ジャークテスト|前十字靱帯損傷の診断手順・陽性基準・グレード分類
ジャークテストは、ピボットシフト現象を利用したACL損傷の代表的な誘発テストのひとつです。
ACLが機能していないと、膝の屈曲・伸展に伴って脛骨の外側顆が大腿骨に対して前方へずれ込み(亜脱臼)、ある角度で急に整復されるという特徴的な動きが生じます。この「ガクッ」とした動きを触知・視認することで、前外側回旋不安定性の有無を判断します。
スポーツ外傷などで受傷することが多く、ラックマンテストや前方引き出しテストと併せて評価されます。特にジャークテストは、日常生活やスポーツ動作での「膝崩れ(giving way)」の再現に近く、機能的な不安定性の評価に有用とされています。
検査の手順
- 患者を背臥位にし、下肢の力を十分に抜かせてリラックスさせる。
- 検者は一方の手で足部を持ち、下腿(脛骨)に内旋を加える。
- もう一方の手を膝の外側(腓骨頭付近)に当て、外反ストレスを加える。
- 膝屈曲約90°の位置から、内旋と外反を保ったままゆっくり伸展していく。
- 屈曲20〜30°付近で脛骨外側顆が前方へ亜脱臼し、「ガクッ」という動きが生じる。
- さらに伸展を続けると、完全伸展付近で亜脱臼が自然に整復される。

実施時の注意点
- 患者の筋緊張(防御性収縮)があると偽陰性になりやすいため、十分にリラックスさせる。
- 疼痛や不安が強い急性期では評価が難しく、麻酔下(手術時)で最も明瞭に確認できる。
- 内側側副靱帯(MCL)損傷を合併している場合、外反ストレスで疼痛が誘発され偽陽性となることがある。
- 半月板断裂や関節内遊離体によるロッキングと紛らわしいため、動きの性質を見極める。
- 単独では確定診断にならない。ラックマンテスト・前方引き出しテスト・画像所見と総合して判断する。
陽性基準とグレード分類
屈曲20〜30°付近で明瞭なジャーク(グレードⅡ以上)を認めた場合を陽性とし、ACLの機能不全=前外側回旋不安定性を示唆します。亜脱臼の程度はピボットシフト現象のグレードに準じて評価し、必ず健側と比較します。
| グレード | 所見 | 判定 |
|---|---|---|
| 0 | 亜脱臼なし(健側と同等) | 陰性 |
| Ⅰ(glide) | 滑るような動きのみ。明瞭なジャークなし | 境界 |
| Ⅱ(clunk) | 明瞭な「ガクッ」を触知(亜脱臼→整復) | 陽性 |
| Ⅲ(gross) | 一時的なロッキングを伴う著明な亜脱臼 | 陽性(高度) |
ピボットシフトテストとの違い
ジャークテストとピボットシフトテストは、いずれもACL損傷による前外側回旋不安定性を評価する検査で、生じる現象は同じ「脛骨外側顆の亜脱臼と整復」です。違いは膝を動かす方向にあります。
ピボットシフトテストは伸展位から屈曲していく過程で、屈曲30°付近の「整復時」にクランクを触知します。一方ジャークテストは屈曲位から伸展していく過程で、20〜30°付近の「亜脱臼時」にジャークを触知します。
両者は表裏一体の検査であり、併用することで評価の信頼性が高まります。
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前十字靭帯損傷の徒手検査一覧
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