原始反射|種類・消失時期の目安と観察のポイント
原始反射とは
原始反射とは、新生児・乳児にみられる、刺激に対する無意識の反応です。
中枢神経系の未熟な段階でみられる反応で、成長にともなって反応が弱まり、随意的な動きへと移行していきます。
そのため原始反射の観察は、「出ているかどうか」だけを確認するものではありません。月齢に応じて反応が変化しているか、左右で反応に差がないかを合わせてみることで、発達の経過を捉える手がかりになります。
主な原始反射の一覧
消失時期は資料によって幅があるため、あくまで目安として参照してください。
| 反射名 | 刺激の方法 | みられる反応 | 消失時期の目安 |
|---|---|---|---|
| モロー反射 | 頭部を少し持ち上げて急に下げる・大きな音 | 両腕を広げて抱きつくような動き | 生後4〜6か月ごろ |
| 手掌把握反射 | 手のひらに指を当てる | 指を握り込む | 生後3〜4か月ごろ |
| 吸啜反射 | 口唇・口腔内に触れる | 吸う動きをする | 生後4〜6か月ごろ |
| 探索反射(ルーティング) | 口角・頬に触れる | 触れた方向に顔を向け口を開く | 生後3〜4か月ごろ |
| 緊張性頸反射(TNR) | 顔を横に向ける | 向いた側の腕・脚が伸び、反対側が曲がる | 生後4〜6か月ごろ |
| 足底把握反射 | 足指の付け根を押す | 足指を曲げて握り込む | 生後9〜12か月ごろ |
| バビンスキー反射 | 足底外側をかかとから足指へこする | 母趾が上がり他の指が扇状に開く | 乳児期(時期は資料により差あり) |
| 歩行反射(自動歩行) | 足底を床につけ前傾姿勢にする | 交互に足を踏み出す歩行様の動き | 生後1〜2か月ごろ |
| 緊張性迷路反射 | 仰臥位・腹臥位にする | 仰臥位で四肢が伸展、腹臥位で屈曲 | 生後4〜6か月ごろ |
原始反射の消失時期は、文献や資料によって示されている幅が異なります。特にバビンスキー反射の陰性化の時期は、資料による差が大きい反射です。「◯か月で消失する」と一点で覚えるのではなく、「◯〜◯か月ごろ」という目安として捉えます。また単独の反射の結果だけで発達を判断することはありません。早産児の場合は修正月齢も考慮して評価します。
各反射の詳細
モロー反射

頭部を少し持ち上げて急に下げたとき、または大きな音に反応して、両腕を広げて抱きつくような動きをする反射です。
新生児期にもっとも明瞭にみられ、生後4〜6か月ごろに消失します。左右差が強い場合は、鎖骨骨折や腕神経叢損傷などを疑う手がかりになることがあります。
手掌把握反射

手のひらに指を当てると、赤ちゃんが指を握り込む反射です。生後3〜4か月ごろに消失し、随意的な把握へと移行します。
反射が消失する時期と、自分で物をつかもうとする動きが出てくる時期が重なることが多く、発達の経過を観察するうえでの目安になります。
吸啜反射

口唇や口腔内に触れると、吸う動きをする反射です。哺乳に直接関わる反射で、生後まもない時期から明瞭にみられます。
生後4〜6か月ごろに随意的な吸啜へと移行していきます。哺乳の様子が弱い・リズムが乱れるといった場合は、この反射の状態もあわせて確認します。
探索反射(ルーティング)

口角や頬に触れると、触れた方向に顔を向けて口を開く反射です。
吸啜反射とセットで哺乳を助ける反射で、生後3〜4か月ごろに消失します。授乳のたびに自然に引き出される反射のため、日常のケアの中で確認できます。
緊張性頸反射(TNR)

顔を横に向けると、向いた側の腕・脚が伸び、反対側が曲がる反射です。フェンシングのポーズに例えられることがあります。
生後4〜6か月ごろに消失します。この反射が強く残っていると、寝返りや正中線を越えた動きの発達に影響することがあります。
足底把握反射

足指の付け根(足底の前方)を押すと、足指を曲げて握り込む反射です。生後9〜12か月ごろに消失します。手掌把握反射と似ていますが、消失する時期が遅い点が異なります。
なお、足底外側をこすったときに母趾が上がるバビンスキー反射とは刺激する部位も反応も異なるため、混同しないよう注意が必要です。
バビンスキー反射

足底の外側をかかとから足指に向けてこすると、母趾が上がり、ほかの足指が扇状に開く反射です。乳児期にみられる反射で、陰性化の時期は資料によって幅があります。
成人でバビンスキー反射が陽性の場合は錐体路障害を疑うサインとなりますが、乳児では正常にみられる反応です。足底把握反射と混同されやすいため、刺激する部位(足底外側をこする)と反応の方向(母趾が上がる)をセットで覚えておきましょう。
歩行反射(自動歩行)

足底を床につけて前傾姿勢にすると、交互に足を踏み出す歩行様の動きをする反射です。
生後1〜2か月ごろに消失します。この反射が消失した後、しばらく間をあいてから随意的な歩行が発達していきます。
緊張性迷路反射

仰臥位(仰向け)では四肢が伸展し、腹臥位(うつぶせ)では四肢が屈曲する反射です。
生後4〜6か月ごろに消失します。この反射が強く残っていると、寝返りや座位の発達に影響することがあります。
観察のポイント
原始反射をみるときは、反射そのものに加えて、次の点を合わせて観察します。
- モロー反射などに強い左右差がないか
- 月齢に応じて反応が変化しているか
- 覚醒状態、空腹、体調、筋緊張などが反応に影響していないか
- ほかの発達の様子と合わせて評価できているか
眠っている、強く泣いている、授乳直後といった状況では、本来の反応が出ないことがあります。
反射が確認できなかった場合は、そのときの児の状態も合わせて記録しておくと、あとから経過を振り返るときに役立ちます。
医師などに相談する目安
次のような様子がみられた場合は、自己判断で経過をみるのではなく、医師などに相談します。
- 月齢からみて、みられるはずの反射が確認できない
- 左右で反応に強い差がある
- 想定される時期を過ぎても反射が明瞭に残っている
- ほかの発達の様子にも気になる点がある
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主な原始反射8種類について、刺激と反応・消失時期の目安を一覧にまとめました。
下の表と同じ内容を1枚の資料にしてありますので、実習の持ち歩き用や、新人指導の手元資料としてご活用ください。
原始反射一覧
新生児・乳児にみられる主な原始反射8種類について、刺激と反応・消失時期の目安・観察のポイントを1枚にまとめた資料です。実習や新人指導の手元資料としてご活用ください。