OPQRSTとは|痛み・症状の問診6項目と質問例
OPQRSTとは
OPQRST(オー・ピー・キュー・アール・エス・ティー)は、症状を漏れなく聞き取るための問診の枠組みです。
Onset(発症)、Provocation/Palliation(増悪・寛解因子)、Quality(性状)、Region/Radiation(部位・放散)、Severity(強さ)、Time(経過)の頭文字を並べたもので、救急医療や病棟看護の現場で標準的に用いられています。
なお、項目名には複数の表記があります。RはRegion(部位)とRadiation(放散)を合わせて扱うほか、Related symptom(随伴症状)を含める場合もあります。TもTime、Timing、Time courseなど表現に幅がありますが、聞く内容の本質は変わりません。施設のマニュアルがある場合はそちらに合わせてください。
OPQRSTの6項目
| 文字 | 項目 | 聞く内容 |
|---|---|---|
| O | Onset(発症) | いつから始まったか。突然か、徐々にか。発症時に何をしていたか |
| P | Provocation / Palliation(増悪・寛解因子) | 何をすると悪くなるか、何をすると楽になるか |
| Q | Quality(性状) | どんな感じの痛み・症状か。患者さんの言葉で表現してもらう |
| R | Region / Radiation(部位・放散) | どこが痛むか。他の場所に響くか。ほかに伴う症状はあるか |
| S | Severity(強さ) | 痛みの強さ。数値スケールや、日常生活への支障で確認する |
| T | Time(経過・時間) | 持続時間、頻度、時間帯、これまでの変化(増悪・軽快) |
「OとT」が時間軸、「PQRS」が症状の詳細、と分けて覚えると整理しやすくなります。
頭から順に聞かなくても構いません。話の流れに合わせて拾い、最後に抜けている項目を補うのが実践的です。
そのまま使える質問例
| 項目 | 質問例 |
|---|---|
| O 発症 | 「いつから痛みますか?」 「始まったとき、何をしていましたか?」 |
| P 増悪・寛解 | 「どんなときに強くなりますか?」 「楽になることはありますか?」 |
| Q 性状 | 「どんな痛みですか?」 「ズキズキ、締めつけられる、など言葉にできますか?」 |
| R 部位・放散 | 「どこが一番つらいですか?指でさせますか?」 「他に響くところはありますか?」 |
| S 強さ | 「今の痛みは10段階でいくつですか?」 「一番強いときはいくつでしたか?」 |
| T 経過 | 「ずっと続きますか、波がありますか?」 「さっきと比べて強くなっていますか?」 |
患者さんの言葉をそのまま記録することが大切です。
「ズキズキする」「ギューっとつかまれる感じ」など、独特の表現がそのまま診断の手がかりになります。「鋭い痛みですね」と看護師側で言い換えず、患者さんの表現を残しましょう。
問診で押さえておきたいコツ
- まずは開かれた質問から始める。「どうされましたか?」と自由に話してもらい、そこからOPQRSTの項目を拾う
- 患者さんの言葉をそのまま使う。看護師の言葉に置き換えず、かぎかっこ付きで記録に残す
- 抜けている項目を最後に補う。会話が一段落したところで、聞けていない項目だけを確認する
- 数値化できるものは数値で聞く。強さは10段階、時間は「何分前から」と具体的に
- バイタルサインや表情、体位もあわせて観察する。話す余裕があるかどうか自体が重要な情報になる
痛み以外の症状にも使える
OPQRSTは痛みの問診というイメージが強いですが、症状全般に応用できます。
| 症状 | OPQRSTの応用例 |
|---|---|
| 呼吸困難 | O:いつから / P:体位や労作で変わるか / Q:息が吸えないのか吐けないのか / R:胸のどこか、随伴症状 / S:会話や歩行ができるか / T:持続性か発作性か |
| めまい | O:発症のしかた / P:頭位変換で誘発されるか / Q:回転性か浮動性か / R:難聴・耳鳴り・麻痺の有無 / S:歩けるか、立てるか / T:数秒か数時間か |
| 悪心・嘔吐 | O:食事との関係 / P:何をすると軽快するか / Q:嘔吐物の性状 / R:腹痛の部位、頭痛の有無 / S:回数、経口摂取の可否 / T:持続時間、周期性 |
緊急性を疑うサイン
OPQRSTで聞いた内容のなかで、次のような答えは緊急性が高い可能性があります。医師への早めの報告を検討します。
- 突然の発症(発症時刻をはっきり言える)
- 今まで経験したことのない強さ
- 放散痛がある(肩・背部・顎・下肢など)
- 時間とともに増悪している
- 意識・呼吸・循環に変化がある
OPQRSTはあくまで問診の枠組みで、診断ツールではありません。
得られた情報は、バイタルサイン、身体所見、既往歴(SAMPLEなど)、検査データとあわせて総合的に評価します。
緊急性の判断に迷うときは、様子をみるより先に報告するのが基本です。
印刷して活用しよう
OPQRSTの6項目、そのまま使える質問例、痛み以外への応用、緊急性を疑うサインを1枚にまとめた早見表を用意しました。
印刷してポケットやナースステーションに置いておくと、急変時の問診でそのまま使えます。以下のフォームから無料でダウンロードできます。
OPQRST 痛み・症状の問診
OPQRSTの6項目と、そのまま使える質問例、痛み以外の症状への応用、緊急性を疑うサインを1枚にまとめた早見表です。ポケットに入れて、急変対応や救急外来のアセスメントにお使いください。