心臓リハビリテーション指導士はどんな資格?PT・OTが取得するメリットはある?
近年、心臓リハビリテーションの重要性が高まっている中で、専門的な知識と技術を持つ心臓リハビリテーション指導士という資格の注目が集まっています。
しかし、まだ世間的には馴染みのない資格であり、医療現場で働く方の中にもどのような資格か知らないという方は多いのではないでしょうか?
この記事では、心臓リハビリテーション指導士という資格と受験資格について解説します!
また、臨床で心臓リハビリテーションを行う機会がある理学療法士(PT)や作業療法士(OT)の方にとっては、特に心臓リハビリテーション指導士の資格取得は興味があるところだと思います。
実際にPTやOTが、この資格を取得することで得られるメリットについても触れていきます!
心臓リハビリテーション指導士とは?
心臓リハビリテーション指導士は、日本心臓リハビリテーション学会が認定する専門資格です。
心疾患を持つ患者さんの治療やリハビリテーションを、多職種と連携しながら包括的に実施できる専門家として位置づけられています。
馴染みがない方もいるかも知れませんが、資格として認定されたのは2000年と歴史のある資格です。
心臓リハビリテーションが注目されているのは、手術技術の進歩により術後のリハビリや再発予防も重要視されるようになったからという背景があります。
この資格は、単なる運動指導にとどまらず、患者さんの生活全般をサポートする知識と技術を証明するものです。
食事療法や服薬管理、禁煙指導などを含めた心臓病の予防から急性期治療後のリハビリテーション、そして社会復帰に至るまでの一連のプロセスをマネジメントする能力が求められます。
必要な知識は、運動生理学や病態運動学、栄養学、心理学、運動処方など多岐にわたります。
ここ数年、日本人の原因別死因の第2位が心疾患で不動となっていることからも、心臓リハビリテーション指導士の注目度はより高まっていくことが予想されます。
心臓リハビリテーション指導士の受験資格
心臓リハビリテーション指導士を受験するには、以下の5つの条件を全て満たしている必要があります。
① 保有資格
医師、看護師、薬剤師、理学療法士、作業療法士、臨床工学技師、臨床検査技師、臨床心理士、公認心理士、管理栄養士、健康運動指導士のいずれかの資格を保有している。
② 会員歴
受験申請時に日本心臓リハビリテーション学会の会員であり、会員歴が2年以上である。
③ 実務経験
心臓リハビリテーション指導の実地経験が1年以上ある、または心臓リハビリテーション研修制度により受験資格認定証の交付を受けている。
④ 講習会の受講
日本心臓リハビリテーション学会が主催している講習会を、受験年度に受講している。
⑤ 自験例の報告
急性期~維持期において、心臓リハビリテーションを実施した10症例の報告書を提出すること。
PT・OTが心臓リハビリテーション指導士を取得するメリット
PT・OTが心臓リハビリテーション指導士の資格を取得することで得られるメリットには、専門性の向上があります。
運動器や神経系の知識に加えて、循環器領域の専門的な知識と技術を習得することで、より包括的なリハビリテーションの提供が可能となります。
心臓リハビリに詳しいPT・OTは意外と少ないため、他の資格者と差別化を図るのにも効果的です。
2024年時点での資格保有者数は約8,000名のため、都道府県によっては資格保有者が100名に満たないところもあります。
就業場所によっては資格手当が出るところもありますが、診療報酬による加算はないので、心臓リハビリテーション指導士の資格を取得したからといって、直接的に給与が上がることはありません。
心臓リハビリテーション指導士の今後
超高齢社会の日本において、心臓リハビリテーション指導士の需要は着実に高まっています。
特に注目すべきは、予防医療の分野での活躍の場の広がりです。
心疾患の予防や早期発見、生活習慣病の管理など、予防的アプローチにおいても心臓リハビリテーション指導士の専門性が求められています。
また、地域包括ケアシステムの中での役割も重要性を増しています。
病院でのリハビリテーションだけでなく、地域での継続的なサポート体制づくりにも、心臓リハビリテーション指導士の知識と技術が役立つことが予想されます。
PT・OTの方にとって心臓リハビリテーション指導士の資格取得は、専門性の向上とキャリアの拡大につながる、価値ある選択肢となるでしょう。
心臓リハビリを極めたい方は、ぜひ受験を検討してみてはいかがでしょうか?