コメディカルって何?医療現場を支える代表的な22職種
「コメディカル」という言葉からどんなことを想像しますか?
聞いたことはあるけれど詳しくは知らない。もしくは”メディカル”と付いているので何となく医療関連のことが頭に浮かぶかもしれません。
医療現場では患者さんの健康を多角的にサポートする「コメディカル」と呼ばれる職種が必要不可欠です。
そもそも「コメディカル」と呼ばれる職種とは一体なんなのか、どんな職種が該当しているのかなど、医療現場のサポート役「コメディカル」に焦点を当て、その多様な職種について紹介します。
コメディカルとは?
医療現場では医師だけではなく、多種多様な専門職の人たちが重要な役割を担って働いています。
医師、歯科医師を除いたこれらの医療現場で働く職種の総称を「コメディカル」と呼んでいます。
メディカルスタッフと呼ぶ場合も多いですが、これらの呼び方だと該当する職種の範囲が不明確ということもあり、それぞれの職種名で表記することも増えてきています。
それでは、どのような職種がコメディカルに含まれているのでしょうか。
コメディカル/メディカルスタッフの職種紹介
医療現場を支えるコメディカル/メディカルスタッフには、多岐に渡る専門職があります。
ここではその一端を知ってもらうために、代表的な職種をピックアップしてご紹介していきます。
薬剤師
薬剤師は、医薬品の専門家として医療の場で不可欠な役割を果たしています。
医師が処方した薬の調剤を行うだけでなく、患者さんへの服薬指導を通して、薬の正しい使用方法や副作用の管理を行います。
また薬剤師は病院だけでなく、ドラッグストアや薬局での相談役としても活躍しており、地域医療への貢献も大きい職業です。
薬剤師の詳細なアドバイスは、患者さんの健康維持に欠かせないサービスの一つとなっています。
看護師
看護師は、医療現場において患者の健康管理とケアを行う専門職です。
看護師の役割は多岐にわたり、患者の身体的なケアだけでなく、精神的な支援も含まれます。
看護師は患者とその家族に対して、疾病の予防、健康の維持・促進、病気の治療、リハビリテーションの支援など、広範囲にわたるサービスを提供します。
看護師の就職先は非常に多岐にわたります。
主な就職先としては、病院、診療所、公衆衛生施設、介護施設、学校、企業の保健室などがあります。
また進んで資格や経験を積むことにより、専門看護師や認定看護師といったさらに高度な専門性を持つ看護師への道もあります。
保健師
保健師は、公衆衛生の向上と地域社会の健康促進を目指す専門職です。
保健師の主な業務は、疾病の予防、健康の保持・増進、生活環境の改善に関わる活動を行うことです。
保健師は、個人だけでなく、家族や地域社会全体の健康に対するアプローチを行います。
これには、健康教育、予防接種、健康相談、疫学調査、保健指導などが含まれます。
保健師の就職先は多岐にわたりますが、主に公的機関である保健所や市町村の保健センター、病院、学校、企業の健康管理部門などがあります。
またNPO法人や国際機関で活動する機会もあります。
助産師
助産師は、妊娠、出産、産後ケアを専門とする医療専門職です。
母体と胎児の健康管理、安全で自然な出産のサポート、新生児のケア、そして出産後の母親の健康回復を支援します。
助産師の役割は、医療的介入が必要ない正常な妊娠と出産プロセスの管理に重点を置いていますが、緊急時には医師と連携して対応します。
またフリーランスとして独立開業する助産師や自宅出産をサポートする助産師もおり、妊婦とその家族の希望に応じた多様なケアを提供しています。
義肢装具士
義肢装具士は、医療機器や福祉用具の設計・製作・調整を行う専門職です。
主に、障害を持つ人々や高齢者が日常生活や社会生活を送るのを支援するための装具(サポート用の器具や支援具)を扱います。
義肢装具士の業務は、単に装具を製作・提供するだけでなく、使用者の身体的条件や生活環境に合わせたカスタマイズが重要となります。
そのため、医師や理学療法士(PT)、作業療法士(OT)などの他の医療専門家と連携し、利用者に最適な装具を提供するための評価や相談を行うことが求められます。
視能訓練士
視能訓練士は、目の機能障害を持つ人々に対する診断支援、治療、リハビリテーションを行う医療専門職です。
視能訓練士の業務は多岐にわたり、主には視力検査、斜視・弱視の評価と治療、眼球運動障害のリハビリテーション、ビジョンセラピーなどがあります。
高齢社会の進展やデジタルデバイスの普及により、視覚に関する問題が増えている現代において、視能訓練士の役割はますます重要になっています。
理学療法士
理学療法士は、疾患や怪我による運動機能の障害を持つ患者に対して、運動療法や物理療法を用いて治療を行います。
その目的は、痛みの軽減、機能回復、運動能力の向上を図り、日常生活や社会生活への復帰を支援することです。
リハビリテーションプランの作成、運動指導、歩行訓練、姿勢改善など、様々な治療を提供します。
中にはスポーツ現場で活躍している理学療法士も存在します。
作業療法士
作業療法士は、身体的、精神的障害を持つ患者が日常生活や社会生活を自立して送れるように、作業活動を通じて支援します。
この「作業」には、個人の日常生活動作(ADL)、仕事、趣味、学習などが含まれます。
作業療法士は、患者の能力や環境を評価し、必要なスキルの訓練や環境調整を行うことで、生活の質の向上を目指します。
言語聴覚士
言語聴覚士は、言語、発話、嚥下(えんげ)、聴覚に関する障害を持つ人々の診断と治療を行います。
発音障害、言語発達遅延、失語症、聴覚障害、嚥下障害などが対象です。
言語聴覚士は、患者一人ひとりのニーズに合わせた治療計画を立て、言語やコミュニケーション能力の向上、嚥下機能の改善に向けて支援します。
公認心理師
公認心理師は、心理学の専門知識を生かして、心の悩みや精神的な問題を持つ方々のサポートを行います。
カウンセリングや心理療法を通じて、患者さんの精神的な健康を守り、生活の質の向上を目指します。
また、予防や教育、研究などの分野でも活躍することができる多岐にわたる専門職です。
2017年に施行されたコメディカルの中では新しい国家資格になります。
臨床心理士
臨床心理士は、心理学の専門家として、心理的な問題や障害を抱える個人や家族の診断、評価、治療を行います。
カウンセリングや心理療法を通じて、患者さんの精神的な健康をサポートし、社会復帰や生活の質の向上を目指します。
病院や学校、福祉施設など、さまざまな場所で活躍しています。
今のところは業務内容において公認心理師と明確に大きな違いがあるわけではないですが、臨床心理士は民間資格であり、5年に一度の更新が必要となっています。
介護福祉士
介護福祉士は、主に高齢者や障害を持つ人々に対して、日常生活をサポートする専門職です。
そのサポートは身体的な介護だけでなく、社会参加やレクリエーション活動の支援も含まれます。
食事や入浴などの日常生活の支援、社会参加や趣味活動の支援のなど、その人らしさを尊重したケアを提供することが必要になってきます。
社会福祉士
社会福祉士は、個人や家族が抱える様々な問題に対して、専門的なアドバイスやサービスの提供を行う専門職です。
その活動範囲は広く、貧困、虐待、障害、高齢化、依存症など、社会的な問題の解決に向けて支援します。
社会福祉士は、利用者一人ひとりの権利を守り、より良い生活が送れるように支援することが目標です。
管理栄養士
管理栄養士は、人々の健康を栄養面からサポートする専門家です。
食事の計画、指導、栄養評価を行うだけでなく、病院や福祉施設、学校などでの給食管理も担当します。
管理栄養士の専門知識は、食生活や健康、疾病予防に不可欠で、特に病院では治療の一環として栄養摂取が非常に重要視されています。
また、健康志向が高まる中、一般企業や地域の健康推進活動における彼らの役割も重要になってきています。
診療放射線技師
診療放射線技師は、レントゲンやCT、MRIといった医療用の画像診断装置を操作し、適切な画像を撮影する専門家です。
診療放射線技師は患者さんに安全な方法で画像撮影を行い、正確な診断に必要なデータを提供します。
また近年では放射線治療に関わる技師も増えており、医療チームの一員として患者さんの治療に直接関わることもあります。
臨床工学技師
医療の現場で使用される様々な生命維持装置や治療機器の管理・運用を担うのが臨床工学技師です。
医療機器の専門家として、機器のメンテナンスやトラブルシューティングを行います。
また、手術の際には機器の操作を担当したり、医師の指示のもとに医療機器を用いた治療を行うこともあります。
急速に進歩する医療技術の中で、常に最新の知識を学び続けることも重要な役割となります。
臨床検査技師
臨床検査技師は、医師の診断や治療のために必要な検査を行う専門家です。
血液や尿、組織などの検体を分析し、病気の有無や進行度を調べます。
臨床検査技師が行う臨床検査は、医師が的確な診断を下すための情報を与える重要なものです。
正確な検査結果を提供することで、患者さんの健康を支えています。
柔道整復師
柔道整復師は、骨折や脱臼、捻挫などの外傷の応急処置やリハビリテーションを行う専門家です。
手技療法や運動療法を通じて、患者さんの身体機能の回復をサポートします。
スポーツ現場や整骨院などで活躍し、身体の健康維持に貢献しています。
独立して自分の院を持つ柔道整復師も多く、幅広い分野での活躍が期待できます。
あん摩マッサージ指圧師
あん摩マッサージ指圧師は、日本で認められた医療関連の専門職であり、手技療法を用いて人々の健康維持や疾病の予防、治療を行います。
あん摩マッサージ指圧師は日本独特の資格制度に基づいており、あん摩(圧迫)、マッサージ(擦る)、指圧(圧を指で加える)という三つの手技を中心に、患者の身体的な不調を和らげることを目的としています。
高齢者の増加や健康志向の高まりに伴い、予防医学の一環としてのニーズが拡大しています。
鍼灸師
鍼灸師は、鍼(はり)と灸(きゅう)を用いた治療を行う伝統的な東洋医学に基づいた専門職です。
鍼治療は、特定のツボに細い鍼を刺入することで、体内の気の流れを調整し、患者の健康状態を改善することを目的としています。
灸治療は、ツボの上に灸(もぐさ)を置き、温熱刺激によって同様の効果を目指します。
これらの治療は、痛みの緩和、自律神経の調整、免疫力の向上など、さまざまな効果があるとされています。
歯科衛生士
歯科衛生士は、歯科医療チームの一員として、主に口腔衛生の保持と向上に関わる専門職です。
予防歯科に重点を置いて活動し、歯科医師の指導のもとで患者の口腔ケアを行います。
その業務は、歯垢や歯石の除去、フッ素塗布、歯間ブラシやフロスの使用指導など、患者の口腔衛生状態の改善と維持に向けたものです。
また、歯科衛生士は、患者に対する口腔衛生指導や栄養相談、禁煙指導なども行い、全身の健康維持にも貢献します。
歯科衛生士の専門性を活かして、歯科材料や口腔ケア用品の販売・開発に携わることもあります。
歯科助手
歯科助手は、歯科医院の運営をサポートする職業であり、患者さんの受付や診療介助、院内の清掃や器具の準備など多岐に渡る業務を行います。
国家資格は必要とされない場合が多いですが、歯科診療に関する基本的な知識や技術、そしてコミュニケーション能力が求められる仕事です。
歯科助手は、患者さんと院内スタッフとの橋渡しをする重要なポジションであり、歯科治療の効率化に大きく貢献しています。
コメディカルのまとめ
「コメディカル」とは、医師や歯科医師を除く医療現場で活躍する多様な専門職の総称です。
普段関わることがなかったり聞いたことがない職種もあるかもしれませんが、医療現場ではこれだけ多くの専門職種の方々が患者さんや地域住民の方々の健康を支えています。
医師、歯科医師、コメディカル同士が連携することでチーム医療が成り立っているので、ぜひその関わり合いにも着目してみると、コメディカルの働き方がより深く知れるかもしれません。