転職時の住民税はどうする?納付方法や変更手続きについて解説

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「転職したら、住民税ってどうなるの?」   

これまで給与から自動的に引かれていた住民税ですが、いざ退職・転職となると仕組みが変わるため、戸惑う人も多いものです。

転職に伴う住民税の扱いはややこしく見えますが、ポイントを押さえておけば問題なく手続きできます。

この記事では、転職時の住民税の支払い方法や、変更手続き、住民税のよくある疑問についてわかりやすく解説します。

そもそも住民税とは?

住民税は、毎年1月1日時点で住民票がある自治体に対して支払う地方税です。

前年の所得に基づいて計算され、通常は6月から翌年5月までの12か月間で納付します。

住民税の納付時期と納期方法

住民税の納付には大きく分けて2つの方法があります。 

納付方法
詳細・対象者
特別徴収
(給与天引き)
対象者:会社員が一般的に適用
納付回数:6月から翌年5月まで年12回毎月給与から天引きされる
手続き:毎年5月頃に「住民税決定通知書」が会社経由で配布
普通徴収
(個人納付)
対象者:自営業者や無職の方
納付回数:年4回(納付書で支払い)、または4期分まとめて支払い
納付月:6月、8月、10月、翌年1月に納付書にて支払い

特別徴収(給与天引き)は、会社員が一般的に適用され、会社が毎月の給与から天引きして自治体に納付します。

普通徴収は、本人が納付書を使って自分で支払う方法で、自営業者や転職時に一時的に無職の人などが対象です。

転職先が決まっている場合の住民税の納付方法

特別徴収の継続は基本的には個人で行う手続きはない

転職先や次の会社への入職時期が決まっている場合、転職に伴う住民税の手続きは、原則として前職の会社が対応します。

よって、転職者本人が何か書類を提出したり、記入したりする必要はありません。

◆ 「給与所得者異動届出書」は会社が提出する

住民税の納付方法が変更になる際に必要な「給与所得者異動届出書」は、給与を支払っていた会社(前職)が市区町村に提出する書類です。

退職日や異動理由など、給与の支払い状況に関する情報を記載するため、人事や総務担当者が事務的に処理します。

転職者本人が記入したりサインしたりする必要はありません。

◆ 転職者がやるべきことは「確認」のみ

もしも会社が提出を忘れていたり、処理が遅れていたりすると、住民税の通知や納付に支障が出る可能性があります。

以下のような確認をしておくと安心です。

  • 退職時に「住民税の手続き(異動届)はしてもらえますか?」と一言確認する
  • 転職後しばらく住民税の納付書が届かない、給与から引かれないなどがあれば自治体や転職後の会社に確認する

転職先での住民税の天引き再開には「タイムラグ」がある

転職先の会社で再び住民税を給与から天引き(特別徴収)してもらうには、以下のような流れがあります。

特別徴収手続きの流れ
1
🏢 転職前の会社

自治体へ「給与所得者異動届出書」を提出

2
🏛️ 自治体

転職後の会社へ「特別徴収依頼」を送付

3
🏢 転職後の会社

自治体に手続き・同意を返送

4
✅ 反映

実際に給与天引きが再開される

このやりとりには1~2か月程度の時間差が生じるため、転職後すぐは特別徴収が始まらないケースが珍しくありません。

この期間に「普通徴収の納付書」が届くこともある

特別徴収が再開するまでの間、納付書(普通徴収)が届く可能性があります

届いた場合は支払いを忘れずに行いましょう。

仮に後から特別徴収に戻っても、二重で引かれた分は「過誤納」として返金されます。

住民税の特別徴収で注意すべきポイント

  • 前職での退職手続き時に住民税の処理方法を確認
  • 転職先の人事担当者と住民税の取り扱いについて確認

転職先が決まっていない場合の住民税の納付方法

転職先が決まっていない場合や、転職まで期間が空く場合は、住民税を自分で納付する必要があります。

また、転職先が決まっている場合でも、転職のタイミングによって住民税の取り扱いが変わります。

退職時期による違い

退職時期 住民税の手続きと注意点
1月〜5月に退職した場合
住民税の支払い手続きは不要


退職年度分の住民税残額が最後の給与から一括徴収されることが多いためです。

注意点:金額が大きくなる可能性があるため、事前に確認しておきましょう。
6月〜12月に退職した場合
普通徴収(個人納付)に切り替わります


市区町村から納付書が送付されるので、指定された期日までに納付します。

住民税は前年の所得に基づいて計算されるため、退職後も支払いが続きます。転職活動中の家計管理において考慮が必要です。

ただし、給与額や会社の対応状況によっては一括徴収が行われず、普通徴収に移行するケースもあります。

最終給与が変動するため、不安な方は会社の対応状況を確認しておく必要があります。

普通徴収への切り替え

退職により特別徴収ができなくなった場合、自動的に普通徴収に切り替わります。

納付書の送付

退職後1~2ヶ月程度で、住所地の市区町村から納付書が送付されます。

年4回の分割払いまたは一括払いを選択できます。

納付方法

金融機関、コンビニエンスストア、インターネットバンキング、クレジットカード(自治体により異なる)で納付可能です。

住民税の普通徴収の支払いスケジュール

普通徴収の場合の標準的な支払いスケジュールは以下になります。

第1期
6月末
第2期
8月末
第3期
10月末
第4期
翌年1月末

住民税の普通徴収は、通常以下のスケジュールで納付書が届きます。

ただし、自治体や、ご自身の状況によって多少の違いがあるため、納付書で確認することが重要です。

退職月 納付書が届く時期(目安) 支払い開始時期
1月~3月 5月下旬~6月上旬 6月末までに第1期
4月~6月 7月~8月ごろ 8月~10月に第2期からスタートのこともあり
7月~9月 9月~10月ごろ 通常10月(第3期)から請求開始の可能性あり
10月~12月 翌年1月以降 翌年1月(第4期)または翌年度から課税対象
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※納付書の発送・納付開始時期は自治体ごとに異なる場合があります。退職処理のタイミングによっても前後するため、詳細はお住まいの市区町村にご確認ください。

特に年末近くなどは、事務処理が翌年に持ち越され、結果的に翌年1月以降に納付書が届くこともあります。

住民税の普通徴収で注意すべきポイント

  • 納付書が届かない場合は市区町村に連絡
  • 延滞すると延滞金が発生する可能性
  • 転職先が決まったら速やかに特別徴収への切り替えを検討

住民税についてのよくある疑問

Q.転職までにどのくらい期間が空いたら、住民税の支払い方法は変わる?

A.転職の間に「2か月以上の空き」があると、住民税の支払い方法が特別徴収(給与天引き)から普通徴収(納付書による支払い)に切り替わる可能性が高いです。

住民税は、会社が給与から天引きして納める「特別徴収」が基本です。

しかし、退職によって給与が一時的に止まり、次の勤務先での支払いまでに期間が空くと、特別徴収を継続できず、納付書で自分で支払う「普通徴収」に切り替わります。

退職月 転職月 給与の空き期間 処理の傾向
7月 8月 空きなし 特別徴収が継続されやすい
7月 9月 1か月 ギリギリ特別徴収継続の可能性あり
7月 10月以降 2か月以上 普通徴収に切り替えられる可能性が高い
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※ このスケジュールは一例であり、自治体の判断や事務処理のスピードによって異なる場合があります。

ここで 注意しておきたいこと

  • 普通徴収になると、納付書が自宅に届くので、期日までに自分で支払う必要があります。
  • 転職後、特別徴収に戻った場合に「二重払い」になったとしても、過払い分は「過誤納金」として還付されます。
  • 不安な場合は、お住まいの自治体や勤務先に確認するのが安心です。

Q.住民税の納付書が家に届いたのはなぜ?

A.前職を退職し、給与からの天引き(特別徴収)ができなくなったため、納付書による「普通徴収」に切り替わったからです。

これは正常な対応ですので、記載された期日までに金融機関などで納付しましょう。

他にも考えられる理由は以下の通りです。

転職や退職による特別徴収の中断

転職や退職により給与からの天引きができなくなった場合、残りの住民税について納付書が送付されます。

副業所得の申告

副業による所得を確定申告した場合、その分の住民税については普通徴収となり、納付書が送付されることがあります。

前年の無職期間

前年に無職期間があった場合、その期間の住民税は普通徴収となります。

会社の手続き遅延

新しい会社での特別徴収の手続きが遅れている場合、一時的に普通徴収となることがあります。

Q.住民税が給与から引かれていないのはなぜ?

A.自治体から転職先への「特別徴収依頼」の通知が間に合っていない可能性があります。この場合、普通徴収の納付書が届くまでしばらく時間がかかることもあります。数か月後に特別徴収に切り替わるケースもありますが、納付書が届いた場合は自己責任で支払いが必要です。不明点は所属している会社の人事担当に相談しましょう。

給与から住民税が引かれていない場合の主な原因

入社時期の問題

新卒や転職直後の場合、住民税の特別徴収が開始されるまで数ヶ月かかることがあります。

住民税は前年所得に対して課税されるため、前年に所得がなければ住民税もありません。

会社の手続き不備

会社が特別徴収の手続きを行っていない、または手続きが遅れている可能性があります。

住所変更の未届

転居により住所が変わったが、会社への届出が遅れている場合、住民税の徴収に影響することがあります。

前年所得なし

前年に所得がなかった場合、住民税の課税対象となりません。

Q.転職と引っ越しが同時の時はどうすればいい?

A.住民税は「1月1日時点で住民票がある自治体」に支払うものです。たとえ引っ越しても、その年の住民税は元の自治体に支払います。翌年1月1日時点の住所から、新しい自治体に課税が移ります。

転職と引っ越しが同時に発生する場合の対応方法

  • 住民税の納税義務
    住民税は1月1日時点の住所地で課税されるため、年の途中で引っ越しても当年度の住民税は引っ越し前の自治体に納付します。
  • 転出・転入手続き
    市区町村での転出・転入手続きを忘れずに行います。これにより翌年度からは新住所地での課税となります。
  • 会社への届出
    新しい会社に住所変更を速やかに届け出て、住民税の特別徴収に支障がないようにします。
  • 納付書の転送
    引っ越し直後は郵便物の転送手続きにより納付書を受け取りますが、速やかに新住所での住民登録を完了させることが重要です。

Q.二重課税はない?支払い過ぎたら還付されるの?

A.住民税は同時に複数の自治体に課されることはありません。仮に会社間の連携ミスなどで二重に納付してしまった場合でも、「過誤納金還付申請」により後日返金されます。自治体から通知が届くので、指示に従って手続きを進めましょう。

住民税の二重課税について

住民税は居住地の自治体が一元的に課税するため、基本的に二重課税は発生しません。

転職や引っ越しがあっても、同一年度内で複数の自治体から課税されることはありません。

過誤納金還付

何らかの理由で住民税を支払い過ぎた場合、「過誤納金還付通知書」が送付され、還付手続きが行われます。

還付が考えられる主なケース

・退職後に給与から一括で住民税を引かれたのに、あとから普通徴収でも請求された場合(二重払い)

・特別徴収と普通徴収が重複して処理された場合

・課税額自体にミスがあった場合(課税誤り)

・年の途中で退職し、その後収入がなかった場合

・誤って多くの市区町村に納付した場合(住所変更関連)

還付手続き

還付通知が届いたら、指定された期限内に必要書類を提出します。

還付金は通常、ご自身が指定した銀行口座に振り込まれます。

まとめ

転職時の住民税は、退職や転職のタイミングによって納付方法が変わるため、注意が必要です。

転職先が決まっている場合は、基本的には自身で行う手続きはありませんが、転職期間が空く場合は、納付書が届く場合があります。すぐに転職が決まっている場合でも、トラブル防止のために「会社が手続きを行ったか」「納付書が届いているか」を確認するようにしましょう。

転職先が決まっていない場合は、納付書での支払いが必要となります。

転職時の住民税は複雑に感じられますが、基本的な仕組みを理解し、適切な手続きを行えば問題ありません。

不明な点があれば、転職先の人事担当者や居住地の市区町村に相談することをおすすめします。

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