電解質異常|Na・K・Caの基準値と高値・低値の原因・症状
電解質は、体内の水分バランスや神経・筋の働きを保つために欠かせない成分です。なかでもナトリウム(Na)、カリウム(K)、カルシウム(Ca)は臨床で確認する機会が多く、高すぎても低すぎても症状が現れます。
電解質とは
電解質は、体液中でイオンとして存在し、体液量や浸透圧の調整、神経の刺激伝達、筋の収縮などに関わっています。

バランスが崩れると全身に影響が及び、意識障害や不整脈といった重篤な症状につながることもあります。
| 電解質 | 基準値の目安 | 主な働き |
|---|---|---|
| ナトリウム(Na) | 約135〜145 mEq/L | 体液量・浸透圧の調整 |
| カリウム(K) | 約3.5〜5.0 mEq/L | 神経・筋(とくに心筋)の働き |
| カルシウム(Ca) | 約8.5〜10.2 mg/dL | 筋収縮・神経伝達・骨・凝固 |
カリウムは高値・低値のどちらも致死的な不整脈につながることがあり、とくに注意が必要な電解質です。カルシウムは血清アルブミン値の影響を受けるため、低アルブミン時は補正した値で評価します。
ナトリウム(Na)の異常
ナトリウムは体液量や浸透圧に関わる電解質で、異常時は主に中枢神経症状として現れます。
高値・低値のいずれでも、意識障害やけいれんに至ることがあります。
| 主な原因 | 主な症状 | |
|---|---|---|
| ▲高Na血症 | 脱水、水分摂取不足、尿崩症 | 口渇、倦怠感、意識障害、けいれん |
| ▼低Na血症 | 水分過剰、SIADH、利尿薬、嘔吐・下痢 | 頭痛、悪心、倦怠感、意識障害、けいれん |
ナトリウムの異常でとくに注意したいのが、補正の速度です。
補正が速すぎると脳に障害(浸透圧性脱髄など)を起こすことがあるため、低Na血症では急速な補正を避け、緩やかに是正します。補正中は意識レベルや神経症状の変化を継続して観察します。
カリウム(K)の異常
カリウムは心筋の働きに強く関わり、異常時は不整脈や筋症状として現れます。高値・低値のどちらも致死的な不整脈につながるため、心電図変化にも注意して観察します。
| 主な原因 | 主な症状 | |
|---|---|---|
| ▲高K血症 | 腎不全、アシドーシス、Kの過剰投与、溶血 | 脱力、しびれ、不整脈、心停止 |
| ▼低K血症 | 嘔吐・下痢、利尿薬、インスリン、アルカローシス | 脱力、筋力低下、不整脈、腸蠕動低下 |
カリウムの異常でおさえておきたいポイントは次のとおりです。
- 高K血症では、テント状T波などの心電図変化がみられることがある
- 採血時の溶血でも見かけ上の高値(偽性高K血症)となるため、結果と患者さんの状態が合わないときは再検を検討する
- 低K血症では腸蠕動が低下し、腹部膨満や便秘として現れることがある
カルシウム(Ca)の異常
カルシウムは筋収縮や神経伝達に関わり、異常時は神経・筋症状として現れます。血清アルブミン値の影響を受けるため、低アルブミン時は補正した値で評価する点も押さえておきましょう。
| 主な原因 | 主な症状 | |
|---|---|---|
| ▲高Ca血症 | 悪性腫瘍、副甲状腺機能亢進症 | 口渇、多尿、悪心、倦怠感、意識障害 |
| ▼低Ca血症 | 副甲状腺機能低下症、腎不全、ビタミンD欠乏 | しびれ、テタニー、けいれん、不整脈 |
低Ca血症では、ベッドサイドで確認できる特徴的な徴候があります。
- クボステック徴候:頬(耳の前あたり)を叩くと顔面がひきつる
- トルソー徴候:血圧計のカフなどで駆血すると手がけいれんする
電解質異常を見逃さないための観察ポイント
電解質異常は、採血データだけでなく日々の観察から気づけることも少なくありません。次のような視点をもって患者さんをみていきましょう。
- 基準値と、高値・低値それぞれの原因・症状をセットで押さえておく
- 意識レベルの変化、けいれん、しびれなどの神経症状に注意する
- 脱力や筋力低下、不整脈の出現は電解質異常のサインとして疑う
- 嘔吐・下痢、利尿薬の使用、腎機能低下など、異常につながる背景を把握しておく
- データと患者さんの状態が合わないときは、採血手技(溶血)などの影響も考える
なお、基準値や判定は施設・測定方法によって幅があります。実際の判断は各施設の基準と患者さんの状態に合わせて行いましょう。
印刷して活用しよう
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電解質異常(Na・K・Ca)
Na・K・Caの基準値と、高値・低値でみられる主な原因・症状を1枚にまとめた資料です。印刷して掲示や携帯用にご活用ください。