手取り額は30万円を超えていますが、インセンティブがなかったときの年収は必ず把握しておきましょう。
訪問リハビリで働くPT・OT・STの年収は?転職先としておすすめ?
訪問リハビリテーションは、超高齢社会の進展とともに需要が高まり続けている分野の一つです。
PT、OT、STの転職先の候補としても人気が高い訪問リハビリですが、その理由の一つに年収が高いというものがあります。
実際に訪問リハビリで働くと年収はどれくらいなのでしょうか?
また、年収以外も考慮して訪問リハビリは転職先におすすめなのでしょうか?
今回は、訪問リハビリで働く際の年収やメリット・デメリットについて確認していきたいと思います。
実際に訪問リハビリで働いている方の給与情報なども参考にしながら確認してみましょう!
訪問リハビリの年収
訪問リハビリに従事するセラピストの年収は、一般的な病院勤務と比較して高い水準にあることが特徴です。
経験1-5年のセラピストで350-450万円、5-10年で400-550万円、10年以上のベテランになると450-650万円程度となっています。
医療キャリアナビに掲載中の求人を参考にすると、基本給が30万円を超えている求人も多く、インセンティブや独自の福利厚生を含めて年収500万円以上を狙える求人が多い印象です。
病院やクリニックではどれだけ働いても給与は変わらないことがほとんどですが、訪問リハビリにはインセンティブ制度を導入している事業所も多く、経験1年目から年収500万を超えるセラピストも珍しくありません。
それでは実際に訪問リハビリで働く方の給与明細を見てみましょう!
こちらの給与明細は、訪問リハビリ経験が2年目の作業療法士のものです。
インセンティブとして40,000円の成果給が支給されています。
基本給がそれほど高くないためボーナスがそこまで期待できませんが、主にインセンティブで高年収を狙う働き方ができます。
そうすることで、目標とする年収に到達するために月々どれくらい頑張ればいいのかがわかりやすいです。
次は訪問リハビリ経験が10年目を越える理学療法士の給与明細です。
この方の事業所ではインセンティブ制度が導入されていないですが、その代わり基本給が高くボーナスの支給があるため、毎月安定した給与となっています。
ご家庭がある方やがっつり働くのが難しい方の場合、インセンティブがあるところよりも基本給が高いところの方が精神衛生上、働きやすいという声はよく聞きます。
インセンティブ制度がないことのデメリットとしては、目指したい年収目標があったとしても自分の頑張りだけでは到達できないということです。
給与は安定していますが、年収500~600万円を目指したいという方はインセンティブがない状態で達成できる年収なのか確認が必要です。
インセンティブ制度とは
多くの事業所では、セラピストのモチベーション向上と収入アップを目的としたインセンティブ制度を導入しています。
ここまで色々と説明してきましたが、インセンティブ制度とは具体的にどのようなものなのでしょうか?
訪問件数や利用者の継続率、新規利用者の獲得実績などが評価対象となり、目標達成度に応じて追加の報酬が得られる仕組みです。
訪問件数のみをインセンティブの対象としている事業所も多く、月に80件以上訪問した場合、80件目以降は1件につき+3,000円の手当が支給されるといったような仕組みがインセンティブ制度です。
訪問リハビリは1日4~5件が平均と言われているので、月20日稼働だとした場合、月80~100件の訪問が目安となります。
インセンティブがどのような条件で支給されるのかは事業所によって大きく違うので、事前にしっかり確認しておきましょう。
デメリットとしては欠勤や有給を使用してその月の稼働日数が減ってしまった場合、インセンティブ目標が達成しづらいということもあります。
訪問リハビリの就業先や業務内容
セラピストが訪問リハビリで働くには、主に2パターンの就業先があります。
それぞれの違いや業務内容について確認していきましょう。
就業先
訪問リハビリの主な就業先は、訪問看護ステーションと病院や老健などの医療・介護施設の2パターンになります。
① 訪問看護ステーション
② 病院や老健などの医療・介護施設
訪問看護ステーションは全国に1万以上あり、看護師が必ず在籍しています。
多くは看護師が開設していますが、中には看護師以外の方や理学療法士が代表を務める訪問看護ステーションもあります。
その場合、管理者は常勤の看護師であることが必須です。
セラピストが在籍していない訪問看護ステーションもありますが、近年はセラピストが中心となって運営するリハビリ特化型の事業所も増加しています。
病院や老健などの医療・介護施設の場合、施設内に訪問リハビリの部署がある場合がほとんどです。
中には他の業務と兼業しながら訪問リハビリの業務をこなしたり、自分が担当していた患者さんが訪問リハビリを利用することになった際に訪問リハビリの業務が発生したりなど、働き方は様々です。
訪問看護ステーションとの違いは、病院や老健の場合必ず医師が常勤で働いているので、訪問先で患者さんの急変やトラブルがあった際に医師に判断を仰げるという違いがあります。
業務内容
訪問リハビリの業務は、リハビリ訓練が必要な利用者のご自宅に伺い、ADL訓練や廃用予防の訓練、自宅内の環境設定、家族指導などを行うことがメインとなります。
ご自宅でその人らしく安全に暮らせるようにすることが目的なので、機能回復が目的の訓練を実施することはほとんどありません。
ご家族の介護・介助負担を減らすために看護師やケアマネージャーと連携したりもします。
就業先の違いがあったとしても、基本的な業務内容には違いがありません。
訪問リハビリで働くメリット・デメリット
訪問リハビリは”高年収”というイメージがあるのでセラピストの転職先として人気が高いですが、働く上で他にメリットやデメリットはあるのでしょうか?
メリット
訪問リハビリの最大の魅力は、利用者の生活環境に直接関わることができる点です。
病院とは異なり、実際の生活の場でリハビリテーションを提供することで、より実践的なアプローチが可能になります。
また、様々な環境での対応力が養われ、セラピストとしての臨床判断力も大きく向上します。
働き方の面で言うと、時間管理の自由度の高さも大きな特徴です。
就業先によりますが、訪問のスケジュールはある程度セラピスト自身で調整することができます。
病院やクリニックでは決められた時間通りに動くのが当たり前ですが、自分自身で時間管理ができるところが現代に合った働き方として人気な理由でもあります。
他にも他の医療スタッフと関わる機会が少なくなることから、面倒な人間関係や組織のしがらみを気にせず働けるという声もあります。
これは一長一短ありますが、向いている人には最適な職場環境と言えるでしょう。
デメリット
デメリットとしてよく聞かれるのは、責任の重さです。
単独での訪問となるため、訪問中は周りに頼れるスタッフがおらず、その場での判断や対応をすべて任されることになります。
どこの事業所も緊急時のマニュアルが準備されていますが、それでも一人行動は慣れるまで精神的な負担となるようです。
天候の影響による移動の身体的な負担も無視できません。
近年は連日真夏日となったり突然のゲリラ豪雨など、天候が訪問に与える影響が大きくなっています。
車移動の場合は負担が少ないですが、自転車移動となると体調管理をしっかり行わないとそれだけで身体的疲労が蓄積していきます。
近年の訪問看護ステーションは独自の福利厚生を導入しているところが多く、少しでも移動にかかる負担を労うために真夏日手当や雨の日手当などを支給しているところもあります。
訪問リハビリの求人の探し方
訪問リハビリの求人を探す際は、転職エージェントを利用するのがおすすめです。
大手や全国展開の訪問リハビリ求人は求人サイトで探しやすいですが、設立したばかりの訪問看護ステーションや病院・老健に入っている訪問リハビリの部門の求人は一般的には探しにくいです。
中にはセラピストを募集しているけれど、応募がないため看護師しか働いていない訪問看護ステーションもあったりするので、ホームページを見るだけではセラピストについての情報が少なかったりほとんどない場合もあります。
転職エージェントでは最新の募集状況や細かな募集要項が揃っていたりするので、自分で探していたら見落としがちなところをカバーすることができます。
自分で良さそうな求人を探しつつ、転職エージェントも利用しながら並行して訪問リハビリの求人を探すのが、最も効率的で条件に合った求人を探すのに適した方法でしょう。
まとめ
訪問リハビリは、収入面で病院やクリニックより高い年収が得られる可能性が高いのと、時間管理の自由度の高さなどが働く上での魅力です。
訪問リハビリの目安となる年収は、経験1-5年のセラピストで350-450万円、5-10年で400-550万円、10年以上のベテランになると450-650万円程度となっています。
インセンティブ制度を導入している事業所も多いことから、中には経験1年目から年収500万円を狙うこともできます。
訪問リハビリの求人は病院やクリニックなどの求人と比べて探しにくい点があるので、効率よく探すには転職エージェントを利用しつつ自分でも探すのが最も効率的です。
医療キャリアナビでも最新の訪問リハビリの求人の提案が可能なので、これから訪問・在宅の分野に転職したいと考えているセラピストの方がいれば、ぜひ一度ご相談ください!