柔道整復師が教員として働くには?専科教員の要件と取得の流れ

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柔道整復師として現場に立ちながら、「後進を育てる側に回りたい」と考えたとき、最初にぶつかるのが「そもそも何の資格が要るのか」という疑問ではないでしょうか?

養成施設の教員を目指す場合は、専科教員の認定を受けること、実際に学校へ専任教員として配置されることなど知っておきたいことがあります。

この記事では、柔道整復師が教員になる選択肢を整理したうえで、専科教員認定講習会の受講資格・受講試験・費用といった取得の流れと、養成施設側が満たさなければならない教員基準までをまとめます。

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    柔道整復師が教員になる選択肢

    屋外で笑顔を見せる柔道整復師の男女

    「柔道整復師の教員」という言葉が指す進路は、大きく2つに分かれます。柔道整復師の養成施設で専門科目を教える道、大学の教員として教育と研究に携わる道です。

    3つは資格制度そのものが違うため、ひとつの資格ですべてをカバーすることはできません。まず自分が思い描いているのがどれなのかを切り分けるところから始めましょう。

    教員になる2つの道の比較
    比較項目 養成施設の教員 大学の教員
    根拠法令 柔道整復師学校養成施設指定規則(別表第二) 大学設置基準
    必要な資格・要件 柔道整復師免許に加え、厚生労働大臣が指定した教員講習会の修了 大学設置基準に定める教授・准教授などの資格
    柔道整復師免許の位置づけ 取得していることが前提の資格 要件として定められていない

    柔道整復師養成施設の教員になる

    専門学校や大学の柔道整復学科で、柔道整復学や実技といった専門科目を教える立場です。この記事で主に扱うのはこの道になります。

    養成施設の教員資格は、柔道整復師学校養成施設指定規則の別表第二で教育内容ごとに決められています。専門分野(基礎柔道整復学・臨床柔道整復学・柔道整復実技)を教えられるのは、医師か、柔道整復師の免許を取得してから5年以上実務に従事した経験があり、かつ厚生労働大臣の指定した教員講習会を修了した者のどちらかです。

    この「厚生労働大臣の指定した教員講習会」を修了した人が、一般に専科教員と呼ばれています。つまり養成施設の教員を目指すなら、実務経験を積んだうえで講習会を修了するルートが基本になります。

    大学の教員になる

    4年制大学の柔道整復系学科で教授・准教授・講師として働く場合は、大学設置基準が適用されます。専科教員の認定とは別の要件です。

    大学設置基準第13条では、教授になれる者として「博士の学位を有し、研究上の業績を有する者」「研究上の業績がこれに準ずると認められる者」「などが挙げられています。

    准教授は修士の学位を有する者などが対象で、助教も修士の学位を有する者などとされています。学位と研究業績が軸になっている点が、実務経験と講習会で組み立てられている専科教員との大きな違いです。

    大学教員 と 専科教員 問われる軸の違い
    大学教員(大学設置基準)
    問われる軸:学位・研究業績
    教授:博士の学位+研究上の業績
    准教授:修士の学位など
    助教:修士の学位など
    例外規定:専攻分野で特に優れた知識・経験を有する者
    専科教員(指定規則)
    問われる軸:実務経験・講習会
    柔道整復師免許取得後、実務経験5年以上
    厚生労働大臣指定の教員講習会を修了

    ただし同条には「専攻分野について、特に優れた知識及び経験を有すると認められる者」という号もあり、学位だけがすべてではありません。大学によって求めるものが変わるため、募集要項で学位・研究業績・実務経験のどれを重視しているかを確認するのが確実です。

    なお、大学の柔道整復系学科で専門科目を担当する場合は、指定規則の別表第二も同時に関わります。学位と専科教員の認定を両方持つ人がいるのは、このためです。

    • 柔道整復師の免許では教壇に立てません
    • 教育職員免許法に基づく普通免許状(中学校教諭・高等学校教諭)の取得が必要です
    • 教職課程のある大学等で所定の単位を修得し、都道府県教育委員会に授与申請します
    • すでに働いている人向けには免許法認定講習などの道もあります

    参考:e-Gov法令検索「大学設置基準」 / 文部科学省「教員免許制度の概要」

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    柔道整復師専科教員とは?

    柔道整復師の養成施設にあたる学校の外観

    専科教員は、柔道整復師養成施設で専門科目を担当できる教員として認定される資格です。国家資格ではなく、厚生労働大臣の指定を受けた講習会を修了することで得られる認定にあたります。

    制度の位置づけ

    根拠になっているのは柔道整復師学校養成施設指定規則第2条第6号と別表第二です。別表第二は教育内容を「基礎分野」「専門基礎分野」「専門分野」の3つに分け、それぞれを教授できる者を定めています。専科教員はこのうち専門分野と、専門基礎分野の一部を担当できる立場です。

    「柔道整復師専科教員免許」といった表記を見かけることがありますが、制度上は免許ではありません。厚生労働大臣が指定した教員講習会の修了認定であり、免許のような登録や更新の仕組みがあるわけではない点は押さえておきたいところです。

    担当できる科目の範囲は、実施団体である全国柔道整復学校協会が具体的に示しています。

    専科教員が教授できる範囲

    科目・事項教授の可否
    基礎柔道整復学教授できる
    臨床柔道整復学教授できる
    柔道整復実技教授できる
    臨床実習(外部実習を含む)の指導教授できる
    科目・事項教授の可否
    社会保障制度教授できる
    解剖学(運動器系の構造)教授できる
    運動学(運動器の機能)教授できる
    リハビリテーション医学(高齢者運動機能の維持・回復)教授できる
    医学史・関係法規・柔道・職業倫理教授できる
    柔道整復術の適応教授できない

    臨床実習の指導にあたるときも、別途の臨床実習指導者講習を受ける必要はないとされています。一方で、同じ専門基礎分野でも担当できない教育内容があります。募集で「専門基礎分野の担当」とあっても、具体的にどの科目なのかで話が変わるため、応募前に確認しておきたい部分です。

    本科教員との違い

    柔道整復師の教員をめぐっては「専科教員」と「本科教員」という言葉が並べて語られることがあります。ただし現行の指定規則にも厚生労働省の養成施設指導ガイドラインにも、本科教員という区分の定めはありません。制度上の教員資格は、あくまで別表第二の分野ごとの区分で決まります。

    実施団体である全国柔道整復学校協会が現在案内している講習会も、専科教員認定講習会だけです。これから教員を目指す人が受けられるのは専科教員のものと考えて差し支えありません。本科教員という呼称の由来や過去の扱いについては一次情報で確認できる範囲が限られるため、養成施設の募集で見かけた場合はその学校に直接たずねるのが確実です。

    認定を行う団体

    受講試験と認定講習会を実施しているのは、公益社団法人全国柔道整復学校協会です。事務局は東京都港区浜松町にあります。

    同協会は、講習会を「柔道整復師学校養成施設指定規則第2条第6号及び別表第2の規定に基づき厚生労働大臣の指定を得て実施するもの」と説明しています。講習会そのものが法令に紐づいているため、修了認定は全国の養成施設に共通して通用します。受講試験の日程・実施要領・願書も同協会のサイトで公開されています。

    参考:e-Gov法令検索「柔道整復師学校養成施設指定規則」 / 公益社団法人全国柔道整復学校協会「教員になるには」

    柔道整復師の求人を探す

    専科教員の資格を取得する流れ

    座学で講義を受ける柔道整復師の学生

    専科教員の認定は、受講試験に合格してから認定講習会を受け、修了試験に合格するという3段階で進みます。受講試験は年1回、講習会は約5か月間にわたるため、思い立ってすぐ取れる資格ではありません。

    以下は令和8年度の実施内容です。日程や金額は年度ごとに見直されるため、実際に動くときは協会の実施要領で最新の内容を確認しましょう。

    受講資格となる実務経験

    受講試験の受験資格は、実務経験によって2つに分かれています。

    • 受講対象A
      受講年の5月末までに実務経験が5年以上ある人
    • 受講対象B
      実務経験が4年以上5年未満で、受講翌年の5月末日までに5年以上になる見込みの人

    実務経験の数え方や必要な証明書類は協会が別途示しています。勤務内訳表や実務従事証明といった様式の提出が求められるため、複数の勤務先を経験している人は早めに確認しておくと安心です。

    見込みで受験できるのは受講対象Bの利点ですが、修了後にもうひと手続きが挟まります。受験から授業を担当できるようになるまでの流れは、AとBで少し変わります。

    専科教員 資格取得までの年間の流れ

    5月10日(日)
    受講試験
    願書は出身校などを経由して3月31日までに提出。小論文・学科・面接の3科目で選考されます。
    合格発表
    試験の翌週に協会のホームページで発表。合格者が講習会の受講対象になります。
    6月〜10月
    認定講習会
    東京・大阪いずれかの会場で、土曜日・日曜日・祝日に約5か月かけて受講します。
    修了試験
    合格すると修了証書が授与されます。不合格でも当該年度に限り再試験を受けられます。
    修了認定(実務経験の要件で分岐)
    受講対象Aの場合
    修了試験に合格すると修了認定され、おおむね令和8年11月から授業を担当できます。
    受講対象Bの場合
    合格後、5年以上の実務経験を満たす書類(勤務内訳表・実務従事証明など)を添えて修了認定を申請します。

    受講試験を受ける

    受講試験は毎年5月の第2日曜日に行われます。令和8年度は5月10日(日)で、会場は東京医療福祉専門学校と関西医療学園専門学校の2か所です。

    1. 願書書類を協会サイトからダウンロードし、免許証の写しや履歴書、実務従事証明などを用意する
    2. 受験手数料10,000円を振り込む
    3. 書類一式を出身校などの養成施設に渡し、学校から協会へレターパックライトで郵送してもらう
    4. 不備がなければ受講試験票が郵送される

    願書は本人が直接送るのではなく、出身校もしくは推薦校を経由して提出します。学校長の記入と押印、成績証明書または卒業証明書の発行が必要になるため、母校への連絡は早めに済ませておきましょう。電話やFAXでの申し込みは受け付けていません。

    試験は小論文・学科・面接の3科目で構成されています。

    受講試験の科目と配点
    科目出題の形式と時間配点
    小論文テーマ形式・800字〜1,000字/1時間100点
    学科柔道整復学理論50問・四者択一のマークシート/1時間100点
    面接個人面接・1人10分〜12分100点
    合計3科目すべてを同じ試験日に受験します300点

    認定講習会を受講する

    講習会は6月から10月の間の土曜日・日曜日・祝日に開催されます。令和8年度の日程は東京会場が6月6日から10月17日、大阪会場が6月13日から10月31日です。定員は東京・大阪ともに40名です。

    総時間数は228時間です。教育原理や教育心理といった教職の科目から、解剖学・運動学・生理学、柔道整復学の各論、医用画像の理解や超音波実習、模擬授業や現場実習まで幅広く組まれています。

    認定講習会228時間の内訳

    教職教育科目 68時間 専門基礎科目 74時間 専門科目 86時間
    68h
    74h
    86h

    総時間数 228時間

    土日祝の開催なので平日勤務を続けながら通えますが、約5か月にわたってほぼ毎週末が講習会にあたります。会場は東京か大阪のいずれかなので、遠方から通う場合は交通費と移動時間も見ておきましょう。

    勤務先のシフトや家庭の予定との調整は、申し込み前に済ませておくのが無難です。

    出席と修了試験の要件

    全科目の講習が修了し、所定時間数の5分の4以上出席した者に対して修了試験が実施されます。修了試験に合格すると修了証書が授与され、不合格だった場合は当該年度に限り再試験を受けられます。

    出席の要件にはもう一段の条件があります。時間割で印が付けられた科目は、所定時間数をすべて満たさなければ修了試験を受験できません。全体で5分の4を満たしていても、これらを欠席すると受験そのものができなくなります。

    修了試験を受けるための出席要件

    1. 全科目を通じた出席時間

    所定時間数の5分の4以上に出席
    教職教育・専門基礎・専門科目を合わせた全時間数のうち、5分の4以上の出席が修了試験の受験条件です。

    2. 全時間の出席が必須の科目1科目でも欠席があると受験不可

    柔道
    安全講習
    教育実習
    模擬授業
    現場実習
    講習会の総時間数228時間
    5分の4にあたる出席目安182.4時間以上

    費用と日程の確認先

    令和8年度の受講料は200,000円です。これとは別に、受講試験の受験手数料10,000円がかかります。

    専科教員 受講試験・講習会にかかる費用
    10,000円
    受験手数料
    +
    200,000円
    受講料(令和8年度)
    =
    210,000円
    合計負担額

    費用も日程も年度によって変わるため、金額を固定して考えないほうが安全です。協会は受講試験実施要領と講習会実施要領を公開しているので、受験を決めた年度の要領を必ず確認しましょう。

    参考:公益社団法人全国柔道整復学校協会「受講試験の概要」

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    養成施設が定める専任教員の基準

    白衣やスクラブを着た医療職が集まる勉強会の様子

    認定を取れば教壇に立てる、とは限りません。学校側には人員配置の基準があり、そこに当てはまる形でポストが用意されるからです。認定講習会に相応の時間と費用をかける前に、配置のルールも押さえておきましょう。

    養成施設の指導ガイドライン

    柔道整復師の養成施設については、厚生労働省が「柔道整復師養成施設指導ガイドライン」を定めています。平成27年3月31日付の医政発0331第33号で通知されたもので、都道府県知事あての技術的助言という位置づけです。

    同じ日付で、養成施設の指定・監督権限が厚生労働大臣から都道府県知事に移っています。現在、養成施設を指導・監督しているのは都道府県です。ガイドラインは改正されるため、条件を細かく確認するときは参照した版と時点を意識しておきましょう。

    ガイドラインは教員に関する事項だけでなく、学則・生徒・授業・実習・校舎・財政・事務まで幅広く定めています。教員として働くうえで日々関わることになるルールが、ここにまとまっています。

    専任教員に求められる要件

    人数の基準は指定規則で決まっています。教員のうち6人以上が専任教員であることが求められ、1学年に30人を超える定員がある場合は、超える数が30人を増すごとに1人加えた数になります。

    1学年の定員別に必要な専任教員数

    02人4人6人8人10人
    定員30人まで
    6人
    定員60人まで
    7人
    定員90人まで
    8人
    定員120人まで
    9人

    開設直後は緩和があり、設置年度は4人、その翌年度は5人まで認められます

    そのうえでガイドラインが、専任教員の働き方を次のように定めています。

    • 教員は1つの養成施設に限り専任教員となる
    • 専任教員は専らその養成施設における養成に従事する
    • 専任教員のうち少なくとも2人は、柔道整復の教育に関し5年以上の経験を有する者とする
    • 柔道整復師である教員を2人以上専任とする
    • 専任教員は臨床実習施設において臨床に携わることにより、臨床能力の向上に努める
    • 臨床実習を行う場合は、専任教員のうち実習調整者を1名以上配置する

    専任教員は複数の養成施設を掛け持ちできません。また「柔道整復の教育に関し5年以上の経験」は、施術の実務経験ではなく教える側としての経験を指します。専科教員の認定を取った直後にこの枠へ入れるわけではないため、まずは一般の教員として経験を積む形が想定されています。

    担当科目によって求められるもの

    担当する教育内容によって、求められる資格は変わります。基礎分野(科学的思考の基盤・人間と生活)は、担当科目を含む分野を専攻する大学の教員か、担当科目について高等学校の相当教科の免許状を有する者が対象です。専科教員の認定だけで基礎分野を担当することはできません。

    分野別に見る「教授できる者」の違い

    分野教授できる者専科教員による担当
    基礎分野 担当科目を含む分野を専攻する大学の教員、または担当科目について高等学校の相当教科の免許状を有する者 不可(専科教員の認定のみでは担当できない)
    専門基礎分野 医師、特別支援学校の理療の教科の普通免許状を有する者、専科教員 一部可(「柔道整復術の適応」は範囲外。医学史・関係法規・柔道は担当範囲)
    専門分野 医師、専科教員 可(基礎柔道整復学・臨床柔道整復学・柔道整復実技のすべて)

    柔道の実技については、「保健医療福祉と柔道整復の理念」に含まれる形で専科教員の教授範囲に入っています。段位などの条件は指定規則にもガイドラインにも定めがないため、学校ごとの判断になります。

    柔道の授業を担当する可能性がある場合は、求められる経験や段位を募集の段階で確認しておきましょう。

    参考:厚生労働省「柔道整復師養成施設指導ガイドラインについて」

    編集部からのアドバイス
    • 認定を取ってから探すのではなく、通える範囲の養成施設を先に洗い出しておくと動きやすくなります
    • 専任の枠が空くのを待つ間、非常勤講師として関わり続ける進み方もあります
    • 学校見学や研修で現役の教員と接点を作っておくと、実際の業務量がつかめます
    キャリアパートナー

    教員の仕事内容

    ファイルを手に笑顔で学ぶ柔道整復師の学生

    教員の業務は授業だけではありません。実技指導、国家試験に向けた指導、臨床実習の調整、学校運営に関わる事務まで含まれます。認定を取ることが目的にならないよう、実際に担う仕事を具体的に見ておきましょう。

    授業と実技指導

    授業時間の目安は、指導ガイドラインに示されています。1教員の1週間当たりの授業時間数は15時間を標準とすることとされており、上限ではなく標準として置かれている数字です。

    教員1人あたりの週の授業時間

    15時間 / 週
    標準(上限ではない)
    指導ガイドラインが定める1週間当たりの授業時間数

    実技は実習室で行われます。ガイドラインは、生徒数人を一組として実習を行えるよう机と椅子が配置されていることを求めています。包帯固定や整復の実技は少人数を見ながら進める形になるため、講義とは体力の使い方が変わります。

    出勤状況が確実に記録されていること、教員が欠勤した場合は可能な限り振替授業を行い休講を最小限にとどめることも定められています。急な休みが取りにくい環境である点は、臨床との働き方の違いとして意識しておきたいところです。

    国家試験に向けた指導

    養成施設は卒業の判定に当たり、実技能力の審査を適正に行い、その結果を記録・保存することが求められています。ガイドラインでは、公益財団法人柔道整復研修試験財団が実施する認定実技審査制度などによる審査が例示されています。

    学科面では国家試験対策が中心になります。柔道整復師国家試験は筆記試験で行われ、出題科目は11科目にわたります。担当科目の授業に加えて、模擬試験や補講といった形で関わることになります。

    柔道整復師国家試験 出題11科目
    01解剖学
    02生理学
    03運動学
    04病理学概論
    05衛生学公衆衛生学
    06一般臨床医学
    07外科学概論
    08整形外科学
    09リハビリテーション医学
    10柔道整復理論
    11関係法規

    生徒の出席状況を確実に把握し、出席状況の不良な者については進級または卒業を認めないという運用もガイドラインに定められています。合格に導く指導と、基準を守る管理の両方が求められる立場です。

    臨床実習に関わる業務

    臨床実習は4単位で、1単位を45時間の実習をもって構成します。養成施設が施術所や医療機関で実習を行う場合は、専任教員のうち実習調整者を1名以上配置して進捗管理を行うことになっています。

    実習先となる施術所には、ガイドラインが具体的な要件を置いています。

    実習先の施術所に求められる要件
    開業実績
    5年以上の開業実績があること
    指導者の配置
    教員の資格を有する柔道整復師、または5年以上実務に従事した後に柔道整復師臨床実習指導者講習会を修了した柔道整復師が臨床実習指導者として配置されていること
    受診者数
    過去1年間の施術日の平均受診者数が20名以上であること
    同意の取得
    患者さんに対して臨床実習を行うことを文書により同意を得ること

    実習先の確保と要件の確認、学生の配置と巡回、実習記録の管理までが業務に含まれます。機能訓練指導員を配置する介護施設等での実習は1単位を超えない範囲に限られるなど、単位の内訳にも制約があります。現場とのつながりが業務に直結するため、臨床経験と人脈が活きる場面でもあります。

    学校運営に関する業務

    ガイドラインは、養成施設が備えるべき表簿を具体的に挙げています。学則や学校日誌、職員の名簿と履歴書、学籍簿、出席簿、健康診断に関する表簿、成績考査に関する表簿などです。保存期間も定められています。

    表簿の保存期間比較

    05年10年15年20年
    学籍簿
    20年
    その他の表簿
    5年

    学生募集に関わる業務もあります。広告や募集行為は、設置計画書や指定申請書が受理された後に、申請中であることを明示したうえで開始できるとされています。オープンキャンパスや説明会に教員が関わる学校も多く、授業期間外の業務として時間を取られることがあります。

    このほか健康診断の実施など保健衛生上の措置、会議や書類作成も日常業務に含まれます。臨床の現場と比べて、記録と管理の比重が大きい点は押さえておきましょう。

    参考:厚生労働省「柔道整復師国家試験の施行」

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    働き方と収入

    給与袋とパソコンと電卓が並ぶ机

    教員の働き方は、専任か非常勤かで大きく変わります。ここでは雇用形態ごとの違いと、確認できる範囲の収入の数字、そして1年のなかで業務量が動く時期を整理します。

    雇用形態

    雇用形態は専任と非常勤に分かれます。専任教員は1つの養成施設に限って専任となり、専らその養成施設における養成に従事するとされているため、他校との掛け持ちや他に常勤の職を持つことは想定されていません。担当科目の授業だけでなく、実習調整者や学級担任といった役割を担うこともあります。

    非常勤講師は担当科目のみを受け持つ形です。臨床を続けながら週に数コマだけ教えるという働き方は、この形が中心になります。専任か非常勤かで、業務範囲も待遇も大きく変わります。募集を見るときは、まずこの区分を確認しましょう。

    専任教員と非常勤講師の違い

    専任教員
    掛け持ち
    1つの養成施設に限られ、他校との掛け持ちや常勤の他職との兼務は想定されていない
    業務範囲
    担当科目の授業に加え、実習調整者や学級担任などの役割も担う
    働き方
    その養成施設における養成に専ら従事する
    非常勤講師
    掛け持ち
    「1つの養成施設に限る」という定めの対象は専任教員で、非常勤は対象外
    業務範囲
    担当科目の授業のみを受け持つ
    働き方
    臨床を続けながら週に数コマだけ教える形が中心

    なお学校の長については、他に常勤の職を有する者でないこととされつつ、大学の非常勤の講師等との兼務は差し支えないとガイドラインに明記されています。

    収入の考え方

    柔道整復師の賃金は、厚生労働省の賃金構造基本統計調査をもとにした職業情報提供サイト(job tag)で確認できます。柔道整復師全体の平均年収はおおむね400万円台です。

    ただし養成施設の教員という区分での集計はありません。学校の設置形態、専任か非常勤か、担当コマ数、役職によって条件は変わるため、実際の金額は募集要項で確認するのが確実です。出典の示されていない「教員の年収」の数字を基準にしないほうが安全です。

    臨床に残る場合の水準を知っておくと、比較の軸になります。医療キャリアナビ掲載求人データ(2026年時点)で柔道整復師の月給中央値を職場タイプ別に見ると、次のとおりです。

    柔道整復師の月給中央値(職場タイプ別)
    010万円20万円30万円
    整骨院・接骨院
    271,500円
    クリニック
    250,000円
    デイケア・デイサービス
    250,000円
    特別養護老人ホーム
    249,400円
    全体
    265,000円
    医療キャリアナビ掲載求人データ(2026年時点)/正社員求人の月給中央値

    臨床との兼務

    指導ガイドラインは、専任教員について「臨床実習施設において臨床に携わることにより、臨床能力の向上に努めるものとする」と定めています。教員になったら臨床から完全に離れる、という前提の制度ではありません。

    一方で専任教員には前述の「専ら養成に従事する」という条件がかかるため、外部の施術所で勤務を続けられるかどうかは学校の規定によります。自分で接骨院を開設している場合は特に扱いが分かれるので、応募の段階で確認が必要です。附属の臨床実習施設を持つ学校であれば、そこで臨床に関わる形が取りやすくなります。

    勤務時間と繁忙の時期

    授業時間数の標準は前述のとおり1週間当たり15時間で、これに授業準備、実習の調整、会議、書類作成が加わります。

    業務量は時期によって大きく変動します。

    教員の年間の繁忙期の推移

    授業期間中
    コマが詰まる時期
    担当コマに加えて、授業準備・実習の調整・会議・書類作成が重なります。
    定期試験の前後
    問題作成と採点が重なる時期
    試験問題の作成業務と、採点業務が同時に発生します。
    入試の時期
    選考業務が加わる時期
    通常の授業・校務に加えて、入学者選考の業務が発生します。
    国家試験前
    対策指導の比重が上がる時期
    在校生に対する国家試験対策の比重が高まります。
    年度末〜年度初め
    判定・選考が集中する最繁忙期
    卒業判定、進級判定、入学者の選考が集中します。

    夜間課程がある学校では、夜間(午後6時以降)の授業の時間は1日に4時間以内と定められています。昼間課程では実習などやむを得ない場合を除き昼間に授業を行うため、自分が担当するのが昼間課程か夜間課程かで生活リズムが変わります。

    参考:厚生労働省「職業情報提供サイト(job tag)柔道整復師」 / 厚生労働省「賃金構造基本統計調査」

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    教員に応募する前に確認しておきたいこと

    求人票とペンが置かれた机

    専科教員の認定には、受講試験から修了まで1年近い時間と20万円を超える費用がかかります。取得に動く前に、その先の募集がどれくらいの規模で、どこに出るのかを把握しておきましょう。

    養成施設の数は限られる

    規模感がつかめる数字があります。公益財団法人柔道整復研修試験財団の資料によると、令和7年度の認定実技審査は85施設で実施され、受審者は2,808人でした。認定実技審査は養成施設が卒業の判定に用いる審査なので、この施設数がおおよその養成施設の規模を示しています。

    85施設
    認定実技審査の実施施設数(令和7年度)
    2,808人
    同審査の受審者数(令和7年度)
    80名
    専科教員認定講習会の定員(東京40名・大阪40名)

    前述のとおり1校に必要な専任教員は6人以上なので、全国の専任教員のポスト自体がそもそも多くありません。学校数が限られている以上、専任教員の募集が常時出ているわけではありません。欠員が出たタイミングで単発に出る、と考えておくのが実態に近いです。

    一方で、認定を持つ人が急増する構造にもなっていません。講習会の定員は年80名で、しかも会場は東京と大阪の2か所だけです。つまり募集も候補者も少ないまま推移するため、情報が回ってきたときに動けるかどうかで差がつきます。

    情報の入手先

    教員の募集は、一般の求人サイトにまとまって出るとは限りません。次のような経路を押さえておきましょう。

    教員募集の情報を得る4つの経路

    公式サイト
    養成施設の採用情報ページ
    各養成施設のウェブサイトに掲載される採用情報を定期的に確認する。
    検索システム
    全国柔道整復学校協会の学校検索
    養成学校検索を使い、通える範囲にある学校をあらかじめ洗い出しておく。
    人脈
    母校・恩師とのつながり
    母校の恩師や、臨床実習で関わった学校とのつながりを頼る。
    紹介
    実習先の学校からの紹介
    自分が実習指導者として関わっている場合、実習先の学校から紹介を受けることがある。

    募集を見つけたら、条件面を具体的に確認します。担当する教育内容が専門分野か専門基礎分野か、専任か非常勤か、実習調整者などの役割を任される可能性があるか、臨床との兼務が認められるか、そして受講対象Bで認定を受けた場合の修了認定の時期が採用時期に間に合うか。

    このあたりは学校ごとに扱いが違うため、募集要項の文面だけで判断せず直接たずねるのが確実です。

    参考:公益財団法人柔道整復研修試験財団「認定実技審査制度」 / 公益社団法人全国柔道整復学校協会「養成学校を探す」

    まとめ

    柔道整復師が教員として働く道は、養成施設・大学の2つに分かれ、それぞれ別の制度で資格が決まっています。養成施設の教員を目指すなら、柔道整復師免許を取得してから5年以上の実務経験を積み、厚生労働大臣の指定した教員講習会、つまり専科教員認定講習会を修了するのが基本ルートです。

    講習会は毎年5月の受講試験から始まり、6月から10月の土日祝に全228時間をかけて行われます。所定時間数の5分の4以上の出席が修了試験の受験要件です。

    そして認定を受けることと、学校に配置されることは別です。養成施設には専任教員6人以上という人数の基準があり、専任は1校に限って専ら養成に従事することが求められます。

    まずは自分が目指したいのがどの教員なのかを決め、実務経験の年数を確認するところから始めてみましょう。母校や実習先とのつながりを保っておくことが、募集を知るいちばん近い経路になります。

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    医療キャリアナビ編集部

    医療キャリアナビ編集部

    記事の執筆・編集は、医療業界に精通した編集スタッフが担当しています。日々の転職支援業務で得た現場のリアルな情報と、厚生労働省をはじめとする公的機関のデータに基づき、信頼性の高いコンテンツをお届けしています。

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