女性鍼灸師の年収はどれくらい?男女差の要因と働き方別の実態
女性鍼灸師の年収がどれくらいか知っていますか?
収入面で自分の働き方を変えようと思っても、自分の年収が平均的なのか、そうじゃないのかが分からないと転職活動もうまくいきません。
この記事では、公的統計で確認できる数字を整理したうえで、男女差を雇用形態・労働時間・勤続年数・分野の4つに分解します。あわせて、働き方別の収入の決まり方、出産や育児を挟んでも続けられる働き方、求人情報に並ぶ高年収の数字の読み方までまとめました。
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女性鍼灸師の年収の実態

鍼灸師の収入を示す公的な数字はあります。ただ、その数字が女性のみのデータなのか、全鍼灸師のデータなのかは把握しておきたいところです。
公的統計で確認できること
厚生労働省の賃金構造基本統計調査には、はり師・きゅう師だけを取り出した職種区分がありません。あん摩マッサージ指圧師や柔道整復師などとまとめられた「その他の保健医療従事者」という区分で集計されています。
鍼灸師単独の平均年収を示した公的統計は、現時点では公表されていません。
令和7年調査(企業規模10人以上・一般労働者)でこの区分を見ると、きまって支給する現金給与額は月31万8,600円、年間賞与その他特別給与額は71万8,300円でした。月額の12か月分に賞与を足した推計年収は約454万円です。集計対象は7万6,920人、平均年齢37.6歳、平均勤続年数8.4年でした。
母数の規模としては、令和6年末時点で就業しているはり師が13万6,736人、きゅう師が13万4,730人です。
- はり師・きゅう師のほか、あん摩マッサージ指圧師・柔道整復師なども同じ区分に含まれる
- 企業規模10人以上の事業所が対象。小規模な治療院や個人開業は入っていない
- パート・アルバイトなどの短時間労働者は別集計で、この平均には含まれない
「その他の保健医療従事者」区分の内訳
男女で差があるとされる数字
同じ調査を男女別に見ると、推計年収は男性が約489万円、女性が約399万円でした。差は約90万円、女性は男性の約82%にあたります。
差の中身を分けると、きまって支給する現金給与額の差が月5万9,500円(12か月で約71万円)、年間賞与の差が約19万円です。年収差のおよそ8割は、賞与ではなく毎月の給与から生まれています。
一方、平均年齢は女性38.1歳・男性37.2歳で、女性のほうがわずかに高いという結果でした。「女性のほうが若いから平均が低い」というわけではないようです。
推計年収の男女差 約90万円の内訳
数字を読む際の注意点
- 平均値であり中央値ではない。高い人が少数いると平均は上に引っ張られる
- 集計対象は雇用されている一般労働者。開業している人の所得は含まれない
- はり師・きゅう師以外の資格職と合算された区分の数字である
- 標本調査のため、細かく区切るほど年による振れ幅が大きくなる
求人サイトが独自に集計した平均額や、個別の治療院が採用情報に掲げる金額は、これらとは母集団も算出方法も別のものです。同じ「平均年収」という言葉でも中身が違うため、並べて比べても意味がありません。
参考:e-Stat「賃金構造基本統計調査 1 職種(小分類)別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)」 / 厚生労働省「令和6年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況」
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男女で差が生じる要因

約90万円という差は、性別そのものより先に確認すべき構造的な要因が重なってできています。雇用形態・労働時間・勤続年数と役職・働く分野の4つに分けると、自分で動かせる部分とそうでない部分が分かれます。
雇用形態の違い
前章の平均年収は「一般労働者」、つまりフルタイムで働く人だけを集計したものです。短時間労働者は別の表にまとめられています。
令和7年調査の同じ区分で短時間労働者を見ると、男性2,740人に対し女性1万2,910人でした。一般労働者と合わせた人数に占める短時間労働者の割合は、男性が約6%、女性が約30%です。女性のおよそ3人に1人は短時間勤務で、そもそも平均年収の計算に入っていません。
さらに、短時間労働者の1時間当たり所定内給与額も男性1,780円・女性1,523円と開きがあります。雇用形態の構成比が男女で違えば、平均額の差はその分だけ大きく出ます。
一般労働者と短時間労働者を合わせた人数に占める短時間労働者の割合
労働時間の違い
同じ一般労働者どうしでも、働いている時間に差があります。月の所定内実労働時間は男性160時間・女性156時間、超過実労働時間は男性9時間・女性6時間。合計すると男性169時間・女性162時間で、月7時間ほどの差です。
ただ、この差だけでは90万円は説明できません。所定内給与額を所定内実労働時間で割ると、男性が約1,961円、女性が約1,702円になります。労働時間をそろえても、時間あたりで約13%の差が残る計算です。
残業時間の差は、そのまま残業代の差になります。夜間帯の営業が多い治療院では、この部分が月々の手取りに効いてきます。
勤続年数と役職の違い
平均勤続年数は男性8.7年・女性8.0年。差は0.7年で、これも年収差を説明するには小さすぎます。
構図がはっきりするのは年齢階級別に見たときです。推計年収の男女差は、20代前半で約12万円、20代後半で約18万円、30代前半で約29万円と小さく収まっています。ところが30代後半で男性約532万円・女性約402万円となり、差は約131万円に広がります。
同じ30代後半の集計人数は、男性7,970人に対し女性2,830人です。女性は20代前半の5,260人から半分近くまで減っています。フルタイムで働き続ける人が減る時期と、年収差が開く時期が重なっている形です。
年代別 男女の推計年収差
なお、店長や分院長といった役職に就いている人の男女比を示した統計は、鍼灸の分野にはありません。役職手当の有無が差に効いている可能性はありますが、数字で裏づけることはできません。
働く分野の違い
同じ鍼灸師の免許でも、働く場によって収入の決まり方が変わります。自費施術中心の美容鍼灸やリラクゼーション寄りの職場は単価を設定できる一方、集客が収入を左右します。療養費や訪問を扱う職場は単価が制度で決まっており、件数が収入を決めます。
男女でどの分野に何人いるかを示した公的統計はありません。分野ごとの構成比が違えば平均額にも表れますが、そこは数字で確認できない部分だと理解しておきましょう。
参考:e-Stat「賃金構造基本統計調査 7 職種(特掲)、性、年齢階級別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)」 / e-Stat「賃金構造基本統計調査 1 短時間労働者の職種(小分類)別1時間当たり所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)」
働き方別の収入

働き方が変われば、収入の決まり方そのものが変わります。ここでは4つの働き方について、収入がどう決まるか・何で変動するか・入る前に何を確認するかを同じ順で整理します。
治療院に勤務する場合
固定給に、指名料・売上歩合・物販のインセンティブが乗る形が一般的です。医療キャリアナビ掲載求人データ(2026年時点)では、正社員の月給中央値は整骨院・接骨院が27万1,500円、鍼灸院が28万5,250円、訪問マッサージが28万円でした。インセンティブありの求人は全体の23%です。
変動するのは歩合部分です。指名数、施術単価、稼働シフトで月ごとに動きます。入職前に確認しておきたいのは、固定給がいくらか、歩合の算定基礎が売上か粗利か、賞与があるか(賞与ありの求人は62%)の3点です。
- 鍼灸師の求人2,814件のうち、正社員2,288件・パート・アルバイト525件
- 正社員の月給中央値は27万917円
- 求人数が多いのは東京都1,037件・神奈川県483件・大阪府469件
病院・クリニックに勤務する場合
固定給中心で、歩合が乗らない設計が多くなります。求人データでは、クリニックの正社員月給中央値は25万円、デイケア・デイサービスも25万円でした。件数に左右されにくい代わりに、月の上振れも起きにくい形です。
確認しておきたいのは、鍼灸師としての採用なのか、別の役割での採用なのかという点です。デイサービスなどでは機能訓練指導員として募集されることもあり、担当業務も評価の軸も変わります。
開業する場合
開業した人の収入を語るとき、売上と手元に残る所得はまったく別のものです。売上から家賃・水道光熱費・材料費・広告費・保険料などの経費を引いたものが事業所得で、そこからさらに所得税・住民税・国民健康保険料・国民年金保険料を納めます。
「開業すれば年収1,000万円」といった表現を見かけたときは、それが売上なのか所得なのかを見分けましょう。売上1,000万円と所得1,000万円では、意味する働き方がまるで違います。
開業後の収益構造フロー
※経費率・税率は立地や所得水準によって変わる
業務委託・フリーランスの場合
業務委託は雇用契約ではないため、労働基準法の労働時間・休憩・年次有給休暇といった規定が適用されません。社会保険も勤務先の健康保険・厚生年金ではなく、国民健康保険と国民年金の第1号被保険者になります。
労災保険については、令和4年4月1日から、あん摩マッサージ指圧師・はり師・きゅう師も特別加入の対象に加わりました。自動で加入するものではなく、自分で手続きが必要です。
国民年金の第1号被保険者には、出産前後の一定期間の保険料が免除される産前産後免除制度があります。さらに令和8年10月からは、子が1歳になるまでの国民年金保険料が所得に関係なく免除される育児免除制度が始まります。いずれも免除された期間は保険料を納付したものとして老齢基礎年金の額に反映されます。
なお、契約書の名前が業務委託でも、働き方の実態が指揮命令を受ける労働に当たる場合は、労働者として扱われることがあります。判断に迷うときは労働基準監督署に相談してみましょう。
業務委託にかかわる制度の変化
参考:厚生労働省「令和4年4月1日から労災保険の「特別加入」の対象が広がりました」 / 日本年金機構「令和8年(2026年)10月から国民年金保険料の育児免除制度が始まります!」
女性が多い分野の実情

女性の鍼灸師が多いとされる分野は、収入の決まり方がそれぞれ異なります。分野名だけで判断せず、何が単価を決め、何が件数を決めるのかまで見ておきましょう。
美容鍼灸
自費施術が中心のため、単価は自分側で設定できます。その代わり、収入は集客力にほぼ比例します。固定の患者さんがつくまでの期間をどう乗り切るかが、最初の課題になります。
押さえておきたいのは広告の制限です。はり師・きゅう師が広告できる事項は、あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律の第7条で限定されています。施術者の氏名・住所、業務の種類、施術所の名称・電話番号・所在地、施術日や施術時間などが対象で、技能・施術方法・経歴にわたる内容は広告できません。効果をうたって集客する形は取れない前提で、収入の組み立てを考える必要があります。
なお「美容鍼灸師」という国家資格はありません。はり師の免許で行う施術の一分野を指す呼び方です。
- 施術者の氏名・住所
- 業務の種類
- 施術所の名称・電話番号・所在地
- 施術日・施術時間
- 技能に関する内容
- 施術方法に関する内容
- 経歴に関する内容
女性の健康に関わる領域
産前産後の不調や月経に伴う不調など、女性の体調に関わる相談を受ける場面です。同性の施術者を希望する患者さんが一定数いるため、需要が生まれやすい領域といえます。
一方で、はり師・きゅう師は診断を行える資格ではありません。医療機関の受診が必要な状態を見極め、必要なときは受診をすすめる判断が求められます。産婦人科などとの連携がある職場かどうかは、働き方を選ぶ際の判断材料になります。
訪問・高齢者領域
はり・きゅうの施術で療養費の支給を受けるには、医師の同意書が必要です。対象となるのは神経痛・リウマチ・頸腕症候群・五十肩・腰痛症・頸椎捻挫後遺症の6疾病で、同意書による支給可能期間は6か月とされています。
単価が制度で決まるぶん、収入は訪問件数と移動効率で決まります。求人データでは訪問マッサージの求人は415件あり、正社員月給中央値は28万円でした。移動時間が勤務時間として扱われるかどうかは、実質的な時給に直結します。
参考:e-Gov法令検索「あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律」 / 厚生労働省「はり、きゅう及びあん摩マッサージ指圧の同意書の取扱い(保険医療機関及び保険医の皆様へ)」
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ライフイベントと両立する働き方

30代後半で男女差が広がるという結果は、裏を返せば、この時期に働き方をどう保てるかが長期の収入を左右するということでもあります。制度上どこまで認められているのかを、根拠ごとに分けて確認しましょう。
産休・育休の取得
産前産後休業は労働基準法第65条の制度です。6週間(多胎妊娠は14週間)以内に出産予定の女性が請求した場合、使用者はその人を就業させてはなりません。産後8週間は原則として就業が禁止され、産後6週間を経過した後に本人が請求し、医師が支障ないと認めた業務に就くことだけが認められています。この制度に勤続期間の要件はありません。入職して間もない人も対象です。
育児休業は根拠法が別で、育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律に基づきます。事業主は原則として申出を拒めませんが、労使協定を結んでいる場合、引き続き雇用された期間が1年に満たない労働者を対象から外すことができます(第6条第1項ただし書)。転職直後に妊娠した場合、産休は取れても育休は取れないという事態が起こり得ます。
このほか、生後満1年に達しない子を育てる女性は、休憩時間とは別に1日2回各30分の育児時間を請求できます(労働基準法第67条)。妊産婦が請求した場合、時間外労働・休日労働・深夜業をさせることもできません(第66条)。施術時間が夜まで伸びやすい治療院では、この請求権を知っているかどうかで負担が変わります。
制度は改正されるため、実際に取得を考える段階では最新の内容を確認しましょう。
産前産後休業 と 育児休業 の違い
| 項目 | 産前産後休業 | 育児休業 |
|---|---|---|
| 根拠法 | 労働基準法第65条 | 育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律 |
| 勤続期間の要件 | なし | 原則なし(拒否できない) |
| 除外できる場合 | 制度上、除外規定はない | 労使協定があれば、引き続き雇用された期間が1年に満たない労働者を対象外にできる(第6条第1項ただし書) |
| 入職直後の扱い | 請求すれば取得できる | 労使協定次第で取得できないことがある |
時短勤務・パートという選択
求人データを条件別に数えると、時短勤務OKが131件(5%)、週1日勤務OKが48件(2%)、ブランクOKが91件(3%)、託児所・保育所完備が33件(1%)でした。雇用形態ではパート・アルバイトが525件あります。
条件を重ねるほど候補は急速に減ります。復帰の時期が決まっているなら、探し始める時期を早めに取っておくほうが選びやすくなります。
収入面では、短時間勤務にすれば総額は下がります。ただ、判断するときは総額ではなく時間あたりで比べてみてください。前述のとおり短時間労働者と一般労働者では時間あたりの単価そのものが違うため、同じ職場で時間だけ短くするのか、雇用形態ごと変えるのかで結果が変わります。
開業という選択の柔軟性と負担
開業すれば、働く時間も休む日も自分で決められます。子どもの予定に合わせて予約枠を組めるのは、雇用されている働き方にはない自由度です。
反面、休めばその分だけ収入が途絶えます。産前産後休業も年次有給休暇も、雇用されている人のための制度で、開業者には適用されません。社会保険も国民健康保険・国民年金になります(前述の国民年金保険料の免除制度は使えます)。
固定費は営業していなくても発生します。家賃や設備のリース料は、休んでいる月も出ていく費用です。出産・育児で稼働を落とす可能性があるなら、その期間の固定費をどう賄うかまで含めて考えておきたいところです。
復帰しやすい環境の見極め方
制度があるかどうかと、実際に使えているかどうかは別です。面接や見学の場で、次の点を確認しておくと判断しやすくなります。
- 就業規則があり、産前産後休業・育児休業の規定が明記されているか
- 育児休業について労使協定を結んでいるか、1年未満の除外規定があるか
- 直近数年で産休・育休を取得して復帰した人がいるか
- 復帰後の勤務時間やシフトを調整できるか、実例があるか
- 休んだ人の担当をどう引き継ぐ運用になっているか
- 産休は入職直後でも取得できる。育休は労使協定の内容で変わる
- 転職の時期を決める前に、応募先の労使協定の有無を聞いておく
- 「制度がある」より「取得して復帰した人がいる」を確認する
参考:厚生労働省「働く女性の母性健康管理措置、母性保護規定について」 / e-Gov法令検索「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」
収入を上げるための選択肢

動かせる側の選択肢は、大きく4つに整理できます。どれも効き方と負担の大きさが違うため、自分の状況に合うものから手をつけるのが現実的です。
勤務先の条件を確認して選ぶ
同じ月給でも、条件の組み合わせで年間の手取りは変わります。求人データで整備状況を見ると、社会保険完備が96%、賞与・ボーナスありが62%、完全週休2日が23%、退職金制度ありが15%でした。社会保険はほぼ整っている一方、休日と退職金は職場によって差が出やすい項目です。
賞与がない代わりに月給が高い求人もあります。月給だけで比べず、賞与・手当・休日数まで含めた年間ベースで並べてみましょう。
担当できる施術の幅を広げる
あん摩マッサージ指圧師や柔道整復師は、はり師・きゅう師とは別の国家資格です。取得すれば扱える施術や配置できる職場は広がりますが、養成課程に年単位の時間と学費がかかります。手軽な収入アップ策として並べられるものではありません。
令和7年度(第34回)の国家試験合格率は、はり師が67.2%、きゅう師が70.5%、あん摩マッサージ指圧師が85.0%でした。働きながら通える養成施設かどうかも含めて検討したいところです。
役割や役職を担う
店長・分院長・エリアマネージャーといった役割に就けば、役職手当が加わります。施術以外の業務が増える分、勤務時間や責任の範囲も変わります。
前述のとおり、この分野で役職者の男女比を示した統計はありません。だからこそ、その職場で女性が役職に就いた実例があるかどうかを個別に確認する意味があります。
働き方を変える
勤務から業務委託へ、あるいは開業へ移る選択です。療養費を扱う施術所の管理者になるには要件があり、実務経験1年以上と、合計16時間・2日間以上の施術管理者研修の修了が求められます(令和3年1月1日から適用)。研修修了証の有効期間は修了年月日から5年間です。
開業を視野に入れるなら、この要件を満たすまでの期間を逆算して、勤務先を選ぶ段階から実務経験を積み上げておくと動きやすくなります。
施術管理者になるまでの道のり
※令和3年1月1日から適用
参考:厚生労働省「はり師、きゅう師及びあん摩・マッサージ・指圧師の施術に係る療養費の改定等について」 / 公益財団法人東洋療法研修試験財団「過去の受験者数・合格者数」
求人や事例の数字をどう読むか

治療院の採用情報に示される年収
採用情報に載る金額は、その施設で働く人の数字であり、採用を目的として示されたものです。業界全体の平均と同じ土俵で比べるものではありません。
見るべきは金額そのものより、その金額の条件です。
- 平均額なのか、最高額なのか、モデルケースなのか
- その金額に到達している人が何人いるのか
- 歩合や手当を含めた額なのか、固定給だけの額なのか
- 何年目・どの役職の数字なのか
- 正社員の数字か、業務委託の報酬か
なお、採用される際には、賃金の決定・計算・支払の方法や、賃金の締切り・支払の時期を書面で明示してもらえます。これは労働基準法で定められた明示事項です。
採用情報の数字と、実際に明示された労働条件がそろっているかを突き合わせましょう。
歩合制の場合の見方
歩合制でも、賃金がゼロに近くなる設計は認められていません。労働基準法第27条は、出来高払制その他の請負制で使用する労働者について、使用者は労働時間に応じ一定額の賃金を保障しなければならないと定めています。保障給がいくらに設定されているかは、必ず確認しておきたい項目です。
そのうえで、歩合の設計を分解します。算定の基礎が売上なのか粗利なのか施術単価なのかで、同じ歩合率でも手取りは変わります。歩合の対象から材料費や広告費が控除される契約もあります。
提示された金額を1日の施術可能件数から逆算してみると、現実味が測れます。1日に何人を何分で施術すれば届く数字なのかを出せば、その働き方を続けられるかどうかも判断しやすくなります。
歩合制求人で確認したい3項目
確認しておきたい条件
年収額と一緒に確認しておきたい項目を挙げます。どれも、同じ月給の求人どうしで実質的な差を生む部分です。
- 所定労働時間と休憩時間、時間外労働の扱い
- 年間休日数と、シフトの決まり方
- 社会保険の加入の有無
- 研修・朝礼・掃除など施術以外の時間が勤務時間に含まれるか
- 訪問がある場合、移動時間が勤務時間に含まれるか
- 昇給の条件と、賞与の算定方法
参考:厚生労働省「採用時に労働条件を明示しなければならないと聞きました。具体的には何を明示すればよいのでしょうか。」 / e-Gov法令検索「労働基準法」
まとめ
鍼灸師単独の平均年収を示す公的統計はなく、参照できるのは他資格と合算された区分の数字です。その区分では推計年収に男女で約90万円の差があり、女性鍼灸師のおおよその年収は399万円でした。
短時間労働者の割合が女性で約30%・男性で約6%と大きく違うこと、時間あたりの単価にも差が残ること、そして30代後半で差が一気に広がることが、数字から読み取れる内容です。
裏を返せば、フルタイムで働き続けられる環境を保てるかどうかが、長期の収入を大きく左右するということでもあります。産前産後休業に勤続期間の要件はありませんが、育児休業は労使協定によって入職1年未満が除外されている場合があります。転職の時期を考えるときは、この違いを知っておくだけで選択肢が変わります。
まずは、いま見ている求人について、固定給と歩合の内訳、年間休日、育休の取得実績の3点を確認するところから始めてみましょう。


