年収550万円の手取りはいくら?税金の内訳と生活費・家計配分の目安
年収550万円と聞くと、額面と実際に使えるお金の差が気になる方は多いのではないでしょうか。給与明細を見ても、健康保険料や厚生年金保険料、所得税や住民税がそれぞれいくら引かれているのかまでは把握しにくいものです。
年収550万円は、住宅の購入や教育費の準備が現実味を帯びてくる水準です。だからこそ、手取り額を正しくつかんだうえで家計を組み立てる必要があります。
この記事では、年収550万円の手取りを年額・月額の両方で示し、引かれる税金と社会保険料の内訳を一つずつ確認します。あわせて、扶養する家族の人数による手取りの違い、手取りから家計を配分するときの割合の目安、医療・介護職で年収550万円に届く働き方まで整理します。
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年収550万円の手取りの目安

年収550万円の手取りは、年額でおよそ425万円、月額にすると約35万円です。額面の77%前後が手元に残り、残りの約23%は税金と社会保険料として差し引かれます。
金額は条件によって変わるため、この記事では以下の条件でそろえて計算しています。以降の金額はすべて同じ条件によるものです。
この記事の算出条件
- 会社員(厚生年金保険・健康保険の被保険者)
- 独身・扶養する家族なし
- 40歳未満のため介護保険料の負担なし
- 全国健康保険協会(協会けんぽ)東京都支部に加入
- 雇用保険は「一般の事業」
- 賞与なしとして年収を12等分
- 保険料率は令和8年度、所得税は令和8年分、住民税は令和8年度の制度による概算
税額や保険料は制度改正や加入先によって変わるため、あくまで概算としてご覧ください。
手取りの年額
年収550万円の手取り年額は、約4,248,000円です。額面550万円に対する手取りの割合は77.2%となります。
差し引かれるのは、社会保険料が827,816円、所得税が150,801円、住民税が272,700円で、合計は1,251,317円です。年間で125万円ほどが天引きされる計算になります。
社会保険料の内訳は、健康保険料277,770円、子ども・子育て支援金6,486円、厚生年金保険料516,060円、雇用保険料27,500円です。税金よりも社会保険料のほうが負担は大きく、差し引かれる約125万円のうち3分の2にあたる約83万円が社会保険料です。
年収を50万円上げたときに手取りがどれだけ増えるかも気になるところです。
同じ条件で年収500万円の手取りは約3,913,000円のため、550万円との差はおよそ33万5,000円にとどまります。増えた年収50万円のうち、実際に手元に残るのは7割弱という水準です。
手取りの月額
手取り年額を12で割ると、月額はおよそ354,000円です。賞与がない前提のため、毎月ほぼ同じ額が振り込まれるイメージになります。
このとき額面の月給は458,333円で、毎月の天引き額は約104,000円です。内訳は健康保険料23,147円、子ども・子育て支援金540円、厚生年金保険料43,005円、雇用保険料2,291円、所得税と住民税があわせて約35,000円という構成になります。
住民税は前年の所得をもとに計算され、6月から翌年5月までの12回に分けて給与から引かれます。そのため、年収が550万円に上がった年ではなく、その翌年の6月から住民税の負担が重くなる点に注意が必要です。年収が上がった直後は手取りが多めに見えることがあります。
ボーナスがある場合の月の手取り
賞与がある場合、同じ年収550万円でも月々の手取りは大きく下がります。月給343,750円に賞与687,500円が年2回(月給の約4か月分)というモデルで計算すると、月の手取りは約261,000円、賞与1回あたりの手取りは約567,000円です。
このモデルの年間手取りは約4,269,000円で、賞与なしの場合より約2万円多くなります。年収が同じでも手取りに差が出るのは、社会保険料が「標準報酬月額」という等級表にあてはめて計算されるためです。
賞与なしの場合は月給458,333円が標準報酬月額470,000円の等級に切り上がります。一方、賞与ありの場合は月給343,750円が340,000円の等級に収まり、月々の保険料算定のベースがやや低くなります。同じ年収でも、月給と賞与の配分によって社会保険料は年数万円単位で変わります。
生活設計の面では、月々の手取り261,000円を基準に固定費を決めるほうが安全です。賞与は業績で変動する場合があるため、家賃や住宅ローンの返済額を賞与前提で組むと、支給額が減ったときに家計が回らなくなります。
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参考:全国健康保険協会「令和8年度の協会けんぽの保険料率は3月分(4月納付分)から改定されます」 / 全国健康保険協会「令和8年度保険料額表」 / 日本年金機構「厚生年金保険の保険料」 / ハローワーク立川「令和8(2026)年度 雇用保険料率のご案内」
年収550万円から引かれる税金・社会保険料

年収550万円から差し引かれるのは、所得税・住民税という2つの税金と、健康保険料・厚生年金保険料・雇用保険料という3つの社会保険料です。40歳以上の場合はこれに介護保険料が加わります。
税金と社会保険料では計算の仕組みが違います。税金は「所得」に対して段階的な税率をかけるのに対し、社会保険料は月給を等級にあてはめた「標準報酬月額」に一定の率をかけて求めます。ここでは、それぞれの金額と根拠を順に確認します。
所得税
年収550万円の所得税は、復興特別所得税を含めて年間150,801円です。
計算の順番は次のとおりです。まず年収550万円から給与所得控除1,540,000円を引いて、給与所得は3,960,000円になります。給与所得控除は、年収360万円超660万円以下の場合「収入金額×20%+44万円」で計算します。
次に給与所得から社会保険料控除827,816円と基礎控除680,000円を差し引き、課税所得は2,452,000円(1,000円未満切り捨て)です。課税所得195万円超330万円以下の税率は10%、控除額は97,500円のため、所得税額は147,700円となります。これに復興特別所得税2.1%を加えた金額が150,801円です。
ここで見落としやすいのが基礎控除です。令和7年分・令和8年分は基礎控除に上乗せの特例があり、合計所得金額336万円超489万円以下の人は68万円が適用されます。年収450万円前後までの人に適用される88万円より20万円低いため、年収550万円では特例の恩恵が小さくなります。
住民税
住民税は年間272,700円です。所得割267,700円に、均等割4,000円と森林環境税1,000円を加えた金額になります。
住民税の所得割は、所得税とは控除額が異なる点が特徴です。住民税の基礎控除は43万円で据え置かれているため、給与所得3,960,000円から社会保険料控除827,816円と基礎控除430,000円を差し引き、課税所得は2,702,000円になります。これに税率10%をかけて270,200円、そこから調整控除2,500円を引いた267,700円が所得割です。
所得税と住民税で控除額が違うため、住民税の課税所得のほうが25万円ほど多くなります。年収550万円では所得税より住民税のほうが負担が大きく、税金全体の6割以上を住民税が占めます。
健康保険料
健康保険料は年間277,770円、月額では23,147円です。協会けんぽ東京都支部の令和8年度の保険料率は9.85%で、これを会社と折半して負担します。
計算のもとになるのは、実際の月給ではなく標準報酬月額です。月給458,333円は「報酬月額455,000円以上485,000円未満」の区分に入るため、標準報酬月額は470,000円として扱われます。470,000円に9.85%をかけた46,295円の半分が本人負担分です。
令和8年4月分からは、健康保険料とは別に子ども・子育て支援金の負担が加わります。率は0.23%で、標準報酬月額470,000円の場合は本人負担が月540円、年間6,486円です。
なお、保険料率は都道府県ごとに違います。令和8年度は佐賀県の10.55%が最も高く、沖縄県の9.44%が最も低くなっています。同じ年収でも、勤務先の所在地によって健康保険料は年間で数万円変わります。
厚生年金保険料
厚生年金保険料は年間516,060円、月額では43,005円です。差し引かれる社会保険料のなかで最も金額が大きく、社会保険料全体の6割以上を占めます。
保険料率は18.3%で全国一律です。健康保険と同じく標準報酬月額470,000円を使い、470,000円×18.3%=86,010円の半分を本人が負担します。会社も同額を負担しているため、実際には年間100万円を超える額が納められている計算です。
厚生年金保険料は将来の年金額に反映されます。負担は重く感じられますが、標準報酬月額が高いほど老齢厚生年金の受給額も増える仕組みになっています。
雇用保険料
雇用保険料は年間27,500円です。令和8年度の労働者負担分の率は「一般の事業」で0.5%となっています。
雇用保険料だけは標準報酬月額ではなく、実際に支払われた賃金の総額に率をかけて計算します。賞与も対象に含まれるため、年収550万円であれば賞与の有無にかかわらず年間27,500円です。月給458,333円の場合、毎月の負担は2,291円になります。
医療・福祉分野の多くは「一般の事業」に該当します。建設業などは率が異なるため、給与明細の金額が合わない場合は勤務先の事業の種類を確認してみてください。
| 項目 | 料率 | 年額 |
|---|---|---|
| 社保健康保険料 | 9.85% | 277,770円 |
| 社保子ども・子育て支援金 | 0.23% | 6,486円 |
| 社保厚生年金保険料 | 18.3% | 516,060円 |
| 社保雇用保険料 | 0.5% | 27,500円 |
| 税金所得税 | - | 150,801円 |
| 税金住民税 | - | 272,700円 |
料率が高いのは厚生年金保険料ですが、税金は料率ではなく所得に応じて決まるため、給与明細だけでは全体像が見えにくくなります。年に一度は源泉徴収票で年間の合計額を確認しておくと、家計の見通しを立てやすくなります。
- 天引きの主役は税金ではなく社会保険料。約125万円のうち約83万円を占めます
- 保険料は実際の月給ではなく、等級にあてはめた標準報酬月額で決まります
- 住民税が重くなるのは、年収が上がった年ではなく翌年の6月からです
参考:国税庁「No.1410 給与所得控除」 / 国税庁「No.2260 所得税の税率」 / 国税庁「No.1199 基礎控除」 / 総務省「個人住民税」 / 全国健康保険協会「令和8年度保険料額表」 / 日本年金機構「厚生年金保険の保険料」
扶養する家族の人数による手取りの違い

同じ年収550万円でも、扶養する家族がいるかどうかで手取りは変わります。配偶者控除や扶養控除が使えると課税所得が減り、所得税と住民税の両方が軽くなるためです。
ただし、社会保険料は扶養家族の人数によって変わりません。健康保険は扶養家族が何人いても保険料は同額のため、手取りに差が出るのは税金の部分だけです。ここでは独身・配偶者あり・配偶者と子ども1人の3パターンで比べます。
独身の場合
独身で扶養する家族がいない場合の手取りは、年間4,248,683円です。所得税150,801円、住民税272,700円、社会保険料827,816円が差し引かれます。
適用される控除は、給与所得控除・社会保険料控除・基礎控除の3つだけというシンプルな構成です。生命保険料控除や住宅ローン控除などを使っていない前提のため、この金額が年収550万円の手取りの下限に近い水準といえます。
裏を返すと、独身の方は控除の余地が大きく残っている状態です。iDeCoや生命保険料控除を使えば、この金額から手取りを増やせる可能性があります。
配偶者を扶養する場合
配偶者を扶養している場合の手取りは、年間4,320,481円です。独身の場合と比べて71,798円増えます。
配偶者控除の額は、所得税で38万円、住民税で33万円です。この控除によって所得税は112,003円、住民税は239,700円まで下がります。所得税で38,798円、住民税で33,000円が軽くなる計算です。
配偶者控除を受けるには、配偶者の合計所得金額が58万円以下(給与収入のみなら123万円以下)である必要があります。令和7年分から所得要件が48万円以下から58万円以下に引き上げられ、給与収入では103万円から123万円まで広がりました。
配偶者の収入がこの範囲を超えても、いきなり控除がなくなるわけではありません。合計所得金額95万円(給与収入160万円)までは配偶者特別控除で38万円の満額が受けられます。
配偶者と子ども1人を扶養する場合
配偶者と16歳以上の子ども1人を扶養する場合の手取りは、年間4,382,008円です。独身と比べて133,325円増えます。
一般の控除対象扶養親族の控除額は、所得税で38万円、住民税で33万円です。配偶者控除とあわせると所得税で76万円の控除が受けられ、課税所得は1,692,000円まで下がります。この水準では所得税の税率が10%から5%に下がるため、所得税は86,376円まで軽くなります。
ここで注意したいのが子どもの年齢です。扶養控除の対象になるのは、その年の12月31日時点で16歳以上の親族に限られます。16歳未満の子どもは児童手当の対象となる代わりに扶養控除の対象外のため、子どもが生まれても手取りは変わりません。
- 15歳以下の子どもは扶養控除の対象外(手取りは配偶者のみの場合と同額)
- 16歳以上18歳以下は一般の控除対象扶養親族で38万円
- 19歳以上22歳以下は特定扶養親族で63万円
参考:国税庁「No.1191 配偶者控除」 / 国税庁「No.1195 配偶者特別控除」 / 国税庁「No.1180 扶養控除」
年収550万円の手取りで暮らす生活費の目安

年収550万円の手取り月額は約354,000円です。ここから家賃や食費をどう振り分ければよいのかは、家族構成や住む地域によって大きく変わります。
そこで参考になるのが、総務省の家計調査に表れている支出の「割合」です。金額そのものは地域差が大きい一方、消費支出に占める費目ごとの割合は世帯の型ごとに一定の傾向を示します。他人の家計簿をなぞるのではなく、自分の手取りに割合をかけて配分の基準をつくるほうが実用的です。
以下では単身・2人・3人の世帯別に、実際の平均支出と配分の考え方を見ていきます。
一人暮らしの場合
単身の勤労者世帯の消費支出は、2025年平均で月191,523円です(平均年齢43.3歳)。手取り354,000円に対して54%ほどで、月に16万円前後を貯蓄や投資に回せる計算になります。
費目別に見ると、食料と住居の2つで消費支出の約4割を占めます。次いで、その他の消費支出、教養娯楽、交通・通信が続く構成です。
単身世帯の特徴は住居費の比重が高いことです。単身の勤労者世帯は持ち家率が34.1%と低く、家賃を払っている人の割合が高いためです。家賃が高い都市部では、住居費が消費支出の2割を超えることも珍しくありません。
自分の家計に当てはめるときは、手取り354,000円に上記の割合をかけた金額を出発点にしてください。住居費であれば15.8%で約56,000円ですが、都市部で一人暮らしをする場合はここが7万円から10万円に膨らみ、その分を他の費目から削る形になります。
夫婦2人暮らしの場合
2人世帯の消費支出は、2025年平均で月281,014円です。手取り354,000円に対して79%にあたり、単身世帯に比べて余裕は小さくなります。
ただし、2人世帯の平均には高齢の夫婦世帯も多く含まれるため、金額をそのまま現役世代に当てはめると実態とずれます。年間収入500万円から550万円の二人以上世帯(世帯人員2.80人)で見ると、消費支出は291,743円です。
この階級では、食料85,312円、交通・通信42,794円、その他の消費支出46,343円、教養娯楽27,827円、光熱・水道24,965円、住居21,804円という内訳になっています。
住居費が2万円台と低いのは、この階級の世帯主平均年齢が59.4歳、持ち家率が85.2%と高く、住宅ローンを完済した世帯が多く含まれるためです。賃貸で暮らす場合は事情が変わります。住居の所有関係別に見ると、持ち家世帯の住居費が月12,419円なのに対し、民営借家の世帯は67,997円と5倍以上の開きがあります。
賃貸で暮らす夫婦2人であれば、家計調査の金額に住居費の差額として月4万円から6万円を上乗せして考えるのが現実的です。
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夫婦と子ども1人の場合
3人世帯の消費支出は、2025年平均で月324,047円です。手取り354,000円との差は3万円ほどで、賃貸で暮らす場合は月々の収支がほぼ均衡する水準になります。
子どもが生まれると増えるのは食費だけではありません。2人世帯と3人世帯を比べると、食料は約1万3,000円増えています。ここに教育費や被服費、教養娯楽費が加わり、消費支出全体では約4万3,000円の差が生じます。
前述のとおり16歳未満の子どもは扶養控除の対象外のため、支出だけが増えて手取りは変わりません。この時期に家計が苦しくなりやすいのはこのためです。児童手当は支給されますが、税制上の控除は16歳になるまで待つ形になります。
貯蓄を続けるには、住居費を手取りの20%から25%、つまり7万円から9万円程度に抑えられるかが分かれ目になります。地域によっては難しい水準のため、その場合は交通・通信費や教養娯楽費の配分を見直すことになります。
参考:e-Stat「家計調査 <用途分類>1世帯当たり1か月間の収入と支出 1 (実数,構成比,増減率,寄与度) 単身世帯・勤労者世帯・勤労者世帯以外の世帯・無職世帯」 / e-Stat「家計調査 <用途分類>1世帯当たり1か月間の収入と支出 3-1 世帯人員別 二人以上の世帯・勤労者世帯・勤労者世帯(うち世帯主が60歳未満)・無職世帯」 / e-Stat「家計調査 <用途分類>1世帯当たり1か月間の収入と支出 2-3 年間収入階級別 二人以上の世帯・勤労者世帯・無職世帯」 / e-Stat「家計調査 <用途分類>1世帯当たり1か月間の収入と支出 3-7 住居の所有関係別 二人以上の世帯・勤労者世帯・無職世帯」
年収550万円は平均と比べて高いか

年収550万円は、日本の給与所得者の平均を上回る水準です。国税庁の民間給与実態統計調査によると、令和6年分の1年を通じて勤務した給与所得者の平均給与は478万円でした。
年収550万円は平均より70万円ほど高く、給与所得者全体のなかでは上位4割に入ります。ただし男女別や年代別に見ると位置づけは変わるため、以下で分けて確認します。
日本の平均給与との比較
令和6年分の平均給与478万円に対し、年収550万円は約1.15倍です。男女別では男性の平均が587万円、女性の平均が333万円となっています。
雇用形態別では、正社員の平均が545万円、正社員以外が206万円です。年収550万円は、正社員の平均給与545万円とほぼ同じ水準にあたります。
男性の平均587万円と比べると年収550万円は下回りますが、女性の平均333万円の1.6倍以上です。同じ550万円でも、男性では平均的、女性では高い部類という受け止め方の違いが生じます。
年代別の平均給与との比較
年齢階層別の平均給与(男女計)は、40代前半で516万円、40代後半で540万円まで上がります。男女計の平均が550万円を超えるのは50代前半で、それより若い年代で年収550万円に届いていれば平均を先行していることになります。
男女別に見ると差は大きくなります。男性は30代後半には平均が550万円を超えるのに対し、女性は全年代で平均が500万円に届いていません。
20代後半の平均は406万円、30代前半は448万円です。この年代で年収550万円に達している場合は、同年代のなかではかなり高い水準といえます。
年収550万円台が占める割合
給与階級別の構成比では、年間給与500万円超600万円以下の層が全体の11.8%を占めます。この階級に入る人はおよそ9人に1人という割合です。
500万円以下の層を積み上げると全体の63.4%になります。つまり年収550万円は、給与所得者全体の上位およそ36%に位置します。
男女で分けると差は明確です。500万円以下の割合は男性で49.0%、女性で82.3%となっています。女性で年収550万円を超えているのは全体の1割台にとどまり、男性では約半数が500万円超という分布です。
参考:国税庁「令和6年分 民間給与実態統計調査」 / 国税庁「民間給与実態統計調査」
医療・介護職で年収550万円に届く働き方

医療・介護の職種のなかにも、平均年収が550万円前後に届くものがあります。厚生労働省の賃金構造基本統計調査(令和7年)から、きまって支給する現金給与額の12か月分と年間賞与を合計して推計すると、薬剤師・助産師・診療放射線技師・保健師の4職種は平均で550万円を超えます。
一方で看護師、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士などの区分、介護職員は、平均では550万円に届きません。これらの職種で年収550万円をめざす場合は、役職・勤務形態・経験年数・資格のいずれかで平均を上回る必要があります。
管理職に就く
役職に就くと給与水準は明確に上がります。令和7年の賃金構造基本統計調査によると、所定内給与額の月額は非役職者310,500円に対し、係長級399,200円、課長級529,200円、部長級635,800円です。
非役職者を100とした指数では、係長級が128.6、課長級が170.4、部長級が204.8になります。係長級になるだけで所定内給与は年間で約107万円増える計算で、賞与を加えれば年収550万円は十分に視野に入ります。
医療機関では主任・師長・技師長などが役職に相当します。役職に就く平均年齢は係長級で45.4歳、課長級で49.5歳のため、40代以降の選択肢として現実的です。
ただし管理職になると夜勤から外れる職場もあり、夜勤手当が減って総額が伸び悩む場合があります。役職手当の額と夜勤手当の減少分を比べて判断することが大切です。
夜勤専従や当直の多い職場を選ぶ
夜勤や時間外勤務が多い職場を選ぶと年収は上がります。きまって支給する現金給与額から所定内給与額を引いた差額が、時間外・休日・深夜労働に対する手当にあたります。
年間に換算した金額は、夜勤や当直の比重が大きい職種ほど高くなります。助産師では推計年収の約1割、看護師でも約7.5%が変動する手当で構成されています。
ここで注意したいのが、この手当を家計の固定収入として扱わないことです。夜勤の回数は体調やライフステージ、職場の人員配置によって変わります。夜勤を月8回から4回に減らせば、看護師であれば年間20万円前後の収入減につながります。
- 住宅ローンや家賃などの固定費は、所定内給与だけで払える範囲に収める
- 夜勤手当・残業代は貯蓄や繰上返済に回す前提で考える
- 夜勤を減らす可能性がある年代(出産・育児・体力の変化)は特に注意
経験年数を積んで昇給する
医療・介護職は勤続年数に応じた昇給制度を設けている職場が多く、経験を重ねることで年収は上がります。賃金構造基本統計調査で平均年収が550万円前後の職種を見ると、薬剤師の平均年齢は40.1歳、助産師は41.2歳、診療放射線技師は41.1歳、保健師は42.4歳です。
いずれも40歳前後で550万円台に到達している計算になります。20代のうちから同じ職場で経験を積み、昇給と賞与の積み上げで届く水準といえます。
一方で、昇給幅が小さい職場にとどまると年数を重ねても頭打ちになります。給与規程で昇給額や賞与の支給月数を確認し、10年後の想定年収を試算しておくと判断しやすくなります。
手当がつく資格を取る
資格手当が支給される職場では、資格の取得が年収の上乗せにつながります。認定看護師や専門看護師、認定薬剤師、ケアマネジャーなど、職種ごとに手当の対象となる資格が定められている職場が一般的です。
ただし資格手当の額は職場によって差が大きく、公的な統計はありません。資格を取る前に、勤務先の給与規程で対象資格と支給額を確認しておくことが重要です。
また、資格そのものより配置される部署や役割が年収を左右する場合もあります。資格取得が昇格や専門部署への異動につながるかどうかまで含めて考えると、投じた費用と時間に見合う判断がしやすくなります。
参考:e-Stat「賃金構造基本統計調査 1 職種(小分類)別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)」 / 厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査 結果の概況」
年収550万円から手取りを増やす方法

手取りを増やす方法は、年収そのものを上げるか、課税所得を減らすかの2つに大別されます。年収550万円の水準では、所得税率が10%、住民税率が10%のため、控除を1万円増やすと所得税と住民税をあわせて約2,000円軽くなる計算になります。
ここでは年収を上げる方法と、控除制度を使う方法、扶養の範囲を見直す方法の3つを順に確認します。
年収そのものを上げる
年収を上げれば手取りも増えますが、増えた分がそのまま残るわけではありません。年収500万円の手取りは約391万円、550万円では約425万円のため、年収を50万円上げても手取りの増加は約33万5,000円にとどまります。
増えにくい理由の一つが、社会保険料の等級です。標準報酬月額は等級表にあてはめて決まるため、月給が少し増えただけで上の等級に切り上がることがあります。年収550万円のモデルでは月給458,333円が標準報酬月額470,000円の等級に入り、実際の月給より11,667円高い金額で保険料が計算されます。
もう一つは基礎控除です。合計所得金額が336万円を超えると、令和7年分・令和8年分の基礎控除は88万円から68万円に下がります。年収475万円前後がこの境目にあたるため、この付近では年収の伸びに対して手取りの増え方が鈍くなります。
とはいえ、社会保険料の負担が増えることは将来の厚生年金の増額にもつながります。手取りの増え方だけで判断せず、長期の視点で考えることも大切です。
控除制度を活用する
年収550万円の水準で効果が出やすいのは、iDeCo・生命保険料控除・ふるさと納税の3つです。いずれも課税所得を減らすか、税額から直接差し引く仕組みで手取りを増やします。
iDeCoは掛金の全額が所得控除の対象です。企業年金のない会社員の拠出限度額は月額23,000円で、年間276,000円を拠出すると所得税と住民税をあわせて年間およそ5万5,000円の負担軽減になります。ただし原則60歳まで引き出せないため、教育費や住宅資金と分けて考える必要があります。
生命保険料控除は、一般生命保険料・介護医療保険料・個人年金保険料の3区分でそれぞれ所得税で最大4万円、合計12万円までが控除されます。3区分を満額まで使った場合の軽減額は年間約1万9,000円です。
ふるさと納税は、自己負担2,000円を除いた金額が所得税と住民税から差し引かれます。全額が控除される上限は住民税の所得割額の2割が目安のため、独身・扶養なしで年収550万円の場合は6万9,000円前後が目安になります。他の控除を使っている場合は上限が下がるため、寄付前に確認してください。
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扶養の範囲を見直す
配偶者の働き方を見直すと、世帯全体の手取りが変わります。年収550万円で配偶者を扶養に入れると、手取りは独身の場合より71,798円増えます。
令和7年分から、配偶者控除の所得要件は合計所得金額58万円以下(給与収入123万円以下)に引き上げられました。さらに配偶者特別控除では、配偶者の合計所得金額が95万円(給与収入160万円)までは38万円の満額が受けられます。給与収入160万円までは控除額が減らないため、この範囲で働く時間を増やせば世帯の手取りは素直に増えます。
ただし、配偶者自身の社会保険の扶養からは年収130万円前後で外れます。外れると配偶者本人に健康保険料と厚生年金保険料の負担が生じるため、世帯手取りが一時的に下がる区間があります。
配偶者が長く働き続ける見込みであれば、社会保険に加入して厚生年金を積み上げるほうが有利になる場合もあります。目先の手取りだけでなく、将来の年金額も含めて判断することをおすすめします。
参考:厚生労働省「iDeCoの概要」 / 国税庁「No.1140 生命保険料控除」 / 総務省「ふるさと納税のしくみ|税金の控除について」 / 国税庁「No.1195 配偶者特別控除」
まとめ
年収550万円の手取りは、独身・扶養なし・40歳未満の会社員という条件で年間約4,248,000円、月額では約354,000円です。額面の77.2%が手元に残り、社会保険料827,816円、所得税150,801円、住民税272,700円が差し引かれます。
扶養する家族がいると手取りは増えます。配偶者を扶養すると71,798円、16歳以上の子ども1人を加えると133,325円の増加です。ただし15歳以下の子どもは扶養控除の対象外のため、支出だけが増える時期がある点は押さえておきたいところです。
家計を組み立てるときは、他人のモデルケースをなぞるのではなく、手取りに対する割合で配分の基準をつくると自分の状況に合わせやすくなります。住居費は地域差が大きいため、家計調査の平均より上振れする前提で考えておくと安全です。
医療・介護職では、薬剤師・助産師・診療放射線技師・保健師の平均が550万円前後に届きます。看護師や療法士の職種で年収550万円をめざす場合は、役職・夜勤の比重・経験年数・資格のいずれかで平均を上回る必要があります。その際、夜勤手当のような変動する手当を固定費の前提にしないことが、長く続けられる家計につながります。


