看護師のモチベーションが上がらない原因と戻し方|無理に上げなくていいサイン
「前は好きだった看護の仕事なのに、最近どうしても気持ちが上がらない」と感じていませんか?
看護師のモチベーションが上がらない背景には、忙しさや評価への不満だけでなく、経験年数ごとに違う「つまずきやすい時期」があります。
この記事では、モチベーションが下がる原因と経験年数別の傾向、今日から試せる戻し方を紹介します。 あわせて、無理にモチベーションを上げようとしないほうがいいサインと相談先、環境を変える選択肢もまとめました。
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看護師のモチベーションが上がらない原因

モチベーションが上がらないのは、気持ちの弱さではなく、職場の状況や評価の仕組みといった「外側の要因」が重なっていることがほとんどです。 自分がどれに当てはまるかを知っておくと、何から手をつければいいかが見えてきます。
人手不足で業務量が多い
欠員が出たまま補充されない、急な休みの穴埋めが続くといった状況では、毎日の業務をこなすだけで精一杯になります。 記録や残業が勤務時間外にずれ込むと、休息の時間も削られ、「疲れているのに休めない」状態が当たり前になりがちです。
看護師に限らず、働く人が強いストレスを感じる理由の1位は「仕事の量」です。
仕事の量のストレスは、本人の工夫だけでは減らしにくいのが特徴です。 業務量の偏りが続く場合は、自分を責める前に、配置や業務分担の問題として上司に伝えてみましょう。
理想とする看護ができない
「患者さんの話をゆっくり聞きたい」「退院後の生活まで考えたケアをしたい」と思っていても、実際は処置や記録に追われて時間が取れないことがあります。 理想と現実の差が大きいほど、「自分は何のために看護師をしているんだろう」という虚しさにつながりやすくなります。
理想を持っていること自体は、看護師としての強みです。 ただ、今の職場の人員や診療科の特性では実現が難しい看護もあり、その場合は職場を変えることで理想に近づけるケースもあります。
努力が評価や給与に反映されない
勉強会に参加したり、後輩指導を引き受けたりしても、給与や評価に反映されないと「頑張っても同じ」と感じてしまいます。 病院の看護師の給与は、経験を重ねても大きくは伸びにくい傾向があります。
看護協会の調査では、大卒の新卒看護師の初任給(基本給)と勤続10年の看護師(非管理職)の基本給の差は、約3万2,000円です。 10年分の経験がこの差に収まることに、やりきれなさを感じる人もいるはずです。
認定看護師などの資格や役職手当で差がつく職場もあるため、評価制度が今の職場でどうなっているかを一度確認しておくと、今後の判断材料になります。
看護師の求人を探す人間関係に気を遣い続けている
先輩の機嫌をうかがう、医師への報告で毎回緊張する、同期と比べられるなど、人間関係への気遣いは目に見えない疲れとしてたまっていきます。 看護はチームで動く仕事なので、関係がぎくしゃくすると、仕事そのものより職場に行くことがつらくなることもあります。
仕事より人間関係で疲れちゃう日ってあるよね
人間関係のストレスとの付き合い方は、以下の記事でも紹介しています。
目標を見失っている
国家試験合格や独り立ちといった分かりやすい目標を達成したあと、次に目指すものが見つからず、毎日がルーティンに感じることがあります。 目標がない状態は悪いことではありませんが、「このままでいいのか」という焦りだけが残ると、やる気が出にくくなります。
目標は、昇進や資格取得のような大きなものである必要はありません。 「苦手な処置を1つ減らす」「患者さんの名前と顔を1日で覚える」など、小さな目標の立て方は次の章で紹介します。
参考:厚生労働省「令和6年 労働安全衛生調査(実態調査) 結果の概況」 / 日本看護協会「『2025年 病院看護実態調査』結果」
【経験年数別】モチベーションが下がりやすい時期

モチベーションが下がるきっかけは、経験年数によって違います。 1〜2年目は「できないこと」、中堅は「任されること」、管理職は「板挟み」でつまずきやすく、同じ「やる気が出ない」でも中身は別物です。
| 時期 | 起きやすいこと | 気持ちの変化 | まず試したいこと |
|---|---|---|---|
| 1〜2年目 | 指摘が多い・夜勤開始 | 自信をなくす | できたことを数える |
| 3〜5年目 | リーダー・新人指導 | 成長を感じにくい | 不満の中身を整理する |
| 6年目以降 | 慣れ・家庭との両立 | 刺激がない | キャリアの方向を見直す |
| 管理職 | 勤務調整・板挟み | 孤立しやすい | 同じ立場の相談相手をもつ |
1〜2年目
1年目は覚えることが多く、できないことを指摘される場面も多いため、自信を失いやすい時期です。 2年目になると「もう新人ではない」と見られ、プリセプターの支えが減る一方で、夜勤や受け持ち人数が増えていきます。
正規雇用の看護職員の離職率は11.0%で、そのうち新卒で採用された看護職員の離職率は8.4%です。 新人のつまずきは決して珍しくなく、「自分だけができない」と思い込む必要はありません。
1〜2年目は「できなかったこと」ばかりが目に入りやすい時期です。できるようになった処置や、先輩に任されたことを振り返ると、成長を実感しやすくなります。
1年目で辞めたいと感じたときの判断基準は、以下の記事で詳しく紹介しています。
3〜5年目
仕事を一通りこなせるようになり、リーダー業務や新人指導を任され始める時期です。 自分の仕事に加えて周りのフォローも求められ、「自分のための成長」を感じにくくなるのが、この時期のモチベーション低下の特徴です。
また、同期が転職や進学で職場を離れ始め、「自分はこのままでいいのか」と比べてしまうのもこの頃です。
ただ、転職した先でも人間関係や業務を一から覚え直す必要があり、既卒で採用された看護職員の離職率は16.1%と新卒より高めです。
焦って動くより、何が不満なのかを整理してから次の一手を考えるほうが失敗しにくくなります。
今のあなたの状況は?
中堅(6年目以降)
中堅になると、部署の中心として頼られる一方で、新しく学ぶことが減り、仕事に慣れすぎて刺激がなくなる時期でもあります。 結婚や出産、介護など、仕事以外の役割が増えて、これまでと同じ働き方が難しくなる人も出てきます。
頼られるのはうれしいけど、自分の成長はどうなるの?
中堅のモチベーション低下は、「やる気がない」のではなく、今の役割と自分の希望がずれてきているサインであることが多いです。
専門分野を深める、教育担当に回る、働き方を変えるなど、キャリアの方向を見直すきっかけにすることもできます。
管理職
主任や師長になると、スタッフの勤務調整や人員確保、病院の方針とスタッフの声の間に立つ調整役が中心になります。 患者さんと直接関わる時間が減り、「看護をしている実感」が薄れることにつらさを感じる人もいます。
管理職は、悩みを部下に打ち明けにくく、孤立しやすい立場です。 同じ立場の管理職同士や、看護部以外の相談相手を持っておくと、気持ちを整理しやすくなります。
今日から試せるモチベーションの戻し方

モチベーションは、気合いで上げようとするより、「小さな達成感」と「休息」を積み重ねるほうが戻りやすくなります。 どれも今の職場のまま試せる方法なので、気になるものから1つ選んでみましょう。
達成できる大きさの目標に下げる
「もっと勉強しなきゃ」「完璧な看護をしなきゃ」と目標が大きすぎると、達成できない日が続き、かえってやる気を失います。 1日か1週間で達成できる大きさまで目標を下げると、「できた」という感覚を取り戻しやすくなります。
目標は1つか2つに絞り、達成できたら次の少し大きな目標に進みましょう。
業務の記録をつけて成果を可視化する
忙しい日々が続くと、自分がどれだけの仕事をこなしたかが見えなくなり、「何もできていない」と感じてしまいます。 1日の終わりに、できたことや患者さんとのやりとりを短くメモしておくと、自分の成果を自分で確認できるようになります。
書いた記録は、評価面談や将来の転職活動で自分の強みを説明するときにも役立ちます。 患者さんの個人情報は書かず、自分の行動と気づきだけを残しましょう。
休みの取り方を見直す
夜勤明けと休日が重なるシフトでは、休みの日も寝て終わってしまい、疲れがとれないまま次の勤務を迎えることになります。 休みの日数だけでなく、連休の作り方や有給休暇の使い方を見直すと、しっかり休めた感覚を得やすくなります。
有給休暇を使いにくい雰囲気の職場でも、年10日以上の有給休暇がある人には年5日を取得させることが病院側の義務です。 シフト希望を出すタイミングで、夜勤明けと公休、有給休暇をつなげた連休を相談してみましょう。
看護師の求人を探す職場の外に相談相手をつくる
働く人の94.6%はストレスを相談できる人がいると答えていますが、実際に相談したことがある人は、そのうち74.7%です。 職場の同僚や先輩には話しにくいこともあるため、利害関係のない職場の外の相談相手がいると気持ちを整理しやすくなります。
- 看護学校時代の友人や、別の病院で働く看護師
- 家族やパートナー
- 看護協会の研修や勉強会で知り合った人
- キャリアの相談ができる転職エージェント
話すだけで気持ちが軽くなることもあるよ!
参考:厚生労働省「年5日の年次有給休暇の確実な取得 わかりやすい解説」 / 厚生労働省「令和6年 労働安全衛生調査(実態調査) 結果の概況」
無理にモチベーションを上げないほうがいいサイン

次のような変化が出ている場合は、モチベーションの問題ではなく、心や体が限界に近づいているサインかもしれません。 このときに「もっと頑張らなきゃ」と自分を奮い立たせると、状態を悪化させるおそれがあります。 自分で立て直そうとせず、休むことと専門家に相談することを優先しましょう。
睡眠と食欲に変化が出ている
寝つけない、夜中や早朝に目が覚める、休日にいくら寝ても疲れがとれないといった睡眠の変化は、心の不調が体に表れたものかもしれません。 食欲が落ちる、逆に食べすぎてしまうといった変化も同様です。
夜勤がある看護師は、もともと睡眠のリズムが乱れやすい働き方です。 そのため「夜勤のせい」と見過ごしやすいのですが、以前と比べて明らかに変わった状態が続いているなら、早めに相談しましょう。
休日も仕事のことが頭から離れない
休みの日も、ミスをしていないか、明日の勤務は大丈夫かと考え続けてしまう状態は、心が休めていないサインです。 仕事の前日に気分が沈む、職場に向かう途中で動悸や吐き気がするといった変化があるときも、無理をしないようにしましょう。
休みなのに休めてないの、しんどいよね
患者に感情が動かなくなっている
以前は患者さんの回復を一緒に喜べたのに、今は何も感じない、患者さんへの対応が機械的になっていると感じることはありませんか? 心が疲れ切ると、自分を守るために感情が動きにくくなることがあります。
これは看護師として冷たくなったのではなく、心のエネルギーが残っていないサインです。 自分を責めずに、次のような相談先を頼りましょう。
ここで挙げたサインに当てはまっても、それだけで病気かどうかは判断できません。 気になる状態が続くときは、心療内科や精神科などの医療機関を受診し、専門家の判断を受けることが大切です。
参考:こころの耳「うつ病に関してまとめたページ」 / こころの耳「こころの耳の相談窓口」
環境を変える選択肢

原因が職場の環境にあるときは、自分の工夫だけでモチベーションを戻すのは難しいこともあります。 環境を変える方法は転職だけではなく、今の職場の中でも働き方を変えられることがあります。
病院も人材確保のために働き方の選択肢を増やしており、日勤のみの働き方を導入している病院は半数を超えます。 今の職場に制度があるかどうか、まずは就業規則や上司に確認してみましょう。
部署異動を希望する
診療科や病棟の忙しさ、人間関係が原因なら、部署異動で状況が大きく変わることがあります。 同じ病院の中での異動なので、給与や福利厚生を保ったまま環境を変えられるのがメリットです。
異動の希望は、年度末の面談や自己申告のタイミングで伝えるのが一般的です。 「なぜその部署で働きたいのか」を前向きな理由で伝えると、希望が通りやすくなります。
環境を変えるのは逃げじゃないよ!
夜勤の回数を減らす
夜勤による生活リズムの乱れや疲れがつらい場合は、夜勤の回数を減らしたり、日勤のみの働き方に切り替えたりする方法があります。 日本看護協会は、3交代制勤務の夜勤は月8回以内を基本とする考え方を示しています。
夜勤を減らすと、そのぶん夜勤手当も減るため、手取りが下がる点には気をつけましょう。 家計の見通しを立てたうえで、上司に相談するのが安心です。
常勤からパートに切り替える
仕事と家庭の両立が難しい、体力的にフルタイムがきついという場合は、パートに切り替えて働く時間を減らす方法もあります。 勤務日数や時間を自分で選びやすくなり、心と体に余裕を取り戻しやすい働き方です。
一方で、収入が減るほか、働く時間によっては社会保険や賞与、退職金の扱いが変わります。 切り替える前に、条件の違いを職場に確認しておきましょう。
お探しの求人は?
転職する
職場の方針や人員体制が原因で、異動や働き方の変更でも解決しない場合は、転職も選択肢の1つです。 病院以外にも、訪問看護やクリニック、介護施設など、看護師が働ける場所は幅広くあります。
退職を決めたあとの理由の伝え方は、以下の記事を参考にしてください。
4つの選択肢は、変えられる範囲と失うものがそれぞれ違います。 「何がつらいのか」と「何を守りたいのか」を先に書き出しておくと、自分に合う方法を選びやすくなります。
| 観点 | 部署異動 | 夜勤を減らす | パートに切り替え | 転職 |
|---|---|---|---|---|
| 収入の維持 | ◯ | △夜勤手当が減る | ✕働く時間しだい | △職場しだい |
| 人間関係のリセット | △病院内は同じ | ✕ | ✕ | ◯ |
| 体の負担を減らす | △部署しだい | ◯ | ◯ | △職場しだい |
| 始めやすさ | △時期が限られる | ◯ | △条件の確認が必要 | △準備に時間がかかる |
転職を考える場合は、今の職場で解決できない理由がはっきりしているかを確認しておくと、次の職場で同じ悩みを繰り返しにくくなります。
- 正看護師求人9,633件中、訪問看護が2,535件
- クリニックの求人は2,384件で病院より多い
- 年間休日120日以上の求人は約2割
求人票だけでは職場の雰囲気や夜勤体制までは分かりにくいため、気になる職場があれば見学や面接で直接確かめておきましょう。
参考:日本看護協会「『2025年 病院看護実態調査』結果」 / 日本看護協会「看護職の夜勤・交代制勤務に関するガイドライン」
まとめ
看護師のモチベーションが上がらないのは、業務量や評価、人間関係といった職場の要因が重なっていることがほとんどで、気持ちの弱さが原因ではありません。 経験年数によってつまずきやすいポイントも違うため、今の自分の状況に合った対処を選ぶことが大切です。
この記事のポイント
- 原因は業務量・評価・人間関係など職場の要因が多い
- 1〜2年目、中堅、管理職でつまずく場所が違う
- 小さな目標と記録で達成感を取り戻す
- 睡眠や感情の変化があるときは無理に上げず相談する
- 異動・夜勤調整・パート・転職で環境を変える道もある
まずは、今日から試せる方法を1つ選んでみましょう。 それでも気持ちが戻らないときや、今の職場で働き続けることに迷いがあるときは、転職エージェントに相談して、ほかの職場の働き方を知っておくと選択肢が広がります。


