保険薬剤師の氏名変更の手続き|必要書類・提出先・期限をまとめて解説
結婚や離婚で姓が変わったとき、「保険薬剤師の氏名変更はどこに何を出せばいいの?」と迷う薬剤師は少なくありません。
保険薬剤師の氏名変更では、薬剤師免許側の手続きと保険薬剤師登録側の手続きを、別々の窓口で済ませる必要があります。
この記事では、3つの手続きの必要書類・提出先・手数料・期限と、旧姓を使い続けたい場合や、HPKIカードなどあわせて確認したい手続きを紹介します。
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保険薬剤師が氏名変更したときに必要な3つの手続き

保険薬局で働く薬剤師が氏名変更をしたときの手続きは、次の3つです。 このうち期限が法令で「30日以内」と決まっているのは薬剤師名簿の訂正だけで、窓口も保健所等と地方厚生局に分かれます。
| 薬剤師名簿の訂正 | 免許証の書換交付 | 保険薬剤師の氏名変更届 | |
|---|---|---|---|
| 窓口 | 住所地の保健所一部の県は県庁 | 住所地の保健所名簿訂正と同時に提出 | 地方厚生局の事務所登録している都道府県の管轄 |
| 期限 | 変更日の翌日から30日以内 | 期限なし任意の申請 | 速やかに |
| 費用 | 収入印紙 1,000円 | 収入印紙 2,750円 | 無料 |
| 主な添付書類 | 戸籍謄本または抄本 | 戸籍謄本または抄本・免許証原本 | 戸籍抄本・登録票原本 |
| オンライン | 不可(窓口) | 不可(窓口) | マイナポータルで可 |
保健所に出したら全部終わりだと思ってた…窓口が2か所あるんだね
薬剤師名簿の訂正申請
薬剤師名簿は、厚生労働省が管理している薬剤師の登録簿です。 氏名が変わったら、名簿の登録内容を新しい氏名に直す申請をしなければなりません。 薬剤師法施行令で義務づけられた手続きで、3つの中で最初に済ませたい手続きです。
薬剤師免許証の書換交付申請
名簿を訂正しても、手元の免許証の氏名は自動では変わりません。 新しい氏名の免許証が必要な場合は、書換交付を申請します。 法令上は「申請することができる」という任意の手続きですが、転職や資格確認で免許証の写しを出す場面を考えると、名簿訂正と同時に申請しておくのが無難です。
保険薬剤師登録票の氏名変更届
保険薬剤師の登録は、薬剤師免許とは別に地方厚生(支)局で管理されています。 そのため、保健所に名簿訂正を出しても、保険薬剤師の登録情報は変わりません。 地方厚生局への氏名変更届を出し忘れると、登録上の氏名が旧姓のまま残ります。
地方厚生局への届出には免許証ではなく戸籍抄本を添えるため、名簿訂正の完了を待たずに出せます。 どの窓口でも戸籍の書類が必要なので、取得するときに通数をまとめて請求しておくと手間が減ります。
- 保健所の受付は業務時間内。休みの調整は早めに
- 厚生局への届出はマイナポータルなら夜間も可能
- HPKIカードは名簿訂正のあとに再発行を申請
参考:e-Gov法令検索「薬剤師法施行令」 / e-Gov法令検索「保険医療機関及び保険薬局の指定並びに保険医及び保険薬剤師の登録に関する省令」
薬剤師名簿の訂正申請

薬剤師名簿の訂正は、氏名・生年月日・性別・本籍地都道府県などの登録事項が変わったときの手続きです。 結婚や離婚による改姓のほか、本籍地を別の都道府県に移した場合も対象になります。
必要書類
名簿訂正では、氏名が変わった事実を戸籍で証明します。 厚生労働省の様式(様式第二)の申請書は、厚生労働省のサイトからWord・PDFでダウンロードできます。
申請書の氏名欄は、旧字体や異体字も含めて、戸籍に記載されている漢字のとおりに書きましょう。
提出先
申請書類は、住所地の保健所(一部の県は県庁)に提出します。 勤務先ではなく住んでいる場所の窓口なので、職場と自宅で自治体が違う人は気をつけましょう。
保健所で受け付けた書類は、都道府県を経由して厚生労働大臣に届きます。 保健所で受け付けているか、県庁の薬務担当課が窓口かは自治体によって異なるため、住所地の都道府県や保健所のサイトで受付窓口と受付時間を確認してから出向くと二度手間になりません。
厚生労働省の案内では、令和8年(2026年)10月26日からマイナポータルでのオンライン手続きが始まるのは新規登録の申請で、名簿訂正は保健所等の窓口への申請です。
薬剤師の求人を探す手数料
名簿訂正には、登録免許税として1,000円分の収入印紙が必要です。 収入印紙は申請書の所定欄に貼り、消印はしません。 収入印紙は郵便局などで購入できるため、窓口に行く前に用意しておきましょう。
提出期限
名簿訂正は、変更が生じた日の翌日から30日以内に申請しなければなりません。 「変更が生じた日」は、婚姻届や離婚届が受理され、戸籍上の氏名が変わった日です。
30日を過ぎても申請はできますが、遅れた理由を書いた遅延理由書(任意様式)の添付が必要になります。
婚姻届などを出してから新しい戸籍に反映されるまで日数がかかる場合もあるため、新しい氏名が載った戸籍謄本・抄本をいつ取れるか、届出先の役所で確認しておきましょう。
新しい氏名が載った戸籍を取ってから申請するのがコツだよ!
薬剤師免許証の書換交付申請

書換交付は、名簿訂正をしたあとに、新しい氏名の免許証を交付してもらう手続きです。 名簿訂正と同じ窓口で同時に申請でき、同時に出せば戸籍謄本・抄本は1通で兼用できます。
必要書類
書換交付は、名簿訂正とは別の申請書(様式第四)で申請します。 添付するのは、戸籍謄本または抄本と、現在持っている薬剤師免許証の原本です。
免許証を紛失していて添付できない場合は、再交付の申請もあわせて行います。
提出先
提出先は名簿訂正と同じく、住所地の保健所(一部の県は県庁)です。 名簿訂正と書換交付を同じ日に1回の来所で済ませられるよう、2つの申請書をそろえて持参しましょう。
手数料
書換交付の手数料は、収入印紙2,750円分です。 名簿訂正の1,000円とは別に必要で、それぞれの申請書に分けて貼ります。 同時に申請するなら、1,000円分と2,750円分を別々に用意しておくと窓口で貼り分けやすくなります。
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交付までの期間
新しい免許証が手元に届くまでは、申請から合計で3〜4か月程度を見込んでおきましょう。
令和8年(2026年)4月1日以降に登録処理された書換交付では、新しい免許証はA4サイズで交付されます。 これまでのB4サイズの免許証も効力は変わらないため、サイズ変更だけを目的に交換する必要はありません。
免許証が届くまでの間に資格の証明が必要な場合は、申請時に窓口で「登録済証明書」を希望すると、登録日に発行してもらえます。
免許証が届くまで数か月かかっても、登録済証明書があれば安心だね!
参考:厚生労働省「薬剤師免許の申請手続き等について」 / 厚生労働省「薬剤師の書換交付申請手続について」
保険薬剤師登録票の氏名変更届

保険薬剤師の氏名変更届は、地方厚生(支)局が窓口で、保健所に出す名簿訂正・書換交付とは提出先が異なります。 根拠は「保険医療機関及び保険薬局の指定並びに保険医及び保険薬剤師の登録に関する省令」の第16条・第17条です。
必要書類
氏名変更届には、届書のほか、氏名が変わったことを証明する戸籍抄本が必要です。 様式は各地方厚生局のサイトで公開されていて、関東信越厚生局ではPDF・Excel形式でダウンロードできます。
- 保険医・保険薬剤師の氏名変更届(各厚生局の様式)
- 戸籍抄本
- 保険薬剤師登録票の原本(新しい氏名の登録票に書き換える場合)
- 番号確認書類・身元確認書類(書面で届け出る場合)
届書には、マイナンバー(個人番号)の記載が原則として必要です。 登録票を添えて届け出ると、書換交付の申請もしたものとして扱われ、新しい氏名の登録票が交付されます。 登録票をなくしている場合は、届書の余白に紛失している旨を書けば届出ができます。
登録票の紛失時の手続きは、以下の記事でくわしく紹介しています。
提出先
提出先は、保険薬剤師の登録をしている都道府県を管轄する地方厚生局の事務所です。 住所地で決まる名簿訂正とは違い、関東信越厚生局のように、登録票の記号から管轄の事務所が分かる厚生局もあります。
提出方法は、事務所の窓口への持参、郵送、マイナポータルの3つから選べます。 令和8年(2026年)2月24日から、氏名変更などの諸変更もマイナポータルでオンライン申請できるようになりました。
マイナポータルで初めて変更申請をする人は、先に登録情報とマイナポータルを紐づける「初期設定」が必要です。 3〜4月は手続きが混み合い、初期設定にも時間がかかるため、早めに済ませておくとスムーズです。
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保険薬剤師の氏名変更届に手数料はかかりません。 収入印紙も不要なので、窓口に持参する場合も郵送する場合も、届書と添付書類をそろえるだけで手続きできます。
提出の時期
氏名変更届は、氏名が変わったら「速やかに」届け出るよう省令で定められています。 名簿訂正のような「30日以内」という日数はありませんが、名簿訂正と同じ時期に出しておくと忘れずに済みます。
厚生局への届出は無料なんだ!保健所とはここも違うね!
標準処理期間(届出から処理までの目安)は、関東信越厚生局では1か月とされています。 新しい登録票は、届出が処理されたあとに交付されます。
参考:関東信越厚生局「保険医・保険薬剤師の氏名変更の届出」 / 中国四国厚生局「保険医・保険薬剤師の登録等に関するオンライン申請について」
旧姓を使い続ける場合の手続き

仕事では旧姓を使い続けたい場合でも、薬剤師名簿の訂正と保険薬剤師の氏名変更届は省略できません。 旧姓を残したい場合は、それぞれの手続きの中で旧姓の扱いを選びます。
薬剤師免許証への旧姓併記
薬剤師免許証には、新しい氏名とあわせて旧姓を併記できます。 旧姓併記を希望する場合は、書換交付申請書の「旧姓併記の有無」欄で「有」を選び、希望する旧姓を書きます。 すでに併記している旧姓を変更・削除したいときも、同じ書換交付申請で手続きします。
保険薬剤師登録票で旧姓使用を希望する場合
保険薬剤師の氏名変更届には、登録票の扱いを選ぶチェック欄があります。
旧姓の登録票を使い続ける場合は書換交付を申請しないため、登録票の原本を添付する必要はなく、戸籍抄本だけを添えて届け出ます。
変更前の氏名以外の旧姓(2回以上改姓している場合の、前々の姓など)で登録票の交付を希望する場合は、届書の「旧姓」欄に希望する氏名を書きます。
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職場で旧姓を使うときの注意点
名札や薬歴の記名などで旧姓を使えるかどうかは、勤務先のルールによって異なります。 社会保険や給与、税の手続きは戸籍上の氏名で行うのが原則のため、職場には新しい氏名と、業務で使いたい氏名の両方を伝えておきましょう。
免許証と登録票で旧姓の扱いがそろっていないと、資格確認のときに説明が必要になることがあります。旧姓で働くなら、免許証の旧姓併記と登録票の旧姓交付をそろえておくのがおすすめです。
患者さんに覚えてもらった名前、そのまま使いたいよね
参考:関東信越厚生局「保険医・保険薬剤師の氏名変更届(様式)」 / 厚生労働省「薬剤師免許証書換交付申請書(様式第四)」
氏名変更にあわせて確認したい手続き

公的な3つの手続きのほかにも、氏名が記載されたカードや登録情報は、それぞれの発行元で変更が必要です。 業務で毎日使うものもあるため、どれが自分に当てはまるかを確認しておきましょう。
一覧にして1つずつ消していけば、漏れなく終わるよ!
HPKIカードの再発行
HPKIカード(薬剤師資格証)は、電子処方箋への電子署名などに使う、薬剤師資格を証明するICカードです。 カードには氏名が記載されているため、姓名が変わった場合は再発行申請が必要です。
申請は、日本薬剤師会認証局の「薬剤師資格証申請サービス」で申請区分を選んで行います。
認証局は申請時に薬剤師免許の登録内容を厚生労働省に照会するため、名簿訂正が済んでから再発行を申請するのが無難です。 HPKIカードの費用や申請方法の詳細は、以下の記事で紹介しています。
勤務先への届出
勤務先には、氏名変更が分かった時点で早めに伝えましょう。 薬局の場合、管理薬剤師や、薬局で薬事の実務に従事する薬剤師の氏名が変わると、薬局開設者が30日以内に都道府県知事などへ変更届を出す必要があります。
届出の期限は勤務先側にあるため、氏名変更後すぐに戸籍抄本などの写しを求められることもあります。 社会保険・給与・名札・薬局内の掲示物などの変更も、同じタイミングで依頼しておくと手間が減ります。
認定薬剤師・専門薬剤師の登録
研修認定薬剤師や専門薬剤師などの認定を持っている場合は、認定機関の登録情報も変更が必要です。 認定証やIDカードに氏名が入っている認定では、認定証の再発行手続きが用意されていることもあります。
手続きの方法や費用は認定機関ごとに異なるため、更新時期に慌てないよう、各機関の案内で確認しておきましょう。
認定薬剤師・専門薬剤師の種類は、以下の記事で紹介しています。
所属する薬剤師会への届出
都道府県薬剤師会や日本薬剤師会に入会している場合は、会員情報の氏名変更も届け出ましょう。 会報や研修会の案内が旧姓のまま届くのを防げます。
参考:日本薬剤師会認証局「各種お手続き」 / e-Gov法令検索「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行規則」
まとめ
保険薬剤師が氏名変更をしたら、保健所等への薬剤師名簿の訂正・免許証の書換交付と、地方厚生局への氏名変更届の3つを済ませます。 窓口ごとに期限と費用が違うため、30日の期限がある名簿訂正から優先して進めましょう。
この記事のポイント
- 名簿訂正は変更日の翌日から30日以内・印紙1,000円
- 免許証の書換交付は印紙2,750円で名簿訂正と同時申請
- 登録票の氏名変更届は地方厚生局へ速やかに・無料
- 登録票の届出はマイナポータルでもできる
- HPKIカードは姓名変更で再発行申請が必要
まずは住所地の保健所と、登録票の記号で分かる地方厚生局の事務所を確認し、必要書類をそろえるところから始めましょう。 氏名変更をきっかけに働き方や職場を見直したいときは、転職エージェントに相談すると、手続きの時期に合わせた入職日の調整なども相談できます。


