デイサービスを辞めたい理由と対処法|辞める前に試すことと転職先の探し方
毎日の送迎やレクリエーションに追われ、「デイサービスを辞めたい」と思ったことはありませんか?日勤中心で働きやすいと言われる一方、デイサービスにはこの職場ならではの負担があり、悩みを抱える職員は少なくありません。
ただ、その多くは理由を整理し、対処法を知ることで解決の糸口が見えてきます。
この記事では、デイサービスを辞めたいと感じる主な理由から、辞める前に試したいこと、そして転職を選ぶ場合の職場の選び方までを、公的データを交えてわかりやすく解説します。まずは「つらいのは自分だけではない」と受け止めるところから始めましょう。
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デイサービスを辞めたいと感じるのは珍しくない

デイサービス(通所介護)は、利用者さんが日帰りで通う施設で、入浴や食事の介助に加え、機能訓練やレクリエーションを提供する場です。夜勤がなく生活リズムを保ちやすい反面、レクの企画や送迎など、他の介護現場にはない業務があります。
こうした特有の負担から「辞めたい」と感じる職員は多く、決して珍しいことではありません。
一方で、介護業界全体の離職率は、世間のイメージほど突出して高いわけではありません。公益財団法人介護労働安定センターの調査では、介護分野の離職率は13.1%(令和5年度)で、全産業の平均である約15%を下回っています。
つまり「介護分野=すぐ辞める仕事」とは言い切れず、長く働き続けている人も大勢いるということです。
大切なのは、辞めたい気持ちを我慢し続けることではなく、何がつらいのかを言語化し、対処できる悩みなのかを見極めることです。次章から、デイサービス特有の理由をひとつずつ整理していきます。
なお、デイサービスとよく似たサービスにデイケア(通所リハビリ)があります。両者の違いを知っておくと、転職先を考えるうえでも役立ちます。
参考:公益財団法人介護労働安定センター「介護労働実態調査」 / 厚生労働省「雇用動向調査」
デイサービスを辞めたいと感じる主な理由

デイサービスを辞めたくなる背景には、この職場ならではの事情があります。ここでは代表的な5つの理由を取り上げます。
自分の悩みがどれに当てはまるかを確認しながら読み進めてみてください。当てはまる理由がはっきりすると、次にとるべき対処法も見えてきます。
レクリエーションの企画・進行が負担
デイサービスでは、利用者さんに楽しんでもらうためのレクリエーションが日課です。季節の行事や体操、ゲームなどを企画し、準備から進行までを職員が担います。この準備のために残業や休日出勤が発生することも少なくありません。
また、人前で盛り上げ役を務めることが苦手な職員にとっては、毎日のレク進行そのものが大きなストレスになります。介護の技術には自信があっても、司会や演出は別のスキルです。「介護がしたくてこの仕事を選んだのに」と、本来の業務とのギャップに悩む声も多く聞かれます。
- ネタ切れとの戦い:毎日続くため、飽きられないよう常に新しい企画を考え続ける必要がある
- 季節行事の準備:正月・節分・七夕などの行事ごとに、飾りつけや小道具を手作りで用意する
- 残業・持ち帰り:準備が勤務時間内に終わらず、残業や休日出勤、自宅での作業になることがある
- 難易度の調整:身体機能や認知レベルが異なる利用者さん全員が楽しめる内容に落とし込む
- 材料費・道具の工面:限られた予算の中で材料をそろえ、コストを抑える工夫が求められる
- 盛り上げ役のプレッシャー:人前で司会や演出をするのが苦手でも、毎日進行役を務める必要がある
- 反応が薄いときの焦り:利用者さんが乗り気でないと、その場で内容を切り替える対応力が要る
- 安全への目配り:進行しながら、転倒や体調の変化がないか全体に気を配り続ける
- 時間の管理:食事や入浴など次の予定に合わせ、決められた時間内に進める必要がある
- 本来業務とのギャップ:「介護がしたくて選んだのに」と、司会・演出の負担に悩む職員も多い
送迎業務へのストレス
多くのデイサービスでは、利用者さんの自宅と施設を送迎する業務があります。大型の送迎車を運転することへの不安や、乗降介助中の事故への緊張感は、想像以上に神経を使うものです。
特に、利用者さんの命を預かって道路を走るという責任の重さは、運転に慣れていない職員にとって大きな負担になります。渋滞や天候による遅れ、決められた時間内にすべての家を回る時間的なプレッシャーも重なり、送迎を理由に辞めたいと感じる人は少なくありません。
| 場面 | 具体的な負担 |
|---|---|
| 運転そのもの | 大型の送迎車の運転への不安。利用者さんの命を預かって走る責任の重さが常にのしかかる |
| 乗降の介助 | 車の乗り降りをサポートする際の転倒・事故への緊張感。狭い場所での介助に神経を使う |
| ルートの事前設計 | 効率よく回れるよう、乗せる順番・降ろす順番を事前に組み立てる必要がある |
| 時間のプレッシャー | 決められた時間内にすべての家を回る必要があり、渋滞や天候の遅れも読みながら動く |
| 当日のキャンセル対応 | 急な欠席の連絡でルートを組み直したり、他の利用者さんの到着時間を調整する |
| 自宅での対応 | 玄関先までの付き添いや、ご家族への声かけ・伝言など、家ごとに異なる対応が求められる |
| 車両の管理 | 運行前後の点検、給油や車内の清掃・消毒など、運転以外の車両まわりの業務もある |
給料が上がりにくい
デイサービスは日勤のみの勤務が基本のため、夜勤のある施設で支給される夜勤手当がありません。そのぶん、特別養護老人ホームや介護老人保健施設といった入所系の施設と比べて、月収が低くなりやすい傾向があります。
さらに、事業所の規模が小さいところも多く、昇給の幅が限られていたり、役職のポストが少なかったりすることもあります。仕事にやりがいを感じていても、「頑張っても給料が上がらない」という将来への不安が、辞めたい気持ちにつながることがあります。
多職種との人間関係
デイサービスでは、介護職員だけでなく、看護師や生活相談員、機能訓練指導員など、さまざまな職種が同じフロアで働きます。それぞれ専門とする視点が異なるため、ケアの方針をめぐって意見が食い違い、連携がうまくいかずに衝突が生まれることがあります。
加えて、デイサービスは少人数の体制で運営されることが多く、いったん人間関係がこじれると逃げ場がないと感じやすい環境です。大規模な施設のように配置換えで距離を置くことも難しく、日々の気まずさが積み重なって退職を考える原因になります。
| 職種 | 主な役割 |
|---|---|
| 介護職員 | 食事・入浴・排せつの介助や送迎など、利用者さんの日常生活を直接支える |
| 看護師 | バイタルチェックや服薬管理、体調変化への対応など、健康面をサポートする |
| 生活相談員 | 利用者さんやご家族の相談対応、ケアマネジャーや関係機関との連絡・調整を担う |
| 機能訓練指導員 | 身体機能の維持・改善を目的とした機能訓練の計画・実施を行う |
| ケアマネジャー | ケアプランの作成や見直しを行い、利用者さんに合ったサービスを組み立てる |
| 管理者 | 事業所全体の運営やスタッフの管理、サービス品質の維持に責任を持つ |
スキルアップを感じにくい
デイサービスの利用者さんは、比較的介護度が低く、自立度の高い方が中心です。そのため、重度の方への専門的な介護技術や医療的ケアに触れる機会が少なく、「このままで介護職としての力が身につくのだろうか」と不安を感じることがあります。
日々の業務が一定のパターンになりやすいことも、成長を実感しにくい一因です。将来的にキャリアアップを目指したい人ほど、より専門性の高い現場への転職を考えるようになります。
辞めたいと思ったらまず試したいこと

辞めたい気持ちが強くなっても、すぐに退職を決める前に、今の職場でできることが残っていないかを確認してみましょう。悩みの種類によっては、環境を変えなくても解決できる場合があります。
ただし、パワハラや心身の不調がある場合は、我慢せず健康を最優先に考えてください。
辞めたい理由を書き出して整理する
まずおすすめしたいのが、辞めたい理由を紙やスマホに書き出してみることです。頭の中だけで考えていると、漠然とした「つらい」という感情に押しつぶされがちですが、書き出すことで悩みの正体がはっきりします。
「レクの準備がつらい」「特定の同僚との関係が苦しい」など、具体的に分けて書くと、それが職場を変えれば解決するのか、部署内の調整で対応できるのかが見えてきます。
感情を客観的に見つめ直すこうしたセルフケアは、心の健康を守るうえでも有効とされています。
上司に相談し配置や担当を見直す
書き出して整理した悩みは、抱え込まずに上司へ相談してみましょう。レクの担当を持ち回りに変えてもらう、送迎ルートを分担する、苦手な業務の負担を軽くしてもらうなど、相談することで改善できる悩みは意外と多いものです。
「辞めたい」といきなり切り出すのではなく、「こういう点で困っている」と具体的に伝えるのがコツです。人手不足の職場ほど、貴重な職員に長く働いてほしいと考えているため、前向きに調整に応じてくれる可能性があります。
資格取得や役職で待遇を上げる
給料や将来への不安が理由なら、資格取得や役職への挑戦で待遇を改善する道もあります。介護福祉士を取得すれば資格手当が付く職場が多く、実務者研修の修了も評価につながります。
さらに、デイサービスには生活相談員や管理者といった役職があり、役職手当で収入を底上げできます。生活相談員は、社会福祉士・精神保健福祉士・介護福祉士・社会福祉主事任用資格などの要件を満たすと就ける職種で、キャリアの幅を広げる選択肢になります。
今の職場で活躍の場を広げられないか、検討してみる価値があります。
参考:厚生労働省「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準」
今のあなたの状況は?
辞めた方がよいケース

対処法を試しても状況が変わらない場合や、どうしても職場の方針に納得できない場合は、無理をせず転職を考えてよいタイミングです。特に、心身に不調が出るほど人間関係や業務がつらいときは、健康を守ることを何より優先してください。
「利用者さんに申し訳ない」という気持ちから、自分が壊れるまで働き続ける職員もいますが、それは本末転倒です。体調を崩してしまえば、結局は利用者さんにも迷惑をかけることになります。
退職を決めても、引き継ぎを丁寧に行えば、職場への責任はきちんと果たせます。自分を追い詰めてまで続ける必要はありません。
- 対処法を試みても状況がまったく変わらない
- 経営方針や職場のやり方にどうしても共感できない
- 眠れない・食欲がないなど心身に不調が出ている
- 「辞めたい」という気持ちが長期間続いている
健康は何より優先される。引き継ぎを丁寧に行えば責任は十分果たせる。
デイサービスから転職する場合の職場選び

転職を決めたら、次は「なぜ辞めたいのか」を軸に職場を選ぶことが失敗を防ぐポイントです。同じ介護職でも、施設の種類によって働き方や待遇は大きく変わります。ここでは、辞めたい理由別に向いている転職先を整理します。
| 重視する点 | 向いている職場 | 特徴・ポイント |
|---|---|---|
| 給料を上げたい | 特別養護老人ホーム(特養) 介護老人保健施設(老健) 夜勤のある入所施設全般 | 夜勤手当・処遇改善加算が上乗せされ、月収アップを図りやすい。夜勤回数によって収入差が出るため、希望の回数を事前に確認する |
| 身体的負担を減らしたい | 有料老人ホーム グループホーム 機能訓練寄りのデイサービス | 重介護・夜勤を抑えやすく、体力的な消耗を軽減しやすい。機能訓練特化型のデイは入浴・移乗介助が少なく身体負担が比較的小さい |
| 専門性を高めたい | 介護老人保健施設(老健) 病院・病院付属リハビリ施設 | 医師・看護師・リハビリ職と連携しながら医療的ケアを学べる。多職種チームの中でスキルを積み、将来的なキャリアアップにつなげやすい |
給料を上げたいなら夜勤のある施設
収入を上げたい場合は、夜勤手当が付く入所系の施設が最も良い選択肢です。特別養護老人ホームや介護老人保健施設では、夜勤に入ることで月々の手当が加わり、デイサービス時代より収入を増やせる可能性があります。
実際、夜勤のある入所系施設は、日勤中心のデイサービスより給与水準が高い傾向にあります。夜勤手当に加え、処遇改善の加算が手厚い施設も多く、収入アップを目指す転職先として現実的な選択肢です。
老健にはいくつかの種類があり、施設によって在宅復帰への力の入れ方やケアの内容が異なります。自分の希望に合う職場を選ぶために、施設ごとの特徴を事前に理解しておくとよいでしょう。
身体的負担を減らしたいなら介護度の低い施設
体力面の負担を軽くしたいなら、比較的自立度の高い利用者さんが多い職場が向いています。有料老人ホームやグループホーム、あるいはデイサービスの中でも機能訓練に力を入れた施設なら、重度の介助が中心になりにくく、身体への負担を抑えて働けます。
日勤中心の働き方を続けたい人にとっては、同じ通所系の職場に絞って転職先を探すのもひとつの方法です。
専門性を高めたいなら医療色の強い施設
介護職としての専門性を高めたい場合は、医療的ケアの機会が多い職場を選びましょう。老健や病院の関連施設では、リハビリ職や看護師と連携しながら、より専門的な知識と技術を身につけられます。
また、機能訓練に興味があるなら、機能訓練指導員という職種を知っておくと選択肢が広がります。理学療法士や看護師などの資格が必要ですが、どのような仕事なのかを理解しておくと、将来のキャリアを描きやすくなります。
転職活動するなら?
円満に退職するためのポイント

転職を決めたら、今の職場を円満に去ることも大切です。デイサービスは少人数で運営されていることが多く、代わりの職員を採用するのに時間がかかります。そのため、退職の意思は就業規則で定められた期限よりも早め、2〜3か月前に伝えるのが望ましいでしょう。
また、担当している利用者さんのケア記録を整理し、引き継ぎを丁寧に行うことも欠かせません。誰が担当しても同じケアが続けられるよう情報をまとめておけば、職場にも利用者さんにも迷惑をかけずに済みます。
円満退職までのステップ
デイサービスを辞めたい人からよくある質問

最後に、デイサービスを辞めたいと考える人からよく寄せられる質問に答えます。同じ悩みを抱える人の参考にしてください。
レクや送迎が苦手なのは甘え?
甘えではありません。レクの企画や送迎は、介護の基本業務とは異なる専門的なスキルが求められる仕事です。苦手だと感じるのは自然なことで、あなたの適性の問題ではありません。負担が大きいなら、担当の見直しを相談したり、これらの業務が少ない職場へ移ったりするのは、前向きな選択です。
1年未満で辞めると転職に不利?
必ずしも不利になるとは限りません。大切なのは、退職理由を前向きに説明できるかどうかです。「専門性を高めたい」「夜勤のある施設に挑戦したい」など、次に向けた理由として伝えられれば、短期間の勤務でもマイナスに受け取られにくくなります。早めに環境を変えて長く活躍する道を選ぶ人も多くいます。
退職理由は「後ろ向きな表現」を「次に向けた前向きな言葉」に置き換えることで、短期離職でもマイナスに受け取られにくくなります。
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NG
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「レクや送迎がつらくて辞めた」
→ 「介護技術を活かせる現場で、より専門性を高めたいと考えました」 -
NG
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「給料が安くて続けられなかった」
→ 「夜勤のある施設で、収入とスキルの両方に挑戦したいと思いました」 -
NG
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「職場の雰囲気が合わなかった」
→ 「チームで利用者に関わる環境で、より力を発揮したいと考えました」
辞めたいけど利用者に申し訳なくて言い出せない
利用者さんへの責任感は、介護職として大切な気持ちです。ただ、その思いから自分を犠牲にし続ける必要はありません。丁寧な引き継ぎを行えば、あなたが抜けた後もケアは続いていきます。退職の意思を早めに伝え、引き継ぎ期間を十分に確保することが、利用者さんへの誠実な対応になります。
まとめ
デイサービスを辞めたいと感じる背景には、レクや送迎、給料、人間関係、スキルアップといった、この職場ならではの理由があります。まずは辞めたい理由を書き出して整理し、上司への相談や資格取得で今の職場のまま改善できないかを試してみましょう。
それでも状況が変わらないときや、心身に不調が出るほどつらいときは、無理をせず転職を考えて構いません。「給料を上げたい」「身体の負担を減らしたい」「専門性を高めたい」など、辞めたい理由を軸に職場を選べば、次こそ自分に合った環境で長く働けます。
退職の際は早めに意思を伝え、引き継ぎを丁寧に行って円満に次のステップへ進みましょう。ひとりで抱え込まず、必要なときはキャリアの専門家に相談することも、後悔しない選択として大事です。



