作業療法士で年収1000万は可能?現実的なラインとルート別の到達条件・現実性

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作業療法士として働きながら、年収1000万円を目指せる可能性があるのか気になる方は多いと思います。

検索すると「独立すれば可能」「訪問事業を立ち上げれば届く」といった言葉や体験談が目に入ることもあります。ただ、その1000万円が売上なのか、経費と税を引いた後に手元に残る金額なのかまで書かれていることは多くありません。

この記事では、公的統計で確認できる作業療法士の年収の現状を出発点に、給与所得と事業所得の違い、ルートごとの条件と法令上の制約、紹介されている成功事例の読み方を整理します。

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    作業療法士の年収の現状

    積み上がった一万円札の束と五百円硬貨

    公的統計で確認できる平均は440万円台です。ただしこの数字はそのまま「作業療法士の平均年収」として扱えるものではなく、前提を知らずに使うと判断を誤ります。

    公的統計で確認できること

    厚生労働省の賃金構造基本統計調査には、作業療法士だけを取り出した職種区分がありません。集計されているのは「理学療法士,作業療法士,言語聴覚士,視能訓練士」という4職種をまとめた区分です。

    令和7年調査(企業規模10人以上・産業計)では、この区分の労働者数は279,650人、平均年齢36.2歳、勤続年数8.4年でした。きまって支給する現金給与額は月309,900円、年間賞与その他特別給与額は717,200円です。ここから推計した年収は約443万円になります。男女別では男性が約466万円、女性が約417万円です。

    年収1000万円は、この443万円の約2.3倍にあたります。

    年齢・経験年数による推移

    同じ調査の年齢階級別のデータを見ると、給与は年齢とともに上がりますが、上がり方は緩やかです。推計年収は20代前半で約337万円、30代前半で約431万円、40代前半で約482万円と推移し、50代前半の約548万円がピークになります。55〜59歳では約525万円と、いったん下がります。

    60〜64歳は約592万円と高く出ますが、この階級の労働者数は2,570人と少なく、参考値として見るのが無難です。

    年齢階級別 推計年収の推移

    年収1000万円ライン 0 500万 1000万円 337.5 397.8 431.5 457.1 482.1 519.7 548.8 ピーク 525.2 592.6 ※参考値 20-24 25-29 30-34 35-39 40-44 45-49 50-54 55-59 60-64 (歳)

    つまり、勤務先で経験を積み続けるという前提に立つ限り、年齢だけで1000万円に近づく構造にはなっていません。ピーク時点でも1000万円の半分をやや超える水準にとどまります。

    勤務先による違い

    医療キャリアナビ掲載求人データ(2026年時点)で作業療法士の正社員求人5,371件を見ると、月給の中央値は270,000円でした。施設種別ごとの中央値は次のとおりです。

    作業療法士 施設種別の月給中央値

    010万円20万円30万円40万円
    訪問リハビリ
    300,000円
    クリニック
    283,500円
    有料老人ホーム
    265,000円
    児童発達支援
    264,050円
    デイケア・デイサービス
    260,000円
    介護老人保健施設
    257,750円
    特別養護老人ホーム
    255,700円
    放課後等デイサービス
    255,000円
    病院
    250,250円

    最も高い訪問リハビリと最も低い病院の差は月約5万円です。年間に直すと約60万円になり、職場を選ぶだけで動く金額としては小さくありません。ただし、この幅の中に年収1000万円に届く水準は含まれていません。

    平均年収と自分の年収を比べるときは

    平均の443万円は4職種をまとめた数字なので、自分の年収と比べても実感が合わないことがあります。同じ施設種別・同じ年代の求人を並べて見るほうが、今の水準を正しく測れます。医療キャリアナビ掲載求人データ(2026年時点)では、作業療法士の求人は5,371件ありました。

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    作業療法士の求人を探す

    参考:e-Stat「賃金構造基本統計調査 1 職種(小分類)別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)」 / e-Stat「賃金構造基本統計調査 5 職種(小分類)、年齢階級別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)」

    勤務先の給与で年収1000万に届きにくい理由

    バイクマシーンや平行棒が並ぶリハビリ室

    作業療法士が勤務先から受け取る給与の原資には、制度によって決められた上限が三重にかかっています。単価、量、ポストの数です。

    報酬の単価が制度で決まっている

    医療機関で行うリハビリテーションは、疾患別リハビリテーション料として診療報酬から支払われます。20分以上の個別療法を1単位として算定する仕組みで、令和8年度診療報酬改定では脳血管疾患等リハビリテーション料(Ⅰ)が1単位245点、運動器リハビリテーション料(Ⅰ)が1単位185点です。1点は10円なので、20分で2,450円、1,850円ということになります。

    脳血管疾患等リハビリテーション料(Ⅰ)は「理学療法士による場合」「作業療法士による場合」「言語聴覚士による場合」「医師による場合」がいずれも245点と定められています。つまり誰が実施しても医療機関に入る金額は同じです。

    脳血管疾患等リハビリテーション料(Ⅰ)の点数表

    項目 理学療法士による場合 作業療法士による場合 言語聴覚士による場合 医師による場合
    点数(1単位) 245点 245点 245点 245点
    金額(1単位=20分) 2,450円 2,450円 2,450円 2,450円
    運動器リハビリテーション料(Ⅰ)も同様に、1単位185点(1,850円)が理学療法士・作業療法士・医師のいずれが実施しても共通の点数です。

    経験年数を重ねても、専門的な知識を身につけても、それが単価に上乗せされる仕組みにはなっていません。この点は、施術内容や技術で価格を変えられる自由診療の職種との大きな違いです。

    1人が担当できる量に上限がある

    単価が固定なら実施回数を増やせばよいことになりますが、その回数にも上限があります。

    従事者1人あたりの実施単位数の上限

    030単位60単位90単位120単位
    1日あたり標準
    18単位
    1日あたり上限
    24単位
    1週間あたり上限
    108単位
    患者さん1人あたりの上限(1日) 6単位
    厚生労働大臣が定める患者さんの場合 9単位

    週108単位という上限は、20分換算で週36時間分にあたります。仮に上限いっぱいの108単位をすべて脳血管疾患等リハビリテーション料(Ⅰ)で算定したとしても、単純計算で1人が1週間に生む診療報酬は264,600円です。この金額から施設の建物費、機器、事務職員を含めた運営費が支払われ、残りが人件費に配分されます。

    提供量を増やして収益を伸ばすことに、制度上の天井がある。これが、勤務先の給与だけで1000万円に届きにくい二つ目の理由です。

    役職の数が限られている

    日本作業療法士協会の会員統計(2025年3月31日現在・会員63,352人)によると、主業務を「管理職」と回答した会員は214人です。休業中と未回答を除いた割合で0.4%にあたります。一方で臨床が46,761人、94.8%を占めています。

    日本作業療法士協会 会員の主業務構成

    0.4%管理職の割合
    94.8%臨床
    3.3%養成教育
    0.5%行政
    0.4%その他
    0.4%管理職
    0.3%相談
    0.2%教育
    0.1%研究

    管理職は例外的なポジションで、希望すれば就けるものではありません。リハビリ部門の管理職は施設に1〜数名で、空きが出るまで交代しないことも珍しくありません。

    賃金構造基本統計調査の役職別(全産業)では、非役職者の所定内給与額を100としたとき、係長級が128.6、課長級が170.4、部長級が204.8です。金額では部長級が月635,800円で、平均年齢は53.1歳でした。

    役職別の所定内給与額(全産業・月額)

    1
    非役職者
    310,500円
    指数100
    平均41.8歳
    →
    2
    係長級
    399,200円
    指数128.6
    平均45.4歳
    →
    3
    課長級
    529,200円
    指数170.4
    平均49.5歳
    →
    4
    部長級
    635,800円
    指数204.8
    平均53.1歳

    この635,800円は残業代や賞与を含まない所定内給与額です。全産業の部長級という限られた層でも、月あたりの水準は60万円台にとどまります。リハビリ部門の管理職がここに並ぶとは限らず、昇進だけで1000万円を狙うのは現実的とは言いにくいです。

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    参考:厚生労働省「令和8年度診療報酬改定について」 / 日本作業療法士協会「2025年度日本作業療法士協会会員統計資料」 / 厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査 結果の概況」

    「年収1000万」の中身を区別する

    電卓をはじく女性の手元

    同じ「年収1000万円」でも、給与としてもらう1000万円と、事業の売上としての1000万円では、手元に残る金額がまったく違います。上位に出てくる記事の多くはここを区別していません。

    給与所得の場合

    会社や医療機関から受け取る給与が額面1000万円というケースです。ここから給与所得控除が差し引かれます。国税庁の速算表では、給与収入が850万円を超えると給与所得控除は195万円で頭打ちになります(令和8年分・令和9年分)。額面1000万円なら給与所得は805万円です。

    そこから社会保険料控除や基礎控除などを引いた課税所得に所得税がかかります。所得税の速算表では、課税所得が900万円から1,799万9千円までの税率は33%(控除額1,536,000円)です。これに住民税が加わります。

    社会保険料は労使折半で勤務先が半分を負担し、健康保険と厚生年金に加入した状態が続きます。額面1000万円がそのまま自由に使える金額になるわけではありませんが、手取りの計算は比較的わかりやすいのが給与所得です。

    事業所得の場合

    自費サービスの開業や業務委託で得る収入は事業所得になります。国税庁の定義では、事業所得の金額は総収入金額から必要経費を差し引いて計算します。

    給与所得控除にあたるものはなく、家賃や仕入れ、減価償却費などを一つずつ積み上げて経費にします。加えて次の負担が加わります。

    • 健康保険は国民健康保険に切り替わり、労使折半がなくなる
    • 年金は国民年金となり、保険料は令和8年度で月額17,920円
    • 所得税と住民税に加え、業種によっては個人事業税がかかる
    • 消費税の課税事業者になれば消費税の納付義務も生じる

    個人事業税は地方税法などで定められた70の法定業種にかかる税で、事業主控除290万円を差し引いた後に3〜5%の税率が適用されます。事業所得が290万円以下であればかかりません。

    売上と所得は別であること

    開業の話で最も誤解が起きやすいのがここです。年商1000万円と年収1000万円はまったく別の水準を指します。

    売上1000万円から差し引かれるものを並べると、規模が見えてきます。

    売上1000万円から手元に残るまでの流れ

    起点
    売上1000万円
    経費
    テナント家賃・水道光熱費
    経費
    ベッドや機器などの設備費、消耗品費
    経費
    スタッフを雇う場合の人件費
    経費
    広告費・ホームページ運営費・集客手数料、賠償責任保険などの保険料
    社会保険料
    国民健康保険料・国民年金保険料
    税金
    所得税・住民税・個人事業税
    終点
    手元に残る所得

    自費サービスは施術者本人が動ける時間が売上の上限になります。人を雇えば売上は増えますが人件費も増え、雇わなければ売上は自分の稼働時間で頭打ちになります。

    売上1000万円は、手元に残る1000万円のはるか手前にある数字だという前提で検討するのが安全です。

    参考:国税庁「No.1410 給与所得控除」 / 国税庁「No.2260 所得税の税率」 / 国税庁「No.1350 事業所得の課税のしくみ(事業所得)」 / 東京都主税局「個人事業税」

    【ルート別】到達の条件と現実性

    階段を上がる人のイラストとCAREERの文字

    年収1000万円に近づくルートは6つあります。条件も期間もリスクも大きく異なるため、すべて「必要な条件」「到達までの期間」「リスク」の順にそろえて示します。

    管理職として昇進する

    必要な条件は、一定年数の臨床経験に加えて、部門の人員配置・実績管理・他職種との調整を担えることです。勤務先の規模も条件になり、療法士の在籍数が少ない施設ではそもそも役職が設定されていません。

    到達までの期間は長めです。賃金構造基本統計調査では課長級の平均年齢が49.5歳、部長級が53.1歳で、勤続年数はそれぞれ20.9年、22.6年でした。

    リスクは二つあります。ポストの数が限られていて空くタイミングが読めないこと、そして管理業務の比重が増えて臨床から離れることです。前述のとおり部長級まで到達しても1000万円に届くかは職場次第で、昇進は600万円台を目指す手段としては有効でも、1000万円の主役にはなりにくいルートです。

    自費サービスで独立開業する

    このルートは、法令上の制約を正確に理解しないまま進むと違法状態に陥ります。まず押さえるべき条文は次のとおりです。

    理学療法士及び作業療法士法 第2条第4項
    作業療法士の定義
    この法律で「作業療法士」とは、厚生労働大臣の免許を受けて、作業療法士の名称を用いて、医師の指示の下に、作業療法を行なうことを業とする者をいう。
    同法 第15条第2項
    あはき法の適用除外
    理学療法士が、病院若しくは診療所において、又は医師の具体的な指示を受けて、理学療法として行なうマツサージについては、あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律第一条の規定は、適用しない。
    対象は理学療法士のみ。作業療法士は含まれない
    同法 第17条第2項
    名称の使用制限
    作業療法士でない者は、作業療法士という名称又は職能療法士その他作業療法士にまぎらわしい名称を使用してはならない。

    作業療法士は「医師の指示の下に」作業療法を行う資格として定義されています。そのため、作業療法の提供を掲げた事業として、医師の指示なしに開業することはできません。作業療法士でない者が紛らわしい名称を使うことも禁じられており、サービス名や肩書きの付け方にも影響します。

    もう一つ見落とされやすいのが、あん摩マッサージ指圧師等の資格が必要な行為との関係です。マッサージについてあはき法の適用を除外する規定は置かれていますが、その対象は理学療法士に限られ、作業療法士は含まれていません。あん摩マッサージ指圧師等の免許が必要な行為を、作業療法士の資格で行うことはできない点に注意が必要です。

    条件としては、保険外サービスとして提供できる内容の整理、物件と初期資金、集客の手段が必要になります。リスクは収入の不安定さと初期投資の回収期間で、開業直後から安定した売上が立つ前提で計画を組むのは避けたいところです。

    訪問看護ステーションなどの事業を経営する

    上位記事には「訪問事業を立ち上げる」と書かれているものがありますが、指定訪問看護ステーションには人員基準があります。

    指定訪問看護ステーション と 指定訪問リハビリテーション事業所 の人員基準

    指定訪問看護ステーション
    必置人員
    看護職員は常勤換算2.5以上(うち1名は常勤)
    理学療法士・作業療法士・言語聴覚士は実情に応じた適当数
    管理者要件
    管理者は保健師又は看護師(やむを得ない理由がある場合を除く)
    指定訪問リハビリテーション事業所
    必置人員
    医師は1以上
    理学療法士・作業療法士・言語聴覚士のいずれか1以上
    開設の可否
    医師の配置が要件のため、作業療法士だけでは開設できない

    指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準では、指定訪問看護ステーションの看護職員は常勤換算で2.5以上、うち1名は常勤とされています。理学療法士・作業療法士・言語聴覚士は「実情に応じた適当数」という位置づけです。そして管理者は保健師又は看護師でなければならないと定められています(やむを得ない理由がある場合を除く)。

    ここで区別が必要なのは、法人の代表者になることと、事業所の管理者になることは別だという点です。作業療法士が法人を設立して訪問看護ステーションを運営すること自体は可能です。

    介護保険の訪問リハビリテーション事業所も同様です。同基準では、事業所ごとに医師を1以上、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士を1以上置くこととされています。医師の配置が要件になっているため、作業療法士だけで訪問リハビリテーション事業所を開設することはできません。

    経営者としての収入は事業の利益から生まれます。人を雇い、指定基準を満たし、利用者さんを集めたうえで残る利益であり、到達までの期間は年単位で見るのが現実的です。

    教育・研究職に進む

    統計上、平均で1000万円を超えているのは大学教授です。賃金構造基本統計調査(令和7年・全分野)では、大学教授(高専含む)の推計年収は約1,082万円、准教授が約876万円、講師・助教が約712万円でした。ただしこれは全分野の平均であり、作業療法士出身者に限った統計ではありません。

    同調査の大学教授の平均年齢は57.5歳、勤続年数は16年でした。大学設置基準第13条では、教授となることができる者として「博士の学位を有し、研究上の業績を有する者」などが挙げられており、学位と研究業績が前提です。

    採用は公募によるのが一般的で、希望すれば就ける職ではありません。

    大学教員の推計年収(職位別・全分野平均)

    大学教授(高専含む)
    1,082万円
    平均年齢 57.5歳
    勤続年数 16年
    大学准教授
    876万円
    平均年齢 49.3歳
    大学講師・助教
    712万円
    平均年齢 41.6歳

    全分野の平均値

    日本作業療法士協会の会員統計では、主業務を「養成教育」とする会員が1,623人(3.3%)、「教育」が95人、「研究」が33人でした。臨床の94.8%と比べると、母数の小ささが分かります。

    企業に転職する

    医療機器メーカー、福祉用具メーカー、リハビリテーション機器の開発企業、ヘルスケア関連企業などで、臨床経験を評価される職種があります。学術職、営業職、商品開発職などが該当します。

    一方で、作業療法士の免許を使う業務ではないため、資格手当がつかないことが多い点は押さえておきたいところです。成果連動の報酬制度がある企業もありますが、公的統計に作業療法士出身者の企業での年収データはなく、水準を一般化することはできません。

    条件としては業界知識と、臨床以外のスキル(提案、資料作成、数値管理)が求められます。リスクは、臨床経験の年数が長いほど転職時に選べる職種が限られやすいことです。

    副業で収入を積み上げる

    本業を続けながら収入を積み上げる方法です。ただし前提として、勤務先が副業を認めている必要があります。医療キャリアナビ掲載求人データ(2026年時点)では、作業療法士の求人5,371件のうち「副業・WワークOK」は80件、全体の1%でした。

    副業で得た所得が給与以外の所得として年20万円を超えると、確定申告が必要になります。到達までの期間は積み上げ次第ですが、本業の勤務時間を確保したうえで動ける時間には限りがあり、副業だけで数百万円を積み上げるのは容易ではありません。

    リスクは体力面と、就業規則違反になった場合の処分です。始める前に就業規則を確認するのが無難です。

    年収1000万円到達|ルート別の条件・期間・リスク

    ルート 必要な条件 到達までの期間 リスク
    管理職昇進 一定年数の臨床経験に加え、人員配置・実績管理・他職種との調整を担えること。療法士の在籍数が少ない施設では役職そのものが設定されていない 課長級の平均年齢49.5歳・勤続20.9年、部長級は53.1歳・勤続22.6年 主業務が管理職の会員は214人(0.4%)。ポストが空くタイミングを選べず、臨床から離れる
    自費サービス独立開業 作業療法は医師の指示の下に行うものとされているため、作業療法の提供を掲げた開業はできない。保険外で提供できる内容の整理と、物件・初期資金・集客の手段 売上が立つまでの期間は事業次第。初期投資の回収期間を織り込む必要がある あん摩マッサージ指圧師等の免許が必要な行為は行えない。収入が不安定になりやすい
    訪問看護ステーション等の事業経営 法人の設立と、指定基準を満たす人員。指定訪問看護ステーションの管理者は保健師又は看護師とされている(基準第61条第2項) 人を雇い、利用者さんを集めたうえで残る利益のため年単位 指定訪問リハビリテーション事業所は医師の配置が要件(同基準第76条)で、作業療法士だけでは開設できない
    教育・研究職 大学設置基準第13条が定める教授の資格(博士の学位と研究上の業績など)。採用は公募によるのが一般的 大学教授の平均年齢57.5歳・勤続16年 主業務が養成教育の会員は1,623人(3.3%)、教育95人、研究33人と母数が小さい
    企業転職 業界知識と、臨床以外のスキル(提案・資料作成・数値管理) 公的統計に作業療法士出身者の企業での年収データがなく、水準を一般化できない 免許を使う業務ではないため資格手当がつかないことが多い
    副業 勤務先が副業を認めていること。公務員は地方公務員法第38条・国家公務員法第103条/第104条により許可が必要 本業と両立できる時間の範囲で積み上がるため、金額の伸びは緩やか 副業・WワークOKの求人は5,371件中80件(1%)。給与以外の所得が年20万円を超えると確定申告が必要
    作業療法士の求人を探す

    参考:e-Gov法令検索「理学療法士及び作業療法士法」 / e-Gov法令検索「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準」 / e-Gov法令検索「大学設置基準」 / 国税庁「No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人」

    紹介されている成功事例の見方

    チェックリストと書かれた紙とペン

    このキーワードでは「訪問リハで月収80万円」「自費リハビリで黒字化」といった成功例を載せる記事が目立ちます。事例そのものが誤りだとは限りませんが、示されていない情報を補って読む習慣を持つと判断を誤りません。

    売上か所得かを確認する

    「月商」「売上」「月収」「年商」といった言葉が、経費と税を引く前の数字なのか後の数字なのかを確認します。開業事例で示される金額は売上であることが多く、そこから家賃・人件費・広告費・社会保険料・税が引かれます。

    記事のどこにも「経費」「所得」という言葉が出てこない場合、その金額は売上と考えるのが妥当です。給与所得と事業所得の違いは前述のとおりで、同じ数字でも手元に残る金額は大きく変わります。

    再現できる条件かを確認する

    同じ方法を自分が試したときに、同じ結果になるかどうかを分ける前提条件があります。

    • 開業した地域の人口や競合となる事業所の数
    • 前職から引き継いだ人脈や紹介元
    • 初期資金と、売上が立つまでの生活費
    • すでに持っていた知名度や発信力

    これらが示されていない事例は、条件が特殊だった可能性を否定できません。読者が置かれた状況と前提が違えば、同じ行動をとっても同じ結果にはなりません。

    期間と失敗例が示されているかを確認する

    開業して何か月で黒字になったのか、そこに至るまでに赤字だった期間はどれくらいか。期間の記載がない成功事例は、到達までのコストが見えません。

    同じ方法で達成できなかった例が併記されているかも確認したいところです。成功例だけを並べた記事は、うまくいかなかったケースの数が分かりません。

    もう一点、事例の紹介元がサービスの販売や人材の送客を目的としている場合があります。記事の最後が講座の申し込みや転職サービスの登録につながっている場合は、その前提で内容を読むのが無難です。

    紹介されている成功事例を読むときの確認リスト

    1
    売上か所得かを確認する
    示されている金額が、経費や税引き前の売上なのか、経費・税引き後の所得なのかを確認する。
    2
    再現できる条件かを確認する
    初期資金・立地・稼働時間など、自分でも同じように再現できる条件が示されているかを確認する。
    3
    到達までの期間を確認する
    その金額に到達するまでの期間、赤字だった期間、失敗例の有無が触れられているかを確認する。
    4
    紹介元の目的を確認する
    紹介元が講座や転職サービスへの送客を目的にした発信でないかを確認する。

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    独立・副業を検討する場合の確認事項

    開業資金と書かれたブロック

    法令と所属先のルール、そして数字の見通し。この三つを事前に確認しておくと、始めてから引き返す事態を避けられます。

    提供できるサービスの範囲

    前述のとおり、作業療法士が「作業療法」として提供できるのは医師の指示の下に行うものに限られ、あん摩マッサージ指圧師等の免許が必要な行為も行えません。

    実務で問題になりやすいのは広告表現です。保険外サービスであっても、資格を持たない行為を想起させる名称やメニュー名は避ける必要があります。何を提供し、何を提供しないのかを先に文章にしておくと、判断がぶれません。

    就業規則と公務員の制限

    公立病院や自治体の施設に勤務する公務員には、法律で兼業の制限があります。

    地方公務員法 第38条
    営利企業への従事等の制限
    任命権者の許可を受けなければ、営利企業を営むことを目的とする会社その他の団体の役員等を兼ねること、自ら営利企業を営むこと、報酬を得ていかなる事業若しくは事務に従事することもできない。
    国家公務員法 第103条・第104条
    私企業からの隔離/他の事業の関与制限
    第103条 営利企業を営むことを目的とする会社その他の団体の役員、顧問若しくは評議員の職を兼ね、又は自ら営利企業を営んではならない。
    第104条 報酬を得て、営利企業以外の事業の団体の役員等を兼ね、その他いかなる事業に従事し、若しくは事務を行うにも、内閣総理大臣及びその職員の所轄庁の長の許可を要する。
    いずれも「届出」ではなく「許可」が必要な建て付けで、報酬を受け取る時点で対象になります。

    いずれも許可を受けずに始めることはできないため、報酬が発生する時点で申請が要ります。自分の身分が公務員にあたるかどうかは、勤務先の設置主体によって変わります。同じ公立病院でも運営形態によって扱いが異なる場合があるため、所属先に確認するのが確実です。

    民間の勤務先であっても、就業規則に副業の規定があるのが一般的です。

    必要な売上を分解して試算する

    目標とする所得から逆算すると、到達可能性を自分で計算できます。手順は次のとおりです。

    必要売上を逆算する5ステップ

    1
    手元に残したい金額を決める
    まず目標とする手取り額を決める
    +
    2
    税金・保険料を足し戻す
    所得税・住民税・個人事業税と国民健康保険料・国民年金保険料を加える
    +
    3
    経費を足す
    家賃や広告費などの経費を加えて必要売上を出す
    →
    4
    売上を分解する
    必要売上を「単価×件数×稼働日数」に分ける
    →
    5
    件数の現実性を検証する
    1日の対応件数を毎月続けられるか確かめる

    手元に残したい金額が決まったら、そこに所得税・住民税・個人事業税と国民健康保険料・国民年金保険料を足し戻し、さらに家賃や広告費などの経費を足すと必要売上が出ます。その必要売上を「単価×件数×稼働日数」に分解すると、1日に何件対応する必要があるかが数字で見えます。

    この分解をしたうえで、その件数を毎月続けられるかを考えると判断の精度が上がります。1日の対応件数が現実的でないなら、単価か営業日数を見直すことになります。

    社会保険と税の扱い

    勤務先を辞めて独立すると、健康保険は国民健康保険(または任意継続)に、年金は国民年金に切り替わります。前述のとおり保険料は全額自己負担になり、勤務先が半分を負担していた分がなくなるため、同じ収入でも手取りは減ります。

    税務面では、開業届の提出、青色申告の申請、帳簿の作成が必要です。副業として始める場合も、確定申告が必要になる所得のラインは前述のとおりです。

    独立を決める前に計算しておきたいこと
    • 今の額面と同じ手取りを保つのに必要な売上を先に出す
    • 国民健康保険と国民年金は全額自己負担になる分を上乗せする
    • 開業1年目は売上が読めない前提で、生活費の何か月分を用意できるか決めておく
    キャリアパートナー

    ここで示した計算はあくまで目安です。控除の適用や業種の判定によって金額は変わるため、具体的な金額は税務署または税理士に確認するのが確実です。

    参考:e-Gov法令検索「地方公務員法」 / e-Gov法令検索「国家公務員法」 / 日本年金機構「国民年金保険料」

    まず年収600万前後を目指す方法

    積み重なったコインと右肩上がりの折れ線グラフ

    1000万円は限られたルートでしか到達しない水準ですが、平均の443万円から600万円前後までであれば、選択肢は現実的なものになります。

    給与水準の高い職場へ移る

    前述のとおり、月給の中央値は施設種別によって年間で約60万円分の差があります。同じ経験年数でも働く場所で変わる部分なので、転職で最も動かしやすい要素です。

    確認したいのは基本給と賞与の内訳です。月給が高くても賞与の月数が少なければ年収は逆転します。求人票では月給だけでなく、賞与の実績と昇給の幅を確認するのが安全です。医療キャリアナビ掲載求人データ(2026年時点)では、賞与・ボーナスありの求人は5,371件中3,744件で70%でした。

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    手当がつく役割を担う

    役職に就くと給与水準が変わります。前述の役職別の賃金指数のとおり、係長級は非役職者の約1.3倍、課長級は約1.7倍です。係長級の平均年齢は45.4歳で、部長級を目指すより、主任・係長クラスに就くほうが現実的な道筋になります。

    役職以外にも収入に効く条件があります。医療キャリアナビ掲載求人データ(2026年時点)では、住宅補助ありが1,119件(21%)でした。住宅補助は家賃の支出そのものを減らすため、額面の差以上に手元の余裕に効きます。

    額面の比較だけで判断しないほうが得をすることがあります。

    収入に効く待遇条件

    賞与・ボーナスあり
    70%
    5,371件中3,744件
    車・バイク通勤可
    45%
    5,371件中2,425件
    住宅補助あり
    21%
    5,371件中1,119件

    訪問系やインセンティブのある職場を選ぶ

    医療キャリアナビ掲載求人データ(2026年時点)で最も月給中央値が高かったのは訪問リハビリの300,000円で、求人数も1,727件と多い分野です。インセンティブありの求人は436件(8%)でした。

    歩合やインセンティブがある職場では、収入が担当件数に連動します。件数が増えれば収入は増えますが、移動時間や記録業務も同じだけ増えます。1日あたりの訪問件数の上限、移動手段、記録にかかる時間を面接で確認しておくと、入職後のギャップが小さくなります。

    まとめ

    作業療法士の年収1000万円は、勤務先の給与だけで到達する水準ではありません。診療報酬の単価が職種を問わず同額であること、従事者1人あたりの実施単位数に上限があること、管理職のポストが限られていることが、その理由です。

    到達の可能性があるのは、管理職として長く昇進を重ねるルート、法令の制約を踏まえて事業を経営するルート、学位と研究業績を積んで教育・研究職に進むルートです。いずれも到達までの期間は年単位で、統計上の平均年齢も50代に入ります。

    開業や副業の事例を読むときは、その金額が売上か所得かを必ず確認しましょう。売上1000万円と年収1000万円はまったく別の水準です。

    まずは職場選びと役割で600万円前後を目指し、そのうえで独立や教育職を検討する。この順番なら、収入を上げながら選択肢を残せます。転職を考えるなら、賞与の実績や手当の内容まで求人票で確認するところから始めてみてはいかがでしょうか。

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    医療キャリアナビ編集部

    医療キャリアナビ編集部

    記事の執筆・編集は、医療業界に精通した編集スタッフが担当しています。日々の転職支援業務で得た現場のリアルな情報と、厚生労働省をはじめとする公的機関のデータに基づき、信頼性の高いコンテンツをお届けしています。

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