看護師の宿直と夜勤の違いは?当直との比較や手当・許可基準も解説
この記事では、混乱しやすい看護師の宿直と夜勤の違いや業務内容、勤務時間の比較について詳しく解説していきます。
宿直と夜勤は、どちらも「夜に病院にいる働き方」ですが、労働基準法上はまったく別の勤務として扱われます。労働時間に含まれるかどうかも、支払われるお金の仕組みも異なります。
看護師としての責任範囲を理解し、適切な勤務形態を選択する上での参考にしてください!
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宿直とは

宿直とは、原則週1回を限度とし、夜間の緊急時に迅速に対応できるよう待機する勤務形態です。
正確にいうと、この「週1回まで」は宿直という働き方そのものの定義ではなく、労働基準監督署長が宿直勤務を許可するときの基準です。厚生労働省の申請前チェックリストでは、宿直は週1回、日直は月1回が原則とされています。
ただし、宿直を行える職員全員に割り当ててもなお人数が足りず、かつ勤務の労働密度が薄い場合には、週1回を超える宿直が認められることもあります。
通常、宿直勤務は休憩を取りながら行うことができ、仮眠も可能ですが必要に応じて直ちに患者さんの対応を行います。
なお法令上は、単に「仮眠できる」ことではなく、夜間に十分な睡眠がとり得ることが許可の条件とされています。相当の睡眠設備を用意することも、許可を受けるための条件です。
宿直という働き方の3つの特徴
参考:厚生労働省「医療機関における宿日直許可~申請の前に~」
宿直の基本的な役割
宿直の重要な役割は、夜間の患者さんの監視と緊急対応です。
患者さんの安全を保ち、何か異常があった場合にはすぐに対応することが求められます。
ここで大切なのは、「何かあったときに動ける状態でいること」自体が仕事だという点です。夜通し動き回って業務をこなす勤務は、そもそも宿直として認められません。
宿直の業務内容
宿直中の主な業務は以下の通りです。
許可を受けた宿直で認められている業務
ここで注意したいのが、医師の指示にもとづく投薬や処置、翌日に向けた準備、日勤への申し送りといった業務は、宿直で恒常的に行ってよい仕事ではないということです。
厚生労働省の許可基準では、宿直中に行える業務は「特殊の措置を必要としない軽度の又は短時間の業務」に限られると定められています。
もし通常の勤務時間と同じような業務が当たり前のように発生しているなら、それは宿直ではなく夜勤として扱われるべき勤務です。
詳細なガイドラインや事例研究については、厚生労働省の公式ウェブサイトで提供されています。
出典:厚生労働省「医師、看護師等の宿日直許可基準について」(令和元年7月1日 基発0701第8号)
宿直の法的な位置づけと宿日直許可

宿直と夜勤の違いは、突き詰めると「労働基準法上の扱いが違う」という一点に行き着きます。
ここを押さえておくと、勤務時間の数え方も手当の仕組みも、すべて説明がつくようになります。
宿日直許可とは(労働基準法41条3号・施行規則23条)
宿直として働くには、病院が所轄の労働基準監督署長から「宿日直許可」を受けている必要があります。
根拠になっているのが、労働基準法41条3号と、労働基準法施行規則23条です。
つまり許可を受けた宿直は、労働時間・休憩・休日のルールが外れる特別な勤務だということです。
だからこそ、その代わりに「ほとんど働かなくてよい」「夜間に十分眠れる」といった厳しい条件が設けられています。
厚生労働省が示す一般的な許可基準の4項目
厚生労働省は、医療機関向けの申請前チェックリストのなかで、一般的な宿日直の許可条件を整理しています。
宿日直許可を受けるための主な条件
出典:厚生労働省「医療機関における宿日直許可~申請の前に~(申請前チェックリスト)」/厚生労働省 法令等データベース「労働基準法の施行に関する件」(昭和22年9月13日 発基第17号)
看護師の宿直で認められている業務の範囲
医療機関には、一般の職場とは別に専用の許可基準が用意されています。
それが、令和元年7月1日付の通達「医師、看護師等の宿日直許可基準について」(基発0701第8号)です。
この通達では、看護職員が宿日直中に行える業務が具体的に例示されています。
この通達には、もうひとつ知っておきたいポイントがあります。
宿日直の許可は、病院全体に一律で与えられるとは限りません。診療科・職種・時間帯・業務の種類を限って許可することができると定められています。
たとえば「外来対応は許可基準に該当しないが、病棟の宿日直業務なら該当する」という場合、病棟の宿日直業務だけに限った許可を出すことも可能です。
通常業務が常態化している宿直はどう扱われるのか
「宿直と言われているけれど、実際は夜通し働いている」という声は少なくありません。
この点について、通達ははっきりと線を引いています。
通常業務が発生したときの扱い
| 状況 | 許可の扱い | 賃金の扱い |
|---|---|---|
| 通常業務が稀に発生する | ほとんど労働することがなく、夜間に十分な睡眠がとれる限り、許可を取り消す必要はない | その従事した時間について、時間外労働の手続をとったうえで割増賃金を支払う |
| 通常業務が常態化している | 宿日直の許可を与えることはできない | 宿直ではなく夜勤として、労働時間分の賃金を支払う |
ここが、宿直で働く看護師にとって一番大事な部分かもしれません。
宿直中に医師の指示で処置を行った時間は、宿日直手当とは別に賃金が支払われるべき時間です。宿直手当だけで済まされる時間ではありません。
- 求人票に「当直あり」とあったら、宿日直許可を取得済みかを確認しましょう
- 実際の夜間の呼び出し回数・仮眠がとれた実績を面接で聞くのが確実です
- 眠れないほど呼ばれるのに宿直扱いなら、夜勤として扱われるべき勤務です
出典:厚生労働省「医師、看護師等の宿日直許可基準について」(令和元年7月1日 基発0701第8号)
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夜勤との違い

夜勤の主な業務
夜勤では、宿直と違い通常業務を行います。
看護師は医師の指示に基づき、適切な医療行為を実行する必要があります。
日本看護協会も、交代制の夜勤では休憩時間以外はすべて労働時間になると説明しています。仮眠を取っていても、患者さんの急変や救急搬送があればすぐに対応しなければならないためです。
参考:日本看護協会「就業継続が可能な看護職の働き方の提案 よくあるご質問」
具体的な業務例
夜勤で行う業務は、日勤とほとんど変わりません。
夜勤で行う主な業務
宿直と夜勤の業務内容の違い
宿直では、主に病院が静まり返る深夜の時間帯に設定され、不測の事態に備えた安全確保と簡単なトラブル解決を担当します。
これに対し、夜勤の看護師は、患者さんの定時的な巡回、必要に応じた治療とケアを実施します。
同じ「夜の病院」でも、宿直は待機が仕事、夜勤は看護そのものが仕事と考えると整理しやすくなります。
具体的な業務の例
宿直 と 夜勤 の業務例
当直との違いと3つの勤務形態の比較

宿直と夜勤に加えて、現場では「当直」という言葉もよく使われます。
この3つを整理しておくと、求人票の読み方が変わります。
当直とは(宿直と日直をあわせた呼び方)
当直は、法律上の正式な用語ではありません。
労働基準法が定めているのは「宿直」と「日直」で、この2つをまとめて宿日直と呼びます。現場で使われる「当直」は、この宿日直をまとめて指す言い方です。
夜間に行うのが宿直、休日の昼間に行うのが日直です。そのため「当直」と書かれていても、実態が宿直なのか、それとも許可を受けていない通常の夜勤なのかは、確認してみないと分かりません。
なお、夜間の呼び出しがほとんどなく眠っていられる当直を、俗に「寝当直」と呼ぶこともあります。
宿直・当直・夜勤の違いを一覧で比較
3つの勤務形態を、法的な扱いの観点から並べてみます。
宿直・当直・夜勤の違い
| 項目 | 宿直 | 当直 | 夜勤 |
|---|---|---|---|
| 法律上の位置づけ | 労働基準法41条3号・施行規則23条にもとづく断続的労働 | 宿直と日直をまとめた通称。法律上の用語ではない | 交代制勤務の一部としての深夜業 |
| 労働基準監督署長の許可 | 必要 | 宿直・日直として扱うなら必要 | 不要 |
| 仕事の中身 | 待機が中心。軽度・短時間の業務に限られる | 宿直に準じる | 日勤と同じ通常業務 |
| 労働時間への算入 | 労働時間・休憩・休日の規定が適用除外 | 宿直に準じる | 休憩を除きすべて労働時間 |
| 回数の限度 | 原則週1回(日直は月1回) | 宿直・日直それぞれの限度による | 法令上の回数制限はない |
| 睡眠の扱い | 夜間に十分な睡眠がとれることが条件 | 宿直に準じる | 仮眠時間も呼び出しがあれば対応する |
出典:e-Gov法令検索「労働基準法」/e-Gov法令検索「労働基準法施行規則」/東京労働局「医療機関における宿日直の許可基準について」
労働時間・回数・仮眠設備の扱いはどう違うのか
3つのなかで、いちばん扱いが違うのが労働時間です。
許可を受けた宿直の時間は、週40時間という法定労働時間にカウントされません。だから、日勤で通常どおり働いたあとに宿直に入るという勤務も成り立ちます。
一方、夜勤はれっきとした労働時間です。休憩時間を除いた全部が労働時間としてカウントされ、法定労働時間の枠のなかで管理されます。
回数についても差があります。宿直は原則週1回までですが、夜勤には法令上の回数制限がありません。ただし日本看護協会は、三交代制で月8回以内を基本とするなどの基準を示しています。
仮眠についても、宿直は「相当の睡眠設備」があることが許可の条件です。夜勤の仮眠は休憩時間の一部として扱われ、呼び出しがあれば中断して対応することになります。
夜勤の2交代制・3交代制と宿直の拘束時間の違い
夜勤には、大きく分けて2交代制と3交代制があります。
日本看護協会の2025年病院看護実態調査によると、病棟で採用されている勤務形態は次のとおりです。
病棟で採用している夜勤・交代制勤務の形態(複数回答)
二交代制の病院で、最も長い夜勤帯の長さは平均16.2時間でした。16時間台が61.2%で最多です。
夕方から翌朝まで、休憩を含めて16時間拘束される勤務が主流ということになります。規定の休憩時間は、二交代制(16時間以上)で平均126.2分、三交代制で平均63.1分です。
宿直の場合、拘束時間の長さ自体は夜勤と大きく変わらないこともあります。違うのは中身です。宿直は拘束時間のほとんどが待機と睡眠であるのに対し、夜勤は拘束時間のほぼ全部が働いている時間になります。
出典:日本看護協会「2025年 病院看護実態調査 報告書」(調査研究報告No.102)
2交代制と3交代制の違いをもっと詳しく知りたい方は、【看護師】2交代と3交代の勤務時間の違いもあわせてご覧ください。夜勤のスケジュール例は看護師の夜勤時間はどれくらい?夜勤スケジュール例で働き方や休憩時間を比較で紹介しています。
宿直手当と夜勤の割増賃金の違い

宿直と夜勤は、お金の決まり方もまったく違います。
「宿直のほうが楽そうだけど、手取りはどうなるのだろう」と気になっている方は、ここを押さえておくと判断しやすくなります。
宿日直手当の最低額は1人1日平均額の3分の1以上
宿直では、働いた時間に応じた賃金ではなく、1回いくらの「宿日直手当」が支払われます。
この金額には、法令上の下限が決められています。
ポイントは、この3分の1という下限が「深夜割増賃金を含んだ金額」として計算されることです。宿直手当が深夜割増賃金を下回る場合には、その差額を別に支払う必要があります。
夜勤の深夜割増賃金は22時〜5時に25%以上
夜勤の賃金は、時間で計算されます。
これに加えて、多くの病院では独自の「夜勤手当」を支給しています。夜勤の給与は、この深夜割増賃金と夜勤手当を合わせたものになります。
夜勤手当の相場については、看護師の夜勤手当はいくらもらえる?相場・仕組み・手当を増やすコツまで解説で詳しく紹介しています。
宿日直許可があっても深夜割増賃金は免除されない
ここは誤解されやすいところです。
宿日直許可によって適用除外になるのは、労働時間・休憩・休日に関する規定だけです。深夜業に関する規定は除外されません。
労働基準法41条の条文を見ると、適用除外の対象は「労働時間、休憩及び休日に関する規定」と書かれており、深夜の割増賃金は含まれていません。
厚生労働省・岩手労働局のリーフレットも、宿日直許可を受けても午後10時から午前5時の深夜労働に対しては2割5分以上の割増賃金の支払いが必要だと明記しています。福井労働局の周知資料も同じ整理です。
出典:厚生労働省・岩手労働局「断続的な宿直又は日直勤務に従事する者の労働時間等に関する規定の適用除外許可申請について」/福井労働局「労働時間・休憩時間・休日の適用除外について」
宿直中に通常業務をした時間の賃金はどうなる?
宿直中に急変対応をした、医師の指示で処置を行った。こうした時間の扱いはどうなるのでしょうか。
厚生労働省の医療機関向けFAQでは、許可を受けた宿日直中に通常と同態様の業務を行った場合、その時間は労働基準法上の労働時間として取り扱う必要があり、宿日直手当とは別に本来の賃金(必要な割増賃金を含む)を支払う必要があると説明されています。
通達でも、その時間について時間外労働の手続をとり、労働基準法37条の割増賃金が支払われるよう取り扱うこと、とされています。
つまり「宿直手当をもらっているから、夜中に働いた分はサービス」ということにはならないのです。
出典:厚生労働省「医療機関の宿日直許可に関するFAQ」/東京労働局「宿日直許可申請を検討する事業主の皆さまなどへ」
看護師の平均賃金から宿日直手当の目安を計算してみる
3分の1という基準だけでは、実際いくらになるのかイメージしづらいと思います。
そこで、公的統計の数字を使って目安を計算してみます。
看護師の賃金から見た宿日直手当の目安
令和6年賃金構造基本統計調査によると、看護師の所定内給与額は月32万9,600円です。これを月20日勤務として1日あたりに直すと約1万6,000円、その3分の1は約5,500円になります。
ここで注意していただきたいのは、これがあくまで「これを下回ってはいけない」という下限の目安だという点です。実際の支給額は職場ごとに異なりますし、割増賃金の基礎となる賃金の範囲や勤務日数の数え方によっても変わります。
正確な金額は、必ず就業規則や賃金規程で確認してください。
転職活動するなら?
宿直がある職場・夜勤がある職場

同じ看護師でも、職場によって夜の働き方はまったく違います。
なぜ職場によって宿直になったり夜勤になったりするのか。その理由は、宿日直許可の仕組みを知ると見えてきます。
病院の病棟は夜勤が中心になる理由
入院患者さんがいる病棟では、夜間も継続的なケアが必要です。
定時の巡回だけでなく、時間ごとの与薬、点滴の交換、体位変換、ナースコールへの対応が絶え間なく発生します。
これは「常態としてほとんど労働することがない」という宿日直許可の条件を満たさない働き方です。だから急性期病院の病棟では、宿直ではなく交代制の夜勤が採用されます。
ICUや救急外来のように、夜間も高い密度で医療が行われる部署ほど、この傾向は強くなります。
有床診療所や小規模なクリニックの宿直
一方、入院ベッドが数床という有床診療所では、夜間の業務量が限られます。
状態が安定した患者さんが数人という状況であれば、定時巡回と要注意の方の検脈・検温で足りることもあります。こうした職場では宿直として許可を受けられる可能性があります。
ここで知っておきたいのが、宿日直許可は病院全体ではなく、診療科・職種・時間帯・業務の種類を限って与えることができるという点です。
厚生労働省の通達では、医師以外の職種のみに許可する、あるいは外来対応は対象外として病棟の宿日直業務だけに限って許可する、といった運用が示されています。
つまり同じ病院のなかでも、部署や時間帯によって宿直だったり夜勤だったりすることがあるということです。
介護施設・障害者支援施設での宿直
介護老人保健施設や特別養護老人ホームなどでも、看護師の宿直が置かれることがあります。
医療処置の頻度が病院より低く、夜間は介護職員が中心となって対応する施設では、看護師は緊急時に備えて待機するという役割になりやすいためです。
ただしここでも判断基準は同じです。夜間に呼び出しが続いて眠れない状況が常態化しているなら、それは宿直ではなく夜勤として扱われるべき勤務になります。
病院と介護施設の宿直・当直の違いについては、【看護師必見!】病院・介護施設の宿直・当直の違いってあるの?でも解説しています。
訪問看護のオンコール待機は宿直とどう違うのか
訪問看護ステーションには、宿直とも夜勤とも違う「オンコール」という仕組みがあります。
オンコールは、自宅など職場の外で待機し、利用者さんやご家族から連絡が入ったら電話で対応したり、必要に応じて訪問したりする働き方です。
宿直とオンコールの位置づけの違い
| 項目 | 宿直 | オンコール待機 |
|---|---|---|
| 待機する場所 | 職場(病院・施設)に泊まる | 自宅など職場の外で過ごす |
| 労働基準法上の扱い | 労働基準監督署長の許可を受けた断続的労働 | 待機の状況によって労働時間かどうかの判断が分かれる |
| 呼び出しがあったとき | その場で対応する | 電話対応、必要なら利用者さん宅へ訪問する |
| 主な職場 | 有床診療所、介護施設など | 訪問看護ステーション |
オンコールの最大の特徴は、呼ばれなければ自宅で過ごせるけれど、いつ呼ばれるか分からないという点にあります。宿直のように「職場にいるけれど眠れる」のとは、気持ちの休まり方が違うという声も少なくありません。
訪問看護のオンコールの実情については、訪問看護のオンコールがきつい理由5選!手当の相場やストレスを和らげる方法も紹介をご覧ください。
出典:厚生労働省「医師、看護師等の宿日直許可基準について」(令和元年7月1日 基発0701第8号)/厚生労働省「医療機関の宿日直許可に関するFAQ」
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生活リズムへの影響

看護師の勤務形態は多様で、特に夜勤や宿直が含まれる場合、これが生活リズムに大きな影響を及ぼします。
不規則な勤務は体内時計を狂わせ、慢性的な睡眠不足を引き起こすことがあり、結果的に日中のパフォーマンス低下につながる可能性があります。具体的には、睡眠の質の低下や、眠りが浅くなることが見られます。詳細についてはNational Sleep Foundationで詳しく述べられています。
日本でも、厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」が交替制勤務と睡眠の関係をまとめています。
同ガイドは、交替制勤務が不眠や眠気、睡眠休養感の低下といった症状の発症と関連し、仕事効率の低下や勤務中・通勤中の事故や怪我とも関連が報告されていると記載しています。
交替制勤務に従事していない人と比べた発症リスク
大きな数字ではありませんが、長く続けるほど積み重なっていくリスクだと考えておきたいところです。
具体例と対処方法
看護師として勤務する場合、勤務スケジュールに合わせた睡眠時間の確保や、勤務前に短時間でも質の高い睡眠をとる工夫が求められます。また、休憩時間に短時間の仮眠を取ることも有効な対策とされています。
仮眠については、睡眠ガイド2023がかなり具体的な目安を示しています。
夜勤・宿直中の仮眠のとり方
日本看護協会のガイドラインも、夜22時以降におよぶ勤務で実労働時間が8時間を超える場合には、連続2時間以上の仮眠を検討すべきとしています。仮眠をとる時間帯は深夜0時から4時が望ましいとされており、睡眠ガイドの内容とも重なります。
夜勤明けの過ごし方については、【現役看護師監修】夜勤明けの過ごし方のおすすめや定番は?で詳しく紹介しています。
出典:厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」/日本看護協会「看護職の夜勤・交代制勤務に関するガイドライン」
メンタルヘルスへの影響
夜勤や長時間労働は看護師の精神健康に大きな影響を及ぼすこともあります。
睡眠ガイド2023は、交替制勤務に従事している人では、乳がんや前立腺がんなどの悪性腫瘍に加えて、うつ病や認知症の発症リスクが高くなるという報告があると記載しています。
こうした不調の背景には、体内時計が司る睡眠・覚醒リズムと実際の睡眠時間帯のずれ、睡眠不足、徹夜によるストレス、その他の心理社会的な要因が関わっていると考えられています。
「気合いが足りないから眠れない」わけでも、「自分だけがつらい」わけでもありません。仕組みとして負担がかかる働き方だと理解しておくことが、対策の第一歩になります。
対処方法と予防策
職場でのサポート体制の充実、適切な休息、レジリエンスを高める訓練等が精神健康を守るための重要な要素とされています。
さらに、適切なメンタルヘルスケアのアクセスが確保されているか、定期的なメンタルヘルスチェックを受けることも効果的です。
個人の工夫だけでなく、勤務の組み方そのものを見直すことも欠かせません。日本看護協会は、看護職の夜勤・交代制勤務について11項目の「勤務編成の基準」を示しています。
日本看護協会が示す勤務編成の基準(主なもの)
2025年の病院看護実態調査では、これらを院内ルールとして規定している病院の割合も公表されています。「夜勤の連続回数は2連続まで」が77.3%、「勤務間隔は11時間以上」が75.5%と、多くの病院で取り入れられつつあります。
裏を返せば、まだ規定していない病院もあるということです。転職を考えるときは、こうした基準が院内ルールになっているかを確認してみるとよいでしょう。
出典:日本看護協会「看護職の夜勤・交代制勤務に関するガイドライン」/日本看護協会「2025年 病院看護実態調査 報告書」
宿直・夜勤が向いている人と向いていない人

宿直と夜勤は、求められるものが違います。
どちらが良い悪いではなく、自分の体質や生活に合っているかどうかで選ぶのが現実的です。
宿直が向いている人の特徴
宿直は、拘束時間は長いものの、そのほとんどが待機と睡眠にあてられる勤務です。
宿直が向いている人
夜勤が向いている人の特徴
夜勤は、少人数で病棟全体を担う働き方です。
夜勤が向いている人
無理をしない方がよい人・注意したい健康リスク
一方で、無理を重ねない方がよい場合もあります。
厚生労働省の睡眠ガイド2023は、交替制勤務に従事している人ではメタボリックシンドロームや心血管系疾患、悪性腫瘍、うつ病、認知症の発症リスクが高くなるという報告があると記載しています。
また、同ガイドは1日に修正できる体内時計は数分から数時間程度のため、光による体内時計の交替制勤務への適応は困難だとしています。「慣れれば平気」とは言い切れないということです。
すでに睡眠の不調が続いている方、持病の管理が必要な方、育児や介護で日中もまとまった睡眠が取りにくい方は、夜勤の回数を調整できるかを職場と相談してみてください。
年齢を重ねてからの夜勤については、看護師の夜勤は何歳まで続ける?年齢別の夜勤状況やおすすめの職場をご紹介で解説しています。
勤務形態を選ぶときに確認したいチェックポイント
求人票の「当直あり」「夜勤あり」という一文だけでは、実態は分かりません。
- 宿日直許可を取得しているか、どの部署・時間帯が対象か
- 夜間の平均的な呼び出し回数と、仮眠がとれている実績
- 宿日直手当・夜勤手当の金額と、深夜割増賃金の扱い
- 宿直中に通常業務をしたときの賃金の支払い方
- 勤務間隔11時間以上などの基準が院内ルールになっているか
特に確認しておきたいのが、宿日直許可を取得しているかどうかです。ここが曖昧なまま「当直」と呼ばれている職場では、実態は夜勤なのに手当だけ宿直扱い、ということも起こり得ます。
看護師の宿直と夜勤に関するよくある質問

最後に、宿直と夜勤について寄せられることの多い疑問をまとめます。
よくある質問
宿直中に急変対応をしたら割増賃金は出る?
出ます。厚生労働省のFAQでは、許可を受けた宿日直中に通常と同態様の業務を行った場合、その時間は労働時間として取り扱う必要があり、宿日直手当とは別に本来の賃金(必要な割増賃金を含む)を支払う必要があるとされています。通達でも、その時間について時間外労働の手続をとり、労働基準法37条の割増賃金が支払われるよう取り扱うこととされています。
宿直の時間は労働時間や週40時間に含まれる?
労働基準監督署長の許可を受けた宿直であれば、含まれません。労働基準法41条3号により、断続的労働に従事する者で許可を受けたものについては、労働時間・休憩・休日に関する規定が適用除外になるためです。ただし適用除外になるのはこの3つだけで、深夜業に関する規定は除外されません。午後10時から午前5時の時間帯には、2割5分以上の割増賃金が必要です。
宿直の回数に上限はある?例外は認められる?
原則は宿直が週1回、日直が月1回までです。ただし、宿直を行える18歳以上の職員全員に割り当ててもなお人数が足りず、かつ勤務の労働密度が薄い場合には、これを超える許可もあり得るとされています。厚生労働省のFAQでも、宿直週2回や日直月2回といった形で認められたケースがあると説明されています。
夜勤明けの翌日はどう扱われる?
法令で一律に決まっているものではなく、勤務表の組み方によります。日本看護協会のガイドラインは、勤務と勤務の間隔を11時間以上あけること、夜勤の連続回数は2連続までとすることなどを勤務編成の基準として示しています。2025年の病院看護実態調査では、この2つを院内ルールとして規定している病院はそれぞれ77.3%、75.5%でした。
「当直」と書かれた求人は宿直と夜勤のどちら?
求人票の表記だけでは判断できません。当直は宿直と日直をまとめた通称で、法律上の用語ではないためです。宿日直許可を取得しているか、夜間の呼び出しがどのくらいあるか、手当は1回いくらなのか時間給なのかを確認すると、実態がどちらなのか見えてきます。
出典:厚生労働省「医療機関の宿日直許可に関するFAQ」/e-Gov法令検索「労働基準法」/日本看護協会「2025年 病院看護実態調査 報告書」
まとめ
この記事では、看護師の宿直と夜勤の違いに注目しました。
宿直は基本的に待機が中心で、緊急時に対応する役割がありますが、夜勤はより積極的に患者のケアを行う必要があります。
勤務時間や責任範囲の違いが明確であり、これが生活リズムやメンタルヘルスに大きな影響を与えることを理解することが重要です。
この記事の要点
- 宿直は労働基準監督署長の許可が必要な断続的労働で、労働時間・休憩・休日の規定が適用除外になる
- 宿直で認められるのは病室の定時巡回や少数の要注意患者さんの検脈・検温など軽度・短時間の業務まで
- 宿日直手当の下限は同種労働者の賃金の1人1日平均額の3分の1以上
- 許可を受けても深夜割増賃金(22時〜5時に25%以上)は免除されない
- 宿直中に通常業務をした時間は、宿日直手当とは別に賃金が支払われる
- 「当直あり」の求人は、宿日直許可の有無と呼び出しの実態を必ず確認する
宿直と夜勤の違いは、言葉のイメージではなく「労働基準監督署長の許可を受けた勤務かどうか」で決まります。
ここを押さえておけば、求人票を見たときも、いま働いている職場の勤務体制を振り返るときも、判断の軸ができます。
医療キャリアナビでは、求人票だけでは分からない夜間の勤務体制や手当の実態についてもお伝えしています。
「今の夜勤がつらい」「宿直のある職場に移りたい」といったご相談も承っていますので、気になる方はお気軽にご活用ください!





