デイサービスの医療行為はどこまで?職種別の範囲と判断手順を解説
デイサービスで働いていると、「どこまでが医療行為に該当するのだろうか」と迷う場面が出てきます。利用者さんの爪を切る、湿布を貼る、血糖値を確認する。
どれも日常的なケアに見えますが、行為によっては医療職でなければ行えないものが含まれています。
この記事では、デイサービスにおける医療行為の考え方を制度の前提から整理し、看護職員・介護職員それぞれが行える範囲と、迷ったときの判断手順を解説します。対応できないケアが必要になった場合の代替サービスまで確認できる内容です。
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デイサービスにおける「医療行為」の考え方

デイサービス(通所介護)で行える医療行為の範囲は、行為の一覧を暗記して決まるものではありません。何が医行為にあたるのか、そしてデイサービスという場にどんな制度上の制約があるのかという2つの前提から導かれます。
医行為と「原則として医行為ではない行為」の区分
医師法第17条は「医師でなければ、医業をなしてはならない」と定めています。ここでいう医業とは、医行為を反復継続する意思をもって行うことを指します。
そして医行為とは、厚生労働省の通知では次のように整理されています。
当該行為を行うに当たり、医師の医学的判断及び技術をもってするのでなければ人体に危害を及ぼし、又は危害を及ぼすおそれのある行為
問題は、この定義だけでは現場で判断できない行為が数多くあることです。体温を測る、爪を切る、目薬をさす。こうした行為が医行為にあたるかどうかで介護現場が迷い、必要以上に「医行為だから介護職員はできない」と拡大解釈される状況が続いていました。
そこで厚生労働省は、原則として医行為ではないと考えられる行為を通知で整理してきました。現在は次の通知が示されています。
「原則として医行為ではない行為」通知の変遷
このうち令和7年12月の通知は最も新しく、掲載していない解説記事も多く残っています。デイサービスで判断に迷ったときは、最新の通知まで確認するようにしましょう。
絶対的医行為と相対的医行為の違い
医行為はさらに、医師でなければ行えないものと、医師の指示を受けて看護職員などが行えるものに分けて考えられます。前者を絶対的医行為、後者を相対的医行為と呼ぶのが一般的です。
ただしこの2つは法律の条文に書かれた用語ではありません。医師法や保健師助産師看護師法の解釈を整理するために使われている区分です。条文としては、保健師助産師看護師法第37条が「主治の医師又は歯科医師の指示があつた場合を除くほか」医師でなければ衛生上危害を生ずるおそれのある行為をしてはならないと定めており、これが看護職員の実施範囲の根拠になります。
つまり看護職員が医療行為を行えるかどうかは、医師の指示があるかどうかで線引きされます。指示があっても医師本人でなければ行えない行為が絶対的医行為、という関係です。
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デイサービスに医師が常駐しないことによる制約
デイサービスで実施できる範囲が病院と大きく違う理由は、人員基準にあります。指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準第93条が定める通所介護の従業者は、生活相談員・看護職員・介護職員・機能訓練指導員の4職種です。医師は含まれていません。
対照的に、同じ「通う」サービスでも通所リハビリテーション(デイケア)は第111条で医師を1以上置くことが求められ、さらに第3項でその医師は常勤でなければならないと定められています。医療機関や介護老人保健施設が母体になっているのはこのためです。
人員基準の比較|通所介護 と 通所リハビリテーション
| 項目 | 通所介護(デイサービス) | 通所リハビリテーション(デイケア) |
|---|---|---|
| 根拠条文 | 第93条第1項 | 第111条第1項・第3項 |
| 配置される職種 | 生活相談員/看護職員/介護職員/機能訓練指導員の4職種 | 医師/理学療法士・作業療法士・言語聴覚士又は看護職員・介護職員 |
| 医師の配置 | 規定なし | 1以上 |
| 医師の常勤義務 | ― | 常勤でなければならない |
参考:e-Gov法令検索「医師法」 / e-Gov法令検索「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準」 / 介護サービス情報公表システム「どんなサービスがあるの? – 通所介護(デイサービス)」
デイサービスで看護職員が行える医療行為

デイサービスの看護職員が行う医療行為には、すべて「医師の指示のもとで」という前提が付きます。保健師助産師看護師法第37条により、主治の医師の指示がない限り、医師でなければ衛生上危害を生ずるおそれのある行為は行えないためです。
この前提は以下のすべての行為に共通します。
- デイケア・デイサービスの看護師求人は615件、月給の中央値は270,000円
- 訪問看護は320,000円、病院は298,000円と、医療行為の範囲が広い職場ほど高め
- 求人票の医療的ケアの記載だけで判断せず、看護職員の配置時間と体制を確認しましょう
バイタルサインの測定と健康状態の観察
体温・血圧・脈拍・血中酸素飽和度の測定と、それをもとにした健康状態の観察は、デイサービスの看護職員の中心的な業務です。
測定そのものは介護職員も行える行為ですが、測定値をもとに入浴やリハビリの可否を判断するところに看護職員の役割があります。測定された数値を基に投薬の要否など医学的な判断を行うことは医行為にあたるため、この部分は介護職員に任せられません。
バイタルサイン測定 役割の分かれ目
褥瘡・創傷の処置
すでに処置方針が決まっている褥瘡や創傷について、医師の指示に沿って洗浄・薬剤の塗布・被覆材の交換を行うことは、看護職員の診療の補助にあたります。
一方で、褥瘡の処置は介護職員が行える範囲から明確に除かれています。厚生労働省の通知でも、皮膚への軟膏の塗布は介護職員が介助できるものの、褥瘡の処置は除くと明記されています。デイサービスで褥瘡がある利用者さんを受け入れる場合、処置の担い手は看護職員に限られる点を押さえておく必要があります。
喀痰吸引と経管栄養の管理
喀痰吸引と経管栄養は、看護職員であれば医師の指示のもとで実施できます。口腔内・鼻腔内の吸引はもちろん、気管カニューレ内部の吸引や、胃ろう・腸ろうからの注入も対象です。
ただしデイサービスで実際に受け入れられるかどうかは、看護職員が配置されている時間帯と利用者さんの状態によって変わります。注入中の観察や吸引の頻度を考えると、その日の職員体制で安全に対応できるかを事業所として判断することになります。
なお同じ行為でも、介護職員が行う場合は研修と事業所登録という別の仕組みが必要です。
インスリン注射などの与薬管理
インスリン注射は、医師の指示に基づいて看護職員が実施できる行為です。デイサービスでは昼食前の注射が必要な利用者さんに対応する場面があります。
前提となるのは、単位数・実施のタイミング・血糖値の範囲があらかじめ主治医から示されていることです。指示された血糖値の範囲を外れた場合にどうするかまで含めて、事前に確認しておく必要があります。
内服薬・点眼・貼付薬の管理も同様です。看護職員は薬効と副作用を踏まえた観察を行い、飲み忘れや重複を防ぐ役割を担います。
与薬管理の流れ
ストーマ・カテーテルの管理
ストーマについては、パウチにたまった排泄物を捨てる行為は介護職員も行えます。これに対し、肌に接着したパウチの取り替えや、皮膚トラブルがある場合の対応は看護職員の領域です。
膀胱留置カテーテルも同じ構造です。蓄尿バッグからの尿廃棄や尿量・尿の色の確認は介護職員が行えますが、カテーテル自体の管理や、専門的な管理が必要な状態での陰部洗浄は看護職員が担当します。
いずれも同じ器具に触れる行為でありながら、どこまでが介護職員の範囲かが細かく分かれています。器具の名前ではなく行為の単位で確認することが大切です。
ストーマ/膀胱留置カテーテルの管理範囲
デイサービスで看護職員でも行えない医療行為

看護職員がいれば何でもできるわけではありません。デイサービスという場の条件によって、看護職員でも実施できない行為があります。急変時にどこまで対応できるかも、この線引きの中で整理できます。
医師の指示書がない行為
保健師助産師看護師法第37条が定めるとおり、看護職員の医療行為は主治の医師の指示があることが条件です。指示がない行為は、看護職員であっても実施できません。
デイサービスで問題になりやすいのは、利用者さんや家族から現場で依頼されるケースです。傷薬を塗ってほしい、湿布を貼り替えてほしいといった依頼でも、主治医の指示の範囲外であれば応じられません。
また指示は口頭で受けたつもりでも、内容や条件が不明確なままでは実施の根拠になりません。行為の種類・実施条件・中止基準まで含めて、書面で確認できる形にしておくことが前提になります。
病状が不安定で専門的な管理が必要な行為
厚生労働省の通知では、原則として医行為ではないとされた行為についても、病状が不安定であることなどにより専門的な管理が必要な場合には医行為とされる場合もあり得るという条件が付されています。
同じ行為でも、利用者さんの状態によって扱いが変わります。
デイサービスは医師がいない環境のため、この判断を現場で完結させられません。迷った時点で実施を止め、主治医に確認するのが安全な運用です。
病状が急変した場合などは速やかに連絡などの措置を講じるとされています
医師でなければ行えない絶対的医行為
診断、処方、手術、注射の指示など、医学的判断そのものを伴う行為は医師でなければ行えません。デイサービスでの具体例としては、投薬内容の変更、点滴の指示、傷の縫合などが該当します。
問題になりやすいのが急変時の対応です。保健師助産師看護師法第37条にはただし書きがあり、臨時応急の手当をする場合は指示がなくても行えます。心肺蘇生やAEDの使用、止血、体位の確保などがこれにあたります。
一方で、応急手当として許されるのはその場で必要な処置に限られます。意識障害や強い胸痛など生命に関わる症状であれば救急要請が最優先で、主治医への連絡はその後になります。判断に迷う程度の変調であれば、主治医に連絡して指示を仰ぐ流れです。
絶対的医行為と急変時対応の優先順位
臨時応急の手当は、その場で必要な処置に限られます。
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デイサービスで介護職員が行える範囲

介護職員が行える範囲は、大きく2つに分かれます。研修なしで行える「原則として医行為ではない行為」と、研修と事業所登録を満たした場合に限って行える喀痰吸引・経管栄養です。
原則として医行為ではない行為
前述の通知のうち平成17年・平成23年・令和4年の3通知で示された行為は、令和6年度老人保健健康増進等事業のガイドラインとして2025年3月にまとめられています。ここでは11の分類・39項目が一覧化され、行為ごとに付されている条件まで確認できます。
さらに令和7年12月26日の通知(その3)で、次の行為が新たに加わりました。
いずれも条件付きである点に注意してください。湿布の貼付は、専門的な管理が必要ないことを医師または看護職員が確認した皮膚に限られ、対象も鎮痛・消炎の効能を持つ貼付剤に限られます。麻薬・向精神薬やステロイド外用剤など皮膚疾患に用いるものは含まれません。PTPシートについても、はさみなどで1つずつに切り離さないよう通知で注意喚起されています。
なお、これらの行為は介護職員が自由に行えるという意味ではありません。ガイドラインでは、事業所として安全に実施できる体制を整えること、実施者が行為の危険性を理解した上で行うことが求められています。
研修修了者が行える喀痰吸引・経管栄養
喀痰吸引と経管栄養は、原則として医行為ではない行為には含まれません。社会福祉士及び介護福祉士法により、医師の指示の下で行う特定の5行為として別枠で位置づけられています。
- 口腔内の喀痰吸引
- 鼻腔内の喀痰吸引
- 気管カニューレ内部の喀痰吸引
- 胃ろう又は腸ろうによる経管栄養
- 経鼻経管栄養
介護職員がこれらを行うには、喀痰吸引等研修を修了し、都道府県知事から認定特定行為業務従事者認定証の交付を受ける必要があります。研修は3つの類型に分かれ、対象となる行為の範囲が変わります。基本研修の講義は第1号・第2号研修で50時間、特定の方を対象とする第3号研修では講義及び演習が9時間で、いずれも実地研修が続きます。
喀痰吸引等研修 3類型の比較
| 対象者 | 不特定多数の者 |
|---|---|
| 基本研修の講義 | 50時間 |
| 実地研修 | 各行為のシミュレーター演習を経て、5行為すべてについて実施 |
| 対象となる行為 | 喀痰吸引(口腔内・鼻腔内・気管カニューレ内部)と経管栄養(胃ろう・腸ろう・経鼻)の5行為すべて |
| 対象者 | 不特定多数の者 |
|---|---|
| 基本研修の講義 | 50時間 |
| 実地研修 | 各行為のシミュレーター演習を経て実施(気管カニューレ内部の吸引及び経鼻経管栄養を除く) |
| 対象となる行為 | 喀痰吸引(口腔内・鼻腔内)と経管栄養(胃ろう・腸ろう)のみ。気管カニューレ内部の吸引と経鼻経管栄養は対象外 |
| 対象者 | 特定の者 |
|---|---|
| 基本研修 | 講義及び演習9時間(重度訪問介護従事者養成研修と併せて行う場合は20.5時間) |
| 実地研修 | 特定の者に対する必要な行為についてのみ実施 |
| 対象となる行為 | 特定の者に必要と認められた行為のみ。行為の範囲は対象者ごとに異なる |
ここで見落とされやすいのが事業所側の要件です。研修を修了しただけでは実施できません。同法の附則第27条第1項により、特定行為の業務を行おうとする者は事業所ごとに都道府県知事の登録を受けなければならず、この登録を受けた事業所が登録特定行為事業者です。介護福祉士が行う場合も、同法第48条の3により事業所ごとの登録が必要になります。
つまり研修修了者が在籍していても、事業所が登録していなければ実施できないということです。
研修を受けても介護職員が行えない行為
喀痰吸引等研修を修了しても、行える範囲は上記5行為に限られます。しかも修了した研修の類型に応じた行為だけが対象です。第2号研修であれば気管カニューレ内部の吸引と経鼻経管栄養は対象外になります。
また5行為であっても、医師の指示がなければ実施できません。認定特定行為業務従事者は医師の指示の下で行うことが法律上の条件であり、加えて医師・看護師その他の医療関係者との連携を保つことが求められています。
インスリン注射、褥瘡の処置、摘便、導尿といった行為は、研修の対象外です。これらは看護職員の領域であり、介護職員がどれだけ経験を積んでも実施できません。
参考:厚生労働省「原則として医行為ではない行為について」 / e-Gov法令検索「社会福祉士及び介護福祉士法」 / e-Gov法令検索「社会福祉士及び介護福祉士法施行規則」 / 厚生労働省「喀痰吸引等研修」
条件にあった求人を探してもらう医療行為にあたるか迷ったときの判断手順

ここまで職種別の範囲を見てきましたが、現場で困るのは一覧に載っていない行為に出くわしたときです。利用者さんの状態や使っている器具は一人ひとり違うため、一覧だけですべてを網羅することはできません。
そこで、目の前の行為をどう扱うかを4つのステップで確認していきます。各ステップで判断できないときに誰へ確認するかまで決めておくと、現場で止まらずに済みます。
その行為が医行為に該当するかを確認する
最初に確認するのは、その行為が医行為にあたるかどうかです。厚生労働省の通知とガイドラインに整理された行為であれば、原則として医行為ではない行為として扱えます。
ただし通知に載っている行為でも、利用者さんの状態によって判断が変わります。皮膚に炎症がある、病状が不安定である、専門的な管理が必要と言われている。こうした事情があれば、通知の対象から外れると考えるのが安全です。
一覧に載っていない行為については、その場で医行為ではないと判断しないでください。確認先は事業所の看護職員、そこで判断できなければ主治医です。サービス担当者会議はこの確認を行う場としても位置づけられています。
判断に迷ったら、その場で結論を出さずに一度止めるのが一番安全です。事業所の看護職員に確認し、それでも決まらなければケアマネジャーを通じて主治医に確認しましょう。「確認するまで実施しない」と決めておくだけで、現場の迷いはぐっと減ります。
職種ごとの実施可否を確認する
医行為にあたる、または判断が分かれる行為であれば、次に誰が行えるのかを確認します。看護職員であれば医師の指示のもとで実施できるのか、介護職員でも行えるのか、どちらも行えないのかという順で絞り込みます。
介護職員が対象になる場合は、通知で示された行為なのか、喀痰吸引等の5行為なのかを区別してください。この2つは必要な手続きがまったく違います。前者は研修も登録も不要ですが、後者は研修修了と事業所登録の両方が必要です。
どちらにも該当しない行為であれば、その時点でデイサービスでは対応できないと判断し、後述する代替サービスの検討に進みます。
| 代表的な行為 | 看護職員医師の指示下 | 介護職員研修修了 | 介護職員研修なし |
|---|---|---|---|
| バイタルサイン測定(体温・血圧・脈拍等) | ◯ | ◯ | ◯ |
| 褥瘡の処置 | ◯ | ✕ | ✕ |
| 喀痰吸引(口腔内・鼻腔内等) | ◯ | △ | ✕ |
| 経管栄養の注入(胃ろう・腸ろう等) | ◯ | △ | ✕ |
| インスリン注射の実施 | ◯ | ✕ | ✕ |
| ストーマ装具の取り替え(肌に接着した部分) | ◯ | ✕ | ✕ |
| 蓄尿バッグの交換 | ◯ | △ | △ |
| 服薬介助(一包化された内用薬など) | ◯ | △ | △ |
◯=実施できる △=条件を満たせば実施できる ✕=実施できない。喀痰吸引・経管栄養は修了した研修の区分と事業所の登録が、蓄尿バッグ・服薬介助は通知上の条件が満たされている場合に限ります
医師の指示と指示書の有無を確認する
行える職種が特定できたら、主治医の指示があるかを確認します。看護職員の医療行為も、介護職員の喀痰吸引等も、医師の指示が法律上の条件です。
確認すべきは指示の有無だけではありません。どこまでを、どんな条件で行ってよいかが読み取れる内容になっているかまで見てください。
指示の内容が不明確なとき、あるいは利用者さんの状態が指示を受けた当時と変わっているときは、実施前に主治医へ確認します。ケアマネジャーを通じて確認する流れを事業所内で決めておくと、担当者が変わっても対応が揺れません。
指示書で確認する5項目
事業所の体制と記録の要件を満たすか確認する
最後に事業所側の要件です。喀痰吸引等であれば登録特定行為事業者または登録喀痰吸引等事業者としての登録が必要で、これがなければ研修修了者がいても実施できません。
原則として医行為ではない行為についても、事業所としての体制整備が求められます。ガイドラインでは、管理者が行為の危険性を理解し、多職種が連携して安全に実施できる体制をつくることが必要とされています。実施手順のマニュアル、医療職による研修、実施記録の様式がそろっているかを確認してください。
記録は実施の証拠であると同時に、次回の判断材料にもなります。実施した行為・実施者・時刻・利用者さんの状態・気づいたことを残し、必要に応じて主治医や看護職員へ報告する流れまで整えておくと、行為の可否で迷う場面そのものが減っていきます。
事業所側の要件を満たしているか
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デイサービスで対応できないケアが必要な場合の選択肢

判断手順を踏んだ結果、デイサービスでは対応できないと分かることもあります。そこで話を終わらせず、代わりに使えるサービスを提示できると、利用者さんや家族、ケアマネジャーとの相談が前に進みます。
ここでは医療的ケアの必要度に応じた選択肢を紹介します。いずれもデイサービスからの切り替えや併用が現実的に検討できるものです。
デイサービスで対応できないときの代替サービス比較
| 項目 | 通所リハビリ | 療養通所介護 | 訪問看護 | 看多機 |
|---|---|---|---|---|
| 対象者 | リハビリと医療管理の両方が必要な方 | 常に看護師の観察が必要な難病・認知症・脳血管疾患後遺症等の重度要介護者又はがん末期の方 | 疾患があり主治医の指示に基づく療養上の世話・診療の補助が必要な方 | 通い・宿泊・訪問介護・訪問看護を組み合わせたい方 |
| 常勤医師の配置 | 医師1以上を配置し、うち常勤医師が必須 | 医師や訪問看護ステーションと連携(事業所への常勤配置の定めなし) | 主治医の指示に基づき看護師などが訪問(事業所への医師配置なし) | ― |
| 地域の限定 | ― | ― | ― | 地域密着型サービス(事業所がある市町村の住民に限定) |
| 要支援1・2の利用 | 利用できる | 利用できない(要介護1〜5が対象) | 利用できる(要支援・要介護いずれも可) | 利用できない |
―は公表資料に記載のない項目です。
通所リハビリテーションへの変更
医師の関与が必要なケアであれば、通所リハビリテーション(デイケア)への変更が有力な選択肢です。前述のとおり通所リハビリテーションには常勤の医師の配置が義務づけられているため、その場で医学的な判断を仰げます。
提供施設は介護老人保健施設・病院・診療所などで、リハビリテーションを目的としたサービスです。医療的ケアだけを理由に勧めるとリハビリの必要性と噛み合わないことがあるため、リハビリと医療管理の両方が必要な方に向いています。
なお、常に看護師による観察を必要とする重度要介護者やがん末期の方を対象にした療養通所介護という区分もあります。医師や訪問看護ステーションと連携してサービスが提供されるため、医療ニーズが高く、リハビリより日中の観察が必要な場合の選択肢になります。
訪問看護との併用
デイサービスの利用自体は続けたい場合、自宅での医療的ケアを訪問看護に担ってもらう方法があります。訪問看護は主治医の指示に基づき、療養上の世話や診療の補助を行うサービスです。
デイサービスの時間帯には行えない処置を、訪問の時間に組み込む形になります。褥瘡の処置、在宅酸素やカテーテル・ドレーンチューブの管理などが対象です。生活の場を変えずに医療的ケアを補える点が利点といえます。
デイサービス側にとっても、訪問看護と情報を共有できると当日の受け入れ判断がしやすくなります。処置の内容や利用者さんの状態の変化を共有する仕組みをつくっておくと、双方の負担が減ります。
看護小規模多機能型居宅介護の利用
通いと訪問の両方が必要で、状態の変化も大きい場合は、看護小規模多機能型居宅介護(看多機)が選択肢になります。通いを中心に、宿泊・訪問介護・訪問看護を組み合わせて利用できるサービスです。
同じ事業所が介護と看護を一体的に提供するため、状態が変わったときにサービスの組み合わせを変えやすいのが特徴です。デイサービスと訪問看護を別々の事業所で使う場合に生じる、情報共有の手間や調整の負担も抑えられます。
ただし地域密着型サービスのため事業所がある市町村の住民が対象で、要支援1・2の方は利用できません。提案する際は、地域に事業所があるかどうかをケアマネジャーと確認してください。
参考:介護サービス情報公表システム「どんなサービスがあるの? – 通所リハビリテーション(デイケア)」 / 介護サービス情報公表システム「どんなサービスがあるの? – 療養通所介護」 / 介護サービス情報公表システム「どんなサービスがあるの? – 訪問看護」 / 介護サービス情報公表システム「どんなサービスがあるの? – 看護小規模多機能型居宅介護」
まとめ
デイサービスで行える医療行為の範囲は、医師が配置されていないという制度上の前提から決まります。通所介護の人員基準に医師は含まれず、通所リハビリテーションには常勤の医師が必要という違いが、そのまま実施できる範囲の違いになっています。
看護職員は医師の指示のもとで幅広い医療行為を行えますが、指示がない行為や病状が不安定な場合の行為は実施できません。介護職員は通知で整理された行為に加え、研修修了と事業所登録の両方を満たした場合に限り喀痰吸引等の5行為を行えます。
一覧に載っていない行為に迷ったときは、医行為に該当するか、どの職種が行えるか、医師の指示があるか、事業所の体制と記録が整っているかの順で確認してみてください。


