登録理学療法士とは?取得までの流れと5年ごとの更新要件・費用の目安
「登録理学療法士、まだ取っていない」「そろそろ更新の年らしいけれど何をすればいいのか分からない」。2022年度に始まったばかりの制度なので、職場に経験者が少なく、確かめにくいところがあります。
前期研修と後期研修でどれだけ受講するのか、5年後の更新で何をすれば維持できるのか、5年間でいくらかかるのか。日本理学療法士協会が公表している内容をもとに、登録理学療法士の取得の流れ・更新要件・費用を整理しました。
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登録理学療法士とは?

登録理学療法士は、日本理学療法士協会が2022年度にリニューアルした生涯学習制度の土台にあたる資格です。卒後5年間を義務教育的な位置づけとし、前期研修と後期研修を修了した人を多様な障害像に対応できる「ジェネラリスト」として登録します。
国家資格である理学療法士免許とは別のもので、協会の会員が対象になります。
免許とは別に、協会が設けている資格ってこと?
生涯学習制度における位置づけ
生涯学習制度は、登録理学療法士を基盤に、その上へ認定理学療法士・専門理学療法士という「スペシャリスト」の階層を重ねる二段構えです。
取得は着実に進んでいます。協会が公表した2026年3月31日時点のデータでは、会員144,943名のうち前期研修修了者が84,083名、登録理学療法士の取得者は64,321名でした。取得の分母になる入会6年目以上の会員105,306名に対して61.1%にあたります。
ひとつ押さえておきたいのが、この制度が完成形ではない点です。協会は2026年度・2027年度に段階的な見直しを行ったうえで、2029年度に生涯学習制度を抜本的に改定する予定を示しています。要件や運用が数年単位で変わるため、取得・更新の情報は協会の公式ページで都度確認するのが確実です。
新人教育プログラムとの違い
旧制度の新人教育プログラムは一定の役割を終え、前期研修・後期研修に置き換わりました。名前が変わっただけではなく、中身の考え方も違います。
| 比較項目 | 旧:新人教育プログラム | 現:登録理学療法士制度 |
|---|---|---|
| 修了後の扱い | 修了して完結し、更新の仕組みはない | 5年ごとに更新がある |
| 履修期間 | 期間の定めはない | 前期研修は最短2年、後期研修は最短3年 |
| 職場での学び | OJTを履修として扱う仕組みはない | 前期研修に実地研修32コマがあり、職場のOJTが履修として扱われる |
いちばん大きいのは更新制の有無です。一度取れば終わりではなく、5年ごとに要件を満たし続ける必要があります。
認定理学療法士・専門理学療法士との違い
登録理学療法士が幅広く対応できるジェネラリストを示すのに対し、認定理学療法士は臨床実践分野のスペシャリストを示します。専門理学療法士は、より専門性を高めたい人に向けた制度として認定理学療法士と並びます。
取得者数の規模も違います。登録理学療法士が6万人を超えるのに対し、専門理学療法士は2,000人に届きません。
認定理学療法士・専門理学療法士そのものの中身や、ほかにどんな資格があるかは別の記事で扱っています。
参考:日本理学療法士協会「生涯学習制度について」 / 日本理学療法士協会「各資格の取得状況」
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登録理学療法士を取得するまでの流れ

取得の道のりは、前期研修(最短2年)と後期研修(最短3年)の二段階です。合計で最短5年かかりますが、修了時の試験はありません。決められたコマ数を履修し、必要な在会期間を満たせば取得できます。
全54コマを履修(申込は無料)
座学51コマ+実地経験3年(36か月)・有料
必要コマの履修と実地経験の条件を満たした時点で取得
前期研修
協会に入会したあと、最短2年間で全54コマを履修します。内訳は座学22コマと実地研修32コマです。
座学の講座A〜Cは、都道府県理学療法士会が主催する研修会か、協会のeラーニングで受講します。前期研修は会費以外の料金が一切かからず、申込も無料です。入会初年度に限り、eラーニングの視聴開始は入会年度の9月1日からになります。
講座D(実地研修)は日頃の業務の中でのOJTです。所属施設で登録理学療法士が実施したOJTが実地研修として履修に加わるため、職場に登録理学療法士がいるかどうかで進めやすさが変わります。
最短履修期間の2年間は年度単位で計算し、入会年度の翌年度末が最短の修了日です。年度の途中に入会しても、4月入会の人と同じ日付になります。
後期研修
前期研修を修了すると後期研修に進みます。最短3年間で、座学51コマ(76.5時間)と実地経験3年(36か月)の両方を満たすことが修了条件です。
座学の中心は領域別研修の座学19コマで、27コマの中から必須と選択を組み合わせて選びます。症例検討会(E-1〜E-3)は履修の付き方が独特で、発表者は1回の発表で1コマ、聴講者は1回の聴講で3分の1コマです。つまり聴講だけで6コマを揃えるには18回の参加が必要になります。いずれかのテーマで1回発表することが努力義務とされていますが、聴講のみでも修了できます。
実地経験3年の落とし穴
- 実地経験3年は後期研修の開始からカウントされる
- 後期研修を始める前の経験年数は加算されない
- 在会していて、かつマイページに勤務先を登録している期間だけが対象
- 過去にさかのぼっての勤務先登録・カウントはできない
履修に3年以上かかっても問題はないとされています。
試験はなし。コマ数と在会年数を積み上げれば取れるんだね!
登録申請
「登録申請」という独立した手続きは用意されていません。条件1(必要コマの履修)と条件2(実地経験3年)を満たした時点で登録理学療法士を取得する仕組みです。自分の登録番号や履修状況は協会のマイページで確認できます。
注意したいのは履修の反映タイミングです。研修会の履修やポイントはマイページに反映されて初めて有効になり、反映までの時間は主催者によって変わります。年度末ぎりぎりの受講は避けておくのが無難です。
理学療法士の求人を探す登録理学療法士の更新

2022年度に取得した人は、2026年度が最初の更新年度にあたります。取得のときと違い、更新は申請手続きが不要で、要件を満たしていれば自動的に処理されるのが特徴です。
更新の周期と要件
有効期間は5年間で、年度の途中に取得した場合は取得年度を含めて数えます。満たすべき要件は、活動対象期間内に50ポイントを取得することと、更新時研修を受講することの2つです。
超過分のポイントは次の5年に持ち越されない
活動対象期間は2026年4月1日から変わりました。従来は取得5年目の12月31日までだったものが、更新年度の3月31日までに延びています。年度末まで学習実績を積める形になった一方、50ポイントを大きく超えて取っても、余った分は消えます。
50ポイントって、実際どれくらい大変なの?
ポイントの取得方法
ポイントは184個あるカリキュラムコードごとに集計されます。最小単位は学習時間30分で0.5ポイント、1日あたりの上限はありません。
同じカリキュラムコードの研修を複数回受けた場合、2025年9月以降は最も高いポイント数が認定される扱いに変わりました。加算ではなく上書きなので、同じコードを繰り返しても合計は増えません。幅広いコードに散らして受講するほうが効率的です。
ポイントとして認められる活動は4種類あります。
-
協会機関誌の問題解答「JPTA NEWS」と「日本理学療法士協会雑誌 Up to Date」に毎号出題される問題に答える。申込は無料
-
講習会・研修会・eラーニングの受講協会・士会・ブロック協議会・日本理学療法学会連合の会員団体が主催するもの。開催時間に応じて付与
-
士会が承認した所属施設主催の研修会登録理学療法士が士会へ開催申請を行い、承認された職場内の研修会
-
学術大会への参加士会・ブロック協議会・学会連合の会員団体が主催する学会。学会の開始から終了までの時間数で付与
注目したいのが1つめです。5年間毎号回答し続ければ、無料で50ポイントに届きます。協会も「学会や研修会に参加しなくても更新できる仕組み」としており、育児や介護で外に出にくい時期でも更新の道が残されています。
更新時研修
更新時研修は更新年度にeラーニングで受講します。2026年4月1日から受講料が無料になりました。
受講できるのは在会会員に限られます。会費の納入状況が会員の権利に直結するため、更新年度は特に気をつけたいところです。
更新できなかった場合の扱い
要件を満たせなかったとしても、すぐ失効するわけではありません。協会は2029年度の制度改定まで、登録理学療法士を失効させない猶予措置を設けています。猶予期間中も権利は維持されますが、更新には取得から6年目は学会参加1つ以上、7年目は2つ以上という追加要件が加わります。
はじめから更新が難しいと分かっている場合は、更新延長制度という選択肢もあります。申請が通れば有効期限が1年延び、1回の更新につき最大2回まで使えます。
更新できなかった場合の2つの道
延長制度を使えるのは、有効期限から過去5年間で次のいずれかに当てはまる場合です。
- 6か月以上にわたり、医師の指示に基づく療養を要するケガまたは病気があった
- 出産・6歳以下の子の養育を担っていた
- 2親等以内の親族が要介護認定2以上、またはこれに準ずる状態でその介護を担っていた
- 1年以上の海外留学または海外赴任をしていた
休会中でも要件を満たしていれば申請できます。ただし延長を申請した年度は更新できず、申請後の取り消しもできません。
もうひとつ、認定理学療法士や専門理学療法士を更新しても、登録理学療法士は自動的には更新されません。3つの資格はそれぞれ別に更新が必要です。
参考:日本理学療法士協会「登録理学療法士更新について」 / 日本理学療法士協会「更新のためのポイント/点数について」
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旧生涯学習制度からの移行

中堅以上の理学療法士にとっては、ここが取得のスタート地点になります。新制度が始まる前の履修状況によって、必要なコマ数も、すでに取得済みかどうかも変わるためです。
旧制度の修了者の扱い
判断材料は「協会への入会年度」と「旧制度での履修状況」の2つです。協会は入会年度ごとに移行表を公開しています。
2012年度以前に入会し、新人教育プログラムを修了している場合は、移行の時点で登録理学療法士を取得済みの扱いになります。修了していない場合は、旧制度で貯めた生涯学習ポイントの単位数によって前期研修の必要コマ数が変わります。
2013〜2017年度に入会した人で新人教育プログラムを修了している場合は、前期研修が実地研修32コマのみになり、後期研修も講座の一部が免除されます。さらに前期研修と後期研修を並行して受講できるため、新人から積み上げるより短い期間で取得できます。
| 入会年度 | 旧制度での履修状況 | 移行後の扱い・必要コマ数 |
|---|---|---|
| 2012年度以前 | 新人教育プログラム修了 | 登録理学療法士を取得済み(認定・専門理学療法士も取得済みなら両方を取得済みとして、それぞれ5年ごとの更新へ) |
| 未修了・旧生涯学習ポイント0単位 | 前期研修54コマ(講座A6・B6・C10・D32)+後期研修51コマ | |
| 未修了・旧生涯学習ポイント1〜10単位 | 前期研修48コマ(講座Aが免除)+後期研修51コマ | |
| 未修了・旧生涯学習ポイント11単位以上 | 前期研修42コマ(講座A・Bが免除)+後期研修51コマ | |
| 2013〜2017年度 | 新人教育プログラム修了 | 前期研修は実地研修32コマのみ+後期研修も一部免除(前期研修と後期研修を並行受講可) |
免除の対象になっても、条件2は共通です。前期研修の修了後3年間、在会し続けてマイページに勤務先を登録している必要があります。
入会年度と新人教育プログラムの修了状況、まずそこを確認だね
移行に必要な手続き
移行そのものに申請は要りません。入会年度と旧制度の履修状況をもとに、マイページの履修状況へ反映されています。確認しておきたいのは次の3点です。
- 自分の協会入会年度(移行表はこの年度ごとに分かれている)
- マイページ上の移行時ステータスと、残っている必要コマ数
- マイページの勤務先登録(未登録だと実地経験がカウントされない)
勤務先登録の異動申請は、都道府県理学療法士会と協会の承認が必要で即時には反映されません。転職や異動をしたら、早めに手続きを済ませておきましょう。
参考:日本理学療法士協会「生涯学習制度について」 / 日本理学療法士協会「生涯学習制度の見直し」
理学療法士の求人を探す登録理学療法士を取得する意味

5年がかりで取る資格に見合うものはあるのか。制度上はっきりしている効果と、まだそうではない部分に分けて整理します。
認定・専門理学療法士を目指す前提になる
いちばん明確なのがこれです。認定理学療法士の新規申請には3つの要件がありますが、協会は「要件は登録理学療法士取得を前提条件とするため、登録理学療法士取得後に各種研修会へお申込ください」としています。登録理学療法士を取る前に研修を受けても、要件としては認められません。
認定理学療法士を視野に入れているなら、登録理学療法士の取得時期がそのままスタートラインになります。逆にいえば、登録理学療法士を取らない限り上位資格の入口には立てません。
協会の制度や事業を利用できる
登録理学療法士でなければ担えない役割もあります。
- 後輩の前期研修・実地研修のOJTを実施し、履修として付与する
- 所属施設の研修会を士会に申請し、更新ポイントの対象にする
どちらも教育を担う立場に直結します。職場に登録理学療法士がいなければ、新人は実地研修32コマを職場内で積めません。個人の資格であると同時に、職場の新人教育を回すための要件でもあるわけです。
職場での評価につながる場合がある
現時点で、登録理学療法士を持っていることによる法令上の優遇や、診療報酬上の加算はありません。協会自身も「将来的には、登録理学療法士であることが、社会や勤務先での評価に反映されるような制度になることを望んで構築しています」という表現にとどめています。
一方で、前述のとおり入会6年目以上の会員の6割がすでに取得しています。評価につながるというより、持っていないことが目立ちやすくなる段階に入りつつあります。教育担当や主任クラスへの打診、転職時の書類など、経歴を見られる場面では触れられる可能性があります。
参考:日本理学療法士協会「認定理学療法士について」 / 日本理学療法士協会「更新のためのポイント/点数について」
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取得と更新にかかる費用と負担

5年続ける前提で、お金と時間がどれくらい必要かを確認しておきます。受講料そのものは高くありませんが、会費は毎年かかり続けます。
研修の受講料
前期研修は会費以外の別途料金が一切かかりません。有料になるのは後期研修からで、まとめて申し込めるセット価格と、1コマ単位の個別申込を組み合わせる形になります。症例検討会は無料です。
| 研修の種類 | 受講料 |
|---|---|
| 前期研修(eラーニング/講座A〜D) | 無料 |
| 後期研修 セット申込(講座B・C-5・D・E-4〜E-6・F) | 2,000円 |
| 後期研修 個別申込(講座A、C-1〜C-4など) | 1コマ300円(2コマ構成の講義は600円) |
| 後期研修 E-1〜E-3(症例検討会) | 無料 |
| 都道府県理学療法士会主催の対面研修 | 1コマ300円が基本(士会の方針により300円未満の場合あり) |
| 登録理学療法士の更新時研修(eラーニング) | 無料 |
セット申込と個別申込を組み合わせると、後期研修の座学51コマ分はおおむね7,000円台に収まる計算です。5年がかりの研修としては、受講料の負担は軽いほうといえます。
協会の会費
金額として効いてくるのは会費です。日本理学療法士協会の年会費10,000円に、所属する都道府県理学療法士会の年会費が加わります。
士会の会費には地域差があり、2年目以降の合計額は三重県の16,000円から秋田県・岩手県の22,000円までと幅があります。
5年間の合計にすると8万円から11万円ほどで、受講料よりもこちらのほうが大きな負担です。入会初年度は協会の入会金5,000円が別途かかります。協会には育児休業割引・シニア割引・海外会員割引も用意されています。
会費を滞納したときの影響
- 毎年3月31日までに年会費の入金が確認できないと、4月以降は会員の権利が停止する
- 権利停止中は「在会」とみなされず、後期研修の実地経験がカウントされない
- 更新延長の申請も、会費未納による権利停止中はできない
研修時間を確保する方法
時間の負担は、受け方の選び方でかなり変わります。
前期研修・後期研修とも、実地研修と症例検討会の一部を除いてeラーニングで受講できます。協会は受講機会の地域格差を是正するためとしており、近くで研修会が開かれていなくても進められます。eラーニングに視聴期限はなく、申込後は翌年度も継続して視聴できるため、まとまった時間が取れない時期でも細切れに進められます。
更新のポイントも、職場内の研修会を士会に承認してもらえば対象になります。機関誌の問題解答は自宅で完結し、費用もかかりません。夜勤や残業の多い職場でも、外に出ずに積み上げられる手段は用意されています。
職場からの支援を当てにするのは難しいところです。医療キャリアナビ掲載求人データ(2026年時点)では、理学療法士の求人6,409件のうち研修補助ありは203件でした。勤務時間や休みの取りやすさのほうが、学習時間の確保には効いてきます。
- 完全週休2日は825件(13%)
- 17時退社は945件(15%)
- 時短勤務OKは353件(6%)
5年という長さを考えると、研修を進めやすい働き方かどうかは職場を選ぶ段階から見ておきたいところです。
参考:日本理学療法士協会「協会・士会の会費案内」 / 日本理学療法士協会「eラーニング」
まとめ
登録理学療法士は、前期研修(最短2年・54コマ)と後期研修(最短3年・座学51コマと実地経験3年)を積み上げて取得する、5年ごと更新の資格です。修了時の試験はなく、コマ数と在会期間を満たせば取得できます。
更新は最終年度の3月末に自動で処理され、50ポイントの取得と更新時研修の受講が要件です。ポイントは機関誌の問題解答だけでも5年間で50ポイントに届き、更新時研修は2026年度から無料になりました。要件を満たせなくても2029年度の制度改定までは失効せず、療養・育児・介護・海外赴任があれば1年の延長申請もできます。
旧制度で新人教育プログラムを修了している人は、入会年度によって取得済み扱いになったり、必要コマ数が大きく減ったりします。まずはマイページで自分のステータスと残りコマ数、勤務先登録の有無を確認するところからです。
費用は、後期研修の受講料が7,000円台、会費が年16,000〜22,000円。5年間では会費のほうが重く、そこをどう見るかが判断の分かれ目になります。認定理学療法士を目指すなら登録理学療法士の取得が前提条件になるので、先のキャリアを考えている人ほど早めに動いておくと選択肢が広がります。


