作業療法士の給料は安い?統計の読み方と原因の特定方法
作業療法士の給料は安い、という話は現場でもネット上でもよく目にします。
作業療法士の平均年収は約443万円という調査結果が出ていますが。この数字は信憑性のあるものなのでしょうか?
この記事では、まず公的統計の数字の正体を押さえ、そのうえで給料が安いと言われる構造的な理由、職場ごとの水準の傾向、自分の給料が低い原因を切り分ける手順までを整理します。
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作業療法士の給料は本当に安い?

作業療法士の給料をめぐる数字は、公的統計と求人サイトの集計値という性質のまったく違う2種類が混ざったまま流通しています。
公的統計で確認できること
厚生労働省の賃金構造基本統計調査には、作業療法士の賃金が含まれています。ただし職種区分は「理学療法士,作業療法士,言語聴覚士,視能訓練士」の4職種をまとめたもので、作業療法士単独の平均年収を示す公的統計は存在しません。
令和7年(2025年)調査のこの区分(産業計・企業規模10人以上・一般労働者・男女計)は次の数値です。
- きまって支給する現金給与額 309,900円
- 所定内給与額 298,200円
- 年間賞与その他特別給与額 717,200円
きまって支給する現金給与額を12か月分として年間賞与を足すと、推計年収は約443万6千円になります。ネット上で「作業療法士の平均年収」として出回っている約443万円は、この4職種合算の数字です。
「443万円」はどの職種の数字か
この1つの区分に含まれる4職種
4職種を合算した推計年収
作業療法士単独の数字ではない
求人情報で確認できること
求人サイトの集計値は募集時点の提示額であり、実際に支給された額ではありません。医療キャリアナビ掲載求人データ(2026年時点)では、作業療法士の正社員求人3,925件の月給中央値は270,000円、平均は277,359円でした。
-
公的統計在職者に実際に支給された額。経験を積んだ層も含む
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求人の集計値募集時点の提示額。未経験向け・経験者向けの条件が混在
記事によって「作業療法士の平均年収」の額が食い違うのは、このどちらを出典にしているかの違いによるものです。
- 「平均年収◯◯万円」を見たら、何を集計した数字なのかを確認
- 求人の提示額と公的統計の実支給額は、足し引きせず別々に見るのが正解
- 他職種と比べるときは、データの平均年齢もチェック
比較する相手によって見方が変わる
全産業の所定内給与額は340,600円で、当該区分の298,200円との差は42,400円です。ただし全産業平均は平均年齢44.4歳・平均勤続年数12.7年、当該区分は36.2歳・8.4年と、条件がそろっていません。
年齢階級をそろえると見え方が変わります。20〜24歳では当該区分が246,100円、全産業が242,800円で、当該区分がわずかに上回ります。25〜29歳でも差は1万円程度です。差が開くのは年齢が上がってからで、40代以降で全産業との開きが大きくなります。
年齢階級別 所定内給与額(月額)の比較
つまり「作業療法士は全産業平均より安い」という表現は、年齢構成の違いを含んだまま比べた結果です。同世代と比べたときに低いのかどうかは、別の話になります。
参考:e-Stat「賃金構造基本統計調査 1 職種(小分類)別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)」 / e-Stat「賃金構造基本統計調査 5 職種(小分類)、年齢階級別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)」 / 厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査 結果の概況」
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「安い」と言われる理由

給料の決まり方は職種ごとに違う制約を受けます。作業療法士の場合、収入の伸びを抑えている要素は4つに分けて説明できます。
報酬の単価が制度で決まっている
リハビリテーションの費用は診療報酬の点数表で全国一律に定められています。脳血管疾患等リハビリテーション料(Ⅰ)は1単位245点、運動器リハビリテーション料(Ⅰ)は185点で、施設基準の区分が同じなら、どの医療機関で誰が実施しても単価は変わりません。1単位は20分です。
さらに提供量にも上限があります。疾患別リハビリテーション料は患者さん1人につき1日6単位まで(厚生労働大臣が定める患者さんは1日9単位まで)が原則です。算定日数にも上限があり、脳血管疾患等は発症から180日、心大血管疾患は治療開始から150日、廃用症候群は診断から120日を超えると、原則として1月13単位しか算定できなくなります。
疾患別リハビリテーション料の点数と算定日数上限
令和8年度現行・1単位20分
| リハビリテーション区分 | 1単位の点数(Ⅰ) | 算定日数の上限 |
|---|---|---|
| 脳血管疾患等 | 245点 | 発症・手術・急性増悪等から180日 |
| 心大血管疾患 | 205点 | 治療開始日から150日 |
| 運動器 | 185点 | 発症・手術・急性増悪等から150日 |
| 廃用症候群 | 180点 | 診断・急性増悪から120日 |
| 呼吸器 | 175点 | 治療開始日から90日 |
上限を超えた後は原則1月13単位まで
1人1日あたりの提供量は6単位まで(厚生労働大臣が定める患者は9単位まで)
単価が固定され提供量にも枠があるため、件数を増やしても収益が比例して伸びる構造になっていません。これが給与の原資を制約しています。
夜勤や当直の手当が発生しにくい
賃金構造基本統計調査では、きまって支給する現金給与額から所定内給与額を引いた差が、時間外・深夜・休日出勤・宿日直などに対する超過労働給与額に当たります。この差を職種で比べると、手当構成の違いがはっきり出ます。
当該4職種区分は309,900円から298,200円を引いた月11,700円、看護師は365,900円から333,200円を引いた月32,700円です。差は月21,000円、年間では約25万2千円になります。
超過労働給与額の内訳 比較
超過実労働時間数は当該区分が5時間、看護師が6時間で1時間しか違いません。それでも残業代の差が約2.8倍になるのは、夜勤や宿日直といった時間帯に対する手当が付くかどうかの違いによるものです。同じ基本給でも年収に差が出るのは、この部分の構成が違うためです。
昇給の幅が小さい
所定内給与額を年齢階級で追うと、当該区分は20〜24歳246,100円から50〜54歳363,700円まで上がり、ここがピークです。20代前半を100とすると147.8になります。
全産業では20〜24歳242,800円から55〜59歳396,200円まで上がり、指数は163.2に達します。出発点はほぼ同じでも、30年かけて伸びる幅が違います。
年功で自動的に上がる幅が小さいということは、同じ職場に長くいるだけでは収入が伸びにくいということでもあります。
30年間で給与は何倍に伸びるか
20〜24歳の所定内給与額を100とした指数
役職の数が限られている
病院で働く作業療法士は常勤換算で50,304.4人です(令和5年10月1日現在)。看護師の828,480.4人と比べると約16分の1で、病院数8,122施設で割ると1施設あたり平均約6人にとどまります。
病院で働く職種別 常勤換算従事者数(全国8,122施設)
| 職種 | 常勤換算従事者数 | 1施設あたり |
|---|---|---|
| 看護師 | 828,480.4人 | 約102人 |
| 理学療法士 | 88,925.5人 | 約11人 |
| 作業療法士 | 50,304.4人 | 約6人 |
| 言語聴覚士 | 17,703.1人 | 約2人 |
1施設あたりは常勤換算従事者数を病院数8,122施設で割った値(令和5年10月1日現在)
介護保険施設でも配置は少人数です。介護老人保健施設の人員基準は、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士を合わせて常勤換算で入所者数を100で割った数以上とされており、入所定員100人の施設で1人以上です。看護・介護職員が入所者3人につき1人以上と定められているのと比べると、部門の規模がまったく違います。
役職につけば給与は大きく変わりますが、部門の人数が少なければ、そのポストに就ける人も限られます。
参考:厚生労働省「診療報酬の算定方法」 / e-Stat「賃金構造基本統計調査 1 職種(小分類)別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)」 / e-Stat「賃金構造基本統計調査 5 職種(小分類)、年齢階級別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)」
作業療法士の求人を探す【職場別】給与水準の傾向

職場ごとの水準を、求人の提示額と、その水準になる制度上の理由、給与以外に変わることの3点で整理します。金額はいずれも医療キャリアナビ掲載求人データ(2026年時点)の正社員月給中央値で、在職者の実支給額とは一致しません。
医療機関
求人の月給中央値は病院250,250円(805件)、クリニック283,500円(521件)です。掲載求人の中では、病院が最も低い水準になっています。
在職者側のデータでは、第25回医療経済実態調査(令和7年実施)の一般病院で、「医療技術員」の給料年額と賞与の合計が約482万円でした。同じ病院の看護職員は約541万円、薬剤師は約581万円、事務職員は約438万円です。
ただしこの「医療技術員」は診療放射線技師・臨床検査技師・栄養士・理学療法士・作業療法士などをまとめた区分で、ここでも作業療法士単独の数字は取れません。
給与以外の面では、疾患別リハビリテーション料の施設基準が常勤の配置を求めているため、勤務時間が固定されやすい傾向があります。急性期では在院日数が短く、評価から退院支援までの回転が速くなります。
介護保険サービス
介護老人保健施設257,750円(504件)、デイケア・デイサービス260,000円(650件)、特別養護老人ホーム255,700円(269件)です。
介護報酬は施設の基本報酬に組み込まれているため、リハビリテーションの実施単位数がそのまま収益に比例しません。前述のとおり配置人数も少人数で、1人が広い範囲を担当する形になります。
給与以外では、生活期の関わりが中心になるため、同じ利用者さんと長期間向き合うことになります。介護職員・支援相談員・介護支援専門員との連携が業務の大きな部分を占めます。
訪問リハビリテーション
求人の月給中央値は300,000円(1,727件)で、掲載求人の中で最も高い水準です。病院との差は月49,750円、単純計算で年間約60万円になります。
訪問リハビリテーション費は1回につき308単位、訪問看護ステーションから理学療法士・作業療法士・言語聴覚士が訪問する場合は1回294単位です。訪問件数がそのまま事業所の収益に結び付くため、件数を担える人に手当や歩合を設ける事業所があります。
給与以外では、移動時間が業務に含まれ、生活の場そのものを評価対象にできる点も病院とは違います。
精神科領域
精神科作業療法は診療報酬で1日につき220点と定められています。施設基準は「作業療法士が適切に配置されていること」「十分な専用施設を有していること」で、作業療法士の名称が施設基準に直接書かれている領域です。
配置の実態にもこの位置づけが表れています。精神科病院では作業療法士の配置人数が理学療法士を大きく上回り、身体障害領域とは構成がまったく逆になっています。
給与以外では、1日単位の算定であるため、集団を対象にした関わりが中心になります。長期入院となっている患者さんの生活支援や、退院に向けた支援が業務の柱になります。
児童発達支援・放課後等デイサービス
児童発達支援264,050円(253件)、放課後等デイサービス255,000円(419件)です。
報酬上は、専門的支援体制加算と専門的支援実施加算の「理学療法士等」に作業療法士が含まれます。基準の人員に加えて作業療法士などを1人以上配置していれば体制加算の対象になり、計画的に個別・集中的な支援を実施すると専門的支援実施加算150単位を算定できます。
事業所側に作業療法士を置く動機がある一方、実施加算は1か月あたり4回または6回が上限で、配置1人から得られる収益の幅は限られます。
専門的支援体制加算・専門的支援実施加算までの流れ
給与以外では、保護者への助言が業務に含まれる点が大きな違いです。学校や園との連携も必要になります。
行政・公務員
自治体や国の機関に採用される場合、給与は民間のような個別の提示ではなく給料表(俸給表)の級と号俸で決まります。同じ級・同じ号俸なら職種が違っても額は同じで、昇給の時期や幅も規定に沿って動きます。
国家公務員の場合、人事院規則九―二で作業療法士は医療職俸給表(二)の適用対象と定められています。看護師は医療職俸給表(三)で、別の表が使われます。
給与以外では、異動があることが最大の違いです。病院だけでなく、保健所やリハビリテーションセンター、特別支援学校など配属先の幅が広くなります。
参考:厚生労働省「第25回医療経済実態調査の報告(令和7年実施)」 / 厚生労働省「特掲診療料の施設基準等」 / 厚生労働省「指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準」
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自分の給料が低い原因を特定する

「作業療法士だから安い」のか「今の職場だから安い」のかは、職種全体の統計を見ていても分かりません。給与明細を基本給・手当・賞与の3つに分解し、どこが平均から離れているかを確認すると、転職で解決する問題なのかどうかが判断できます。
給与明細から原因を切り分けるフロー
基本給の水準を確認する
比較対象は所定内給与額です。残業代や夜勤手当を除いた額なので、明細の基本給と毎月固定で付く手当を合わせた額と照らし合わせます。当該4職種区分の年齢計は298,200円ですが、全体の平均ではなく自分の年齢帯の数値と比べることが大切です。
たとえば30〜34歳なら288,200円、35〜39歳なら305,800円が目安になります。ここから大きく下回っていれば職場側の要因が疑われ、近い水準なら職種全体の構造の話になります。
手当を全部足した支給総額と所定内給与額を比べると必ず高く見えるので、比べる範囲をそろえるのがポイントです。
手当の有無を確認する
当該区分の超過労働給与額は月11,700円が平均です。実際の時間外勤務や休日出勤に対してこれを大きく下回っているなら、手当の付け方に問題がある可能性があります。
生活に直結する手当の有無も確認しておきたい点です。医療キャリアナビ掲載求人データ(2026年時点)の作業療法士求人では、住宅補助ありが21%(1,119件)、車・バイク通勤可が45%(2,425件)、託児所・保育所完備が9%(466件)でした。基本給が同じでも、住宅手当があるかどうかで手取りは変わります。
固定残業代(みなし残業)が基本給に含まれていると、基本給が高く見えても実質は残業代
求人票の「月給」に何が含まれるかを確認すると、同じ提示額でも中身が違うことが分かる
賞与の算定基礎と月数を確認する
当該区分の年間賞与その他特別給与額は717,200円で、所定内給与額298,200円のおよそ2.4か月分に当たります。
同じ「2.4か月」でも、算定基礎が基本給のみか手当を含むかで金額は変わります。基本給が低く抑えられて手当で調整されている場合、賞与の段階で差がさらに広がります。
施設による差も小さくありません。第25回医療経済実態調査では、一般病院の「医療技術員」の賞与は約96万円で、給料年額の約25%に相当します。開設者や規模によって水準が変わるため、月給よりも賞与のほうが職場間の差が大きくなりやすいと考えられます。
参考:e-Stat「賃金構造基本統計調査 5 職種(小分類)、年齢階級別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)」
作業療法士の求人を探す理学療法士との比較

作業療法士が気にしやすい論点ですが、優劣の話ではありません。差が生じる要素として整理します。
統計上の差
賃金構造基本統計調査では両職種が同じ職種区分にまとめられているため、統計から差を直接示すことはできません。「理学療法士のほうが高い」「作業療法士のほうが低い」といった話を公的統計で裏付けることは、現時点ではできない状態です。
参考になるのは求人の提示額です。医療キャリアナビ掲載求人データ(2026年時点)の正社員月給中央値は、理学療法士272,500円、作業療法士270,000円、言語聴覚士270,000円で、差は2,500円以内に収まっています。
差が生まれる要素
診療報酬の点数は職種で分かれていません。脳血管疾患等リハビリテーション料(Ⅰ)は理学療法士による場合245点、作業療法士による場合245点で同額です。1単位あたりの収益は同じなので、そこから給与差は生まれません。
差が出るのは働く場所の分布です。一般診療所の常勤換算従事者数は理学療法士18,913.8人に対し作業療法士3,300.4人で、整形外科の外来リハビリテーションが多い診療所では理学療法士の求人が大幅に多くなります。
一方、精神科領域では前述のとおり構成が逆になります。求人の母数や職場の選択肢の広さが職種で違うため、選べる範囲の中に高い水準の求人が入ってくる確率も変わってきます。
一般病院・一般診療所への従事者構成比
一般病院 88,494.4人/一般診療所 18,913.8人(計 107,408.2人)
一般病院 43,127.9人/一般診療所 3,300.4人(計 46,428.3人)
一般病院 17,661.7人/一般診療所 1,102.3人(計 18,764.0人)
一般病院と一般診療所の合計を100%とした構成比(精神科病院を除く)
職場内での扱いの違い
同じ給料表を使っている施設では、職種が違っても基本給に差が付かないことが多くなります。国家公務員では人事院規則九―二の同じ号に「理学療法士その他の理学療法技術職員及び作業療法士その他の作業療法技術職員」と並記され、どちらも医療職俸給表(二)が適用されます。
差が生じるとすれば、配属先や担当業務、そして手当の対象になるかどうかです。病棟担当か外来担当か、訪問を担うか、実習指導や委員会業務を受け持つかといった要素は、職種ではなく個々の配置で決まります。
参考:厚生労働省「診療報酬の算定方法」 / 厚生労働省「令和5(2023)年医療施設(静態・動態)調査・病院報告の概況」
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収入を増やすための選択肢

原因が職場側にあると分かった場合に取れる手は、大きく4つに整理できます。ここでは現在の資格と勤務形態の範囲で考えられるものに絞ります。
給与水準の高い職場に転職する
求人の月給中央値では、前述のとおり訪問リハビリテーションと病院で月5万円近い差があります。職場を変えることで動く額としては、他の選択肢より大きくなります。
ただし訪問系は単独訪問で、移動も業務に含まれます。件数の目標が設定される事業所もあり、月給の高さはその働き方に対する評価でもあります。
提示額だけで決めない
- 賞与の月数と算定基礎(基本給のみか手当を含むか)
- 固定残業代が月給に含まれていないか
- 住宅手当・退職金制度の有無
- 月給が高くても賞与が少なければ年収で逆転することがある
手当の対象になる役割を担う
超過労働給与額の平均が月11,700円ということは、残業や夜勤で年収を上げる余地はもともと大きくありません。効くのは、役割そのものが手当の対象になっている場合です。
訪問系の同行手当やオンコール手当、実習指導、委員会や主任業務などを手当として設定している職場があります。施設基準の常勤要件を満たす配置や、リハビリテーション実施計画の作成担当といった制度上で求められる役割を担うことも、交渉の材料になります。手当の名称と金額は職場ごとに違うので、就業規則や賃金規程で確認するのが確実です。
管理職を目指す
役職につくと所定内給与額は大きく変わります。全産業のデータでは、係長級で非役職者の約1.3倍、課長級で約1.7倍になり、年功による昇給幅の小ささを補える大きさです。
一方でポスト自体が限られるのは前述のとおりです。理学療法士・言語聴覚士を含むリハビリテーション部門全体を束ねる立場まで視野に入れると、対象は広がります。
専門性の評価だけでなく、部門運営や人材育成を担えるかどうかが問われる役割になります。
勤務形態を変える
短時間労働者の1時間当たり所定内給与額は、当該4職種区分で1,993円です(令和7年)。一般労働者の所定内給与額298,200円を所定内実労働157時間で割ると約1,900円になるので、時間単価では短時間労働者のほうが高いという結果になります。
ただし短時間労働者の年間賞与は91,200円で、一般労働者の717,200円とは大きく違います。非常勤で訪問件数を確保する働き方や複数事業所の掛け持ちは、時間単価では有利になる一方、賞与・退職金・社会保険の扱いで不利になる部分があります。生活設計と合わせて判断する選択肢と考えるのが無難です。
参考:e-Stat「賃金構造基本統計調査 1 短時間労働者の職種(小分類)別1時間当たり所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)」 / e-Stat「賃金構造基本統計調査 1 職種(小分類)別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)」
まとめ
作業療法士の平均年収は約443万円で、これは賃金構造基本統計調査で理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・視能訓練士を1つにまとめた区分の推計値です。作業療法士単独の平均年収を示す公的統計は存在しません。医療経済実態調査の「医療技術員」も同じく複数職種の合算です。
「安い」と言われる背景には、診療報酬の単価と1日6単位という提供量の枠、夜勤・宿日直手当が発生しにくい手当構成、年功で伸びる幅の小ささ、部門が小さく役職が限られることの4つがあります。


