看護師の転職に年齢は影響する?年代別の見られ方と進め方
転職を考えたときに、「この年齢で採用してもらえるのだろうか?」と不安になる看護師の方は少なくありません。求人票に年齢の記載はないのに、実際に働いてみると職場ごとに年代が偏っているように感じることもあります。
実は、看護師の求人で年齢をどこまで条件にできるかは、法律の規定である程度決まっています。制度を知らないまま「もう遅い」と自己判断してしまうと、応募できたはずの職場を自分から外してしまうことにもつながります。
この記事では、看護師の転職における年齢制限を法令から整理したうえで、年齢よりも見られている要素、年代別・職場別の傾向、そして年齢が上がってからの進め方までをまとめました。
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看護師の転職に年齢制限はあるか

結論から言えば、看護師の求人に年齢の条件を示すことは、法律で原則として禁止されています。年齢制限は「暗黙のルール」ではなく、条文と例外事由がはっきり定められている制度です。
ただし、例外として年齢を示せる場合も同時に定められています。この例外の中身を知っておくと、求人票に書かれていない年代の傾向をどう読み取ればよいかが見えてきます。まずは根拠となる規定から確認していきます。
求人に年齢の条件を示すことは原則できない
募集・採用における年齢制限の禁止は、労働施策総合推進法(労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律)の第9条に定められています。条文では、事業主は労働者の募集及び採用について、その年齢にかかわりなく均等な機会を与えなければならないとされています。
この規定は平成19年の法改正で努力義務から義務に引き上げられ、現在はすべての事業主が対象です。病院やクリニックも例外ではありません。
厚生労働省は、この規定に反する具体例も示しています。求人票では「年齢不問」としながら、実際には特定の年齢層以外からの応募を受け付けないことや、書類選考・面接の段階で年齢を基準に採否を判断することも、法の規定に反する取り扱いにあたります。
- 年齢の記載がないのは制度上書けないからで、年齢が問われないという意味ではありません
- 職場ごとの傾向は、求人票以外の手がかりから読み取る必要があります
例外として年齢を示せる場合
年齢制限が認められる例外事由は、厚生労働省令で限定的に定められています。ハローワークが公開している資料では、次のように号ごとに整理されています。
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1号定年年齢を上限として、その年齢未満の労働者を期間の定めのない労働契約の対象として募集・採用する場合
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2号労働基準法など、法令の規定により年齢制限が設けられている場合
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3号イ期間の定めのない労働契約の対象として、長期勤続によるキャリア形成を図る観点から若年者等を募集・採用する場合
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3号ロ技能・ノウハウの継承のため、労働者数が少ない特定の年齢層に限定する場合(30〜49歳の範囲内で上下限を設定)
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3号ハ芸術・芸能の分野で表現の真実性等の要請がある場合
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3号ニ60歳以上の高年齢者や、就職氷河期世代など国の施策の対象者に限定する場合
看護師の転職で関わってくるのは、主に1号・3号イ・3号ニの3つです。1号と3号イは、いずれも「期間の定めのない労働契約」であることが条件で、上限年齢だけを設定できます。つまり、正職員の求人でのみ使える例外だということです。
一方、パートや契約職員など有期の雇用契約では、これらの例外は使えません。年齢を理由に断ることは想定されていない募集の形だといえます。
それでも年代の傾向が生まれる理由
年齢を書けないのに、職場ごとに年代の偏りが生まれるのはなぜでしょうか。理由は大きく3つあります。
1つ目は、例外事由の3号イです。長期勤続によるキャリア形成を目的とした募集は、新卒者と同じ育成体制に乗せることが前提になります。教育プログラムを整えている大規模病院ほど、この例外を使いやすい構造になっています。
2つ目は、職場ごとの人員体制の違いです。看護職員を多く配置している職場と、少人数で回している職場とでは、求められる自立度が変わります。この違いが、結果として応募が集まる年代の差につながります。
3つ目は、看護師そのものの年齢分布です。厚生労働省の令和6年衛生行政報告例によれば、就業している看護師は1,363,142人で、年齢階級別で最も多いのは45〜49歳の13.7%でした。10歳ごとにまとめると40代が25.6%で最多となり、20代は21.3%にとどまります。母集団自体が中堅以上に厚いという点は、押さえておきたい前提です。
参考:e-Gov法令検索「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律」 / 厚生労働省「募集・採用における年齢制限禁止について」 / ハローワークインターネットサービス「年齢制限該当事由について」 / 厚生労働省「令和6年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況」
年齢よりも見られていること

年齢は変えられません。しかし、選考で見られている要素の多くは、これから変えられるものです。
採用する側は、配属先で何を任せられるかを具体的に知りたいと考えています。そのときに手がかりになるのは、年齢そのものよりも直近の経験や勤務条件です。ここでは、年齢以上に見られやすい4つの要素を整理します。
直近で経験した分野
経歴のうち最も重視されやすいのが、直近数年で経験した診療科や領域です。看護師としての総経験年数が長くても、応募先が求める分野から離れて久しい場合は、即戦力としての評価が下がることがあります。
逆に言えば、直近の経験が応募先の業務と重なっていれば、年代が上でも評価されやすくなります。急性期から在宅へ、病棟から外来へと移る場合も、直近で担当した患者さんの状態像や処置内容が近ければ接点をつくれます。
応募先を検討するときは、資格や総経験年数ではなく「直近3年で何をしていたか」を軸に考えると、現実的な候補が見えてきます。
ブランクの有無
出産・育児・介護などで現場を離れた期間があると、それだけで不利になるのではと感じる方もいます。ただし、ブランクを前提に採用を考えている職場も一定数あります。
医療キャリアナビ掲載求人データでは、正看護師の求人9,633件のうち「ブランクOK」の求人は873件で、全体の9%でした。数としては多くありませんが、探し方次第で候補は見つかります。
ブランクがある場合は、期間の長さよりも「復帰後にどこまで動けるか」を具体的に示すことが大切です。次のような点を、事実ベースで伝えられるよう整理しておきましょう。
- 離職期間中に受けた研修や勉強会の受講歴
- 非常勤やパートとして短時間でも勤務した経験
- 最新の医療機器や電子カルテへの対応状況
- 家庭の状況が落ち着き、勤務日数を確保できる見通し
夜勤や勤務時間の条件
年代が上がるにつれて、夜勤の可否や勤務時間の希望は選考に影響しやすくなります。特に交代制勤務を組んでいる病棟では、夜勤に入れる人員が確保できるかどうかが採用判断に直結します。
夜勤ができない場合は、日勤のみの職場に絞るという選択肢があります。医療キャリアナビ掲載求人データでは、正看護師求人のうち「17時退社」の条件がつく求人が19%ありました。夜勤なしの条件で探せる職場は確実に存在します。
指導や管理の経験
30代以降の転職では、プリセプターや実習指導、リーダー業務、主任・師長としての経験が評価対象になります。人手不足の職場ほど、新人を育てられる人材を求めているためです。
役職に就いていなくても、後輩の教育を担当した経験や、委員会活動、マニュアル作成に関わった経験は伝える価値があります。これらは職務経歴書に書かないと相手に伝わらない情報です。
管理職を希望しない場合でも、指導経験は「一人で判断して動ける」ことの裏づけになります。年代が上がるほど、この点が年齢のマイナス面を打ち消す材料になります。
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【年代別】期待される役割

同じ看護師でも、年代によって職場から期待される役割は変わります。ここでは、年代ごとに評価されやすい点と、意識しておきたい点を整理します。
なお、就業している看護師の年齢構成は、20代21.3%、30代21.1%、40代25.6%、50代21.5%、60歳以上10.5%と、どの年代にも一定のボリュームがあります。特定の年代だけが極端に少ないという状況ではありません。
20代
20代は、長期勤続によるキャリア形成を目的とした募集の対象になりやすい年代です。前述の3号イの例外が使えるため、教育体制を整えた大規模病院の求人が集まりやすくなります。
一方で、経験年数が短いと即戦力としての評価は限定されます。この年代では、どの分野を軸にするかを決めることが転職の目的になりやすく、未経験分野への挑戦も比較的しやすい時期です。
短期間での離職が続いている場合は、理由の説明を準備しておく必要があります。回数そのものより、次の職場で続けられる見通しを示せるかが問われます。
30代
30代は、専門性と体力の両方が求められる年代です。特定の診療科で5年以上の経験があれば、即戦力としての評価が得られやすくなります。
同時に、結婚・出産・育児といったライフイベントと重なりやすい時期でもあります。勤務形態の変更を検討する方が増えるため、時短勤務や日勤常勤といった働き方を含めて職場を探す動きが出てきます。
この年代では、指導経験の有無が評価の分かれ目になります。プリセプター経験があれば、教育体制の立て直しを課題としている職場から歓迎されやすくなります。
40代
40代は、就業看護師の中で最も人数が多い年代です。現場の中核として、判断力と調整力が期待されます。
新しい環境への適応力を懸念されることがある年代でもあるため、応募先の方針に合わせる姿勢を具体的に示すことが重要になります。前職のやり方を持ち込むのではなく、学び直す構えがあることを伝えられるかが分かれ目です。
この年代からは、応募数を増やすより、条件が合う職場を絞って準備を厚くする進め方が現実的です。
50代以降
50代以降は、経験の厚みが評価される一方で、体力面や定年までの期間を見られることがあります。就業看護師のうち60歳以上は10.5%、実数では143,481人が働いており、60歳を超えて現場に立ち続けている看護師は少なくありません。
この年代の転職では、正職員にこだわらず、非常勤や短時間勤務を含めて選択肢を広げると候補が増えます。定年年齢を上限とする1号の例外は期間の定めのない労働契約が前提のため、有期の募集ではそもそも年齢を上限にできないという点も、覚えておくと役に立ちます。
役割としては、若手の相談役や、患者さん・ご家族への対応など、経験がそのまま活きる場面が多くなります。
年代別・期待される役割
参考:厚生労働省「令和6年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況」 / ハローワークインターネットサービス「年齢制限該当事由について」
看護師の求人を探す【職場別】年代の傾向

求人票に年齢が書けない以上、応募先を絞るときの判断材料になるのは、職場ごとの構造的な特徴です。人員体制や働き方の違いを知っておくと、自分の年代や希望条件と合う職場かどうかを見立てられます。
就業している看護師の勤務先は、病院が65.7%(895,944人)と最も多く、次いで診療所14.3%(194,665人)、介護保険施設等7.9%(107,984人)、訪問看護ステーション6.7%(91,022人)と続きます。事業所(企業)は0.4%(5,879人)で、選択肢としては限られています。
| 就業場所 | 実人員 | 構成割合 | 常勤換算比率 |
|---|---|---|---|
| 病院 | 895,944人 | 65.7% | 95.7% |
| 診療所 | 194,665人 | 14.3% | 81.1% |
| 介護保険施設等 | 107,984人 | 7.9% | 82.3% |
| 訪問看護ステーション | 91,022人 | 6.7% | 86.9% |
| 事業所 | 5,879人 | 0.4% | 84.7% |
急性期病院
急性期病院は、看護師の勤務先として最も規模が大きく、教育体制も整っています。3号イの例外を使った若年層向けの募集が出やすいのも、この区分です。
働き方の面では常勤中心です。令和6年衛生行政報告例で病院の実人員と常勤換算数を比べると、病院はフルタイム換算での比率が95.7%と、他の勤務先より突出して高くなっています。短時間勤務で働いている人が少ない職場だといえます。
夜勤を含む交代制が前提になるため、勤務条件に制約がある場合は候補から外れやすくなります。逆に、夜勤に入れる中堅層の需要は年代を問わず高い状況です。
クリニック
クリニックは、日勤中心で勤務時間が読みやすい職場です。診療所の常勤換算比率は81.1%で、病院と比べると短時間勤務の看護師が多いことが数値からも分かります。
少人数で運営しているため、一人あたりの守備範囲が広くなります。受付や事務、器材の管理まで含めて任されることもあり、指示待ちではなく自分で判断して動ける人が求められます。この点で、経験のある年代が評価されやすい職場です。
ただし欠員が出たときの補充として募集されることが多く、求人が出るタイミングは読みにくいという特徴もあります。
訪問看護ステーション
訪問看護は、原則として一人で利用者さんの自宅を訪問します。その場で判断して対応する場面が多いため、病棟での経験を積んだ層が中心になります。
常勤換算比率は86.9%で、病院より低く診療所より高い水準です。常勤で働く人と、時間を区切って働く人の双方が一定数いる職場だと読み取れます。
移動を伴う分、体力面の負担は残ります。一方で、日勤帯を基本とする事業所も多く、夜勤から離れたい年代の受け皿になっています。
介護施設
介護老人保健施設や特別養護老人ホームなどの介護保険施設等では、107,984人の看護師が働いています。常勤換算比率は82.3%で、非常勤やパートを含めた多様な働き方が成り立っている職場です。
医療処置の頻度は病院より低く、体調の変化を早く捉えて医師や介護職につなぐ役割が中心になります。急性期のような処置のスピードは求められない一方、生活の場での観察力と多職種との調整力が重視されます。
看護職員の人数が限られる施設では、一人で判断して動く場面が増えます。この点でも経験のある年代が歓迎されやすい職場です。
- 訪問看護は2,535件・平均月給322,438円で、職場のなかで最も高い水準
- クリニックは2,384件・287,452円。日勤中心の求人が多数
- 特養は1,171件・273,306円、老健は679件・288,220円
医療キャリアナビ掲載求人データ
企業や治験に関わる職場
企業の健康管理室(産業看護)や、治験に関わる職場は、就業看護師全体のうち事業所が0.4%(5,879人)と限られた枠です。
日勤のみ・土日休みといった条件がそろいやすいため応募が集中し、募集が出る頻度も低くなります。年代よりも、健診や保健指導の経験、書類作成やパソコン操作のスキルといった具体的な要件で選考されることが多い分野です。
数が少ない以上、ここだけを狙って探すと転職活動が長期化します。他の選択肢と並行して情報を集める進め方が現実的です。
参考:厚生労働省「令和6年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況」 / ハローワークインターネットサービス「年齢制限該当事由について」
年齢が上がるほど条件の軸を絞る

年代が上がると、希望する条件は増えていきます。給与を下げたくない、夜勤は減らしたい、通勤時間は短くしたい、休みは決まった曜日がよい。どれも切実な条件です。
しかし、条件をすべて満たす求人を待ち続けると、応募のタイミングを逃したまま時間だけが過ぎてしまいます。ここでは、条件を現実的な形に整理する手順を紹介します。
医療キャリアナビ掲載求人データで正看護師の求人9,633件を条件別に見ると、最も多い「年間休日120日以上」でも22%、「時短勤務OK」は5%にとどまります。条件は単体でも全体の2割前後、重ねるほど該当する求人は急速に減っていきます。
優先順位を3つまでに絞る
まず、希望する条件をすべて書き出したうえで、上位3つに順位をつけます。4つ目以降は「かなえば嬉しい条件」として扱い、応募の判断材料には使いません。
3つに絞るときの基準は、それが満たされないと働き続けられないかどうかです。夜勤ができない事情がある、保育園の送迎で始業時刻に制約がある、といった条件は上位に来ます。一方で「できれば給与を上げたい」は、順位としては下がることが多い項目です。
- 上位3つは「満たされないと働き続けられない条件」から選ぶ
- 生活の制約(送迎・介護・通院など)に直結する条件は上位に来る
- 「できれば」で始まる条件は4つ目以降に置く
順位をつけておくと、求人を見たときの判断が速くなります。迷う時間が減ることは、それ自体が転職活動を前に進める力になります。
譲れる条件を決める
優先順位の裏返しとして、譲る条件も先に決めておきます。譲る対象を決めていないと、応募のたびに悩み直すことになるためです。
よく譲る対象になるのは、施設の規模、診療科の希望、給与の水準の3つです。特に給与は、勤務時間や夜勤回数を減らせば下がるのが自然なため、働き方を変えるなら年収も併せて見直す前提で考える必要があります。
譲れない条件と譲る条件を分けたら、家計への影響も併せて確認しておくと、条件の下限が具体的な数字で見えてきます。
通勤時間と勤務形態を現実的に設定する
通勤時間は、年代が上がるほど負担として効いてくる条件です。往復1時間の差は、1年間では大きな時間になります。体力の変化を見越すなら、通勤時間の上限は早めに決めておきたい項目です。
勤務形態については、正職員だけに絞らないことも検討に値します。パートや非常勤であれば、年齢制限の例外事由がそもそも適用されません。1号と3号イはいずれも期間の定めのない労働契約が条件のため、有期の募集では年齢を上限に設定すること自体ができないという制度上の違いがあります。
収入面の条件が許すなら、非常勤から入って働き方を確かめ、後から常勤に切り替えるという進め方もあります。
雇用形態で変わる「年齢制限」の扱い
年齢制限の例外事由のうち1号と3号イは、いずれも期間の定めのない労働契約が条件
参考:ハローワークインターネットサービス「年齢制限該当事由について」
転職活動するなら?
年代別の進め方

条件が整理できたら、次は伝え方です。同じ経歴でも、まとめ方によって受け取られ方は変わります。
年代が上がるほど、経歴は長くなり情報量も増えます。すべてを並べるのではなく、応募先が知りたい順に並べ替えることが必要になります。
応募書類でのまとめ方
職務経歴書は、応募先に関係が深い経験から書きます。20代であれば時系列で問題ありませんが、30代以降は「直近の職場」を最初に置く形式が読みやすくなります。
書く内容は、担当した診療科名だけでは足りません。配属後の姿を想像してもらえる粒度まで具体的に書くことが、経歴の長さを強みに変える近道です。
40代以降は、指導・管理に関わった経験を独立した項目として立てます。役職についていた期間だけでなく、担った役割そのものを書かなければ伝わりません。
職務経歴書の書き方は年代で変わる
面接で伝えること
面接では、年齢に触れる質問をされることがあります。ただし、年齢を基準に採否を判断することは法の規定に反する取り扱いにあたるため、年齢そのものを理由に断られる前提で身構える必要はありません。
伝えるべきは、体力面や勤務条件について自分がどう対応するかという具体策です。夜勤の可否、残業への対応、通勤手段などを、あいまいにせず数字で答えられるようにしておきます。
前職の不満を理由として挙げるのは避けます。年代が上がるほど「新しい環境になじめるか」を見られるため、応募先のやり方を学ぶ姿勢を言葉にすることが有効です。
看護師の求人を探す情報収集の方法
求人票に年齢は書かれていません。そのため、応募前に得られる情報を増やすことが判断材料になります。
見学の機会があれば、求人票からは読み取れない部分を確認します。次のような点は、見学と面談でしか分かりません。
- 実際に働いている看護師の年代構成
- 夜勤の人数と回数、日勤との組み合わせ方
- 中途入職者への教育の進め方
- 入職後に想定される担当業務の範囲
長く働くために考えておきたいこと

転職は一度きりの選択ではありません。50代・60代まで働き続けることを前提にすると、今回の転職で何を選ぶかの基準も変わってきます。
ここでは、長く働くうえで押さえておきたい3つの視点を整理します。
体力の変化への対応
夜勤や立ち仕事の負担は、年代が上がるほど蓄積しやすくなります。無理を続けてから働き方を変えるより、余力があるうちに調整する方が選択肢は多く残ります。
対応の方向は大きく2つあります。
-
勤務条件を変える夜勤回数を減らす、時短勤務に切り替える、日勤常勤へ移るなど、今の職場のなかで働き方を調整する
-
職場を移るクリニックや介護施設など、身体的な負担の質が異なる職場へ転職する
どちらを選ぶにしても、収入への影響を先に確認しておくことが欠かせません。条件を変えた後で家計が回らないと分かると、また働き方を戻すことになります。
定年と再雇用の制度
定年後の働き方は、高年齢者雇用安定法で枠組みが定められています。定年を65歳未満と定めている事業主は、65歳までの雇用を確保するため、定年の引上げ・継続雇用制度の導入・定年の定めの廃止のいずれかを講じなければなりません。これは義務です。
さらに、70歳までの就業機会の確保についても、令和3年4月1日施行の改正法で努力義務が定められました。措置の内容は、70歳までの定年引上げ、定年制の廃止、70歳までの継続雇用制度の導入、70歳まで継続的に業務委託契約を締結する制度の導入、70歳まで継続的に事業に従事できる制度の導入の5つです。
転職先を選ぶときは、定年年齢と再雇用後の勤務条件を確認しておきましょう。同じ「定年65歳」でも、再雇用時の給与や勤務日数の扱いは職場ごとに異なります。
65歳までの雇用確保措置(義務)と70歳までの就業機会確保措置(努力義務)
| 項目 | 65歳までの雇用確保措置 | 70歳までの就業機会確保措置 |
|---|---|---|
| 根拠法 | 高年齢者雇用安定法第9条 | 高年齢者雇用安定法(令和3年4月1日施行の改正) |
| 法的性質 | 義務 | 努力義務 |
| 措置の数 | 3措置のいずれかを実施 | 5措置のいずれかを実施 |
| 措置1 | 定年の引上げ | 70歳までの定年引上げ |
| 措置2 | 継続雇用制度の導入 | 定年制の廃止 |
| 措置3 | 定年の定めの廃止 | 70歳までの継続雇用制度の導入 |
| 措置4 | - | 70歳まで継続的に業務委託契約を締結する制度の導入 |
| 措置5 | - | 70歳まで継続的に事業に従事できる制度の導入 |
65歳までは3措置のいずれかを講じる義務、70歳までは5措置のいずれかを講じる努力義務として整理されている
資格や役割の広げ方
年代が上がってからの選択肢を広げる方法として、資格や担当領域を増やすという考え方があります。看護師としての経験をそのまま土台にできる資格や役割は、いくつも用意されています。
ただし、資格を取ること自体が目的になると、時間と費用に見合わない結果になりかねません。今の職場で必要とされている役割、または移りたい職場で求められている要件から逆算することが前提です。
資格以外にも、教育担当や委員会活動など、現在の職場で担える役割を増やす方法があります。こうした経験は次の転職での説明材料になり、年代が上がるほど効いてきます。
参考:e-Gov法令検索「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」 / 厚生労働省「高年齢者雇用安定法の改正~70歳までの就業機会確保~」
まとめ
看護師の転職において、求人に年齢の条件を示すことは労働施策総合推進法で原則禁止されています。認められる例外は限られており、そのうち看護師に関わる1号と3号イは、いずれも期間の定めのない労働契約が条件です。
それでも年代の傾向が生まれるのは、教育体制や人員配置といった職場ごとの構造の違いによるものです。求人票に書かれていない以上、勤務先ごとの働き方の特徴から読み取っていくことになります。
選考で見られているのは、年齢そのものよりも直近の経験分野、ブランクの状況、夜勤や勤務時間の条件、指導や管理の経験です。これらは今から準備できる要素です。
年代が上がったときに大切なのは、条件の優先順位を3つまでに絞り、譲る条件を先に決めておくことです。条件を重ねるほど該当する求人は減っていきます。まずは自分にとって外せない条件を書き出すところから始めてみてください。





