がかかることもあります。数か月後に特別徴収に切り替わるケースもありますが、納付書が届いた場合は自己責任で支払いが必要です。不明点は所属している会社の人事担当に相談しましょう。
給与から住民税が引かれていない場合の主な原因
入社時期の問題
新卒や転職直後の場合、住民税の特別徴収が開始されるまで数ヶ月かかることがあります。
住民税は前年所得に対して課税されるため、前年に所得がなければ住民税もありません。
会社の手続き不備
会社が特別徴収の手続きを行っていない、または手続きが遅れている可能性があります。
住所変更の未届
転居により住所が変わったが、会社への届出が遅れている場合、住民税の徴収に影響することがあります。
前年所得なし
前年に所得がなかった場合、住民税の課税対象となりません。
A.住民税は「1月1日時点で住民票がある自治体」に支払うものです。たとえ引っ越しても、その年の住民税は元の自治体に支払います。翌年1月1日時点の住所から、新しい自治体に課税が移ります。
転職と引っ越しが同時に発生する場合の対応方法