薬剤師が初めて転職するときの流れ|新卒就活との違いと失敗しないためのポイント
「今の職場を辞めたいけれど、転職は初めてで何から始めればいいのか分からない」と悩んでいる薬剤師もいるはずです。 初めての転職は、新卒の就職活動と同じ感覚で進めると、評価のされ方や選考のスピードの違いに戸惑いやすくなります。
この記事では、薬剤師が初めて転職するときに最初にやること、応募から退職までの流れとスケジュールの立て方、新卒就活との違い、失敗しないためのポイントを紹介します。
お申し込みを受け付けました
以下からひな形と見本をダウンロードできます。
薬剤師が初めての転職で最初にやること

求人を探し始める前に、「なぜ転職したいのか」「次の職場に何を求めるのか」を整理しておくと、その後の判断がぶれにくくなります。
初めての転職で迷いやすいのは、この整理をしないまま求人を見始めて、条件の良さそうな求人に次々と目移りしてしまうケースです。
転職で変えたいことを言語化する
「人間関係がつらい」「給料が低い」といった不満は、そのままだと次の職場選びの基準になりません。 不満を「次の職場で何が変わっていればよいか」という形に言い換えると、求人票で確かめるポイントが見えてきます。
言い換えるときは、「何が」「どのくらい」変われば満足かまで書き出すのがコツです。 「休みを増やしたい」なら「年間休日120日以上」、「残業を減らしたい」なら「月10時間以内」のように数字にすると、求人を比べやすくなります。
書き出した内容は、そのまま面接での転職理由の土台にもなります。 転職理由を面接で前向きに伝える言い換え方は、以下の記事が参考になります。
現職で解決できるか確認する
変えたいことの中には、転職しなくても解決できるものがあります。 たとえば人間関係や業務量の悩みは、店舗異動や部署異動、シフトの相談で解消できることもあります。
チェーン薬局や病院なら、上司や人事に異動の希望を出せる仕組みがあるかを確かめてみましょう。 一方で、給与体系や会社の方針、業態そのものが合わない場合は、現職にとどまっても変わりにくいため、転職を前向きに検討する理由になります。
必須条件と希望条件を分ける
変えたいことを書き出したら、「これが満たされないなら転職する意味がない」という必須条件と、「満たされればうれしい」という希望条件に分けます。
-
必須条件転職の目的そのもの。満たさない求人には応募しない
-
希望条件あれば加点。ほかの条件と比べて選ぶ
必須条件が多すぎると、応募できる求人がほとんど残りません。 必須条件は転職の目的に直結するものだけに絞ると、求人探しの段階で迷う時間を減らせます。
全部かなえたい気持ち、すごくよく分かるよ
薬剤師の初めての転職の流れ

薬剤師の転職は、大きく「情報収集と求人探し」「応募書類の作成」「面接・職場見学」「内定後の条件確認」「退職交渉と引き継ぎ」の5段階で進みます。
初めての転職では、面接までの準備に意識が向きがちですが、内定後の手続きや退職の段取りまで含めて見通しを立てておくと慌てずに済みます。
情報収集と求人探し
前の章で決めた必須条件をもとに、求人を探します。 薬剤師の求人は、転職サイト・転職エージェントのほか、病院や薬局の採用ページ、ハローワークなどでも探せます。
初めての転職で何を使えばよいか迷ったら、1つの方法に絞らず、2つほどを並行して使うと求人の比較がしやすくなります。
気になる求人が見つかったら、業務内容・勤務時間・休日・給与の内訳を確認し、必須条件を満たすものだけを応募候補に残しましょう。
薬剤師の求人を探す応募書類の作成
中途採用の応募では、履歴書に加えて職務経歴書の提出を求められることが多いです。 新卒の就職活動では書く機会のなかった書類で、初めての転職者がつまずきやすいポイントです。
職務経歴書には、勤務先ごとの業態・規模と、担当してきた業務を具体的に書きます。 1日の処方箋枚数、主な診療科、在宅訪問や監査の担当など、数字と固有の業務で書くと、採用担当者が仕事ぶりをイメージしやすくなります。
履歴書の志望動機や自己PRの書き方は、以下の記事で例文つきで紹介しています。
面接・職場見学
中途採用の面接は、店舗の管理薬剤師や薬局長、病院の薬剤部長など、一緒に働く立場の人が面接官になることもあります。 転職理由と志望動機、これまでの経験をどう活かせるかの3つは、必ず聞かれると考えて準備しておきましょう。
求人票では分からない職場の雰囲気や忙しさは、職場見学で確かめられます。 見学を申し込むときは、処方箋が多い時間帯に見せてもらえるか相談すると、実際の働き方に近い様子が見られます。
内定後の条件確認
内定の連絡を受けたら、すぐに承諾せず、提示された労働条件を書面で受け取ってから返事をするのが安心です。 口頭で聞いた給与や休日が、書面の内容と一致しているかを確かめてから承諾しましょう。
複数の職場の選考を同時に進めている場合は、内定の返事の期限を確認しておくことも大切です。 入職日の希望もこのタイミングで伝え、今の職場を退職できる日から無理のない日程にしてもらいましょう。
退職交渉と引き継ぎ
内定を承諾したら、今の職場に退職の意思を伝えます。 最初に伝える相手は直属の上司で、同僚に先に話すと、上司の耳に人づてで入って関係がこじれることがあります。
退職日が決まったら、後任の薬剤師が困らないように引き継ぎを進めます。
引き継ぎがきちんとできると、気持ちよく次に進めるね
初めての転職のスケジュールの立て方

転職活動にかかる期間は、人によって大きく変わります。 期間の目安を気にするより、「いつから新しい職場で働きたいか」を先に決め、そこから逆算して予定を組むほうが、退職の申し出が遅れるといった失敗を防げます。
入職希望日から逆算する
入職希望日を決めたら、「退職日」「退職の申し出日」「内定の時期」「応募の時期」の順にさかのぼって予定を置いていきます。
逆算するときは、それぞれの段階に余裕を持たせておくのがポイントです。 選考が長引いたり、退職の話し合いに時間がかかったりすることもあるため、ぎりぎりの予定にしないようにしましょう。
退職の申し出から退職日までの期間
退職の申し出の時期は、法律と職場のルール(就業規則)の両方で確認します。
正社員のように期間の定めのない雇用契約の場合、民法第627条では、退職の申し入れから2週間が経過すると雇用契約が終了すると定められています。
同じ条文には、月給制などで「期間によって報酬を定めた場合」の決まりもありますが、現在の条文では、この制限の対象は使用者(職場)からの解約の申し入れです。
一方、多くの職場では就業規則に「退職を希望する場合は1か月前までに申し出る」などの定めがあります。
常時10人以上の労働者を雇う職場は就業規則を作り、退職に関する事項を必ず書かなければならないと労働基準法で決められているため、まずは就業規則で自分の職場の期限を確認しましょう。
法律上は2週間で退職できるとしても、円満に退職するなら就業規則の期限に合わせて申し出るのが無難です。
薬局では、後任の薬剤師の確保やシフトの組み直しに時間がかかるため、就業規則の期限よりも早めに相談すると引き継ぎもスムーズに進みます。
契約期間が決まっている場合、民法第627条の2週間のルールは使えません。契約期間の途中で退職できるのは、民法第628条の「やむを得ない事由」がある場合などに限られます(契約期間が1年を超える契約は、労働基準法第137条により1年を過ぎればいつでも退職できます)。契約の満了時に退職するか、職場と話し合って退職日を決めましょう。
在職中に選考日程を入れる方法
在職中の転職活動では、面接や見学の日程をどう確保するかが悩みどころです。
- 休みの日や有給休暇に面接をまとめて入れる
- シフト制の職場なら、希望休を早めに申請する
- 平日夕方以降や土曜日の面接に対応しているか、応募先に相談する
- オンライン面接に対応しているか確認する
30秒でかんたん登録!
無料で応募書類テンプレをプレゼント
面接の日程は、応募先から候補日を聞かれたときに複数の日時を伝えると決まりやすくなります。 今の職場に転職活動を知られたくない場合は、有給休暇の申請時に理由まで説明する必要はありません。
参考:e-Gov法令検索「民法」 / e-Gov法令検索「労働基準法」
在職中と退職後のどちらで転職活動を進めるか

初めての転職では、在職中に転職活動を進めて、内定を得てから退職するのが基本です。 ただし、心身の不調や忙しさで活動の時間が取れない場合は、先に退職する選択肢もあります。
| 在職中に進める | 退職後に進める | |
|---|---|---|
| 収入 | ◯途切れない | △貯金や失業給付でまかなう |
| 活動の時間 | △休日や仕事後に限られる | ◯平日の日中も使える |
| 職歴の空白 | ◯できない | △長引くと理由を聞かれる |
| 入職日の調整 | △退職日に合わせる | ◯すぐに入職できる |
在職中に進める場合
在職中に進める一番の利点は、収入が途切れないことです。 次の職場が決まらなくても今の仕事を続けられるため、焦って条件の合わない職場に決めてしまうことを防げます。
職歴に空白期間ができないため、面接で離職中の過ごし方を説明する必要もありません。 一方で、仕事と並行して書類作成や面接をこなすため、時間と体力のやりくりが必要です。
薬剤師の求人を探す退職後に進める場合
退職後は、平日の日中にも面接や見学の予定を入れられ、短期間で集中して活動できます。 ただし、収入がない期間ができるため、次の職場が決まるまでの生活費を貯金でまかなえるかを先に確かめておきましょう。
雇用保険の基本手当(失業給付)を受け取る場合、自己都合で退職すると、受給手続きから7日間の待期期間の後に、原則1か月の給付制限があります。
退職後は、健康保険や年金の切り替え手続きも自分で行う必要があります。 空白期間が長くなると面接で理由を聞かれることもあるため、退職前に応募先の候補をある程度絞っておくとよいでしょう。
先に辞める場合も、お金と手続きの準備ができていれば大丈夫だよ
参考:厚生労働省「厚生労働省関係の主な制度変更(令和7年4月)について」
新卒の就職活動と初めての転職で違う点

初めての転職者がつまずきやすいのは、新卒の就職活動の進め方をそのまま持ち込んでしまうことです。 「何を見られるか」「選考がどう進むか」「どこで情報を集めるか」の3点で、新卒の就職活動と転職は大きく違います。
| 新卒の就職活動 | 初めての転職 | |
|---|---|---|
| 評価されるポイント | 人柄・伸びしろ・学生時代の取り組み | これまでの業務経験と、入職後すぐ任せられること |
| 選考の進み方 | 同じ学年が決まった日程で一斉に進む | 欠員・増員に合わせて随時募集。短期間で内定まで進む |
| 情報収集の手段 | 大学の就職窓口・合同説明会・インターンシップ | 求人サイト・転職エージェント・知人の紹介などを自分で選ぶ |
評価されるポイント
新卒の採用では、人柄や伸びしろ、学生時代の取り組みが中心に見られます。 転職では、薬剤師として何を経験し、入職後すぐに何を任せられるかが評価の中心です。
経験が1〜3年と短くても、調剤の経験がある時点で、ゼロから教える新卒とは見られ方が違います。 「どの業務をどの程度ひとりで担当できるか」を具体的に伝えられるように準備しておきましょう。
選考スケジュールの進み方
転職では、欠員や増員が出たタイミングで随時募集され、応募から内定まで短期間で進むことが多いです。
良い求人ほど早く募集が締め切られることもあるため、「新卒のときのように説明会から始めよう」と考えていると、応募のタイミングを逃しかねません。
応募書類は求人を探し始める段階で下書きしておくと、気になる求人が出たときにすぐ応募できます。
30秒でかんたん登録!
無料で応募書類テンプレをプレゼント
情報収集の手段
転職では、求人サイトや転職エージェント、知人の紹介などを自分で選んで情報を集めます。
一方で、転職者には薬剤師として働いた経験そのものが情報源になるという強みがあります。 処方元の医療機関や業務の流れなど、現場を知っているからこそ気づける点を、職場見学や面接での質問に活かしましょう。
新卒のときと同じつもりでいたけど、全然違うんだね?
参考:厚生労働省「大学等卒業・修了予定者の就職・採用活動時期について」
薬剤師が初めての転職で失敗しないためのポイント

初めての転職で多い失敗は、「1社だけ見て決めた」「条件の優先順位があいまいだった」「内定時の条件を書面で確かめなかった」の3つです。 どれも、内定を承諾する前の確認で防げます。
複数の求人を比較する
比べる相手がいないと、提示された条件が良いのか悪いのかを判断できません。 1社目の選考がうまく進んでいても、2〜3件の求人を並行して比べると、条件の良し悪しを冷静に判断しやすくなります。
| 項目 | 求人A | 求人B | 求人C |
|---|---|---|---|
| 必須年間休日120日以上 | ◯ | ◯ | ✕ |
| 必須通勤40分以内 | ◯ | ◯ | ◯ |
| 月給(額面) | 36万円 | 34万円 | 39万円 |
| 賞与 | 年2回 | 年2回 | なし |
| 残業の目安 | 月15時間 | 月5時間 | 月20時間 |
| 判定 | 候補 | 候補 | 除外 |
比べるときは、月給の額面だけでなく、年間休日や残業、賞与の有無まで同じ項目で並べると違いがはっきりします。
- 薬剤師求人1,450件中、調剤薬局が1,124件
- 病院の求人は289件で、調剤薬局の約4分の1
- 年間休日120日以上の求人は全体の27%
求人数は業態によって差があるため、病院など求人が限られる職場を目指す場合は、早めに探し始めましょう。
条件に優先順位をつける
複数の内定が出たり、どの求人も一長一短だったりすると、最初に決めた必須条件だけでは決めきれないことがあります。 そのときは、希望条件の中で順位をつけ、上位の条件を満たしている求人を選ぶと判断しやすくなります。
順位に迷ったら、最初に言語化した「転職で変えたいこと」に立ち返りましょう。 「年収は少し上がるが、休日が減る」のように、転職の目的と逆の方向に変わる条件がある求人は、入職後に後悔しやすいので慎重に検討するのが無難です。
迷ったときは、転職したい理由に戻ればいいんだね
労働条件通知書で内定内容を確認する
労働基準法では、労働契約を結ぶときに労働条件を明示することが義務づけられており、賃金や労働時間など一部の項目は書面(本人が希望すればメールなど)で示さなければなりません。
- 1契約期間(有期の場合は更新の基準も)
- 2就業場所と業務内容、それぞれの変更の範囲
- 3始業・終業の時刻、残業の有無、休憩・休日・休暇
- 4賃金の決め方・計算と支払いの方法、締め日と支払日
- 5退職に関すること(解雇の事由を含む)
受け取ったら、求人票や面接で聞いた内容と食い違いがないかを照らし合わせましょう。 違う点や分からない点があれば、承諾する前に質問しておくと、入職後に「聞いていた話と違う」となるのを防げます。
まとめ
薬剤師が初めて転職するときは、求人を探す前に「変えたいこと」と必須条件を決め、入職希望日から逆算して予定を立てると、流れの中で迷いにくくなります。
新卒の就職活動とは評価のされ方も選考の進み方も違うため、経験を具体的に伝える準備と、早めの応募書類づくりがポイントです。
この記事のポイント
- 不満を「変えたいこと」に言い換え、必須条件を絞る
- 入職希望日から逆算してスケジュールを組む
- 退職の申し出は民法と就業規則の両方を確認する
- 在職中に活動し、内定後に退職するのが基本
- 内定は労働条件通知書を確かめてから承諾する
まずは「転職で変えたいこと」を紙に書き出し、入職したい時期を決めるところから始めてみましょう。 初めての転職で一人で進めるのが不安なときは、転職エージェントに相談すると、求人探しから入職日の調整までの流れを確認しながら進められます。


