管理薬剤師の平均年収はいくら?一般薬剤師との差と増える額の内訳
管理薬剤師への昇進を打診されたとき、あるいは管理薬剤師としての転職を考えたときに、まず気になるのが年収ではないでしょうか?ただ、検索して出てくる「管理薬剤師の平均年収は約○○万円」という数字だけを見ても、自分の場合いくらになるのかは分かりません。
この記事では、厚生労働省の第25回医療経済実態調査をもとに、管理薬剤師の平均年収と一般薬剤師との差を確認します。そのうえで、その平均値がどこまで自分に当てはまるのか、管理薬剤師になると実際にいくら増えるのかを、手当・基本給・賞与の内訳に分けて整理します。
年収と引き換えに負う法令上の責任や働き方の制約、そこからさらに年収を上げる方法まであわせて見ていきます。
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管理薬剤師の平均年収

管理薬剤師の年収を示す公的なデータは、厚生労働省が2年に1度実施している医療経済実態調査です。最新の第25回調査(令和7年実施)では、保険薬局に勤める管理薬剤師の平均年収は約725万円でした。
まずはこの数字の中身を、一般薬剤師との差と、薬局の店舗数規模別の内訳に分けて確認していきます。
調剤薬局(保険薬局)の管理薬剤師の平均年収
第25回医療経済実態調査によると、保険薬局の管理薬剤師の平均給料年額は6,439,396円、賞与は814,188円でした。合計すると年収は7,253,583円、およそ725万円になります。
この金額は調査の前年度の実績にあたります。前々年度は7,243,977円で、伸び率は0.1%でした。2年間でほぼ横ばいだったことになります。
なお、この数字は保険薬局に所属する職員に支給された金額を集計したものです。開設者本人が管理薬剤師を兼ねている個人立の薬局は、この集計に管理薬剤師のデータがありません。
つまり、法人が運営する薬局に雇われている管理薬剤師の数字だと考えると実態に近くなります。
管理薬剤師の平均年収(第25回医療経済実態調査)
- 平均給料年額:6,439,396円
- 賞与:814,188円
- 年収(合計):7,253,583円=約725万円
- 前々年度からの伸び率:0.1%
一般薬剤師との年収差
同じ調査で、保険薬局の一般薬剤師の平均給料年額は4,245,802円、賞与は548,881円、合計4,794,684円(約479万円)でした。
管理薬剤師との差は2,458,899円、およそ246万円です。内訳を見ると、給料年額の差が2,193,594円、賞与の差が265,307円で、差額のおよそ9割は毎月の給料部分から生まれています。月あたりに直すと18万円ほどの開きです。
年収差はどこから生まれているか
差額2,458,899円(約246万円)の内訳
※差額の約9割は毎月の給料差で生じている
ただし、この246万円という差をそのまま「管理薬剤師になれば246万円増える」と読むことはできません。理由は次の章で詳しく説明します。
薬局の店舗数規模別に見た平均年収
第25回調査は、薬局のチェーン規模(自施設を含む店舗数)別の金額も公表しています。管理薬剤師の年収は、最も高い2〜5店舗の小規模チェーンで834.2万円、最も低い50〜99店舗で635.7万円でした。その差は約200万円です。
ここで注目したいのは、店舗数が多い大手チェーンほど年収が高いわけではないという点です。300店舗以上の大手は647.0万円で、全体平均の約725万円を下回っています。1店舗だけの薬局も696.6万円で、やはり平均以下でした。
一方、一般薬剤師の店舗数別の年収は437.5万円から515.3万円の範囲に収まっており、管理薬剤師ほど大きくは振れていません。管理薬剤師の年収は、薬局の規模によって振れ幅が大きい数字だといえます。
参考:厚生労働省「第25回医療経済実態調査の報告(令和7年実施)」
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平均年収の数字をそのまま自分に当てはめられない理由

約725万円という数字は、公的な調査に基づく信頼できる平均値です。ただし、この調査には対象範囲と集計方法の前提があり、その前提を知らずに自分の年収と比べると判断を誤ります。
ここでは押さえておきたい3つの前提を整理します。平均値の読み方が分かれば、自分がどのあたりに位置するのかが見えてきます。
調査対象が保険薬局に限られているため
医療経済実態調査で「管理薬剤師」という職種区分が集計されているのは、保険薬局の集計だけです。同じ調査の一般病院の集計を見ると、職種は病院長・医師・歯科医師・薬剤師・看護職員などに分かれており、管理薬剤師という区分は存在しません。
これは、管理薬剤師が薬局に置かれる管理者の呼び名であり、病院には同じ制度がないためです。したがって約725万円は「調剤薬局(保険薬局)で働く管理薬剤師」の数字であって、ドラッグストア・病院・製薬企業で働く薬剤師の管理職にはそのまま当てはまりません。
「管理薬剤師」という集計区分があるのは保険薬局だけ
参考までに、同じ調査での一般病院の薬剤師の年収は5,811,246円(約581万円)でした。こちらは役職の有無を分けずに集計した金額です。
薬局の店舗数規模によって金額が大きく変わるため
先に見たとおり、管理薬剤師の年収は店舗数規模によって635.7万円から834.2万円まで開きます。約725万円という平均は、この幅の真ん中あたりを示しているにすぎません。
自分の勤め先がどの規模帯に入るかで、目安となる金額は100万円単位で動きます。平均値と自分の年収を比べる前に、まず自分の薬局が何店舗のチェーンに属しているかを確認するほうが実態に近づきます。
小規模薬局には経営に近い立場の管理薬剤師が含まれるため
第25回調査の開設者別の集計を見ると、個人立の薬局には管理薬剤師のデータがありません。個人経営の薬局では開設者本人が管理薬剤師を兼ねていることが多く、その報酬が従業員の給料としては集計されないためだと考えられます。
一方、法人立の薬局の管理薬剤師は7,261,788円(約726万円)、役員は4,844,119円(約484万円)と集計されています。
店舗数の少ない帯で年収が高めに出るのは、経営に近い立場の人が管理薬剤師として集計に含まれている影響もあると考えられます。雇われの立場で管理薬剤師になる場合、小規模チェーンの数字をそのまま期待するのは慎重に考えたほうがよいでしょう。
- 対象は保険薬局のみ。病院・ドラッグストア・企業は含まれない
- 店舗数規模によって635.7万円から834.2万円まで開く
- 個人立薬局の管理薬剤師はデータに含まれない
参考:厚生労働省「第25回医療経済実態調査の報告(令和7年実施)」
薬剤師の求人を探す管理薬剤師になると年収はいくら増えるのか

昇進を打診された人が知りたいのは平均額ではなく、今の自分の年収からいくら増えるかという金額です。増える額は、勤め先が管理薬剤師の処遇をどう設計しているかで変わります。
手当だけが増えるのか、基本給も上がるのか、賞与に反映されるのか。この3点に分けて考えると見通しが立ちます。
管理薬剤師手当だけが増えるケース
よくあるのが、基本給はそのままで管理薬剤師手当が上乗せされるパターンです。手当の名称は「管理薬剤師手当」「管理者手当」「役職手当」など勤務先によって異なります。
ここで注意したいのは、管理薬剤師手当の相場を示す公的な統計は存在しないという点です。転職メディアなどで月3万円から5万円といった金額を見かけますが、根拠となる調査は確認できません。実際の金額は勤務先の給与規程を見なければ分かりません。
手当だけが増える設計の場合、年収の増加額は手当の月額を12倍したおおよその金額になります。仮に月3万円なら年36万円です。調査が示す約246万円の差と比べると、かなり小さい金額にとどまります。
基本給も上がるケース
手当ではなく基本給そのものが上がる、あるいは手当が基本給に算入される設計であれば、年収の増え方は大きく変わります。
第25回医療経済実態調査で管理薬剤師と一般薬剤師の差を分解すると、給料年額の差が2,193,594円、賞与の差が265,307円でした。差額の大部分は毎月の給料部分から生まれています。平均としての差がここまで開いているのは、手当の上乗せだけでなく、基本給の水準そのものが違うケースが一定数あるためだと考えられます。
なお、この差は同じ人が昇進した場合の増加額ではなく、別々の集団を比べた平均の差です。実際の増加額は勤務先ごとの規程によります。
賞与に反映されるケースとされないケース
見落としやすいのが賞与への影響です。賞与を「基本給の○か月分」で計算する会社は多く、手当が基本給に算入されるかどうかで賞与額まで変わります。
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手当が基本給に算入される賞与の算定基礎が増えるため、賞与も一緒に増える
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手当が基本給と別枠賞与は変わらず、増えるのは手当の年額分だけ
第25回調査では、管理薬剤師の賞与は814,188円、一般薬剤師は548,881円で、賞与にも26万円ほどの差が出ています。給料年額に対する賞与の比率はどちらも約13%で大きくは変わりません。平均で見ると、賞与も給料に比例して増えている形だといえます。
昇進を打診されたら給与規程で確認したい3点
- 管理薬剤師手当の額はいくらか
- その手当は基本給に算入されるか、別枠か
- 賞与の算定基礎に手当が含まれるか
この3つが分かれば、自分の年収がいくら増えるかを自分で試算できます。口頭の説明だけで判断せず、給与規程や労働条件通知書の該当箇所を確認しておくと安心です。
参考:厚生労働省「第25回医療経済実態調査の報告(令和7年実施)」
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管理薬剤師の年収が職場によって変わる要因

同じ管理薬剤師でも、勤務先によって年収は変わります。ここでは業態・勤務地・薬局の規模と経営母体という3つの要因を見ていきます。
なお、管理薬剤師の年収を業態別・地域別に示した公的な統計はありません。制度と求人情報から読み取れる傾向として整理します。
業態(調剤薬局・ドラッグストア・病院・企業)
そもそも管理薬剤師は、薬局に置かれる管理者の呼び名です。医薬品医療機器等法(薬機法)第7条で、薬局開設者は薬局を実地に管理する薬剤師を置かなければならないと定められています。業態が変われば、根拠となる制度も呼び名も変わります。
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薬局(調剤薬局・調剤併設ドラッグストア)薬機法第7条の管理者。一般に管理薬剤師と呼ばれる
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店舗販売業(調剤を行わないドラッグストア)薬機法第28条の店舗管理者。薬剤師のほか登録販売者も就ける
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医薬品製造業薬機法第17条第5項の医薬品製造管理者。製造所ごとに薬剤師を置く
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卸売販売業薬機法第35条の医薬品営業所管理者
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病院薬機法上の管理者制度はなく、薬剤部長などの役職として位置づけられる
管理薬剤師の年収は薬局の制度と結びついた数字であり、業態をまたいで比べる意味は小さいといえます。病院や企業へ移る場合は、管理職手当の有無や役職体系そのものが別のものになると考えたほうがよいでしょう。
求人ベースで見ると、医療キャリアナビ掲載求人データ(2026年時点)では薬剤師の正社員求人932件の月給中央値は350,000円でした。業態別では調剤薬局が365,000円、病院が300,500円です。役職の有無を問わない金額ですが、業態によって水準に差があることは読み取れます。
- 賞与・ボーナスありは66%、退職金制度ありは57%
- 正社員の月給は215,000円から550,000円まで幅がある
- 年間休日120日以上は27%、残業ほぼなしは9%
勤務地(都市部と地方)
薬剤師の年収を都道府県別に示した公的統計はありません。代わりに参考になるのが、厚生労働省が示している薬剤師偏在指標です。これは地域ごとの薬剤師の需給バランスを数値化したもので、1.00を下回るほど薬剤師が足りていないことを意味します。
薬局薬剤師偏在指標は全国で1.08、最も高いのは東京都の1.42、最も低いのは福井県の0.73でした。上下で約1.9倍の開きがあります。
薬剤師偏在指標(都道府県別)
1.00を下回るほど薬剤師が不足している地域
薬局薬剤師偏在指標
病院薬剤師偏在指標
※東京都は福井県の約1.9倍
薬剤師が不足している地域では採用が難しく、人材を確保するために給与を高めに設定する薬局があると考えられます。管理薬剤師は1つの薬局に1人しか置けない立場のため、この傾向はより表れやすい面があります。
ただし金額として裏付ける公的データはないため、求人票で個別に確認する必要があります。
薬局の規模と経営母体
経営母体が個人か法人かでも数字は変わります。第25回医療経済実態調査では、法人立の薬局の一般薬剤師が4,802,997円(約480万円)だったのに対し、個人立は4,011,839円(約401万円)で、約79万円の開きがありました。
店舗数規模の影響は先に見たとおりです。もう一つ知っておきたいのが、管理薬剤師のポスト自体が限られているという点です。同じ調査の延べ人員数を見ると、1薬局あたり管理薬剤師は11.7人月、一般薬剤師は24.1人月でした。12か月で割ると、管理薬剤師が約1人、一般薬剤師が約2人という計算になります。
つまり薬剤師3人につき、管理薬剤師のポストはおよそ1つです。
年収の高さだけでなく、そのポストに就ける機会がどれだけあるかも、職場を選ぶうえで見ておきたい視点です。
参考:厚生労働省「第25回医療経済実態調査の報告(令和7年実施)」 / e-Gov法令検索「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」 / 厚生労働省「薬剤師確保対策」
薬剤師の求人を探す年収と引き換えに負う責任と制約

管理薬剤師の年収が高く設定されているのは、法令上の責任と働き方の制約を負う立場だからです。昇進を判断するときは、増える金額だけでなく引き受けるものもあわせて見ておくと、後悔しにくくなります。
ここでは法令上の義務、兼務の制限、勤務時間の融通という3つの側面から確認します。
法令上の義務(従業員の監督と意見申述義務)
薬機法第8条第1項は、薬局の管理者に対して、薬局に勤務する薬剤師その他の従業者を監督し、構造設備や医薬品などの物品を管理することを義務づけています。
さらに第8条第2項では、薬局の業務について薬局開設者に対し、必要な意見を書面により述べなければならないと定められています。口頭ではなく書面である点がポイントです。これを受けて第9条第2項では、開設者は管理者の意見を尊重し、必要な措置を講じたうえで、その内容(講じない場合はその旨と理由)を記録し保存しなければならないとされています。
管理薬剤師は、経営側に意見を言う立場を法律で与えられていると同時に、言わなければならない立場でもあります。人員配置や在庫管理に問題があると感じたときに黙っていることは、義務を果たしていないことになります。
求人票や社内規程で「管理薬剤師には5年以上の実務経験が必要」と書かれていることがありますが、これは法律上の要件ではありません。
- 薬機法第7条第3項が定めるのは「必要な能力及び経験を有する者」であること
- 条文に実務年数の定めはない
- 年数を挙げている記述はガイドライン上の推奨か、勤務先の社内基準
他の場所で薬事の実務に従事できないこと
働き方に直接効いてくるのが兼務の制限です。薬機法第7条第4項は、薬局の管理者はその薬局以外の場所で、業として薬局の管理その他薬事に関する実務に従事してはならないと定めています。
ただし、同じ項のただし書きにより、薬局の所在地の都道府県知事の許可を受けた場合は例外になります。副業が一切できないわけではありません。
厚生労働省の通知では、許可が想定される例として、非常勤の学校薬剤師、営業時間外の夜間や休日に地域の輪番制で調剤に従事する場合、へき地で管理者の確保が困難な地域において営業時間外に他の薬局に勤務する場合が挙げられています。ただし同じ通知では、こうした兼務は例外的な取扱いとすべきであるとも明記されています。
なお、この制限は薬局だけのものではありません。店舗販売業の店舗管理者(第28条第4項)や卸売販売業の医薬品営業所管理者(第35条第4項)にも、同じく兼務の制限と知事許可という例外が置かれています。
休日や勤務時間の融通が利きにくくなること
管理薬剤師は薬局を実地に管理する立場です。名前だけ登録して普段は別の店舗にいるという運用は認められません。結果として、勤務日や勤務時間を自分の都合で動かしにくくなります。
シフトの調整役を担うことも多く、欠員が出たときに埋めるのは管理薬剤師という職場も少なくありません。年収が上がった分、休みの取りやすさは下がると考えておくほうが現実的です。
もう一つ確認しておきたいのが残業代の扱いです。役職手当がついたことを理由に残業代が支払われなくなるケースがありますが、労働基準法上の管理監督者にあたるかどうかは、役職名ではなく実態で判断されます。厚生労働省は判断の要素として、経営者と一体的な立場にあること、出退勤について裁量があること、地位にふさわしい賃金上の処遇を受けていることを挙げています。手当がついても実態がともなわなければ、管理監督者とは扱われません。
| ①経営者と一体的な立場 | ②出退勤の裁量 | ③賃金上の処遇 | |
|---|---|---|---|
| 法律上の要件 | 経営者と一体的な立場にあること | 出退勤について裁量があること | 地位にふさわしい賃金上の処遇を受けていること |
| 管理薬剤師の実務では | 薬局を実地に管理する立場。名前だけ登録して普段は別の店舗にいる運用は認められない | 勤務日や勤務時間を自分の都合で動かしにくい。シフトの調整役、欠員の穴埋めを担う | 役職手当がついたことだけでは足りず、地位にふさわしい処遇かどうかで判断される |
※3要素は役職名でなく実態に基づいて判断される
参考:e-Gov法令検索「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」 / 厚生労働省「薬局の管理者の兼務許可の考え方について」 / 厚生労働省「管理監督者|裁判例|確かめよう労働条件」
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管理薬剤師が年収を上げる方法

管理薬剤師になったあと、そこからさらに年収を上げるにはどうすればよいのでしょうか。ここでは資格・転職・役職という3つの方向を見ていきます。
年収1000万円を目標に挙げる人もいますが、平均が約725万円であることを踏まえると、薬局に勤める管理薬剤師が到達するのは簡単ではありません。現実的な積み上げ方から確認します。
認定薬剤師・専門薬剤師の資格を取得する
認定薬剤師や専門薬剤師の資格そのものに、手当や昇給を保証する仕組みはありません。ただし、薬局が特定の認定を受けるための要件になっている場合があり、薬局側にとって価値のある人材になれます。
薬機法第6条の2は地域連携薬局、第6条の3は専門医療機関連携薬局という認定制度を定めています。地域連携薬局の要件が体制の整備を中心に組まれているのに対し、専門医療機関連携薬局は、がんなどの傷病の区分ごとに、専門的な薬学的知見に基づく調剤や指導の要件を満たす薬剤師の氏名を申請書に記載することになっています。どちらの認定も1年ごとに更新が必要です。
資格を取れば自動的に年収が上がるわけではありませんが、認定薬局を目指す薬局にとっては欠かせない存在になります。手当の有無は勤務先ごとに違うため、取得前に確認しておくとよいでしょう。
年収水準の高い業態・地域へ転職する
すでに見たとおり、管理薬剤師の年収は店舗数規模で約200万円の幅があります。最も高いのは2〜5店舗の小規模チェーンで834.2万円でした。大手チェーンに移れば年収が上がるとは限りません。300店舗以上は647.0万円で、平均を下回っています。
地域については、薬剤師が不足している地域ほど採用条件がよくなる可能性があります。薬局薬剤師偏在指標が最も低い福井県は0.73で、最も高い東京都の1.42とは約1.9倍の差があります。
転職で年収を上げたい場合は、規模の大きさや知名度ではなく、実際の求人票に記載された金額と手当の内訳で比べることが大切です。
エリアマネージャーなど上位の役職を目指す
管理薬剤師の上には、複数店舗を統括するエリアマネージャーやスーパーバイザー、さらに役員というポジションがあります。
第25回医療経済実態調査では、保険薬局の役員の年収は4,844,119円(約484万円)と集計されています。管理薬剤師の約725万円を下回る数字ですが、これは常勤の職員として給料が支払われている役員の平均であり、報酬の設計によって実態は大きく変わります。役員報酬は薬局の業績と直結するため、平均値だけで判断はできません。
また、管理薬剤師のポストは1つの薬局に1つで、薬剤師3人につきおよそ1つという計算でした。エリアマネージャーはさらに数が限られます。上位の役職を目指すなら、ポストが生まれる環境かどうかを見る視点も必要です。
- 直近数年で店舗数が増えているか
- エリアマネージャーが何人いて、1人あたり何店舗を担当しているか
- 管理薬剤師から上位の役職に登用された実績があるか
管理薬剤師から上位の役職へ
参考:厚生労働省「第25回医療経済実態調査の報告(令和7年実施)」 / e-Gov法令検索「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」 / 厚生労働省「薬剤師確保対策」
まとめ
厚生労働省の第25回医療経済実態調査によると、保険薬局の管理薬剤師の平均年収は7,253,583円(約725万円)で、一般薬剤師との差は約246万円でした。ただしこの数字は保険薬局に限った集計であり、店舗数規模によって635.7万円から834.2万円まで開きます。大手チェーンほど高いという関係にもなっていません。
昇進で自分の年収がいくら増えるかを知るには、平均値ではなく給与規程を見るのが確実です。手当の額、基本給に算入されるかどうか、賞与の算定基礎に含まれるかどうか。この3点を確認すれば、増加額をおおよそ自分で計算できます。
同時に、管理薬剤師には従業者を監督する義務と、開設者に書面で意見を述べる義務があります。他の場所で薬事の実務に従事することも原則としてできません。年収と引き換えに何を引き受けるのかを踏まえたうえで、判断していきましょう。
もし今の職場の条件に納得できない場合は、他の薬局の求人票と見比べてみるところから始めてみてはいかがでしょうか。


