熱傷の深達度|9の法則による体表面積の求め方
熱傷(やけど)の重症度は、「深さ(深達度)」と「広さ(体表面積)」の組み合わせで評価します。
深達度は治り方や治療方針を、体表面積は全身への影響の大きさを判断する手がかりになります。
分類と面積の求め方を押さえておくことで、初期評価や観察に役立ちます。
分類・数値は標準的な目安であり、実際の診断・治療は医師の判断と最新の基準に従いましょう。
熱傷の深達度とは
熱傷は、皮膚のどの深さまで傷害されているかによって分類されます。
深さによって、症状や治り方、瘢痕(あと)の残りやすさが異なります。
| 深達度 | 傷害の深さ | 主な所見 | 治り方の目安 |
|---|---|---|---|
| Ⅰ度(EB) | 表皮まで | 発赤、痛み。水疱はできない | 数日で瘢痕なく治癒 |
| 浅達性Ⅱ度(SDB) | 真皮の浅い層まで | 水疱、強い痛み、赤い創面 | 約1〜2週間で治癒。瘢痕は残りにくい |
| 深達性Ⅱ度(DDB) | 真皮の深い層まで | 水疱、痛みは弱め、白っぽい創面 | 3〜4週間以上。瘢痕を残しやすい |
| Ⅲ度(DB) | 皮膚全層〜皮下 | 白色〜黒色・硬化、痛みを感じない | 自然治癒は困難。植皮が必要なことが多い |
深達度ごとの特徴

Ⅰ度(表皮熱傷・EB)
表皮までにとどまる、最も浅い熱傷です。日焼けが代表例で、皮膚が赤くなる(紅斑)だけで水疱はできません。ヒリヒリとした痛みがありますが、数日で自然に治り、瘢痕は残りません。
浅達性Ⅱ度(SDB)
真皮の浅い層まで達した熱傷です。水疱ができ、水疱の底面は赤くうるおって見えます。神経終末が残っているため痛みが強く、触れると過敏に感じます。1〜2週間程度で上皮化し、瘢痕は比較的残りにくいとされます。
深達性Ⅱ度(DDB)
真皮の深い層まで達した熱傷です。同じ水疱でも、底面が白っぽく乾いて見えるのが浅達性との違いです。知覚神経が傷害されるため痛みはかえって軽く、鈍くなります。治癒に3〜4週間以上かかり、瘢痕(肥厚性瘢痕・ケロイド)を残しやすいため、植皮が検討されることもあります。
Ⅲ度(皮下熱傷・DB)
皮膚全層を越えて皮下組織まで達した熱傷です。創面は白色〜褐色、さらに深いと黒く炭化し、乾燥して硬くなります。神経も破壊されるため痛みを感じません。自然治癒は困難で、デブリードマン(壊死組織の除去)や植皮などの外科的治療が必要になります。
注意
痛みの強さは熱傷の深さと必ずしも一致しません。Ⅲ度では神経も傷害されるため、かえって痛みを感じにくくなります。「痛くない=軽い」ではない点に注意が必要です。
体表面積の求め方(9の法則)
熱傷の広さは、体表面積に占める割合(%)で表します。

成人では、全身を9%の倍数で区分する「9の法則(rule of nines)」が簡便で、救急現場での迅速な評価に用いられます。
頭部・上肢がそれぞれ9%、体幹の前面・後面と下肢がそれぞれ18%、陰部が1%で、合計100%になります。
| 部位 | 体表面積の割合 |
|---|---|
| 頭部・顔面 | 9% |
| 片腕(前面+後面) | 9%(左右で18%) |
| 体幹前面(胸・腹) | 18% |
| 体幹後面(背・臀) | 18% |
| 片脚(前面+後面) | 18%(左右で36%) |
| 陰部 | 1% |
狭い範囲や点在する熱傷では、患者さん本人の「手のひら+指」の面積を約1%とみなす手掌法が便利です。9の法則と使い分けると、より正確に見積もれます。
小児では9の法則をそのまま使えない
小児は成人と体のバランスが異なり、頭部が大きく下肢が小さいため、9の法則をそのまま当てはめられません。特に乳幼児では頭部の占める割合が大きくなり、成人の基準で計算すると面積を過小評価してしまいます。
| 部位 | 成人 | 乳児(目安) |
|---|---|---|
| 頭部 | 9% | 約18% |
| 片脚 | 18% | 約14% |
小児の正確な面積評価には、年齢ごとに区分を補正するブロッカーの法則(Lund-Browder表)が用いられます。9の法則はあくまで成人向けの簡便法である点に注意します。
熱傷の重症度を判断するポイント
熱傷の重症度は、深達度と体表面積だけでなく、部位や年齢、気道熱傷の有無などを合わせて判断します。面積が広いほど体液喪失が大きく、全身への影響も大きくなります。
- Ⅱ度以上の熱傷では、体表面積の割合が重症度の目安になる
- 顔・手・足・陰部・関節などの熱傷は、機能的に重症と扱われる
- 顔面や気道の熱傷では、気道浮腫による窒息に注意する
- 広範囲熱傷では、初期の輸液管理が予後を左右する
- 高齢者・小児は、同じ面積でも重症化しやすい
顔面や首の熱傷、鼻毛の焦げ、煤(すす)の付着、嗄声(声のかすれ)などがみられる場合、気道熱傷が疑われます。急速に気道浮腫が進むことがあるため、早急な対応が必要です。
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熱傷の深達度4分類と、9の法則の人体図・体表面積の割合、小児との違い、重症度のポイントを1枚にまとめた早見表です。
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熱傷の深達度と9の法則
熱傷の深達度4分類と、9の法則による体表面積の求め方を1枚にまとめた早見表です。人体図・小児との違い・重症度のポイントも掲載しています。