地域包括ケア病棟とは?看護師が働くにあたってわかりやすく解説!

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高齢化が進む今、「地域包括ケア病棟」の担う役割は非常に大きいものです。

そんな地域包括ケア病棟とは何なのか、看護師として地域包括ケア病棟で働くやりがいや魅力をお伝えしていきます。

地域包括ケア病棟とは?

地域包括ケア病棟は、2014年の診療報酬改定で新設された病棟区分で、急性期治療を終えた患者さんの在宅復帰を支援することを主な目的としています。

利用者数はどんどんと増加しているのが現状です。

地域包括ケア病棟の設置目的

地域包括ケア病棟の主な設置目的は以下の通りです:

  • 急性期治療後の患者さんの在宅復帰支援
  • 在宅療養患者の急性増悪時の受け入れ
  • 在宅復帰に向けたリハビリテーションの提供
  • 地域の医療・介護サービスとの連携強化 等々

地域包括ケア病棟の特徴

地域包括ケア病棟には、以下のような特徴があります。

特徴 説明
入院期間 原則60日以内
病床数 一般病床の10%以上50%以下
在宅復帰率 70%以上
リハビリテーション 1日平均2単位以上提供

患者さんの早期回復と在宅復帰を促進する環境が整えられているのが特徴です。

地域包括ケア病棟の役割と機能

地域包括ケア病棟は、以下のような役割と機能を果たしており、

  1. ポストアキュート機能:急性期治療後の患者さんの受け入れ
  2. サブアキュート機能:在宅・介護施設等からの軽症患者の受け入れ
  3. 在宅復帰支援機能:在宅復帰に向けた準備と調整
  4. 地域連携機能:地域の医療・介護サービスとの連携強化

これらの役割を通じて、地域包括ケア病棟は医療と介護の橋渡し役として機能しています。

一般病棟との違いは?

地域包括ケア病棟と一般病棟には、いくつかの重要な違いがありますので見ていきましょう。

入院期間

地域包括ケア病棟と一般病棟の最も顕著な違いの一つは、入院期間です。

病棟タイプ 入院期間
地域包括ケア病棟 原則として60日以内
一般病棟 診療報酬の種類により異なるが、多くの場合14日以内

地域包括ケア病棟では、患者さんの状態に応じて、より長期的なケアと回復支援が可能です。

一方、一般病棟では急性期の治療に焦点を当てるため、入院期間が比較的短くなります。

看護体制とリハビリテーション

看護体制やリハビリテーションの提供にも違いがあります。

  • 地域包括ケア病棟:看護配置13対1が基本
  • 一般病棟:看護配置7対1や10対1など、より手厚い看護体制

リハビリテーションの提供体制も大きく異なります。

  • 地域包括ケア病棟:積極的なリハビリテーションの提供(1日最大2単位)
  • 一般病棟:疾患や状態に応じたリハビリテーション(必要に応じて提供)

患者の状態

入院する患者さんの状態にも違いがあります:

病棟タイプ主な患者の状態
地域包括ケア病棟急性期を脱し、状態が安定している患者
在宅や施設からの軽度急性期患者
一般病棟急性期の患者
専門的な治療を要する患者

地域包括ケア病棟では、急性期治療を終えた後のケアや、在宅・施設療養中の患者さんの一時的な入院にも対応します

これにより、地域全体の医療・介護サービスの効率的な提供に貢献しています。

入院患者さんの例

地域包括ケア病棟には、様々な背景を持つ患者さんが入院します。

急性期治療後のリハビリテーション

脳卒中や骨折などの急性期治療を終えた後、自宅復帰に向けてリハビリテーションが必要な患者さんが多く入院します。

70代男性、脳梗塞後のリハビリテーション

80代女性、大腿骨頸部骨折の手術後のリハビリテーション

これらの患者さんは、専門的なリハビリテーションを受けながら、日常生活動作(ADL)の改善を目指します

在宅療養患者の一時的な入院

在宅で療養中の患者さんが、一時的に病状が悪化したり、介護者のレスパイトケアが必要になったりした場合に入院することがあります。

80代女性、認知症で在宅療養中、発熱と脱水で一時入院

60代男性、ALS患者、介護者の休養のための短期入院

これらの患者さんは、症状が安定したら再び在宅療養に戻ることを目標としています

退院支援が必要な患者

急性期病棟から転棟してきた患者さんで、医療処置は落ち着いたものの、自宅での生活に不安がある場合があります。

75代男性、心不全で入院後、自宅での服薬管理や食事療法の指導が必要

68歳女性、膵臓がん手術後、在宅での疼痛管理や栄養管理の指導が必要

これらの患者さんには、退院後の生活を見据えた具体的な指導や支援が行われます。

看取りの患者

終末期を迎えた患者さんが、最期を穏やかに過ごすために入院することもあります。

90代女性、進行性がんの終末期、緩和ケアを受けながら過ごす

85代男性、重度の心不全末期、家族に見守られながら過ごす

これらの患者さんには、身体的な苦痛の緩和だけでなく、精神的・社会的サポートも提供されます。

地域包括ケア病棟における看護師の役割

地域包括ケア病棟では、看護師の役割が従来の病棟とは異なる点が多くあります。

1.多職種連携のコーディネーター

2.在宅復帰支援

3.リハビリテーション看護の実践

4.退院調整と地域連携

5.教育的役割

6.急性期-回復期-生活期をつなぐ役割

7.地域包括ケアシステムにおける役割

まとめ

地域包括ケア病棟は、急性期治療を終えた患者さんの在宅復帰を支援する重要な役割を担っています。

一般病棟とは異なり、医療と介護の両面からケアを提供し、患者さんの自立支援に力を入れています。

地域包括ケアシステムの一翼を担う地域包括ケア病棟で働くことは、看護師にとって専門性を高め、地域医療に貢献できる貴重な機会となります。

高齢化が進む日本社会において、この病棟の重要性は今後さらに高まると予想されます。

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