アビーペインスケール|認知症の痛み評価6項目
アビーペインスケールとは
アビーペインスケール(Abbey Pain Scale)は、オーストラリアで開発された、認知症などで痛みを言葉で訴えられない人のための痛み評価スケールです。
介護・看護スタッフが本人の表情や行動を観察して点数をつける形式で、日本語版(APS-J)も作成されています。
- 自己申告(NRS・VASなど)が難しい人に用いる、観察による評価スケール
- 6項目を各0〜3点で評価し、合計0〜18点で痛みの程度をとらえる
- 特別な器具は不要で、日々のケアの場面でそのまま観察できる
- 介護施設・病棟・在宅など、多職種で共有しやすい
6つの評価項目
アビーペインスケールでは、次の6つの項目を観察します。それぞれを「なし・軽度・中等度・重度」の4段階(0〜3点)で評価します。
| 項目 | 観察する内容 |
|---|---|
| 声 | うめく、うなる、泣く、すすり泣くなどの声が出ていないか |
| 表情 | こわばる、しかめる、おびえる、目を固く閉じるなどの変化がないか |
| ボディランゲージの変化 | そわそわする、体をゆする、患部をかばう、身を引くなどがないか |
| 行動の変化 | 混乱が強まる、食事や介助を拒む、いつもの様子と違わないか |
| 生理学的変化 | 体温・脈拍・血圧が普段と違う、発汗、顔面の紅潮や蒼白がないか |
| 身体的変化 | 皮膚の損傷、圧迫部位、関節の変形や拘縮、外傷の既往がないか |
6項目それぞれを0〜3点(なし0・軽度1・中等度2・重度3)で評価し、合計点(0〜18点)を出します。多方面から観察することで、言葉によらない痛みのサインをとらえやすくなります。
点数と痛みの程度
6項目の合計点(0〜18点)によって、痛みの程度を4段階に分類します。
| 合計点 | 痛みの程度 |
|---|---|
| 0〜2点 | 痛みなし |
| 3〜7点 | 軽度 |
| 8〜13点 | 中等度 |
| 14〜18点 | 重度 |
点数が高いほど痛みが強い可能性を示します。
1回の点数だけで判断するのではなく、同じ人の点数の変化を追うことで、ケアや鎮痛の効果を確認しやすくなります。
評価するときのポイント
アビーペインスケールは、体を動かすときに観察するのが基本です。次の点を意識します。
- 体位変換・清拭・移動介助など、体を動かす場面で観察する
- 痛み以外の不快や不安も点数に表れることを踏まえ、点数は目安として扱う
- ケアの前後で評価し、変化を記録に残す
- 普段の様子を知っているスタッフが評価し、いつもとの違いに注目する
アビーペインスケールは、痛みと、それ以外の苦痛を厳密には区別できません。点数はあくまで目安として用い、鎮痛の対応をしたら、一定時間後(目安として1時間後)に再評価して効果を確認することが大切です。
評価基準や点数は目安であり、実際の評価・対応は施設の基準と医療者の判断に従いましょう。
評価シートの詳細は、日本語版(APS-J)の公式資料をご確認ください。
印刷して活用しよう
6つの評価項目と観察のポイント、合計点と痛みの程度の対応を1枚にまとめた早見表です。
印刷して、ナースステーションやカンファレンス、新人指導の確認用にご活用ください。下のフォームから無料でダウンロードできます。
アビーペインスケール
認知症などで痛みを言葉で訴えられない人を、表情や行動の観察から評価するアビーペインスケール。6つの評価項目と合計点による痛みの程度を1枚にまとめた早見表です。