薬剤師の勤務時間はどのくらい?職場別の勤務時間・勤務形態の違いや勤務時間外でも労働にあたる業務を調査
薬剤師として働くうえで、「実際の勤務時間はどのくらいなのか」「残業や休日はどうなっているのか」は職場選びの大きな判断材料になります。ひと口に薬剤師といっても、調剤薬局・ドラッグストア・病院・企業では勤務時間や働き方が大きく異なります。
この記事では、薬剤師の勤務時間の基本から職場別の実態、4つの勤務形態、そして「勤務時間外でも労働時間にあたる業務」まで、公的データをもとにわかりやすく解説します。
求人票の見方や職場選びのポイントも紹介するので、入職後のミスマッチを防ぐ参考にしてください。
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薬剤師の勤務時間の基本

薬剤師も労働基準法が適用される労働者であり、勤務時間には法律上のルールがあります。まずは、すべての職場に共通する「法定労働時間」と、平均的な残業時間の目安を押さえておきましょう。
薬剤師は医療職という特性から変則的な勤務形態も多いですが、土台となる考え方は他の職種と変わりません。ここを理解しておくと、求人票に書かれた勤務時間の意味を正しく読み取れるようになります。
これなしに時間外労働は違法
原則は1日8時間・週40時間
労働基準法では、労働時間の上限を1日8時間・週40時間と定めています。これを「法定労働時間」といい、薬剤師もこの範囲内で働くのが原則です。
この時間を超えて働かせる場合、会社は従業員の過半数代表などと「36(サブロク)協定」を結び、労働基準監督署に届け出る必要があります。届け出があってはじめて、法定労働時間を超える残業(時間外労働)が認められます。
さらに、時間外労働にも上限があります。原則は月45時間・年360時間までで、特別な事情があっても年720時間などの上限を超えることはできません。
求人票の「みなし残業」や「固定残業代」の時間数を確認するときは、この上限を目安にすると実態が見えてきます。
参考:e-Gov法令検索「労働基準法」 / 厚生労働省「しっかり学ぼう!働くときの基礎知識」 / 厚生労働省「時間外労働の上限について」
平均残業時間は月9時間ほど
薬剤師の平均残業時間は、賃金構造基本統計調査をもとにすると月9時間程度が一つの目安です。ただし調査年によっては月11〜12時間台とする数値もあり、幅のある目安として捉えるのがよいでしょう。
残業時間は勤務先によって大きく異なります。処方箋の枚数が落ち着いた薬局や、定時退社が根づいた企業では残業がほとんど発生しない一方、患者さんの多い門前薬局や人手不足の職場では残業が積み上がることもあります。
医療キャリアナビ掲載求人データ(2026年時点)でも、「残業ほぼなし」を条件に掲げる薬剤師求人は全体の約9%にとどまり、残業の有無は職場ごとの差が大きいことがうかがえます。
求人票の残業時間は平均値であることが多いため、面接時に繁忙期の実態まで確認しておくと安心です。
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【職場別】薬剤師の勤務時間

薬剤師の勤務時間は、働く場所によって大きく変わります。ここでは代表的な4つの職場について、始業・終業のイメージや休日の傾向を整理します。
同じ薬剤師でも、診療時間に合わせて働く調剤薬局と、夜遅くまで営業するドラッグストア、当直のある病院とでは、生活リズムがまったく異なります。自分の希望する働き方に近いのはどこかを考えながら読み進めてください。
調剤薬局
調剤薬局は、門前にある医療機関の診療時間に合わせて営業するのが基本です。そのため8〜9時に出勤し、17〜18時に退勤するパターンが多く、生活リズムを整えやすい職場といえます。
日曜・祝日が休みになりやすい一方、土曜の午前中に診療している医療機関の門前では、土曜出勤が発生します。また、月初のレセプト業務の時期や、インフルエンザなどの流行期には処方箋が増え、残業になることもあります。
医療キャリアナビ掲載求人データ(2026年時点)では、調剤薬局の薬剤師求人は正社員の月給中央値が約36.5万円と、他の業態と比べても安定した水準です。勤務時間の規則正しさを重視する人に向いた職場です。
ドラッグストア
ドラッグストアは、店舗の営業時間が10〜22時と長く、早番・遅番の2交代制で回すのが一般的です。年中無休の店舗が多いため、土日祝の出勤も発生します。
調剤併設店では、調剤業務に加えて品出しやレジ応援、健康相談などの業務も担当することがあり、閉店後の締め作業で残業になるケースもみられます。勤務時間は長めになりやすい分、年収水準は他業態より高めの傾向があります。
シフトの組み方は店舗によって異なるため、面接時に希望の勤務時間帯や連休の取りやすさを確認しておくとミスマッチを防げます。
病院
病院薬剤師の勤務時間は、外来のみの病院か、入院設備のある病院かで大きく変わります。外来中心の病院では日勤が基本ですが、入院設備のある病院では当直や夜勤(二交代・三交代)が発生します。
当直では、夜間の急な処方や注射薬の調製などに対応します。夜勤明けの勤務や、当直手当の有無は病院によって規定が異なるため、事前の確認が欠かせません。
医療キャリアナビ掲載求人データ(2026年時点)では、病院薬剤師の月給中央値は約30万円と調剤薬局よりやや低めですが、チーム医療への関わりや専門性を高められる点が魅力です。
企業・公務員
製薬会社などの企業で働く薬剤師は、9〜18時・完全週休2日制が中心です。ただしMR(医薬情報担当者)は顧客である医療機関の都合に合わせて動くため、勤務時間が不規則になりやすい面があります。研究職ではフレックスタイム制を採用する企業も少なくありません。
公務員薬剤師(保健所や公立病院など)は、8時30分〜17時15分といった官公庁の勤務時間に準じることが多く、時間外労働が比較的少ない傾向です。安定した勤務時間を求める人に向いています。
参考:厚生労働省「令和6(2024)年医師・歯科医師・薬剤師統計の概況」 / e-Gov法令検索「労働基準法」
| 職場 | 勤務時間帯 | 休日の傾向 | 夜勤・当直 |
|---|---|---|---|
| 調剤薬局 |
8〜9時出勤 17〜18時退勤 診療時間に連動 |
日祝は休みになりやすい 土曜午前診療がある場合は出勤 | 基本なし |
| ドラッグストア | 10〜22時営業 早番・遅番の2交代制 |
年中無休のため 土日祝も出勤あり |
24時間店で発生 |
| 病院 | 外来のみは日勤 入院設備ありはシフト制 | シフトによる | 入院設備ありで発生 二交代・三交代または当直 |
| 企業・公務員 | 9〜18時勤務 公務員は8:30〜17:15 | 完全週休2日が多い | 基本なし MRは不規則になることあり |
薬剤師の4つの勤務形態

求人票を読むと「シフト制」「フレックスタイム制」といった勤務形態の記載を見かけます。これらは働く時間帯の決まり方を表す言葉で、意味を理解しておくと職場選びで迷いにくくなります。
ここでは、薬剤師の職場でよく使われる4つの勤務形態を紹介します。
固定制
固定制は、働く曜日と時間があらかじめ決まっている勤務形態です。「平日9時〜18時、土日祝休み」のように毎日のスケジュールが一定なため、生活リズムを整えやすいのが特徴です。
診療時間に合わせて動く調剤薬局や、9時〜18時勤務が中心の企業に多くみられます。プライベートの予定を立てやすく、家庭との両立を重視する人に向いた働き方です。
シフト制
シフト制は、早番・遅番などの勤務時間帯が日によって変わる働き方です。二交代や三交代でシフトを組み、店舗や病棟を長時間カバーします。
営業時間の長いドラッグストアや、当直・夜勤のある病院に多い形態です。土日祝に休みを取りやすい反面、勤務時間帯が一定しないため、生活リズムの管理が課題になることもあります。
変形労働時間制
変形労働時間制は、月や年単位で平均して週40時間を超えないよう調整する制度です。繁忙期は長め、閑散期は短めに労働時間を配分することで、全体のバランスを取ります。
繁忙期と閑散期の差が大きい職場で採用されることがあります。この制度では、あらかじめ定められた時間を超えた場合に残業代が発生するしくみのため、自分の職場の「所定労働時間」がどう設定されているかを確認しておくことが大切です。
フレックスタイム制
フレックスタイム制は、コアタイム以外の出退勤時刻を自分で決められる働き方です。総労働時間の枠内であれば、始業・終業の時間を柔軟に調整できます。
企業の研究職などで導入されることがあります。通院や育児との両立がしやすい一方、薬局やドラッグストアのように営業時間や患者さんへの対応が求められる現場では採用が難しく、職場が限られる点は理解しておきましょう。
参考:e-Gov法令検索「労働基準法」 / 厚生労働省「しっかり学ぼう!働くときの基礎知識」
- 調剤薬局
- 企業
- ドラッグストア
- 病院
- 繁忙期のある職場
- 企業(研究職)
「拘束時間」と「労働時間」は違う

求人票の勤務時間が「9時〜19時」と書かれていても、実際の労働時間が8時間ということがあります。この差を生むのが「拘束時間」と「労働時間」の違いです。
拘束時間と労働時間の違い
- 拘束時間:始業から終業まで職場に縛られている時間の全体(休憩を含む)
- 労働時間:実際に働いている時間(休憩を除く)
たとえば門前の医療機関の診療時間に合わせて、昼に2〜3時間の長い休憩を設ける調剤薬局があります。こうした店舗では拘束時間は長くなりますが、休憩を除いた労働時間は8時間ということになります。
長い休憩の間に一度自宅へ戻って食事や家事をする「中抜け」が認められているケースも多く、休憩を有効に使える点はメリットです。一方で、朝から夜まで職場に縛られる感覚になり、負担に感じる人もいます。
職場を比べるときは、「労働時間」だけでなく「拘束時間」も確認すると、入職後のギャップを防ぎやすくなります。求人票に休憩時間の記載があれば、拘束時間との差をイメージしておきましょう。
参考:e-Gov法令検索「労働基準法」 / 厚生労働省「しっかり学ぼう!働くときの基礎知識」
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勤務時間外でも労働時間にあたる業務

「勤務時間」として意識していなくても、法律上は労働時間にあたる業務があります。所定労働時間を超えていれば、これらの業務も残業代の対象になります。
開店前の機械の準備・清掃・朝のミーティング、閉店後の在庫確認や薬歴の記入、翌日の調剤準備といった業務は、いずれも労働時間に含まれます。
制服への着替えや準備を「サービスで」行うのが当たり前になっている職場では、注意が必要です。
- 調剤機器・分包機の準備
- 薬局・調剤室の清掃
- 朝のミーティング・申し送り
- 在庫確認・発注作業
- 薬歴の記入・入力
- 翌日分の調剤準備
薬剤師が1人しかいない薬局では、休憩時間中に処方箋が持ち込まれて対応することがあります。その頻度によっては、休憩ではなく労働時間と判断される可能性があります。
また、管理薬剤師や薬局長は「管理監督者」にあたるとして残業代が出ないとされるケースがあります。しかし、法律上の管理監督者と認められるには厳格な条件があり、役職名がついているだけでは該当しません。原則として残業代は支払われるべきものです。
役職に就く際は、残業手当の扱いがどうなっているかを事前に確認しておきましょう。労働時間や残業代は、労働者に認められた大切な権利です。
参考:e-Gov法令検索「労働基準法」 / 厚生労働省「しっかり学ぼう!働くときの基礎知識」
薬剤師の求人を探す薬剤師の休日と年間休日

勤務時間とあわせて確認したいのが休日です。休日の取り方も、働く職場によって傾向が分かれます。
土日祝が休みになりやすいのは、休診日の多い医療機関の門前薬局や製薬企業です。一方、シフト制のドラッグストアや病院では、土日祝が勤務日となり平日休みになることもあります。どちらが自分の生活に合うかを考えておきましょう。
年間休日の表記には注意が必要です。同じ「完全週休2日制」でも、祝日を含むか含まないかで年間15日以上の差が出ることがあります。祝日を含む場合は年間105〜110日程度、祝日を含まない場合は年間120〜125日程度が一つの目安です。
求人票では「完全週休2日制」という言葉だけで判断せず、年間休日の日数まで確認することが大切です。また、かかりつけ薬剤師として登録されている場合は、勤務時間外にオンコール対応が発生することもあります。
参考:e-Gov法令検索「労働基準法」 / 厚生労働省「しっかり学ぼう!働くときの基礎知識」
勤務時間を重視して職場を選ぶポイント

勤務時間を軸に職場を選ぶなら、まず自分の「譲れない時間」を明確にすることが出発点になります。「週◯日は18時までに帰りたい」「急な休みが取れる職場がよい」など、優先順位を言葉にしておきましょう。
勤務時間を短くしたい場合は、パートや派遣という選択肢もあります。薬剤師は時給水準が比較的高いため、勤務日数や時間を抑えても収入を確保しやすいのが強みです。また、24時間営業の店舗から、診療所門前の営業時間が短い薬局へ移るという方法もあります。
求人票で確認したいポイント
- 労働時間だけでなく拘束時間(中抜けの有無)
- 残業の実態(平均だけでなく繁忙期)
- 年間休日の日数(祝日を含むか)
- 残業手当・当直手当の規定
こうした点を労働時間・拘束時間・残業・年間休日・手当の観点から確認しておくと、入職後のミスマッチを防ぎやすくなります。自分だけで判断が難しい場合は、地域の職場情報にくわしい転職エージェントに相談するのも一つの方法です。
参考:厚生労働省「令和6(2024)年医師・歯科医師・薬剤師統計の概況」
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薬剤師の勤務時間に関するよくある質問

薬剤師の勤務時間について、読者から寄せられることの多い質問にお答えします。数値はいずれも目安であり、実際の条件は職場によって異なる点にご留意ください。
薬剤師の夜勤の平均時間は?
夜勤が発生するのは、主に入院設備のある病院の当直や、24時間営業のドラッグストアです。調剤薬局や企業ではほとんど夜勤はありません。
病院の夜勤は16時間前後の長時間になることが平均的であり、勤務形態や手当は病院ごとに規定が異なります。
夜勤の有無や時間は求人票で必ず確認しましょう。
残業が少ないのはどの職場?
残業が比較的少ないのは、処方箋の枚数が落ち着いた門前薬局や、企業・公務員です。ただし、同じ業態でも店舗や配属先によって残業の量は変わります。
一方でドラッグストアは、営業時間が長い分だけ勤務時間も長くなりやすい傾向があります。その分、年収が高めになるというトレードオフの関係があると理解しておきましょう。
固定残業制の場合は残業代は支給されない?
固定残業制(みなし残業)は、あらかじめ一定時間分の残業代を給与に含めて支払う制度です。定められた時間を超えて残業した場合は、超過分の残業代が別途支払われます。
「固定残業だから残業代は出ない」というのは誤解です。求人票では、固定残業代が何時間分に相当するのか、超過分が支給されるのかを確認しておきましょう。
参考:e-Gov法令検索「労働基準法」 / 厚生労働省「しっかり学ぼう!働くときの基礎知識」
まとめ
薬剤師の勤務時間は、法定労働時間である1日8時間・週40時間を土台としながら、働く職場によって大きく異なります。調剤薬局は診療時間に合わせた規則的な勤務、ドラッグストアはシフト制で長め、病院は当直・夜勤あり、企業・公務員は定時中心と、それぞれに特徴があります。
職場を選ぶときは、労働時間だけでなく拘束時間・残業の実態・年間休日・各種手当まで確認することが、入職後のミスマッチを防ぐカギになります。開店前後の準備や一人薬剤師の休憩対応など、勤務時間外でも労働時間にあたる業務があることも押さえておきましょう。
自分の「譲れない時間」を明確にしたうえで求人票を読み解けば、勤務時間の面で納得できる職場が見つけやすくなります。働き方に迷ったときは、地域の職場情報にくわしい転職エージェントに相談しながら、自分に合った勤務時間の職場を探してみてください。





