脱水の種類|高張性・等張性・低張性の違いと症状

脱水の種類|高張性・等張性・低張性の違いと症状 イメージ

脱水とは、体内の水分と電解質(とくにナトリウム)が失われた状態を指します。

体液は水だけでなくナトリウムをはじめとする電解質を含んでいるため、「水が減った状態」とだけ捉えると、必要な補正を見誤ることがあります。

水分とナトリウムのどちらがより多く失われたかによって、脱水は高張性・等張性・低張性の3つに分類されます。

水が多く失われると細胞外液の浸透圧が上がって高張性、ナトリウムが多く失われると浸透圧が下がって低張性になります。

浸透圧が変化すると、細胞膜をはさんで水が移動します。高張性では細胞内から細胞外へ水が引き出されて細胞内が脱水し、低張性では細胞外から細胞内へ水が移動します。この水の動きの違いが、症状の出方の違いにつながります。

脱水の3分類と血清ナトリウム値

どのタイプの脱水かを見分ける手がかりになるのが血清ナトリウム値です。おおまかな目安は次のとおりです。

種類失われるもの血清Naの目安特徴
高張性脱水
(水欠乏性)
水分>ナトリウム高値(150 mEq/L以上)細胞内から水が引き出される
等張性脱水
(混合性)
水分≒ナトリウム正常範囲最も頻度が高い。細胞外液が減少
低張性脱水
(Na欠乏性)
水分<ナトリウム低値(135 mEq/L未満)細胞内へ水が移動しむくみやすい

等張性脱水では血清ナトリウム値が正常範囲にとどまるため、検査値だけでは脱水を見逃すことがあります。

数値と併せて、脈拍・血圧・尿量・体重の変化といった全身の所見を確認することが大切です。

ポイント

「高張・低張」は、体液(細胞外液)の浸透圧を基準にした呼び方です。水が多く失われると浸透圧が上がり高張性、ナトリウムが多く失われると浸透圧が下がり低張性になります。

高張性脱水(水欠乏性)

水分がナトリウムより多く失われた状態です。

細胞外液の浸透圧が上がり、細胞内から水が引き出されるため、強い口渇が特徴となります。

自分で水分を摂れない高齢者や意識障害のある患者さんで起こりやすいタイプです。

主な原因発熱・発汗、高温環境での作業、水分摂取不足(高齢者・意識障害)、尿崩症、経管栄養時の水分不足
主な症状強い口渇、口腔・皮膚の乾燥、乏尿、発熱、意識障害
対応の方向水分の補給(経口摂取、または低張輸液)。急激な補正は避ける

等張性脱水(混合性)

水分とナトリウムがほぼ同じ割合で失われた状態です。

3分類のなかで最も頻度が高く、細胞外液そのものが減少するため、循環血液量の低下による症状が前面に出ます。

嘔吐・下痢や出血など、体液がまとまって失われる場面で起こります

主な原因嘔吐・下痢、出血、熱傷、イレウス、利尿薬の使用、急激な体液喪失
主な症状口渇は軽度、頻脈、血圧低下・起立性低血圧、尿量減少、皮膚ツルゴールの低下、末梢冷感
対応の方向細胞外液の補充(生理食塩水・リンゲル液など)。軽症では経口補水液での補給も行われる

低張性脱水(Na欠乏性)

ナトリウムが水分より多く失われた状態です。細胞外液の浸透圧が下がり、水が細胞内へ移動するため、口渇が現れにくくむくみやすいのが特徴です。

大量に汗をかいたあとに水分だけを補給すると起こりやすく、スポーツ時や高温環境では電解質の補給も欠かせません。

主な原因大量発汗後に水だけを補給した場合、嘔吐・下痢に水分のみを補給した場合、利尿薬の使用、副腎皮質機能低下
主な症状口渇は乏しい、倦怠感、頭痛、悪心・嘔吐、立ちくらみ、血圧低下、重症ではけいれん・意識障害
対応の方向ナトリウムの補給(生理食塩水など)、経口補水液。低ナトリウム血症の補正速度には注意が必要
注意

低張性脱水では、口渇が現れにくいため発見が遅れることがあります。大量に汗をかいたあとに水分だけを補給すると起こりやすく、スポーツや高温環境では電解質の補給も必要です。

脱水を見分けるための観察ポイント

脱水のタイプや程度を判断するために、次のような点を観察します。単独の所見で判断せず、複数を組み合わせて評価します。

  • 口渇の有無と程度(高張性で強く、低張性で弱い)
  • 皮膚・口腔粘膜の乾燥、皮膚のツルゴール(張り)の低下
  • 尿量の減少、尿の濃縮
  • 脈拍・血圧の変化(頻脈、血圧低下)
  • 体重の減少
  • 意識状態、倦怠感、けいれんの有無

補正を進めるときの注意点

脱水の補正では、不足しているものを補うことと同じくらい、補正の速度が重要になります。

とくに慢性的に経過した低ナトリウム血症を急速に補正すると、浸透圧性脱髄症候群を起こすおそれがあります。

逆に高ナトリウム血症を急速に下げると脳浮腫のリスクがあり、いずれも緩やかな補正が原則です。

  1. 血清ナトリウム値と症状から脱水のタイプを見極める
  2. 循環動態(脈拍・血圧・尿量)を評価し、緊急度を判断する
  3. タイプに応じた輸液・経口補水を選択する
  4. 補正速度を守り、血清ナトリウム値を経時的に再評価する
  5. 体重・尿量・意識レベルの変化を継続して観察する

ここで挙げた数値や対応は標準的な目安です。実際の診断・治療は医師の判断と各施設の基準、最新のガイドラインに従ってください。

印刷して活用しよう

3分類の違いを1枚にまとめた早見表です。失われるもの・血清ナトリウム値・浸透圧の変化・原因・症状・対応を並べて対比できるので、ナースステーションや勉強ノートに貼って確認用に使えます。

以下のフォームからPDFをダウンロードいただけます。

脱水の種類

脱水の種類

高張性・等張性・低張性脱水の違いを、失われるもの・血清Na値・原因・症状・対応の観点で1枚に整理した早見表です。観察ポイントもまとめており、印刷して手元での確認用に使えます。

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