●異常所見の早期発見が可能になり、迅速な対応につながる
●医師との円滑なコミュニケーションが可能になり、チーム医療の質が向上する
●患者さんへの説明がより具体的かつ正確になる
看護師が心電図検定を受ける3つのメリットと検定の詳細を解説!
あなたは今、患者さんのベッドサイドに立ち、モニターに映る心電図を見つめています。
その波形が何を語っているのか、完璧に理解できていますか?
心臓の鼓動を正確に読み取るスキルは、患者さんの命を守ることに繋がり、看護師としてのキャリアを飛躍させる鍵にもなり得ます。
なぜ多くの看護師が『心電図検定』に注目しているのでしょうか?
この記事では、心電図検定がもたらす3つのメリットと、検定の基礎知識について解説します。
心電図検定とは?
心電図検定とは、心電図(ECG)の判読スキルを測定するための検定試験で、日本不整脈心電学会が主催しています。
この検定は、心電図の理解を深めることを目的としており、医師や看護師、臨床検査技師などの医療従事者をはじめ、医療系の学生や心電図に興味を持つ一般の方も受験することができます。
検定のレベルと問題内容
検定には1級から4級までの階級があり、それぞれ難易度が異なります。
検定に合格することで、心電図の判読能力が一定の基準を満たしていることが証明されます。
級 | レベル | 問題内容 |
---|---|---|
1級 | 高度な判読力を有する | 患者さんの状態・疾患・病態から起こり得る変化について問う問題など |
2級 | 中等度~高度な判読力を有する | 疾患による心電図所見の判読や、ペースメーカの心電図の判読に関する問題など |
3級 | 基礎~中等度の判読力を有する | 12誘導心電図の基本的な心電図所見、臨床現場で遭遇する機会が多い不整脈の心電図の判読に関する問題など |
4級 | 基礎的な判読力を有する | モニター心電図やホルター心電図、12誘導心電図の基本的な所見など |
難易度は段階的に上がっていきますが、多くの看護師は4級から取得しています。
4級は医学生やメディカルスタッフが受検するレベルと言われており、3級になると看護師の国家試験で学習したレベルより一段階上のレベル(一般臨床医や循環器など心電図を扱うことが多い現場で働くメディカルスタッフが受検するレベル)の試験となります。
看護師として働く上では、4級もしくは3級の取得が一般的です。
また、1級合格者のうち、高得点者は心電図マイスターとして認定されます。
例年10名前後の方がマイスターとして認定されています。
併願での受験はできないので、ご注意ください。
看護師が心電図検定を受けるメリット
メリット1:心電図の判読力が向上する
1つ目のメリットは、心電図検定の学習過程で、心電図の判読力が飛躍的に向上することです。
看護師の場合、学生時代に基本的な心電図の判読力が養われていることに加え、蓄積された臨床経験もあるので、より理解が進みやすいと言われています。
これにより、以下のような患者ケアの質の向上が期待できます。
メリット2:キャリアアップの武器となる
2つ目のメリットして、心電図検定の取得は、キャリアアップの強力な武器となります。
●循環器や救急などの専門性の高い部署への異動チャンスが増える
●昇進や昇給の評価対象となる可能性が高まる
●他の医療機関への転職時に有利になる
将来的に、心電図を扱う機会が多い部署・科で働きたいと思っている方やそこでのキャリアアップを目指している方は、心電図検定を取得しておくメリットが大きいです。
メリット3:緊急時の対応力・自信が向上する
心電図検定で培った知識は、緊急時の対応力や判断力に大きく活かされます。
心筋梗塞や重症不整脈などの緊急事態を素早く認識できたり、医師の到着前に必要な準備を整えることができるのは、看護師として1番のメリットと言えるはずです。
また、心電図の判読は波形によって難しいものも多く、自分の判読に自信が持てないことも多いかと思います。
そんな状況でも、心電図検定を取得しているという事実があることで、自分の判読に自信を持つことができるようになります。
自信がない状態で判読しなければいけなかったり、医師に報告しなくてはいけない状況が減るだけでも、心電図検定を取得するメリットは大きいのではないでしょうか。
心電図検定の受検から合格まで
心電図検定の受験プロセスは、以下のようになっています。
心電図検定の受検プロセス
※受検する都道府県や級数によって申し込み開始日時が違います。
心電図検定は年1回実施されています。
どの級も全50問のマークシート方式で4級が70分、その他の級が90分の試験となっています。
合格率と合格基準
心電図検定の2023年度の受検者数、合格者数、合格率は以下の通りです。
1級 | 2級 | 3級 | 4級 | |
---|---|---|---|---|
受検者数(人) | 2,704 | 5,472 | 5,898 | 2,728 |
合格者数(人) | 1,375 | 3,591 | 4,410 | 2,335 |
合格率(%) | 50.9% | 65.6% | 74.8% | 85.6% |
看護師の多くが受検する4級、3級の合格率は70~80%と比較的高めですが、知識のある臨床医や医学生、メディカルスタッフが受検していることを考えると、決して高いとは言えません。
それだけ専門的かつ臨床で活かすための知識が問われる試験ということです。
また、合格基準は公表されていないため、その年の難易度によって合格基準が左右されることが予想されます。
まとめ
心電図検定は、看護師にとって非常に価値のある資格です。
心電図の判読力の向上や患者ケアの質の向上だけでなく、キャリアアップの武器となり、緊急時の対応力や自信の向上にも大きく関わってきます。
看護師として働きながらの試験勉強や準備は大変かもしれませんが、得られるものも大きいはずです。
ぜひ、自身のキャリアプランの中に心電図検定の取得を組み込んでみてはいかがでしょうか?
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