3学会合同呼吸療法認定士とは?資格取得のメリットをご紹介
近年、高齢化の進行、生活習慣病の増加、そして記憶に新しい感染症の世界的流行。
これらの要因が重なり、呼吸ケアの重要性が急速に高まっています。
『3学会合同呼吸療法認定士』という資格は、呼吸ケアのエキスパートとして、患者さんの「呼吸」と「生命」を支えるために必要な知識・技術を習得できる注目の資格です。
医療従事者として取得しておくことでメリットも多い『3学会合同呼吸療法認定士』の資格について紹介していきます!
3学会合同呼吸療法認定士とは
3学会合同呼吸療法認定士は、呼吸器疾患の患者さんに対して、高度な専門知識と技術を持って呼吸療法を提供できる医療従事者を認定する資格です。
『呼吸療法認定士』とも呼ばれています。
3学会合同呼吸療法認定士は、以下の3つの学会が合同で認定しています。
・一般社団法人 日本胸部外科学会
・一般社団法人 日本呼吸器学会
・公益社団法人 日本麻酔科学会
これらの権威ある学会が認定していることから、この資格の専門性と信頼性の高さがうかがえます。
かつてはあまり重要視されていなかった呼吸療法ですが、今や多くの患者さんの命を支える不可欠な手段となっています。
吸入療法、酸素療法、呼吸リハビリテーション、そして高度な人工呼吸管理まで、その範囲は実に幅広く、それぞれが患者さんの生活の質を大きく左右します。
全ての医療従事者が、基本的な知識と技術を身につけることで、医療の質の向上につなげていく考えが広がっています。
3学会合同呼吸療法認定士の取得メリット
3学会合同呼吸療法認定士の資格を取得することで得られるメリットは、大きく分けて以下の3つが挙げられます。
キャリアアップ
3学会合同呼吸療法認定士の資格を取得することで、呼吸療法のスペシャリストとして認められ、キャリアの幅を広げることができます。
呼吸ケアチームのリーダーとしての役割を担ったり、呼吸療法に関する院内教育担当者としての役職に昇格して活躍している医療従事者の方も実際にいらっしゃいます。
資格を取得した実績が評価されて、呼吸器専門病棟やクリニックへの転職活動に活かせる例もあります。
専門性の向上
資格取得の最大のメリットは、呼吸ケアに関する専門的な深い知識と技術を習得できることです。
講義内容は以下の通りとなっています。
1.血液ガスの解釈
2.呼吸機能とその検査法
3.呼吸不全の病態と管理
4.呼吸リハビリテーション
5.酸素療法
6.人工呼吸器の基本構造と保守および医療ガス
7.気道確保と人工呼吸
8.NPPVとその管理法
9.開胸・開腹手術後の肺合併症
10.新生児・小児の呼吸管理
11.人工呼吸中のモニター
12.人工呼吸中の集中治療
ご覧の通り、非常に幅広く呼吸ケアに関する知識や技術が身につきます。
より質の高い呼吸ケアを提供したい、患者さんの状態変化に迅速かつ適切な対応ができるようになりたいという医療従事者にとって、確実にプラスになる資格と言えます。
待遇面の向上
3学会合同呼吸療法認定士の資格保持者に対して、いくつかの医療機関や施設ではすでに資格手当の支給や給与・賞与のベースアップなどの待遇向上が進んでいます。
資格取得後もモチベーション高く働けるような環境が整っていれば、これから資格取得を目指す方の心理的ハードルも下がるので、資格取得を見越して新たな職場への転職を考える医療従事者の方も増えています。
3学会合同呼吸療法認定士を取得するには
3学会合同呼吸療法認定士の資格を取得するには、受験資格を満たして試験に合格する必要があります。
受験資格
3学会合同呼吸療法認定士の受験資格は以下の①、②の両方を満たした方のみに与えられます。
①
保有資格 | 実務経験年数 |
看護師 | 2年以上 |
准看護師 | 3年以上 |
理学療法士 | 2年以上 |
作業療法士 | 2年以上 |
臨床工学技士 | 2年以上 |
参考:医療機器センター 第29回3学会合同呼吸療法認定士 認定講習会及び認定試験
どの資格を保有している方も、アルバイトでの実務経験は考慮されないので、正社員(常勤勤務)として2年以上(准看護師の場合は3年以上)の実務経験が必要です。
②
受験を申し込みした日を起点として、過去5年以内に認定委員会(日本胸部外科学会、日本呼吸器学会、日本麻酔科学会)が認める学会や講習会などに出席し、12.5点以上の点数を取得している方。
受験から認定までのステップ
1. 受験資格の確認と必要書類の準備
2. 受験申請書の提出
3. 筆記試験の受験
4. 実技試験の受験
5. 合格発表
6. 認定証の取得
試験は年に1回実施されており、合格率は例年50~60%前後となっています。
どのステップも月が決まっているので、資格取得を目指す際はそれを確認した上でスケジュールを立てていくのが望ましいです。
まとめ
3学会合同呼吸療法認定士の資格は、呼吸器疾患の患者さんのケアに携わる医療従事者にとって、非常に価値のある資格です。
資格取得のメリットとしては、以下の3つが挙げられます。
① 呼吸ケアに関する専門的な知識とスキルを身につけられる
② キャリアアップの可能性が広がる
③ 給与面でも優遇される可能性がある
呼吸器疾患の患者さんが増加傾向にある現在、この資格の需要はますます高まっています。
自己研鑽の機会として、また、キャリアアップの選択肢として、3学会合同呼吸療法認定士の資格取得を検討してみてはいかがでしょうか。
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