ピボットシフトテスト|前十字靱帯損傷の評価手順を解説
ピボットシフトテスト(Pivot Shift Test)は、前十字靱帯損傷に伴う膝の「前外側回旋不安定性」を評価する検査です。
ACLが機能していないと、下腿を内旋させて外反ストレスを加えながら膝を屈伸させたときに、脛骨外側関節面が前方へ亜脱臼し、ある角度で急に整復される特徴的な現象が起こります。この亜脱臼と整復の感触(いわゆる「ガクッ」という現象)をとらえるのがこの検査の目的です。
ラックマンテストや前方引き出しテストが「前方への動揺(直線的な不安定性)」をみるのに対し、ピボットシフトテストは「回旋を伴う動的な不安定性」を評価する点が特徴です。日常生活やスポーツ動作での膝崩れ(giving way)を再現しやすい検査として知られています。
検査の手順
患者を仰臥位でリラックスさせた状態で、次の手順に沿って実施します。
- 患者は仰臥位。検者は患側の踵部を把持し、下腿を内旋させる。
- 膝を完全伸展〜軽度屈曲位(約5〜10°)から開始する。
- 下腿の内旋と膝への外反ストレスを同時に加える。
- そのまま膝をゆっくりと屈曲させていく。
- 屈曲30°付近で生じる脛骨外側の「すべり(亜脱臼)」と、その後の整復を触知する。

検査時の注意点
正確に評価するために、以下の点に注意します。
- 急性期は疼痛や防御的な筋収縮によって偽陰性になりやすい。
- 患者をできるだけリラックスさせ、検査は2〜3回繰り返して確認する。
- 覚醒下では防御反応で感度が低下するとの報告がある。
- 必ず健側と比較し、左右差でグレードを判断する。
陽性所見の見極め方
陽性の場合、屈曲の過程で特徴的な2段階の現象が触知されます。
- 屈曲30°付近:脛骨外側関節面が急に前内方へ滑り、亜脱臼が触知される。
- 屈曲40〜60°:クリック音(段発)を伴いながら、関節が急速に整復される。
この亜脱臼から整復への一連の動きが陽性所見です。ピボットシフトテストは特異度が高く(約98〜99%)、陽性であればACL損傷を強く示唆します。一方で感度は約24〜28%と低いため、陰性であってもACL損傷を否定することはできません。
ラックマンテストなど他の検査所見や画像評価と併せて総合的に判断します。
グレード分類(IKDC)
亜脱臼の程度は、健側との差をもとに以下のようにグレード分類されます。
| グレード | 所見 |
|---|---|
| 0(陰性) | 健側との左右差なし |
| 1+(glide) | わずかなすべり感のみ |
| 2+(clunk) | ガクッと明瞭な整復を触知 |
| 3+(gross) | 一過性の嵌頓を伴う著明な亜脱臼 |
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前十字靭帯損傷の徒手検査一覧
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