柔道整復師国家試験の合格率は?推移と難易度をデータで解説
柔道整復師を目指すうえで、多くの方が最初に気にするのが国家試験の合格率です。調べてみると「71.5%」という年もあれば「49.6%」という年もあり、難易度がどれくらいか分からなくなってしまうこともあります。
柔道整復師国家試験の合格率は、ここ10年で49.6%から71.5%まで振れ幅があります。ただし、この変動は「その年の運」で起きているわけではありません。合否の決まり方や必修問題の基準、受験者層の構成といった仕組みが背景にあり、その仕組みを知ることが対策の第一歩になります。
この記事では、厚生労働省と公益財団法人柔道整復研修試験財団が公表しているデータをもとに、最新回の合格率と過去10年の推移、合格率が変動する理由、他の医療系国家資格との比較、そして合格率を難易度として読むときの注意点までを解説します。
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柔道整復師国家試験の合格率

柔道整復師国家試験は年に1回、毎年3月に実施される国家資格試験です。試験の実施事務は、柔道整復師法にもとづき指定試験機関である公益財団法人柔道整復研修試験財団が担っています。
まずは最新回のデータから確認していきましょう。合格率を見るときは、全体の数字だけでなく「新卒者」と「既卒者」に分けた数字まで見ることが大切です。この2つには例年大きな差があり、全体の合格率だけでは自分が置かれる状況を正しく把握できないためです。
最新回の合格率
最新の第34回柔道整復師国家試験は、2026年3月1日(日)に実施されました。厚生労働省の発表によると、受験者数4,434名に対して合格者数は3,170名、合格率は71.5%です。
この71.5%という数字は、過去10年で最も高い水準にあたります。直前の第33回が57.8%だったことを踏まえると、1年で13.7ポイント上昇したことになります。
このように、柔道整復師国家試験の合格率は年ごとの変動が大きいです。「柔道整復師の合格率は○%」と一つの数字で語られることがありますが、実際にはどの回のデータかによって印象が大きく変わります。合格率を確認するときは、必ず実施回と実施年をセットで押さえるようにしてください。
新卒者と既卒者の合格率
柔道整復研修試験財団は、全体の合格率に加えて新卒者・既卒者別の合格率も公表しています。第34回では新卒者90.3%、既卒者32.9%でした。
その差は57.4ポイントに達します。養成校を卒業見込みで受験する新卒者は9割以上が合格している一方、過去に不合格となって再受験する既卒者は3人に1人程度しか合格できていない計算です。
つまり全体の71.5%という数字は、合格率の高い新卒者と低い既卒者を合算した平均値にすぎません。養成校に在学中でこれから受験する方にとっての実質的な目安は新卒者の合格率であり、再受験を検討している方にとっては既卒者の合格率が現実的な目安になります。
受験者数と合格者数
第34回の受験者数は4,434名、合格者数は3,170名でした。1回の試験で3,000人前後の柔道整復師が新たに誕生する規模感です。
受験者数は近年減少傾向にあります。第25回(2017年3月実施)の受験者数は6,727名でしたので、10年で2,293名、率にして約34%減少したことになります。この背景には養成校の入学者数の減少があり、合格率の変動を考えるうえでも押さえておきたい前提です。
なお、国家試験に合格しただけでは柔道整復師として働くことはできず、合格後に免許の登録申請を行う必要があります。
また、受験者数が減っても合格率が自動的に上がるわけではありません。柔道整復師国家試験は上位何名を合格とする相対評価ではなく、基準点に達したかどうかで判定する絶対評価だからです。この点は後ほど詳しく説明します。
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参考:厚生労働省「第34回柔道整復師国家試験の合格発表について」 / 公益財団法人柔道整復研修試験財団「1.柔道整復師国家試験の実施」 / 厚生労働省「柔道整復師国家試験の施行」
柔道整復師国家試験の合格率の推移

1回分のデータだけでは、その年が高かったのか低かったのかを判断できません。ここでは過去10年分の推移を確認し、柔道整復師国家試験の合格率がどのような幅で動いてきたのかを見ていきます。
数値はすべて厚生労働省の各回の合格発表と、柔道整復研修試験財団が公表する回数別の一覧にもとづくものです。他サイトが独自に集計した数値ではなく、一次資料で確認できる範囲のデータを扱います。
過去10年の合格率の推移
第25回から第34回までの10年間で、全体の合格率は最低49.6%(第31回)から最高71.5%(第34回)まで、約22ポイントの幅で推移してきました。
柔道整復師国家試験 全体合格率の推移
全体合格率(%)/第25回〜第34回
平均するとおおむね60%台前半で、10年のうち6回が60%台に収まっています。一方で50%を割り込んだ第31回や、70%を超えた第34回のように、ときおり大きく外れる回が現れるのが柔道整復師国家試験の特徴です。
「合格率6割程度の試験」という理解は大枠として間違いではありませんが、受験する年によっては5割を下回る可能性もあると考えておいたほうが現実に即しています。
新卒者の合格率の推移
新卒者に絞って見ると、過去10年の合格率は65.4%から90.3%の範囲で推移しています。全体の合格率より常に高い水準ですが、新卒者であっても年によって25ポイント近く動く点は見逃せません。
とくに第31回は新卒者でも65.4%まで落ち込みました。この回は全体の合格率も49.6%と過去10年で最低であり、新卒者の合格率の落ち込みが全体を押し下げたことが分かります。
逆に第34回は新卒者90.3%と、過去10年で唯一9割を超えました。新卒者の合格率が全体の合格率とほぼ連動して動いていることから、その年の全体合格率を左右している主な要因は新卒者の出来だといえます。
受験者数の推移
受験者数は第25回の6,727名から、第34回の4,434名まで一貫して減少傾向にあります。ただし単純な右肩下がりではなく、第31回(4,521名)や第32回(5,027名)のように前年を上回る回もあります。
受験者数が増減する要因の一つが、既卒受験者の存在です。ある年の合格率が低ければ、翌年に再受験する既卒者が増えます。第31回の合格率が49.6%と低かった翌年の第32回で受験者数が506名増えているのは、この流れと整合します。
受験者数そのものは合否に直接影響しませんが、受験者の構成が変わることで全体の合格率は動きます。合格率の推移を読むときは、この点を頭に入れておくと数字の意味を取り違えずに済みます。
柔道整復師の求人を探す参考:厚生労働省「第34回柔道整復師国家試験の合格発表について」 / 厚生労働省「第31回柔道整復師国家試験の合格発表について」 / 公益財団法人柔道整復研修試験財団「1.柔道整復師国家試験の実施」
合格率が年によって大きく変わる理由

ここまで見てきたとおり、柔道整復師国家試験の合格率は49.6%の年もあれば71.5%の年もあります。この変動を「運が悪かった年」で片づけてしまうと、対策の立てようがありません。
実際には、合格率が動く仕組みは3つの要素に分解できます。合否の決まり方、必修問題の基準、そして受験者層の構成です。この3つを理解すると、自分がどこで落ちうるのかが具体的に見えてきます。
合格率が年によって変わる3つの要因
※第25回〜第34回(2017〜2026年実施分)の実績にもとづく
絶対評価で合否が決まる
柔道整復師国家試験は上位何名を合格とする相対評価ではなく、決められた基準点に達したかどうかで合否を決める絶対評価です。
相対評価であれば、受験者数や受験者層が変わっても合格率はほぼ一定に保たれます。一方の絶対評価では、その年の受験者全体の学力や問題の難易度によって、基準点を超えられる人数が変わります。
たとえば問題が例年より難しかった年は、多くの受験者が基準点に届かず合格率が下がります。逆に受験者全体の仕上がりがよい年は、合格率が上がります。柔道整復師国家試験の合格率が年ごとに大きく動くのは、この絶対評価という仕組みが土台にあるためです。
裏を返せば、周囲との比較ではなく基準点との距離だけを意識すればよい試験だともいえます。誰かを蹴落とす必要はなく、自分が基準に届けば合格できます。
必修問題の基準が厳しい
柔道整復師国家試験には、必修問題と一般問題という2つの区分があります。このうち必修問題は全50問中40点以上、つまり8割の正答が求められる厳しい基準が設定されています。
一般問題の基準が6割であることと比べると、必修問題の8割という水準の高さが分かります。しかも必修問題と一般問題は両方を満たす必要があり、片方が基準に届かなければ不合格です。一般問題で高得点を取っても、必修問題が39点であれば合格にはなりません。
さらに押さえておきたいのが、必修問題の問題数が途中で変わっている点です。第27回までは全30問(24点以上が合格ライン)でしたが、第28回からは全50問(40点以上)に増えています。落とせる問題数は6問から10問に増えたものの、対象範囲は広がりました。
必修問題は50問中10問しか落とせない設計です。ここで基準を割ると他がどれだけできていても不合格になるため、合格率が動く最大のポイントになっています。
必修問題の出題数と合格ラインの変遷
既卒受験者の割合が変動する
3つ目の要因が、受験者層の構成です。既卒者の合格率は新卒者より一貫して低く、過去10年では11.5%(第31回)から35.9%(第32回)の範囲で推移しています。
既卒者の合格率は新卒者以上に振れ幅が大きく、その差は24ポイントを超えます。合格率の低い既卒者が受験者に占める割合が高い年や、既卒者の合格率がとくに落ち込んだ年は、全体の合格率が押し下げられやすくなります。
前年の合格率が低ければ翌年の既卒受験者が増えるという関係もあるため、ある年の合格率の落ち込みが翌年以降にも影響を残します。全体の合格率を見るときは、こうした受験者層の変化が混ざった数字であることを意識しておきたいところです。
参考:厚生労働省「第34回柔道整復師国家試験の合格発表について」 / 厚生労働省「第27回柔道整復師国家試験の合格発表について」 / 厚生労働省「第28回柔道整復師国家試験の合格発表について」 / 公益財団法人柔道整復研修試験財団「1.柔道整復師国家試験の実施」
柔道整復師国家試験の合格基準

合格率が変動する仕組みが分かったところで、実際の合格基準を具体的に確認しておきましょう。柔道整復師国家試験の合格基準は毎回の合格発表で公表されており、必修問題・一般問題の2区分それぞれに基準が設けられています。
基準を正確に知っておくことは、模擬試験の結果を読むうえでも役立ちます。総合点だけを見て一喜一憂するのではなく、区分ごとに基準との距離を測る発想が必要になるためです。
必修問題 と 一般問題 の合格ライン比較
| 観点 | 必修問題 | 一般問題 |
|---|---|---|
| 問題数 | 50問 | 200問 |
| 配点 | 1問1点 | 1問1点 |
| 合格ライン | 40点以上 | 120点以上 |
| 得点率 | 80%以上 | 60%以上 |
| 落とせる問題数 | 最大10問まで | 最大80問まで |
| 必修問題・一般問題の両方で基準を満たした者のみ合格となる | ||
必修問題の基準
必修問題は配点が1問1点で、全50問中、総点数の80%以上にあたる40点以上が合格ラインです。
必修問題は柔道整復師として業務を行ううえで必ず理解しておくべき基本事項から出題されます。難易度そのものは一般問題より易しいとされますが、8割という基準の高さがあるため、取りこぼしが許されません。
前述のとおり、第28回から問題数が30問から50問に変更されています。過去問を使って対策する場合、第27回以前の必修問題は問題数も基準点も現在と異なる点に注意してください。得点率の感覚をつかむには、第28回以降のデータで確認するほうが実態に合います。
一般問題の基準
一般問題も配点は1問1点で、全200問中、総点数の60%以上にあたる120点以上が合格ラインです。
必修問題の8割と比べれば基準は緩やかですが、出題範囲は解剖学から関係法規まで広範にわたります。200問中80問まで落とせる計算になるため、苦手科目が1つあっても他でカバーできる設計です。
そして合否判定は、必修問題と一般問題のいずれも合格基準を満たしている者を合格とするという形で行われます。どちらか一方でも基準に届かなければ不合格となるため、両方を同時に満たす必要があります。
なお、出題ミスなどがあった回では特定の問題について複数の選択肢を正解とする、あるいは全員を正解とするといった採点上の調整が行われることがあります。これらも合格発表のページに毎回明記されています。
出題科目と問題数
柔道整復師国家試験の出題科目は、厚生労働省が官報で公告する試験の施行内容で定められています。第34回では次の11科目が対象でした。
- 解剖学
- 生理学
- 運動学
- 病理学概論
- 衛生学・公衆衛生学
- 一般臨床医学
- 外科学概論
- 整形外科学
- リハビリテーション医学
- 柔道整復理論
- 関係法規
試験は筆記試験(マークシート方式)で行われ、必修問題50問と一般問題200問を合わせた計250問という構成です。受験手数料は23,900円で、受験地は北海道、宮城県、東京都、愛知県、大阪府、広島県、香川県、福岡県、沖縄県の9か所となっています。
受験資格は、大学に入学することのできる者であって、3年以上、文部科学大臣が指定した学校または都道府県知事が指定した養成施設で必要な知識および技能を修得した方です。通信教育や独学だけでは受験資格が得られない点は、あらかじめ確認しておきたいところです。
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参考:厚生労働省「柔道整復師国家試験の施行」 / 厚生労働省「第34回柔道整復師国家試験の合格発表について」 / e-Gov法令検索「柔道整復師法」
他の医療系国家資格との合格率の比較

柔道整復師国家試験の合格率が高いのか低いのかは、単独では判断しにくいものです。ここでは同じ2026年に実施された他の医療系国家資格の合格率と並べて確認します。
比較する数値はすべて厚生労働省が公表した同年実施分の合格発表にもとづきます。実施年が異なる数値を並べると比較の意味が薄れてしまうため、年度をそろえて見ていきましょう。
はり師・きゅう師との比較
同じ施術系の国家資格であるはり師・きゅう師は、あん摩マッサージ指圧師とあわせて同一の試験日程で実施されています。2026年2月21日・22日に実施された第34回では、はり師が67.2%、きゅう師が70.5%でした。
同じ回の柔道整復師が71.5%ですので、3資格はほぼ同じ水準に並んでいます。はり師の受験者数は3,920名、きゅう師は3,858名で、柔道整復師の4,434名と規模感も近いといえます。
いずれも養成施設で3年以上学んだうえで受験する資格であり、合格基準も総得点の6割程度に設定されています。合格率で見るかぎり、柔道整復師とはり師・きゅう師の間に大きな難易度差があるとは読み取れません。
あん摩マッサージ指圧師との比較
同じ第34回のあん摩マッサージ指圧師国家試験は、受験者数1,070名に対して合格者数910名、合格率は85.0%でした。柔道整復師の71.5%と比べると13.5ポイント高い水準です。
ただし、この差をそのまま難易度の差と読むのは適切ではありません。あん摩マッサージ指圧師の受験者数は柔道整復師の4分の1程度で、視覚障害者を対象とした養成課程を含むなど受験者層の性格が異なるためです。
合格基準も、あん摩マッサージ指圧師は160点満点中96点以上(6割)の1区分のみで、柔道整復師のように必修問題で8割を求める区分はありません。試験の構造そのものが違うため、合格率の数値だけを横並びにするのではなく、基準の設計まで含めて見ることが大切です。
理学療法士との比較
リハビリテーション職の代表格である理学療法士は、2026年2月23日実施の第61回で受験者数12,436人、合格者数11,156人、合格率89.7%でした。新卒者に限ると94.9%に達します。同じ日程で実施された作業療法士も91.2%と高水準です。
柔道整復師の71.5%と比べると18ポイント以上の差があり、医療系国家資格のなかでは柔道整復師の合格率がやや低い部類に入ることが分かります。
もっとも、理学療法士の合格基準は総得点277点満点中167点以上(約6割)と実地問題41点以上の2区分で、柔道整復師の必修8割ほど厳しい設定ではありません。合格率の差には、受験者層だけでなく基準の置き方の違いも反映されていると考えられます。
柔道整復師の求人を探す参考:厚生労働省「第34回柔道整復師国家試験の合格発表について」 / 厚生労働省「第34回あん摩マッサージ指圧師、はり師及びきゅう師国家試験の合格発表について」 / 厚生労働省「第61回理学療法士国家試験及び第61回作業療法士国家試験の合格発表について」
合格率から難易度を判断するときの注意点

合格率は試験の難易度を測る手がかりになりますが、そのまま鵜呑みにすると判断を誤ることがあります。とくに進学先を検討している方や、再受験を考えている方にとっては、数字の読み方が進路の選択に直結します。
ここでは合格率を難易度として解釈するときに押さえておきたい3つの注意点を整理します。
全体の合格率だけで判断しない
繰り返しになりますが、全体の合格率は新卒者と既卒者を合算した平均値です。第34回でいえば、全体71.5%の内訳は新卒者90.3%と既卒者32.9%でした。
養成校に通って卒業見込みで受験する立場であれば、実際に近いのは新卒者の90.3%です。一方で「7割程度なら3割は落ちる厳しい試験だ」と受け止めると、実態より過度に不安を感じることになります。
反対に、既卒での再受験を控えている方が全体の71.5%を目安にすると、今度は見通しが甘くなります。自分がどちらの層に属するのかを確認したうえで、対応する数字を見ることが第一歩です。
- 全体の合格率は新卒者と既卒者の平均値である
- 在学中なら新卒者の合格率、再受験なら既卒者の合格率が目安になる
- どの実施回のデータかを必ず確認する
養成校ごとの合格実績を確認する
全国平均の合格率は、あくまで全養成校の受験者をまとめた数字です。実際には養成校ごとに合格実績の差があり、同じ年でも学校によって結果は異なります。
ただし、学校別の合格率を厚生労働省が一律に公表しているわけではありません。そのため、進学先を比較する際は各養成校が公表する合格実績や、資料請求・オープンキャンパスで得られる情報を確認する方法が現実的です。
その際は、単年度の数字だけでなく複数年の推移をたずねること、そして受験者数と合格者数の実数まで確認することをおすすめします。受験者数が少なければ、1人の合否で合格率が大きく変わるためです。国家試験対策の講座や補習の体制についても、あわせて確認しておくと判断材料が増えます。
養成校の合格実績を確認するときのチェックリスト
既卒での再受験は不利になりやすい
既卒者の合格率が新卒者より低い状態は、財団が公表しているデータを見るかぎり長年続いています。過去10年で既卒者の合格率が4割を超えた回はなく、最も高い第32回でも35.9%にとどまります。
不利になりやすい理由としては、養成校のカリキュラムや模擬試験、国家試験対策講座といった環境から離れることが大きいと考えられます。学習のペースを自分で管理する必要があり、疑問点をその場で質問できる相手も少なくなります。
そのため、在学中の1回目の受験でどれだけ準備できるかが結果を大きく左右します。「一度落ちても来年がある」と考えるより、卒業年度の受験を本番と位置づけて準備を進めるほうが合格には近づきます。
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参考:公益財団法人柔道整復研修試験財団「1.柔道整復師国家試験の実施」 / 厚生労働省「第34回柔道整復師国家試験の合格発表について」
合格率を上げるためにできること

ここまで見てきた変動要因を踏まえると、取るべき対策の優先順位が見えてきます。合格率が動く主な要因は必修問題の8割基準と絶対評価という仕組みでしたので、対策もその2点に対応させるのが効率的です。
一般的な勉強法を幅広く並べるのではなく、柔道整復師国家試験の構造に対応した3つの取り組みを紹介します。
合格率を動かすのは「必修問題の8割基準」と「絶対評価」。対策の優先順位はこの2点に合わせる
※必修・一般の両方の基準を満たした場合のみ合格となります
必修問題を優先して対策する
対策の優先順位で最上位に置きたいのが必修問題です。理由は明確で、必修問題で40点に届かなければ、一般問題が何点であっても不合格になるためです。
50問中10問しか落とせないという条件は、裏を返せば「範囲は限定されているが確実性が求められる」ということでもあります。必修問題は基本事項からの出題が中心のため、対策の効果が得点に直結しやすい領域です。
具体的には、第28回以降の必修問題を繰り返し解き、間違えた問題を科目別に記録していく方法が有効です。同じ論点で複数回つまずいているなら、その分野は基礎知識そのものが定着していない可能性があります。時間配分としても、まず必修で40点を安定して超えられる状態をつくり、そのうえで一般問題の底上げに移る順番がおすすめです。
模擬試験で基準点との差を確認する
絶対評価の試験では、周囲との順位よりも基準点との距離が重要になります。模擬試験を受けたときも、偏差値や順位ではなく必修問題40点・一般問題120点という基準にどれだけ届いているかで結果を読み解きましょう。
とくに注意したいのが、総合点では合格ラインを超えているのに必修問題が基準に届いていないケースです。総合点だけを見ていると気づきにくく、本番で同じ状態になれば不合格となります。模擬試験の結果は必ず区分ごとに分けて確認してください。
複数回の模擬試験を受けるのであれば、区分ごとの得点を時系列で記録しておくと、どの領域が伸びているのかが把握しやすくなります。基準点との差が縮まっているかどうかが、対策が機能しているかの判断材料になります。
苦手科目を早い段階で洗い出す
一般問題は200問中120点以上が基準ですので、80問までは落とせます。この余裕を活かすには、どの科目で失点しているのかを早い段階で把握しておくことが欠かせません。
出題科目は解剖学から関係法規まで11科目にわたります。柔道整復理論のように配点の大きい科目もあれば、範囲が限られている科目もあります。すべてを均等に学習するより、失点の多い科目と配点の大きい科目を優先するほうが総得点は伸びやすくなります。
科目別の得点を記録する習慣は、卒業年度に入ってからでは遅いことがあります。在学中の定期試験や模擬試験の結果を科目別に残しておき、3年次の早い段階で苦手分野を特定しておくと、対策に充てられる時間が確保できます。
参考:厚生労働省「第34回柔道整復師国家試験の合格発表について」 / 厚生労働省「柔道整復師国家試験の施行」
まとめ
柔道整復師国家試験の最新回である第34回は、受験者数4,434名、合格者数3,170名、合格率71.5%でした。新卒者に限れば90.3%、既卒者は32.9%と、層によって大きく異なります。
過去10年の合格率は49.6%から71.5%まで振れており、この変動は絶対評価という判定方式、必修問題の8割基準、既卒受験者の合格率の振れ幅という3つの要因で説明できます。合格率が低い年に当たるかどうかは運の要素もありますが、必修問題で確実に40点を超える状態をつくっておけば、変動の影響は小さくできます。
合格率を難易度の目安として使うときは、全体の数字ではなく自分が属する層の数字を見ること、そして養成校ごとの実績は各校に直接確認することが大切です。数字を正しく読めれば、進学先の検討も試験対策も、より現実的な計画に落とし込めます。
これから受験を控えている方は、まず必修問題で基準点を安定して超えられる状態を目標に置いてみてください。そこから一般問題の底上げに進む順番が、この試験の構造に最も合った進め方です。


