敗血症を疑うサイン|qSOFAと早めに報告したい変化
敗血症とは
敗血症とは、感染に対する体の反応が過剰に働き、その結果として全身の臓器に障害が生じる状態を指します。
単なる感染症ではなく、感染をきっかけに肺・腎臓・肝臓・循環などが同時に危険にさらされる、緊急性の高い病態です。
国際的な定義(Sepsis-3)でも、「感染に対する生体反応の調節不全によって、生命を脅かす臓器障害が生じた状態」とされています。
「感染症」と「敗血症」は違います。感染症は病原体が体に入って起きる状態で、敗血症はその感染をきっかけに、体の反応が暴走して臓器障害まで進んだ状態です。感染している人すべてが敗血症になるわけではなく、臓器障害が加わった段階で敗血症と呼びます。
敗血症を疑う主なサイン
敗血症では、さまざまな全身変化がみられます。とくに、感染が疑われる患者さんで次のような変化が重なったときは注意が必要です。
| 分類 | 主なサイン |
|---|---|
| 呼吸 | 呼吸数が増える(22回/分以上)/息苦しさ/SpO2低下 |
| 循環 | 血圧低下(収縮期100mmHg以下)/頻脈/末梢冷感/まだら皮膚 |
| 意識 | ぼんやりする/反応が鈍い/落ち着かない/せん妄 |
| 体温 | 38℃以上の発熱、または36℃未満の低体温/悪寒・ふるえ |
| 尿量 | 尿量の減少(目安0.5mL/kg/時未満)/濃い尿 |
| 全身 | 元気がない/食欲低下/強い倦怠感/動けない |
| 感染源 | 創部・カテーテル刺入部の発赤や膿/肺・尿路・腹部の症状 |
なかでも呼吸数の増加は早期から現れやすい一方で、見落とされやすい項目です。
ルーチンのバイタル測定で呼吸数を省略しないことが、早期発見につながります。
qSOFAの3項目
敗血症の重症化リスクをみる目安の1つとして、qSOFA(quick SOFA)があります。
採血や特別な機器を使わず、ベッドサイドで確認できる3項目で構成されています。
| 項目 | 目安 |
|---|---|
| 呼吸数 | 22回/分 以上 |
| 収縮期血圧 | 100mmHg 以下 |
| 意識状態 | GCS 15未満(普段と違う意識の変化) |
これらのうち2項目以上に当てはまる場合は、重症化のリスクが高い可能性があります。
感染が疑われる患者さんで2項目以上に該当したときは、早めに医師へ報告し、その後の評価につなげます。
qSOFAは敗血症を確定診断するためのものではありません。点数だけで判断せず、感染の有無、全身状態、検査データ、経時的な変化を含めて総合的に評価することが大切です。qSOFAが0点でも、状態が気になるときは報告や再評価をためらわないでください。
なお、集中治療の場では、より詳しく臓器障害の程度を評価するSOFAスコア(6項目・0〜24点)が使われます。
病棟や外来では、まずqSOFAでリスクに気づき、早めに報告・評価へつなげることが大切です。
早めに報告したい変化
次のような変化は、現場で早めの報告につながる重要なサインです。
1つでも当てはまり、かつ感染が疑われる状況であれば、様子をみるより先に共有しましょう。
- 呼吸数の増加(22回/分以上)、呼吸が浅く速い
- 血圧の低下、脈が速い
- 意識の変化、いつもと違う言動
- 尿量の減少
- SpO2の低下
- 皮膚の冷感、まだら模様(網状皮斑)
観察・評価のポイント
敗血症を見逃さないためには、単発の異常だけでなく、複数の変化を組み合わせてみることが大切です。
次の順序で整理すると、状況をとらえやすくなります。
- 感染が疑われる状況かどうかを確認する(発熱、創部、カテーテル、肺炎・尿路感染の症状など)
- 呼吸・循環・意識・尿量をセットでみる
- 1回の数値ではなく、経時的な変化でとらえる
- 気になる所見があれば、時間をおいて再評価する
- 普段のその人の状態と比べて判断する
数値だけで判断せず、感染の有無や患者さんの普段との違い、全身状態を総合して評価し、異常があれば速やかに報告・対応につなげましょう。
印刷して活用しよう
この記事の内容を、A4・1枚にまとめた資料をご用意しました。ベッドサイドやスタッフステーションに掲示したり、ポケットに入れて確認したりと、日々の観察にご活用ください。
敗血症を疑うサイン
敗血症を疑う主なサイン、qSOFAの3項目、早めに報告したい変化をA4・1枚にまとめた資料です。ベッドサイドやスタッフステーションに掲示して、日々の観察にお役立てください。